成田空港
 横堀農業研修センター破壊・第3滑走路建設反対!
  許すな!新たな土地強奪


●12・3共有会総会

 三里塚で一坪共有地の登記を、共有運動の会に集約して闘いを進めている「一般社団法人三里塚大地共有運動の会」は23年12月3日、現地千葉県芝山町の横堀農業研修センターにおいて第6回総会を開催した。参加は出席、委任、書面議決などで50名。
 総会は、山口幸夫代表理事による開会宣言および議長で議事が進められた。柳川秀夫さん(三里塚芝山連合空港反対同盟代表世話人)のあいさつに続いて、理事の大森武徳さんから1号2号議案提案と、事務局の繁山達郎さんから補足説明があり、さらに、中川憲一監事の監査報告に続いて、4号5号議案報告、補足説明が行なわれた。
 質疑では、横堀農業研修センター裁判に向けての清井礼司弁護士からのメッセージ、また、9・18の原発・気候集会(東京代々木公園)で取り組んだ会の宣伝活動について継続すべきという提案などがあった。そして平野靖識さん、柳川さんから、空港会社の第3滑走路予定地の買収の動きについて報告を受けた後、総会議案が反対なしで可決・承認された。
 終了後、12人で加瀬勉さん宅(多古町牛尾)を訪問し、第3滑走路の騒音立退き区域となり、一部で移転が始まった地元の現状について、お話しを聞いた。
 共有運動の会は、会への登記移転を確実に進めて闘いの陣形を強化している。
 
1・7旗開き&デモ

 明けて1月7日、2024反対同盟旗開き&東峰現地行動が行なわれた。横堀農業研修センターに43人が結集。昨年7月のフィールドワークに参加した若い人たちの初参加も見られた。豚汁が4年ぶりに復活。
 旗開きは、柳川秀夫さんのあいさつで始まった。柳川さんは、「58年前、大事なものを守ろうと、古村も開拓部落も立ち上がった。農村は封建的だったが、家族が暮らし続けるという大事なものが壊されようとしているのに対して、立ち上がった。いまは村落共同体が崩壊し、価値観が壊された。見えなくなった守るものを、もう一回作り直していくことが大きな課題だ。横堀農業研修センターを奪うための裁判が始まる。いま環境が生存を脅かし、作物に影響する時代。滑走路を大きくし、空港を巨大化するという考え方は絶対受け入れられない。これからも皆さんと一緒に闘っていきたい」と発言した。
 続いて大森武徳さん(東峰・らっきょう工場/三里塚大地共有運動の会)が発言。大森さんは、「木の根のイベントに来る人に三里塚の歴史を説明すると、補修に協力するという声が上がる。壁画作りも考えている。40~50年前、私の両親も支援として三里塚に駆けつけた。当時20~30代の活動家が、子どものために『子ども共和国』などを一生懸命やってくれた。私たちが横堀、木の根の補修に取り組むことが縦につながり、10、20年後に子どもの世代が土地を守ってくれることにつながれば、と取り組んでいる」と述べた。
 加瀬勉さん、平野靖識さん(三里塚歴史考証室/東峰らっきょう工場)のメッセージが紹介され、続いて、連帯アピールが渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会、三里塚相談会)、中川憲一さん(管制塔被告団/横堀農業研修センター裁判を支える会)、野島美香さん(同支える会)から行なわれた。
 繁山達郎事務局長(三里塚大地共有運動の会)は、「所有者不明土地対策を口実に共有地を奪う『登記義務化法』において、2024年相続登記義務化、26年住所・氏名変更登記義務化が施行される。共有地を守り抜くための登記変更、カンパへの協力を引き続き呼びかけます」とアピールした。
 最後に芝崎真吾さん(連帯社)の団結ガンバローで、闘うスクラムを打ち固めた。
 旗開き終了後、1・7東峰現地行動(主催・三里塚空港に反対する連絡会 共催・三里塚大地共有運動の会)が旧東峰共同出荷場跡で、、「第3滑走路建設反対!横堀農業研修センター破壊を許さない!」のスローガンを掲げて取り組まれた。開拓道路までデモ行進し、成田空港滑走路に向けて抗議のシュプレヒコールを響かせた。
 成田国際空港会社は昨年8月2日、横堀農業研修センターの建物を撤去し、土地を強奪するために三里塚反対同盟と共有者を千葉地裁に提訴した。反対同盟は、この不当な攻撃に対して「横堀農業研修センターの裁判による破壊・土地強奪を許すな!成田第3滑走路反対!」のスローガンを掲げ、裁判闘争を闘いぬく決意を明らかにしている。
 また、柳川秀夫さん、鎌田慧さんらの呼びかけで「横堀農業研修センター(旧労農合宿所)裁判を支える会」を立ち上げ、裁判カンパ、賛同人などの取り組みを行なっている。

