共 同 声 明

       (「規約」の付則: 第一条で言う「綱領」とは、現在においては、

             共同声明の基本的内容とする。)

 

日本共産党(マルクス・レーニン主義)と共産主義者同盟の両者は、それぞれの臨時大会によって承認された本文書および規約の上に立って統合することをここに声明する。両者の統合は、革命勢力の団結と新生を望む先進的世論に応え両者が一貫して追求してきた日本の共産主義者の本格的な統合への、比較的小さな、しかし確かな一歩である。両者は、この統合を打ち固めると共に、激動の21世紀に備え、全ての共産主義者、先進的労働者と共同して強大な革命政党をたたかいとるべく、ひきつづき奮闘するものである。

1  (統合の経過)


 両者は、長年の交流を基礎に、1993年から統合のための協議を再開し、協議を積み重ねてきた。
 両者は、国際共産主義運動の路線において、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想などを行動の指針としてきた共産主義潮流を継承・発展させ、現代修正主義と引き続き闘い、プロレタリア国際主義を堅持して世界社会主義革命を目指す綱領的見地を確認した。
 両者は、当面する日本革命の任務と性格が、日本帝国主義を打倒し、アメリカ帝国主義を一掃し、プロレタリア階級独裁を樹立する社会主義革命であるという綱領的見地を確認した。
 両者は、以下の条件を満たすことによって統合を達成した。
 一つは、綱領上とくに日本革命の政治路線、また戦術上、組織上の基本的一致を勝ち取ったことである。
 二つは、マルクス・レーニン主義に対しての清算主義に反対するだけでなく、その教条主義にも反対し、マルクス・レーニン主義の現代的発展を勝ち取らねばならないという強い課題意識を共有したことである。両者は、ソ連崩壊の事態について、それが、そこに行き着いたこれまでの国際共産主義運動の再検証と国際共産主義運動の現代的再構築とをわれわれに要求する事態であることを確認した。
 三つは、各々の党建設の総括を相互に了解し、各々の異なった党史の中から共有化できる今日的地平が得られたことを確認した。

2  (両派の総括)

