岸田自民党は、裏金犯罪事件で国会証人喚問を拒否しつつ、党内処分で幕引きを図ろうとしている。そして、物価も上がるが賃金も上がる、日本経済の「ステージ転換」だーとして、大敗しない総選挙によるリセットを目論んでいる。
 が、安心して子育てができ、老後の心配のない社会の仕組みが無いままでは、縮み指向の日本経済は変わらない。反面このかん、企業の内部留保は何百兆円と積み上がり、とくに海外進出企業はぼろ儲けして、日本に毎年何十兆円もの所得収支黒字をもたらしている。その結果が韓国サンケン、ワイパー、オプティカルの争議である。
 賃金の大幅底上げ、最賃1500円はまったく当然だ! ブルジョア諸政府は戦争が起こるぞと言い合って、人民を黙らせようとしている。全世界の労働者人民は今こそ団結して、生活させろ・戦争反対!の声を上げる時だ。(編集部)

中小非正規春闘勝利!
  最賃は、数年内に全国一律1500円以上

 中小企業労働者の24春闘が山場に突入した。今夏の地域最低賃金大幅引き上げの闘いも始まった。
 連合が3月15日に発表した春闘の第1回集計によると、定昇込みの賃上げ加重平均は16469円5・28%、賃上げ分(ベースアップ)は11507円3・70%であった。また有期・短時間・派遣の賃上げ時給は7110円6・47%であった。
 日銀は、3月19日の金融政策決定会議で、「異次元の金融緩和」政策を転換しマイナス金利を解除した。物価上昇と賃上げによる経済の好循環がすすんでいるという見方である。しかし、日銀は「デフレ脱却宣言」には慎重である。実質賃金がプラスになること、すなわち賃上げが物価上昇を上回っていると状況が確認されなければならないとしている。
 実質賃金は、毎月勤労統計(従業員5人以上の事業所)の現金給与総額と消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を比較したものである。2023年の実質賃金はマイナス2・5%であり、22年のマイナス1・0%よりもさらに落ち込んでいる。労働組合の組織率は16・9%であり、連合の組織率は11・7%である。要するに、未組織労働者、中小企業労働者、非正規労働者の賃金が大幅に引き上げられなければ、実質賃金はプラスにならないのである。
 アベノミクスは、異次元の金融緩和を行なうことによって市場のマネーを増やし、設備投資を増やし労働者の賃金を上げて2%のインフレ目標を達成するシナリオであった。しかしマネーは設備投資にも賃上げにも回らずに、大企業の内部留保を増やした。賃上げが大企業から中小企業や公務員、非正規労働者に波及することはなかった。それが、コロナからの回復とウクライナ戦争の勃発によって世界的なインフレが発生した。欧米の労働者は、物価上昇を上回る大幅な賃上げを闘った。賃上げの流れに乗らない限り日本経済は国際的に見捨てられる状況になっている。アベノミクスを導入せざるを得なくなった状況をふり返ってみれば、小泉政権の強力な規制緩和政策の実施であり、コスト削減、低賃金政策による国際競争力強化策の結果である。連合のいう「ステージ転換」は、単なるデフレからインフレへの転換であり、アベノミクスの延長線上のスローガンにすぎない。
 本来的な「ステージ転換」は、新自由主義がもたらす貧困と格差・差別の解消であり、日本経済の二重構造、すなわち大企業による中小零細企業の支配体制にメスを入れなければならない。中小企業労働者や非正規労働者の賃上げを価格転嫁できる構造をつくることである。特に生産性の概念が及ばない公共サービス分野の賃上げが重要である。
 日銀の調査によれば、「物価がどれくらい上昇したか」という質問に対する回答は16・1%であるという。生活ベースの物価上昇感覚を表している。このような声を反映できる賃金闘争を本気で闘うことである。全医労は、3月1日にストライキを構えるなか、2月29日に非常勤職員の経験加算を確認し、全職員のベア2・9%8324円で妥結した。非正規春闘実行委員会は、10%以上の賃上げ要求を掲げて15社でストライキを構えて闘っている。
 最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会は、3月18日に院内集会を開いた。同日、「低賃金労働者の意向を反映した最低賃金の改定を求める要請書」を厚生労働省に提出している。今までの審議方式では最賃の引き上げが進まないとして、全国一律1500円以上を早期に実現するため、年2回の改定、消費者物価指数の捉え方を基礎的支出項目にすること、賃上げ調査を従業員30人未満の事業所を対象にすることを止めることなど具体的な審議方法に踏み込んだ要求をしている。(要請骨子を参照)
 このような、非正規労働者の要求を押し出しながら、欧米のように正規・非正規労働者が一体となって春闘を闘う必要がある。(K)

