9・3東京都防災訓練の軍事化に反対しよう


 都知事・石原慎太郎が四月九日、不法入国した「三国人」、外国人によって、「大災害が起きた時には大きな騒擾事件すら想定される」ので「皆さんの出動を」と、陸上自衛隊第一師団にアジッたこと、この関東大震災時の朝鮮人大虐殺を彷彿とさせる暴言に対して、在日諸団体をはじめ都内外の広範な市民から、謝罪・発言撤回・知事辞任の要求が突き付けられていることは周知であろう。
 石原暴言の特徴は、「三国人」という差別言辞もさることながら、在日・滞日外国人への不信感をあおりつつ、かれらを軍隊による治安弾圧対象とみなしていること、そして大災害時の都による自衛隊出動要請を明確に治安目的として重視していることにある。
 この石原暴言の路線を実行に移す第一歩になろうとしているのが、来る九月三日の東京都総合防災訓練「ビッグレスキュー東京2000首都を救え」である。
 東京都では、関東大震災があった九月一日前後に毎年、総合防災訓練をやっているが、自衛隊の参加は九八年に二百十五人、九九年の七都県市の合同訓練で五百四十五人だった。今年の9・3は一挙に増え、陸海空から四千人ともいわれている(八月中まで公表しないという)。参加人員が増えるだけでなく、自衛隊三軍の統合実働演習が今年の防災訓練のカナメというべきものになっている。
 石原は四月十四日の記者会見で、「訓練には治安維持の要素ももちろん入ってくる」「自衛隊が防止・鎮圧する、そのためにどれくらい早く稼働するかということも問題の一つ」とし、そのためにも「訓練は埋立地ではなく、市街地で実践的に行なう」(都総務局)としている。
 まだ都民に公表されていない訓練項目によると、練馬駐屯地第一師団による都営地下鉄大江戸線を使っての木場公園への部隊進出訓練、銀座への部隊進出、南千住でのパラシュート部隊降下、篠崎での部隊集結・江戸川渡河訓練などなどが予定されている。
 都など自治体の防災訓練は元来問題として、住民自治を発展させて災害に備えるというものではなく、消防や警察が住民を形式的に動員し統制するという非民主的なものであり、阪神淡路大震災の教訓をふまえれば、それで本当に役に立つのか疑問視されるものであった。今回の9・3は、そうした非民主的性格に輪をかけて、自衛隊=軍隊が前面に出てくるものである。非常時には人命救助よりも体制秩序維持という、石原ら支配層の本音を暴露している。
 軍隊は敵戦闘力の破壊や内乱鎮圧を目的として組織・装備されているのであって、人命救助や被災者救援のために組織・装備されているのではない。自衛隊の装備や要員のうちで災害救援に使える部分は自治体側の指揮下に提供されるべきではあっても、自治体が自衛隊出動要請を当然視することは、地方自治・住民自治にとって自殺行為である。
 石原は地方・住民自治には興味はなく、いわゆる「東京から日本を変える」、東京都政の軍事化を突破口に軍国主義国家へ日本を作り替えることに興味を持つ男である。一日で

も早く打倒すべき男である。
 六月十四日には、「平和と共生を破壊する石原都知事に辞任を求める6・14シンポジウム」が、都内で反基地運動を行なっている人々や改憲反対運動の人々などによって開かれた。六月二十日には、宗教者などを主催に「沈黙はやめよう!石原発言に抗議し、都知事の辞任を求める集い」が開かれた。(いずれも会場は都の施設・シニアワーク東京であるが、施設側が都知事批判集会での利用に難色を示すという、けしからぬ経過もあったようだ)。七月八日には、「やめて!東京都による『防災』に名を借りた9・3自衛隊演習」結成集会が持たれるなど、しだいに反対運動がひろがりつつある。
 石原の都知事辞任を求める運動と共に、9・3自衛隊出動反対の声をひろげよう。(W)