 両者は、各々の党建設をそれぞれ次のように総括し、その内容について相互に了解した。

 <共産主義者同盟(赫旗派と略称)の党建設の総括>

 赫旗派は、ブントの二分派が、ブント党建設破綻の総括の一致を基礎に、統一の綱領を獲得して組織統合し、1981年に創建されたものである。
 ブントは、1958年、マルクス・レーニン主義の諸原則の復権を目指して現代修正主義に転落した日本共産党から分派し結成された。しかし第一次ブントも、更にまた1966年に再建された第二次ブントも、学生運動の高揚を牽引しながら、党建設に挫折している。ブントは、学生運動の小ブルジョア的憤激の自然発生性に拝脆し、急進民主主義を克服できない階級的政治の薄弱さを有していた。その結果第二次ブントの場合にはその中からテロリズムが発生し、その対極に経済主義が、分裂の危機の渦中で組織第一主義が形成され最終的に崩壊した。その背景にはそもそもブントが、綱領的に見て、一般的には資本主義・帝国主義に対して、特殊的には官僚制国家資本主義ー現代修正主義に対して、またそれらを根底から批判できないトロッキズム系に対しても、独自の確固とした階級的立場を確立し得ていなかったということがあった。
 赫旗派は、ブントの党建設の破産を総括し、国家権力問題に対する階級的立場からする政治第一の態度を確立した。その地平にたって、マルクス・レーニン主義の資本主義批判および帝国主義批判を正しく捉え返すと共に、第二次帝国主義世界大戦後の現代帝国主義を国際反革命体制論として、米帝と日本帝国主義の関係を巡る自立・従属論争をその内に止揚する仕方で把握・批判した。またソ連=「労働者国家」論を克服してソ社帝・官僚制国家独占資本主義批判を構築した。そして、わが国の歴史的特殊性を踏まえ、日帝打倒・米帝一掃・プロ独樹立・社会主義革命の路線を定め、差別・抑圧問題を対象化し、綱領を確立したのだった。
 しかし赫旗派は、結成初期における建党協政治と二度の分裂、及び、ソ連の崩壊に象徴される時代の世界史的変化の中で、共産主義運動の革命的な再編・統合を推進する力を衰退させた。赫旗派は、その根拠について次のように総括した。
 第一は、共産主義者の統合を推進する事業において、統合対象の無基準な拡大と恣意的な選別とによって、原則上の妥協なしには統合することができない政治傾向をも含めて統合協議の枠組みを形成したこと。更には、それに関わった同盟の中心メンバーがその政治的枠組みを維持するために、同盟の提起した綱領的対案を討論することさえ拒否する相互尊重も民主もない運営をおこない、ブント党建設の破綻の経験を総括して獲得した綱領的地平を自ら投げ捨てたことである。
 第二は、綱領を実践の指針として戦術を巡る内部矛盾を適切に解決できなかったこと、組織問題に対する日和見主義が実践の検証を媒介とした内部矛盾のねばり強い弁証法的解決の道を閉ざしたことである。
 第三は、そしてこれが最大の問題であるのだが、ソ社帝・官僚制国家資本主義の崩壊をもたらした世界史的な社会の大変動の中で、社会革命の中心目標を生産手段の国有化に切り縮めたソ社帝官僚ブルジョアジーのイデオロギーの影響を根底から克服し・ブルジョア民主主義と市場経済をも真に越える・社会革命の現代的内容の構築に立ち遅れてきたことである。それは、党的団結の弛緩、労働者階級との結びつきの縮小などを深いところで規定した。
 われわれは、社会革命の中心目標を生産手段の国有化に切り縮めてきた綱領的限界の残滓を最後的に払拭し、生産手段の私的所有の廃止と一体的に、人々が分業に隷属せず、生存のための経済活動に緊縛もされず、自由に発展できる社会の実現を目指していく。この課題は、階級差別をはじめとした社会的差別に対する根本からの批判に道を開き、自然環境問題をも対象化させるものである。
 そしてわれわれは、同盟の指導的メンバーが女性差別の自己批判を貫徹できなかった問題に象徴されるわれわれ自身の政治意識および組織の質を深く反省する。われわれは、女性解放が女性自身の事業であり、それを首尾一貫しておしすすめることができるのは女性労働者であること、女性差別との闘いなしに革命運動の発展もないこと、女性解放が共産主義革命の不可分の一環であることを再確認する。われわれは、わが同盟を両性の真に共同的な革命組織へと刷新し、女性差別との闘いを強めていく決意である。
 ブント結成から40年、赫旗創建から18年の党建設を一言で総括するならば、現代修正主義との根底からの決別を果たし、世界史的新時代の共産主義運動の総路線を築く闘いだったと言える。われわれは、40年の党建設を総決算し、全国の共産主義者と共に、21世紀のプロレタリアートの戦闘布陣を構築していく。ML派との統合は、その第一歩に他ならない。