1・28関西旗開き

 1月28日には尼崎市で、関西三里塚旗開き・共有運動報告会が開かれた。主催は関西三里塚闘争に連帯する会と関西三里塚相談会で25名が参加した。
 冒頭、三里塚闘争に縁が深かった杉本昭典、菊永望、小山広明、中北龍太郎(12月8日逝去)各氏への追悼を行なった。開会挨拶の後、7日の反対同盟旗開きでの柳川さんの発言をビデオで拝聴した。共同代表の渡邉充春さんが、この一年間の現地の動向と関西での取り組み、共有運動の状況を報告した。さらに、昨年8月提訴の横堀農業研修センター強奪攻撃の裁判について、訴状ならびに反対同盟側の答弁書の解説も行なわれ、裁判に対する取り組みを確認し、共有運動の関西での取り組み強化についても討論が行なわれた。
 関西の諸団体、泉州沖に空港を造らせない住民連絡会、南西諸島の自衛隊配備に反対する大阪の会からアピールを受けて終了した。
 1月29日には、横堀裁判の第1回口頭弁論が千葉地裁で行なわれた。裁判の傍聴には45名が駆け付けた(詳細は次号)。(S)


福岡空港・博多港
 戦争想定の「特定重要拠点」
 

 岸田政権は中国、ロシア、朝鮮との戦争を想定し、自衛隊が自由に利用できる特定重要拠点空港・港湾の整備を進めようとしている。これは2022年12月に策定された「国家安全保障戦略」にある空港や港湾といった公共インフラの整備の一つであり、次のように記されている。
 「防衛力の抜本的強化を補完し、それと不可分一体のものとして、研究開発、公共インフラ整備、サイバー安全保障、我が国及び同志国の抑止力の向上等のための国際協力の四つの分野における取組を関係省庁の枠組みの下で推進し、総合的な防衛体制を強化する。これに加え、地方公共団体を含む政府内外の組織との連携を進め、国全体の防衛体制を強化する」。
 当面の対象となる空港・港湾は、北海道や沖縄など9道県の32ヶ所である。その内訳は北海道、福井、香川、高知、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄の9道県の計13空港と19港湾。南西諸島での戦争を想定して西日本が大半を占め、次は自衛隊が多く配置されている北海道である。最多の沖縄は与那国、宮古、久米島など7空港と、石垣、那覇など5港湾の計12施設。北海道は釧路空港と、留萌、室蘭など5港湾。福井の敦賀港は、周辺に原発が多く立地するためとみられる。
 福岡市では昨年の10月10日に、内閣官房、防衛省、国土交通省が市役所を訪問。博多港が特定重要拠点港湾に選定されれば岸壁や航路などの整備事業の促進が見込まれ、平時における自衛隊、海上保安庁の船舶が円滑に利用できる枠組みを設けると説明。つまりは、戦争時はもとより平時でも自衛隊が自由に利用できる港湾にすれば、岸壁や航路などの整備事業に国家予算をさらに投入するというアメとムチの政策である。
 このことを市議会では日本共産党の議員が、「特定重要拠点港湾になれば、軍事利用のため戦争相手国の標的になる」と追及。市民運動では福岡県総がかり実行委員会が今年の1月17日、高島宗一郎市長に対し、「福岡空港及び博多港の軍事利用させないことを求める申し入れ」を行なった。
 福岡空港は、以前は米軍が板付基地として優先的に使用していたが、1968年6月にファントム機が九大キャンパスに墜落。大学当局はもとより学生、市民など多くの人々が、米軍基地撤去運動に決起。米軍は反米闘争が広がるのを恐れて、板付基地の機能を沖縄をはじめ他の米軍基地に移動させることで運動の鎮静化を図った経緯がある。
 しかし日米地位協定では今でも福岡空港に米軍専用区域が残っており、滑走路は日米共同使用区域のため、米軍が「使用する」と通告すればいつでも使用できるようになっている。
 よって、福岡市では超党派で板付基地返還促進協議会が結成され、米国に対し福岡空港の全面返還を今日まで求めてきている。今回、福岡県総がかり実行委としては、博多港の軍事利用化反対だけでなく、福岡空港(板付基地)についても全面返還を求め、軍事利用化反対を申し入れたものである。
 板付基地・博多港はかつて、朝鮮戦争での直近の出撃基地となった。昨年来、朝鮮半島の緊張が激化しているが、これらが再び戦争基地となっては断じてならない。
 なお、福岡空港(板付飛行場)は、昨年の12月11日に重要土地利用規制法の注視区域に指定され、土地や建物に規制をかけるという国による住民監視が始まっている。
 博多港が特定重要拠点港湾となり、自衛隊が常時利用できるようになると、博多港とその周囲も同法の注視区域に指定され、港湾関係者や付近住民への監視が行われる可能性があり、そのことも福岡県総がかり実行委は、市への申し入れの中で指摘している。(九州M通信員)


