闘ってこそ!大幅賃上げも平和も


 1月26日通常国会が開会され、金権腐敗の自民党が化粧直しの答弁を行なったうえで、30日岸田首相が施政方針演説を行なった。
 岸田は、「賃上げと投資が牽引する新しい資本主義」と主張した。これは、没落日本資本主義を立て直すために、労使一体で「企業の稼ぐ力」を強化する一方、中小未組織・非正規労働者を切り捨てて格差拡大をすすめる路線である。そんな路線を労働運動が共有して、今春闘を闘えるわけがない。また外交では、呪文のように「同盟国、同志国との連携」と繰り返した。これは、アメリカ頼みの脆弱日本帝国主義が、憲法違反の戦争する国になることだ。
 戦争は、労働者人民の最大の生活破壊・権利剥奪である。今、日本の労働者は、ボトムアップの大幅賃上げ、東アジアと世界の平和実現のために、今春闘で全力をあげる時である。(編集部)


賃金底上げ24春闘を
   「官製春闘」では格差拡大

 1月22日に「政労使会議」が開かれ、岸田首相は連合や経団連の代表者に対して「昨年を上回る水準の賃上げ」を実現するよう求めた。また、「6月に所得税と住民税の定額減税を行なうので、この夏には、可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態を官民で確実につくる」と述べた。今は賃上げ要求を首相が行なう時代である。労働組合は首相に従って賃上げ要求を経営者に提出し、話し合う(とても交渉といえるものではない)。これこそ「官製春闘」である。
 連合の今年の賃上げ要求は「5%以上」。その内訳は賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含めてのことである。中小労組は格差是正分を含めて15000円以上としている。経団連は、経営労働政策特別委報告で「大企業は4%以上の賃上げを」と求めている。賃金と物価の好循環によるデフレ脱却というシナリオは、政労使とも一致しているのである。
 23春闘をふり返ってみよう。連合は春闘課題として、物価対策とステージの転換の二つをあげていた。昨年の連合の賃上げは10560円、3・58%であり、中小企業は8021円、3・23%であった。三十年ぶりに3%を超える賃上げであり、「未来につながる転換点」となり得ると総括している。しかし、実質賃金は20カ月連続してマイナスであり、昨年11月の実質賃金は前年同月比3・0%の減少である。物価対策としては敗北である。
 なぜ、そうなるのか、大企業労働者の賃金が上がっても、中小企業労働者の賃金がさほど上がっていないことである。連合が発表する賃上げ率は、定期昇給を含んだ率であるから、実際の賃上げ率(ベースアップ分)は2・12%であり、中小企業は1・96%であった。23年の年平均の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が3・1%、実質賃金の計算につかう持家の帰属家賃を除く総合は3・8%である。これとベースアップ分2・12%を比較すれば、実質賃金が低下していることが分かる。地域別最低賃金が4・5%上がっても、実質賃金の低下を転換することができなかったのである。
 連合の名目賃金重視の賃上げ要求は誤りである。民間大企業の賃上げが、中小企業にそして公務員や非正規労働者に波及するというトリクルダウンは、今や通用しない。中小企業の賃上げの如何は「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分」ということになるのだろうが、産業別労働運動の視点を持たない連合では、「取引の適正化」(賃上げ分の価格転嫁)という商取引に頼らざるを得ないのだろう。連合の言う「人への投資」とは「資本は生産性を上げる労働力商品に投資せよ」ということであり、生産性の低い中小企業や公共サービスを淘汰せよということである。労働者に対する格差・差別を助長するものに他ならない。
 では、24春闘をどう闘えば良いのか。最低賃金を引上げることである。
 地域別最低賃金の引き上げ目標について、岸田は昨秋、「2030年代半ばまでに全国加重平均1500円に」と言った。連合の芳野会長は、今後2年程度はすべての都道府県で1000円以上を目指し、そのご「2035年に賃金中央値の60%を目指す」としている。連合によれば、現在の全国平均1004円は中央値47・8%なので、60%水準は1286円である。35年まで2%程度の賃上げが続けば60%水準は1630円になるという。物価高に苦しむ低所得者にしてみれば、気が遠くなる話である。
 連合は、昨年の目安全員協議会の「春闘後、三要素重視」を受け入れている。目安制度が発足するときに中央最低賃金審議会は「地域別最低賃金の引上げ率は消費者物価上昇率を下回らないようにする必要がある」と申し合わせている。消費者物価上昇率を持家の帰属家賃を除く総合で見ていく今の審議では、低所得者の生活実感に合っていないのである。たとえば、よく買う品目で見れば物価上昇は8%程度になる。労働者側委員が今の審議のやり方を容認していることが問題である。労働側委員を最賃近傍で働く労働者の代表にすべきである。
 最賃闘争は、企業内最賃、職種別最賃などの職場での闘いも必要である。連合は企業内最賃1200円を要求しているが、本気で闘っているのだろうか。企業内最賃は、雇用主が異なっていてもその企業内で働く人すべてに適用するものでなければならない。結果的に地域別最賃と同じ水準になるはずである。闘いは当事者が決起しなければ闘いにならない。最賃近傍で働く労働者が団結して、闘いを組織していくことが必要である。
 岸田は1月19日、医療・介護・障がい福祉サービスの関係団体のトップを首相官邸に招き、「報酬改定に見合う賃上げの実現」を直接要請した。介護報酬の賃上げ分は24年度2・5%、25年度2・0%である。これでは物価上昇に追いつかない。報酬は事業主に入る。労働者の手に載る賃上げになるかは労働者の闘い次第である。企業横断の職種別最賃を要求して、職種別共闘をつくることが必要である。
 公務員の賃金体系も見直される。定年延長に伴い、上に薄く下に厚い賃上げになるだろう。ほぼ最賃割れ状態の初任給の大幅引き上げは当然だが、物価上昇を下回らない賃金カーブをつくる必要がある。高齢者は賃金が低くても良いという考え方を打破しなければならない。
 賃上げ闘争の課題は多い。その闘争方法では、ストライキ権の行使を、当たり前のこととして復活していく必要もある。スト権行使を構えて要求を実現しよう。職場討議を活性化して、その春闘要求をつくりあげていこう。(K)