 <日本共産党(マルクス・レーニン主義)−日共MLと略称−の党建設の総括>

 日本における毛沢東思想派は、60年代後半に日共現代修正主義から決別した部分を中心としつつ、その後、いわゆる新左翼の中からトロッキズム的傾向を自己否定した部分が合流する経過を経て、形成された。日共MLは、1974年の結成であるが、79年の労共委との統合をはじめ、こうした党形成を経てきた。
 日本の毛派はその出発点において、当時の中共と日共との国際党派闘争の激化という外的要因によって、日共との決別が促されたという性格を持っていた。この決別は、共産主義と現代修正主義との国際的分裂の日本における現れの一つとして根本的には革命的性質を持っていたが、その決別した各グループ・個人は、新たな党建設の共通基盤を日本革命運動の現実の中に獲得することに失敗し、いくつもの党派が分立してしまうこととなった。このことは、理論上では、61年綱領の総括の相違などとして現れたが、根本的には、日本労働者階級に深く根付いていないことからくる毛派の事大主義、セクト主義の限界を示したものであった。
 70年代以降、一方で、新左翼の行き詰まりを反省した党派・無党派の中からも毛沢東思想支持が一定の流れとなり、他方で、毛派各派が各々の路線を表明して、61年綱領の民族民主革命路線の誤りをひきずる傾向と社会主義革命路線の方向を取る傾向とに分岐してきた。こうして新左翼の一部と毛派が合流する傾向が生じた。日共MLは、日本革命の路線問題を、「民主主義的課題を併せもつ社会主義革命」と規定して61年綱領の誤りと決別しつつ、誠実な共産主義者、先進的労働者との統合を党建設の基本として掲げてきた。
 その後、今日までの内外の階級闘争の大きな変化・発展は、この統合事業の対象を毛沢東派の統合として立てることを、既に決定的に古くさいものとしている。21世紀における現代修正主義との闘争は、これまでの反修闘争の地平を超えた、新しい内容と新しい枠組みを必要としている。
 日共MLは、日本の毛沢東思想派が果たしてきた歴史的役割を、一つには、「大衆観点・大衆路線」の作風とそれに基づく戦術を日本階級闘争の中に提起し、押し広げてきたこと、二つは、現代修正主義に対する原則的批判を、国際共産主義運動の責任ある主体的継承という立場で貫徹してきたこと、三つは、国際的な社会主義建設の教訓を主体的に受け止め、社会主義継続革命の思想を提起してきたこと、これらによって、今後の日本共産主義運動の一つの足場を形成し得たことと認識する。
 日共MLは、日本の毛沢東派のこうした積極的側面を継承・発展しつつ、今回、赫旗派との統合を達成し、更に21世紀の新しい思想的・組織的地平の上に立ってさらに前進していく。

 両者は、それぞれの経験を経て、日本革命の政治路線を中心として、自ずから基本的に同様の見地に接近してきた。今回の両者の統合は、セクトや個人の利害にこだわらず、日本革命と労働者階級の利益に誠実でありさえすれば、正しい革命路線は一つであり、系譜を超えた統合が全く可能であることを重ねて実証するものである。
 こんにち共産主義者同盟は、正反両面の教訓を残したブントの歴史的役割が既に終了していることを確認し、また日本共産党(マルクス・レーニン主義)は、正反両面の教訓を残した日本の毛沢東派の歴史的役割が既に終了していることを確認し、したがって両者は今回の統合を第一歩として、日本の革命的左翼運動の抜本的再編に着手していくことを決意した。

3  (世界情勢)