1・21東海村議選、再稼働反対派を維持
  能登地震は重大警告

 東海第二原発の再稼働の是非等を争点とした茨城県東海村の村議選は、1月21日投開票され、新村議が確定した。
 再稼働反対の候補では、トップ当選の村上志保さんを含め4名が当選し、前議会と同数を維持した。しかし1名落選で反対派の拡大とは成らなかった。
 他方、再稼働推進派は、9名で構成する最大会派「新政とうかい」が8名当選。さらに初当選した5名の内3名が、安全確保を前提に再稼働容認との立場であり、結局、推進・容認派が少なくとも11名で過半数を維持する結果になった。
 当日有権者数は3万1374人。投票率は50・4%で、前回を数%下回る過去最低となった。なお、茨城大学の渋谷敦司教授による周辺4市村・住民意識調査(2018年)によると、日立市、那珂市、ひたちなか市に比較して、原発利用賛成が反対を上回っているのは唯一東海村だけ。原子力マネーの影響である。
 山田修村長は今や再稼働推進の先頭に立っているが、今後、住民の意向をどう確認するのか、また避難計画に実効性はあるのか、など課題は多岐にわたっている。住民意思については、再稼働をめぐる住民投票などが実施されたことはない。
 昨年12月27日、村長はこれをやらなければ年を越せないとばかりに、村防災会議を開催して広域避難計画を発表した。その内容は、素案(本紙前号参照)と同様で、住民避難手段の確保、要支援者の個別避難計画などが未確定のまま。
 元旦に起きた能登半島地震では、家屋倒壊、道路寸断、通信途絶、津波襲来によって、原発過酷事故時の住民避難の困難性が改めて示された。震源が志賀原発直下であったら、また原発稼働中であったら、大惨事となった可能性が高い。
 脱原発弁護団全国連絡会は1月23日、「能登半島地震を受け、全国の原発の即時停止を求める」要望書を経産省に提出し、記者会見を開いた。「家屋倒壊死か放射能被害死か、究極の選択を迫られる」として、政府の原発事故避難指針の見直しを求め、その間の原発停止を求めた。現行指針では、原発5㎞以内がまず逃げる、5~30㎞は当面屋内退避となっている。
 東海村の広域避難計画は、複合災害を全く想定せず、第二次避難についても想定していない。誰一人取り残さない避難計画の策定は不可能であり、超危険な老朽原発の廃炉こそが求められている。
 東海第二の再稼働は、今秋あるいは工事の進捗では来年になることも予想される。再稼働の是非について住民の意向をいかに確認するのか、これが重要となるだろう。村議選や村長選で、その答えが出ているわけではない。地元住民と連携し、県内・首都圏の闘争を拡大して、再稼働を阻止しよう。(O)