第54回釜ヶ崎越冬闘争12・28〜1・4貫徹
  一人の餓死・凍死者も出すな 

 昨年12月28日の突入集会から本年1月4日朝の野営闘争本部の撤収まで、三角公園を拠点として闘い抜かれた第54回釜ヶ崎越冬闘争は、その越年期の闘いを勝利の内に終了することができた。その実行委員会には、釜ヶ崎日雇労働組合をはじめ、日頃釜ヶ崎労働者に責任を持って活動している団体・個人が集まり、「仲間内の団結で一人の餓死・凍死者も出すな!」を合言葉に団結してやり切った。
 突入集会では、三角公園のステージに「イスラエルはパレスチナ人民虐殺ヤメロ!」のスローガンが掲げられ、この越冬闘争がパレスチナ人民との連帯、戦争に反対する旗の下にあることが明らかにされた。集会は、大阪・関西において反原発闘争、辺野古新基地建設阻止、日本軍慰安婦問題、狭山再審を闘う仲間たち等多くの人々が集まり、たき火で暖を取り、握り飯で腹を満たし、大成功で終了した。
 医療パトロールは、28日の夜から3日まで、『日刊えっとう』、カイロ、弁当などを手に、地域内で野宿を強いられている仲間(50名前後)に声をかけ、激励するとともに、「臨泊」の利用を呼びかける。
 「臨泊」とは、大阪市が実施する唯一の越年対策で、三度のメシと寝床を行政が用意したもの。永らく南港のプレハブで近大の体育会系学生をガードマンにして行なわれていたが、年齢制限があり、また入所日を過ぎたら一切対応しないというものであった。それでも「野宿をするよりマシ」として、かっては数千の仲間が利用せざるを得なかった。
 現在は、長い闘いの中で釜ヶ崎地区内での「臨泊」が実現し、年齢制限も撤廃させ、入所日に遅れても受け入れさせている。また、「臨泊」の管理運営の一部をNPO釜ヶ崎が行なうことで、仕事づくりにも役立っている。
 人民パトロールは、30日の釜地域内を皮切りに、釜ヶ崎への封じ込めを許さず、31日に難波および梅田、2日に天王寺、3日に日本橋と各所でこれまで虐殺された野宿の仲間を「慰霊」しつつ、パトロールをやり抜いた。
 連日、三角公園では炊き出し。利用者は毎年増え続け、650人を超えている。
 4日の朝をもって、実行委としての取り組みは終了したが、冬の寒さはこれから。各団体・個人は連携して、炊き出し・夜廻りを続けている。仲間の生命を守る、さらに「働いてメシの食えるしくみ」作りへと、闘いは続いていく。(釜ヶ崎S)