 両者は、以下の世界情勢と国際共産主義運動についての認識で一致した。

 20世紀は、二度の帝国主義世界大戦によって特徴付けられ、またプロレタリアートが、1917年のロシア革命をかわぎりに被抑圧諸民族の独立運動、民族解放運動と団結して複数の諸国でプロレタリア国家を樹立しながら、そのプロレタリア国家が官僚ブルジョアジーに簒奪された一時代であった。
 この時代は、第二次世界大戦後においては、一方で米帝を主柱とする帝国主義の国際反革命同盟体制が形成され、他方で、ソ連社会帝国主義ブロックが形成されたことを特徴とし、そしてまた、中国を初めとする植民地従属国が次々と独立を達成したものの西側帝国主義が独立した旧植民地従属国を再包摂していった時代であった。
 ソ連社会帝国主義のブロックは、「社会主義世界体制」を自称し、その「社会主義陣営の優位」によって発達した資本主義諸国でも「平和革命」が可能になった等の現代修正主義綱領を振りまき、西側との軍拡競争にのめり込みながら、自らの体制的自壊の道を進んでいった。中国は、中ソ論争を経て、ソ連ブロックから原則的見地を主張して決別した。
 20世紀も末に至り、ソ連ブロックが崩壊し中国も市場経済化して世界資本主義が−体化し、国際反革命同盟体制の下で発達した多国籍企業の間の競争と吸収合併とがドラスチックに展開され、国際反革命同盟体制が米・EU・日などの帝国主義の不均等発展によってその内部矛盾を深め、経済的破綻の結果「第三世界」の諸矛盾も激化し、世界史は労働者人民の反抗が拡大していく新たな局面へと移行した。
 20世紀の資本主義は、その前半において金融独占資本の発達と生産手段生産部門の機械制大工業化を、その後半には、国際反革命同盟体制下でアメリカ金融独占資本の多国籍展開と管理通貨制度・有効需要創出政策をテコとした耐久消費財生産部門の機械制大工業化を実現した。大量生産・大量消費・大量廃案文明が爛熟し、帝国主義諸国の労働運動の体制内化が深まった。帝国主義諸国の労働者支配は、労働貴族層の育成と買収という旧来の方法だけでなく、労働者一般の生活様式を資本の支配に都合の良いものに再編してきた。
 20世紀の後半もさらに70年代以降になると、金融独占資本の多国籍展開が米国だけでなく、西欧・日本のそれを含む世界的事態となり、コンピューター・ネットワークが発達する時代に移行していく。西側帝国主義諸国は管理と生活的消費の領域を肥大化し、第三世界諸国に工業を大規模に移転し、重層的な支配隷属構造を成す国際分業を発達させた。そうした中で、労働者に対する管理が飛躍的に強化され、非正規雇用層が膨張し、大失業事態が現れた。大量生産、大量消費、大量廃棄文明の爛熟が、環境を悪化させるレベルを超えて地球環境を破壊し、人類の生存をも脅かす段階に入った。発達した資本主義諸国では労働者の欲求の特徴が、物的豊かさを中心的に追求することから、人間の自由な発展の実現へ、地球環境破壊の阻止へシフトし始めた。
 80年代末から90年代初めにかけて、ソ社帝と東側ブロックが崩壊した。ソ連の体制である社会帝国主義・官僚制国家独占資本主義は、20世紀前半の生産手段生産部門の機械制大工業化(重化学工業化)を促進する役割を果たしたが、20世紀末に至って全く時代に適合しなくなったのである。すなわち第一に、ソ連の体制がその官僚制支配体制のままではブルジョア民主主義、民族自決権、市場開放、自由競争などを導入して産業構造を高度化することができず、世界市場での経済的競争に敗北したこと。第二に、ソ連の体制が、国内の労働者階級・被抑圧民族の間で高まる経済的な豊かさと自由な発展への欲求に対し、西側帝国主義のようにそれらをある程度まで欺瞞的にでも包摂していける体制でなかったことである。
 ソ連崩壊と中国の改革・開放によって促進された世界資本主義の統合過程、金融独占資本の多国籍展開と多国籍企業間の大競争が導く国際寡占体制の形成とは、現代帝国主義の最新局面となっている。この現代帝国主義の世界統合は、資本主義的帝国主義の史的発展の最終局面であり、世界共産主義革命の客観的条件を成熟させるものである。
 実際ソ連崩壊後に米帝が企図した安定的な「新世界秩序」は、実現しなかった。資本主義経済は、産業が成熟する中、過剰資本のはけ口となる新たな物的生産領域の開拓がかつてのようには期待できない未曾有の世界恐慌過程に突入しており、大失業時代を招来しつつある。同時に資本主義経済は、地球環境を破壊し、その方面からも人類社会の存続を危うくし始めている。社会は、ブルジョア階級の下では生きてゆけなくなる時代に入った。そして、米帝の統合力の衰退、帝国主義相互の矛盾の激化、南北対立・南南対立の拡大が、国際反革命同盟体制を機能麻痺に陥れ、各国の階級支配の危機を加速せずにはいない。
 団結した国際プロレタリアートが、国際独占資本を収奪し、新しい世界秩序の建設者として登場する時代が近づきつつある。21世紀の国際プロレタリアートは、現代帝国主義の政治・経済・文化に系統的に屈服し順応したところの現代修正主義者を、帝国主義ブルジョアジーもろとも歴史のくず箱に放り捨て、全世界を獲得するであろう。

4  (日本情勢)