 「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」による、3・18要請書は以下のとおり(骨子のみ)。

低賃金労働者の意向
を反映した最低賃金の
改定を求める要請書


 1、物価上昇を上回る地域別最低賃金の引き上げを行なうこと。
 (1)消費者物価指数の参考基準を低賃金労働者の生活実態に合ったものにすること。生計費については、「持家の帰属家賃を除く総合」指数ではなく、「基礎的支出項目」指数を採用すること。また、労働組合が行なっている生計費調査を参考にすること。
 (2)「類似の労働者の賃金」として、賃金状況調査は、30人未満の中小零細企業を調査対象としていますが、最低賃金の影響率が年々上がる中で、指標として適当なものではなくなっているのではないでしょうか。最低賃金の影響率が1~2%であった時から、現在では、20%になろうとしており、中小零細企業の労働者の賃金引き上げ率を「類似の労働者の賃金」とみなすには無理が出ています。対象事業所を拡大するか、もしくは、賃金中央値や平均値を指標とすることを検討されたい。
 (3)最低賃金の改定を年2回、10月と4月に行なうこと。また、賃金状況調査を6月だけでなく12月にも行なうこと。そのための予算を確保すること。
 2、新たな最低賃金引き上げ目標を早急に決めること。
 岸田首相は、最低賃金について2030年代半ばまでに全国加重平均1500円に引き上げることを新たな目標にすると表明しています。この目標は、あまりにも遅すぎます。
 (1)地域間格差をなくすため、直ちに全国一律最低賃金制度に向けた検討を行ない、すべての都道府県で1500円以上の最低賃金を実現すること。数年以内に実現する道筋を明らかにすること。
 (2)最低賃金の水準は、ILOの基準に基づき、「労働者とその家族の必要」との観点で生活保護との比較を行ない、ひとり親世帯の生活保護基準を上回るものとすること。
 3、最低賃金審議会の審議を低賃金労働者の意向を反映できるものにすること。
 (1)低賃金労働者からの意見聴取を行なうこと。
 (2)中央最低賃金審議会・地方最低賃金審議会のすべての審議を全面公開すること。答申までの審議会の議事録、もしくは議事要旨を答申日から7日以内に公開すること。また、異議審までの議事録を、地域別最低賃金の発効日からおおむね1か月以内に公開すること。また、公労、公使の協議についても議事録を作成・公開すること。
 (3)低賃金労働者の実態を調査せず、意向を聞こうとしない公益委員を罷免し、交代させること。
 4、最低賃金審議会の労働者委員に低賃金労働者の代表を入れること。
                            以上


韓国オプティカルハイテック争議2∼3月闘争に勝利
  損賠攻撃は撃退

 韓国オプティカルハイテック支会(OP労組)の雇用継承を求める闘いでは、2月の組合事務所強制撤去阻止の闘いに続いて、3月には組合事務所「占拠」をめぐる新たな損害賠償請求がかけられてきた(日東電工本社側からの要請と思われる)。
 この報を受けて、「韓国オプティカルハイテック労組を支援する会」は3月18日、緊急本社行動を行なった。第4月曜日の定例行動とは別立てのため当日の参加状況は危ぶまれたが、しかし当日、品川駅港南口早朝情宣と日東電工東京本社への要請抗議行動には、多くの全労協や争議団の組合員、日韓連帯運動、反差別運動などの仲間が多数参加し、定例日と変わらぬ人数で取り組まれた。
 東京本社側は、これまで同様ガードマンだけを入口前に配備し、不誠実な対応に終始した。要請団は、本社側の人間も聞こえるよう、損賠撤回などの要請文を読み上げて引き上げた。
 定例行動日の3月25日には、通常を超える仲間が集まった。当日は定例行動(品川駅港南口情宣、東京本社要請抗議)の後に、日東電工関連会社(販売部門を担当)と代理店への要請行動も行なった。ここでは東京本社とは違い丁寧な対応であった。以前にはメインバンクへの要請行動も行なっている。
 その後、損賠請求(間接強制金申し立て)は不許可となったとの報が入った。組合員自宅等仮差押えの棄却に続き、再び損賠攻撃を退けた。2~3月の決戦的状況は、OP労組と支援側の勝利となったのである。しかし日東電工側の頑な姿勢は、常に組合と支援側(日韓双方)に攻撃の刃を向けている。
 また、争議の政治背景では、4月10日の韓国総選挙に注目しなければならない。総選挙で与党・国民の力を決定的に敗北させ、尹錫悦政権を追い詰めれば、日本の進出企業(日東電工など)の韓国労働者弾圧をはねのける有利な条件を作ることができるだろう。OP労組勝利に向けて、「支援する会」への幅広い結集がさらに望まれる。(東京Ku通信員)


総行動実が岸田訪米反対呼びかけ
  4・9首相官邸前へ

 岸田が4月10日訪米する。前日の9日、「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会」の呼びかけで、岸田訪米反対!首相官邸前行動が行なわれる(午後6時半)。
 反戦実も参加する総行動の呼びかけ文では、日米首脳会談において①米国のウクライナ支援が滞る中で、日本がどのような参戦政策の拡大を図っていくか。②イスラエルによる「ガザ虐殺戦争」に、日米がどのように協力していくか。③太平洋・島サミット(7月上旬・日本開催)や初開催の中央アジア日本首脳会合など、対中包囲網形成についても協議。④在日米軍・自衛隊の増強をはじめとする日米安保の今後が協議される。また⑤経済安保の強化、能動的サイバー防御などサイバー戦、日本版CIAの創設を含む機密情報の収集・共有体制の構築、といったことも話し合われると分析している。
 戦争国家化を加速する岸田訪米に反対し、共同行動に起ち上がろう。(Ku)