1・3釜歩きツアー

 第54回釜ヶ崎越冬闘争期間のさなか、釜ヶ崎講座は「12・31連帯行動」と「新年恒例釜ヶ崎歩きツアー」を貫徹した。
 両日のべ18名の参加を得て、年末は難波戎橋に出向き、野宿を強いられた仲間を守る闘いに参加するとともに、新春3日は釜ヶ崎の新たな動きを歩いて感知することができた。
 今ツアーでは、若者・外国人生活層の新たな釜への流入をふまえた住民のための新センターの機能確立、これをメインテーマとしながらも、自治・共生・協働で安心して生活していける仕組みが新たに求められることを感じた。
 本年もこれら諸課題の前進のために、釜ヶ崎講座は奮闘していきたい。(講座会員I)


オプティカルハイテック労組、
       高空籠城闘争突入

  日本で1・25「支援する会」結成さる

 韓国オプティカル・ハイテック争議が、本年に入り急展開を見せている。
 会社側、行政(クミ市)、司法が一体となった会社清算の組合攻撃に対して1月8日、金属労組慶北支部韓国オプティカル・ハイテック支会(OP組合)の首席副支会長パク・チョンへさんと組織2部長ソ・ヒョンスクさんが、工場屋上での高空籠城闘争に突入した。この事態を受けて韓国金属労組は、全面的な支援態勢をしいている。
 この緊急事態に対応して日本においても同日8日、親会社である日東電工東京本社のある品川で、「支援する会」準備会の労組・個人が、早朝駅頭情宣と東京本社への要請抗議行動を行なった。
 折しも昨年12月OP労組の東京第二次遠征団闘争を受けて、東京本社行動が第4月曜日に設定されたことも踏まえて、「支援する会」の結成が待たれる状況となっていた。そして1月25日、東京・文京区民センターにおいて、「韓国オプティカルハイテック労組を支援する会」結成集会が開催された。
 集会は、東京全労協の中原純子さんの司会で開始、全労協事務局長の関口広行さんが経過報告。主催者挨拶は、「支援する会」共同代表に就任した全労協議長の渡邉洋さん。それぞれ「日韓連帯の声をあげよう!」「日系企業の攻撃に国際連帯で闘う!」と力強く語った。OP労組へのカンパ要請の後、OP労組の闘いを示すビデオ上映が行なわれた。
 連帯の挨拶はJAL労組の山口委員長、東京ふじせ企画労組の國分委員長、また大阪から大阪労働弁護団の谷弁護士。それぞれが抱える労働争議を軸に、日韓労働者連帯の重要性・必要性が語られた。
 ビデオ上映が再び行なわれ、新たに就任した韓国金属労組委員長の挨拶に続き、OP労組11名が一人一人自己紹介する内容であった。集会参加者と当該組合員との距離をなくすのに大変効果があった。
 まとめと団結ガンバローを鳥井一平事務局長が行ない、「支援する会」結成を全員で確認した。なお、「支援する会」の共同代表に大阪ユニオンネットの西山さんが加わったことにより、大阪、東京で連動した日東電工本社闘争が期待される。(東京Ku通信員)