 両者は、以下の日本情勢と日本共産主義運動についての認識で一致した。
 日本の国家権力は、帝国主義ブルジョアジーである日本独占資本が掌握している。この国家は、アメリカ帝国主義によって軍事的に補完され、その国家権力の発動作用を一定、統制支配されている。
 当面する日本革命の基本任務と性格は、日本帝国主義ブルジョアジーとその国家権力を打倒し、アメリカ帝国主義を一掃して、プロレタリア階級独裁を樹立する社会主義革命である。
 この日本社会主義革命における主力軍かつ指導階級は、日本プロレタリア階級であり、その同盟軍は、農民、漁民、自営商工業者、進歩的知識人、被差別大衆など、全ての被抑人民である。プロリレタリア階級は、独占資本と米帝に反抗する限りで中小ブルジョアジーを統一戦線に獲得する。
 ソ連崩壊後の今日、日本帝国主義は、アメリカ帝国主義を盟主とする国際反革命同盟体制の一環を担う仕方で、覇権拡張の道に足を踏み入れた。日本帝国主義は、現代的な形態をもってする新たな覇権拡脹のために、戦争責任・戦後補償問題の欺瞞的政治決着と天皇制の国際的受け入れの達成、自衛隊のPKO海外派兵のなし崩し的拡大、国連安保理常任理事国入りの工作、周辺事態法を成立させ、さらに有事法制・組織犯罪対策法そして憲法改悪を画策している。
 日本の金融独占資本は、80年代半ば以降、グローバルな搾取体系を全面的に発達させてきており、世界の多国籍企業との世界市場の支配を巡る大競争の渦中にある。金融独占資本は、「市場開放」「規制緩和」を旗印に資本移動と搾取の自由に関わる規制を大幅に緩和した。金融独占資本は、労働者の国境を越えた移動の自由も、階級支配の安定を確保する見地から厳しく統制しつつ拡大し、「外国人」労働者を大規模に導入しだした。
 この事態は、ソ連崩壊などの事態と相まって、ブルジョア民主主義制度と市場経済に対する労働者人民の幻想を一時的に高めたものの、国際金融の矛盾激化と97年以降の日本資本主義の経済的危機をもたらし、一転して、日本帝国主義の体制的統合力を弱体化させつつある。新自由主義政策は、労働者に対してますます過度労働と賃金引き下げの圧力を高め、大失業時代を引き寄せ、都市と農村の対立を世界的規模で先鋭化させ、地球環境破壊を引き起こし、階級対立を深刻化させずにはおかない。そうした中で資本が導いた物的生産力の成熟が、わが国の社会の内にも、従来的な更なる物的豊かさへの欲求ではなく、階級差別をはじめとした社会的差別と本質的に両立し得ない自由な自己発展の欲求、人間の自由な発展と不可分の豊かな自然環境への欲求を産出・醸成している。ブルジョア社会では完全には実現できない現代的な民主主義的要求の高まり、および、ブルジョア社会を根底から覆すプロレタリア自己解放運動の勃興は不可避である。 今日、日本が戦前のようなファシズム的社会へ回帰する危険と対決し、ブルジョア民主主義の防衛・改良を基調としてきた社共に代表される戦後民主主義の流れは、ブルジョア民主主義的世界秩序への貢献を名目とする日米帝国主義同盟に対決できず、思想的にはブルジョアジーと日本帝国主義の路線を共にするに至っている。また、戦後民主主義とブルジョア民主主義運動に急進的に反発し、実質的には急進民主主義者として行動してきた日本のいわゆる新左翼は、政治的に破産し、思想的分解を進行させている。共産主義運動は、戦後民主主義・ブルジョア民主主義を超える独自のその内容と形態について、鋭く問われている。
 また日本の労働運動はこのかん、帝国主義労働運動のセンターである連合が形成され、旧総評的な改良運動が著しく弱体化した。しかし他方では、企業単位から個人単位の労動者運動をすすめるユニオン・合同労組、性差別の変革を求める女性労働者運動など、新しい労働運動の芽が発展しつつある。雇用・権利を破壊する資本攻勢が激化しつつある今日、既存労組の有名無実化がすすむ反面、組織・未組織、就労・失業をつらぬいて労働者のたたかう要求は底辺から高まりつつある。共産主義運動は、こうした新しい組織化の潮流を前進させることに確信を持ち、労働者の今日的要求と日本の社会主義的未来とを結びつけるために奮闘することが問われている。
 日本の共産主義運動の長期にわたる混迷と分散に終止符を打ち、現代修正主義日本共産党にかわる革命党の創建へ、断固たる一歩を印す時が到来した。世界革命の一環を担い、日帝打倒・米帝一掃・プロレタリア階級独裁樹立・社会主義革命に勝利する闘いへ、速やかに戦列を整えなければならない。
 その勝利は、党と共に社会主義統一戦線なくしてありえない。日本プロレタリア階級の党としての日本の共産主義政党は、全人民の統一戦線の指導的一部分として、また革命政権の一つの政権党として、労働者人民を指導すると共に、社会主義統一戦線の基本綱領を遵守するものである。日本の共産主義政党は、プロレタリア階級独裁権力の上に立つ公的地位を必要とするものでなく、統一戦線に結集する労働者人民の支持と信頼にのみ依拠して、社会主義建設をおしすすめる。
 日本の社会主義建設の過程は、長期かつ複雑なものであり、世界の革命運動を支援しながら、外国帝国主義の反革命介入と対決し、私的資本主義の復活と官僚ブルジョアジの登場を防止しなければならない。社会主義社会は、相当長い歴史的段階であり、資本家的所有制度が消滅した後にも、引き続き階級矛盾、階級闘争が存在し、また各種の社会的矛盾が存在し続けるために、継続革命を堅持しなければならない。
 プロレタリア階級独裁の下での継続革命は、社会的分業への隷属からの労働者人民の自己解放をおしすすめ、労働者人民の自治能力を全面的に発展させつつ、統治するものと統治されるものの矛盾に弁証法的に対処し、国家死滅の客観条件を一歩一歩成熟させなければならない。

5  (綱領的目標)

 両者は、以下を党の綱領的目標に掲げてたたかうことを確認した。

 <党の綱領的目標>

 われわれは、全世界のプロレタリアートと共同して、共通の次の目標を達成するために闘う。すなわち…
 われわれは、主要な生産手段(土地を含む)の私的所有を廃止する。そして、労働時間を大幅に短縮する中で、精神労働と肉体労働、工業と農業、物的生産労働と労働力再生産労働、就労と失業などに人々が分割され、支配と隷属、差別と被差別の重層的連鎖の最深の土台を成してきた社会の就労構造を解体し、社会が生存のための経済活動に緊縛されている状態をもなくし、各人の自由な発展が全ての人々の自由な発展の条件であるような社会を達成する。それと共に労働の量に応じた分配を実現し、更に能力に応じて働き欲求に応じてとることのできる社会を目指す。
 われわれは、労働力・労働手段・労働対象・労働生産物などの経済的諸要素の配分調整が、国家や資本の管理機構によって行われ、また市場を介して行われる資本主義的配分調整システムを廃止する。われわれは、過渡的にはプロレタリア国家の関与をテコとしつつ、社会の経済的諸要素の配分調整を、生産・生活現場の人々がその必要に基づいて、直接・相互に・共同して、地域的・全国的・世界的に行えるシステムを構築していく。
 こうしてわれわれは、全世界から階級と階級対立を消滅し、国家の死滅を実現し、全世界人民の連帯した協同社会、世界共産主義社会を実現する。この目標は、以下の政治革命の達成を条件にはじめて全面的実現の道が開かれるものである。また以下の社会変革の目標と一体的に達成していくことを要するものである。
1. われわれは、プロレタリア世界革命の一環を担い、わが国において日本帝国主義ブルジョアジーとその国家を打倒し、アメリカ帝国主義を一掃し、プロレタリア国家を樹立する。自衛隊と警察を解体し全人民の武装を実現する。情報の公開・公務員のリコール制・地方分権・直接民主主義を高度に実現して労働者人民の自治を促進する。天皇制を廃止する。
2. われわれは、言論、表現、出版、結社などの自由、生存権や労働基本権を法に基づいて完全に保障する。性、肉体的・精神的・知的「障害」、「身分」、民族、人種、宗教などの別・有無に関わりなく、全人民の同権を実現する。
3. われわれは、日米安保条約を破棄し、在日米軍を完全に撤退させると共に、帝国主義諸国の国際反革命同盟体制を全世界人民と共同して解体する。また核兵器を廃絶する。わが国のアジア諸国に対する侵略戦争と植民地支配を謝罪し、戦後補償を実施し、在日韓国・朝鮮人、在日中国人の政治的無権利と経済的不平等をなくす。アイヌ、琉球・沖縄人の民族自決権および自己決定権を承認する。国内在住の少数民族が、言語・民族等で差別され、不利益を被ることがないようにする。他国・他民族に対する侵略と干渉を禁止し、国籍の違いによる差別をなくす。
4. われわれは、大資本と大地主の生産手段を没収してプロレタリア国家などの公有にかえ、経済の運営への労働者大衆の参加を実現する。大企業による中小企業の収奪に反対する。農民や自営業者の小経営を、自発的意思による協同組合化へ導いていく。
5. われわれは、高度の累進課税を実施し、間接税に原則として反対する。
6. われわれは、定住外国人を含む全ての社会構成員に、公的負担による皆年金制度を実現する。高齢者・「障害者」の労働権を保障しつつ、社会的連帯による福祉政策を推進する。
7. われわれは、労働者階級が、肉体的・精神的摩滅から自己を防衛し、自己解放闘争の能力を発展させるために闘う。労働権と生存権の完全な保障を実現する。6時間労働制、毎週連続2日の休日、年間連続一ケ月の有給休暇、時間外労働の禁止、夜間作業の原則禁止、などを完全に実現し、労働時間の一層の可能な限りの短縮を追求する。あらゆる労働問題の決定に労働者自身が実際に参加できるようにする。安価で質の良い住宅を確保できるようにする。
8. われわれは、男女の役割分業を廃止し、家事・育児の社会化を高め、女性の就労を保障し、賃金等の労働条件における差別を廃止する。法制上の女性差別(戸籍制度など)を廃止する。女性に対する差別的な慣習、道徳、イデオロギー、男性の主人意識を一掃する。女性の政治的進出を促進する。
9. われわれは、子どもの生活権と学習権を社会的・物質的に保障し、その人権を尊重する。
10. われわれは、階級差別をはじめとした社会的差別と闘うための学習運動を全人民の間で推進する。管理教育、差別・選別教育を廃止する。年齢を問わず全ての人々が、学習と社会的活動(物的生産労働・労働力再生産労働・経済的諸要素の配分調整等の経済的諸活動をはじめ、学問、芸術、スポーツ、娯楽等々、そして過渡的には国家機構の運営をも含む、社会を構成している様々な活動)とを結合し、特定の活動領域に固定されることなく、選別排除や強制もなく、自由に自己の発展を実現できる学習=活動システムを構築する。子ども達の学習(=活動)を援助するシステムに、地域の大人達が、労働時間の大幅な短縮の中で自由に共同して参加できるようにする。
11. われわれは、「障害者」の自己解放の運動を支持し、「障害者」や高齢者を排除・隔離・抹殺する社会のあり方を変革し、彼・彼女たちが安心して暮せる、そして生産活動・社会的諸活動に自由に進出し、欲するところと能力に応じて活動し続けることのできる社会を建設する。
12. われわれは、被差別部落大衆の糾弾権を承認し、部落差別をなくすために闘う。13,われわれは、都市と農村の対立を消滅させる。すなわち、同意に基づいて過度に集中した居住および専門化した産業の配置を適度に分散・再編成する。地域を、人々が精神労働と肉体労働、工業と農業、物的生産労働と労働力再生産労働、就労と失業などに分割されることなく自由に自己発展を実現していく場へ造り変える。地域社会の建設において、人間の発展の最深の基礎となる自然環境の豊かな発展を組み込む。地域社会を基礎に、グローバルなネットワーク社会を発展させる。
13. われわれは 資本主義がもたらす自然環境(=人間)破壊に終止符を打つ。使い捨て社会を高度のリサイクル社会へと造りかえる。人口の過密と過疎をなくす。原発を廃止する。自動車中心の交通体系を抜本的に変革する。自然環境を破壊し収奪する生産のあり方を止め、自然環境を保全し豊かにする生産のあり方を創造する。
 われわれは、日本の現存する社会制度および政治制度に反対する労働者人民の民主主義運動を支持する。またわれわれは、議会をはじめとしたブルジョア民主主義制度に対し、プロレタリアートの階級闘争の発展にとって有効である限りでこれを利用する。われわれは、ブルジョア民主主義制度を擁護し、プロレタリアートの階級意識を曇らせ、堕落させるような日和見主義、改良主義、現代修正主義と断固として闘い、同時に、プロレタリア国家の下でのみ真の民主主義が実現できることを主張する。
 われわれは、以上の政治的、社会的諸任務の完全な首尾一貫した遂行は、わが国のブルジョア独裁権力を打倒し、アメリカ帝国主義を一掃し、プロレタリアートの独裁を樹立することによってのみ成し遂げることができると固く確信するものである。そして、われわれは、この確信を労働者階級・人民の確信にまで高めるように奮闘する。

6  (戦術・組織)

 両者は、統合した党の当面の戦術・組織に関して、以下の点を確認した。

 <当面の戦術・組織>

1. われわれは、全国の共産主義者と共同して、共産主義運動の全国的統合と現代的な内容・形態の確立に尽力する。われわれは、マルクス・レーニン主義を否定したり、それを教条主義的に護持する傾向と一線を画し、その現代的発展を闘いとる立場に立つものである。
2. われわれは、現代的な統一戦線のあり方を追求する。統一戦線戦術は、ブルジョア国家機構を粉砕し、米帝を一掃し、労働者人民の革命政権を樹立するために、日本プロレタリア階級の階級的統一を強化し、プロレタリア階級を中軸とする全人民の統一戦線を形成することである。ここ当面の日本革命運動の統一戦線戦術は、日本労働運動の再建を軸として、全国各地に地域的統一戦線の形成をおしすすめ、全人民の統一戦線の形成を準備することである。われわれは、党が大衆組織の上に立つ態度や大衆組織を党の意志の伝達組織と位置づけるような態度を戒め、人民大衆の自主的な運動を尊重しその発展に貢献し、人民内部の問題を正しく処理していかねばならない。
3. われわれは、レーニン主義的党組織観を継承・保持しつつ、新時代の党組織のあり方を創造していく。地方党組織の自律性を保障し、地方と現場の党組織の自主性を高める。党は、階級敵と闘う政治的戦闘組織であると共に、一人ひとりの自立した共産主義者の自覚的な結合体であり、「批判の自由と行動の統一」を組織原則とする。党員の意見表明は、政治・思想問題においては、綱領の立場に根本的に反しない限り、党の内外において完全に自由であり、組織問題においては、意見表明の民主的手続きが完全に保障される。組織の決定に基づく行動の統一は、弁証法的観点に立ちつつ厳格におしすすめる。
4. 統合に当たっては、党建設の総括の相互了解を重視しつつ、綱領上、戦術上、組織上での基本的一致をその条件とする。原則を譲らず、しかし柔軟に相違を処理し、できるだけ大きな統合を実現する。



 両者は この共同声明および規約を出発点としながら、日本の誠実な共産主義者、先進的労働者のさらに大きな統合に役立つものへ、これら諸文書の基本見解を改善していく考えである。両者は、日本と世界の変革を支持する民主的人々からの、特にマルクス主義的共産主義の立場を堅持する人々からの、あらゆる批判を歓迎する。両者は、両者以外の共産主義者による、協力と統合のための真摯な提案に誠実に対処する。
 世界史の大転換と日本階級闘争の厳しい現状は、日本の革命的左翼に活動のあり方の抜本的な質的転換を求めている。日本の全ての革命的な諸党派と個人は、21世紀の新しい地平に立って、小異を残し大同につく協力と統合の共同事業を達成しよう。
 団結・統合して、革命の時代を切り拓こう!

                       

                     労働者共産党 結成大会
                                   共産主義者同盟第7回臨時大会
                                  日本共産党(マルクス・レーニン主義)第7回臨時大会