代執行・大浦湾埋立着工の乱暴・粗雑
  無関心そのうち戦争!

 岸田政権は、辺野古代執行裁判で国の主張を認める福岡高裁那覇支部の12月20日判決を得るやいなや、同28日には斉藤国土交通相が工事変更承認の代執行を強行した。前日27日、沖縄県はこの高裁判決を認めず最高裁に上告したが、岸田政権はその最高裁判断を待つでもなく、また沖縄県と一切の協議をすることもなく、法定受諾事務の代執行という史上初の強権発動に踏み切ったのである。
 そして岸田政権・沖縄防衛局は1月10日、大浦湾埋立て工事に着工した。当初12日着工としていたが、現地や東京での反対行動を懸念したのか、だまし討ち的に10日に前倒しで強行した。着工開始と言っても、大浦湾只中の作業ヤード予定地とされる地点に、石材を放り投げただけの印象操作的な作業であった。しかし実は、代執行判決が出る以前から、大浦湾工事の受注契約や土砂仮置き等の違法な変更工事をすでに開始しているのだから、極めて悪質である。
 岸田政権は何ら沖縄県と協議することなく、電話一本で着工を通告するのみであった。工事の変更などについて事前協議を行なうことは、事の始めの13年仲井真知事埋立て承認において留意事項となっている。この工事開始の前提に、国は違反している。
 この日、玉城知事はコメントを発表し、大浦湾埋立て着工について「丁寧な説明という言葉とは真逆の極めて乱暴で粗雑な対応」と厳しく批判した。
 1月12日、辺野古シュワブ基地ゲート前では、大浦湾埋立て工事着工に抗議する県民集会が「オール沖縄」主催で開かれ、平日の午前中であるが約900人が結集した。オール沖縄の稲嶺進共同代表が、決して諦めない闘いの継続を表明し、玉城知事もメッセージを寄せた。石材投入の海域では、抗議船・カヌー隊が海上行動を闘った。
 同日、東京・首相官邸前では、「代執行による大浦湾埋立て着工を許さない!1・12終日行動」が朝から行なわれた。辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会の主催で、昼・夜の官邸前集会などに延べ600人が結集した。
 1月6日には、国際声明「米国と日本は沖縄の軍事植民地支配をやめよ」が発表されていた。映画監督オリバー・ストーン、平和運動家マイレッド・マグワイアなど4百名以上が連名し、代執行と大浦湾埋立て反対を米日両政府・両国市民に訴えている。十年前にも辺野古新基地反対の国際声明がなされている。
 この国際声明は、米日の市民の無関心も批判している。これに関連するが、今回の大浦湾埋立て着工では、2018年の辺野古側埋立て着工時と比べて、「本土」マスコミの報道が極めて小さい。
 18年12月14日の土砂投入開始直後の朝日新聞世論調査では、土砂投入に「反対」60%、「賛成」28%であった(今回は1月の朝日世論調査では、代執行・埋立てについての質問項目自体が立てられていない)。当時は、自公政権の沖縄対応批判へ、世論の変化が生じていた。この傾向はしばらく続いたが、その後3回の衆参選挙で結局、我々はこの変化をうまく活かせなかった。
 今後、沖縄では不屈に、代執行・埋立てとの闘争戦術が練られていくだろう。日本の我々には、マスコミの黙殺的状況を許さず、我々の問題として辺野古NO!戦場化NO!を広げていくことが問われている。(A)


改憲阻止か戦争突入か、年初の「19の日」行動
 裏金・自民党は解散せよ

 改憲阻止か戦争への道か、時代を画する年2024年を迎え、今年最初の「19の日」行動が各地で闘われた。
 岸田政権は、元旦に発生した能登半島大地震の被災者救援に全力をあげることもなく初動遅れは明らか、他方では自民党派閥の政治資金パーティ裏金事件に対処する素振りを演出しながら、全力で自民党の腐敗を隠蔽し、改憲・軍拡に突き進もうとしている。
 1月4日の年頭会見で岸田は、「総裁任期中に改正を実現したい思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力したい。今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」と発言した。26日からの通常国会で、改憲条文案作成のための起草機関を設置させてはならない。
 さて「19の日」行動は、東京では、「金権腐敗の自民党政治糾弾!パレスチナに平和を!軍拡増税反対!辺野古強制代執行高裁判決糾弾!殺傷武器輸出やめろ!改憲発議反対!1・19国会議員会館前行動」として行なわれ、国会前に800名の労働者市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、改憲NO!全国市民アクション。
 行動は、戦争をさせない千人委員会の谷雅志さんの主催者挨拶で開始。「ガザでは、イスラエルによるジェノサイドが繰り返され、多くの女性や子どもが殺されている。即時停戦こそ必要だ。平和憲法は、平和のうちに生存する権利をうたっている。憲法理念の実現にこそ力を尽くすべきだ」と呼びかけた。
 立憲民主党の鈴木庸介衆院議員(東京比例)が、「岸田首相は裏金事件解明をあいまいにして、派閥解消論にすり替えている。派閥を改善しても、また同様の仕組みを作る。こんな政治がまかり通ってきた。金権腐敗の自民党政治を変えよう」と訴えた。
 社民党の服部良一幹事長は、辺野古代執行と沖縄ミサイル基地化を糾弾しつつ、「日本全土を軍事化する動きを我々の力で止めていこう。今からが正念場!」と訴えた。他に、日本共産党の山添拓、沖縄の風の伊波洋一(メッセージ)両参院議員も発言。
 市民の発言では、オール沖縄会議の福元勇司事務局長が電話アピール。「普天間の危険除去が喫緊の公益と言うならば、辺野古新基地建設とは無関係に普天間基地の閉鎖を米軍と交渉するよう指摘するのが裁判所の役割」、「1月10日の大浦湾土砂投入は、住民自治を奪う暴挙、代執行ありきの司法判断に正義はない!」と強く批判した。
 NPO法人医療制度研究会の本田宏副理事長は、「東京都は医療ケアを減らそうとし、22年3月には都立病院廃止条例を可決した。全国的にも公立病院が減少傾向にある。しかし現状は報道されていない。現状を知らせる映画を製作し、上映運動を進めている」と報告した。
 最後に、総がかり実の高田健共同代表が、「19の日行動は、3月には100回めを迎える。」「今年は総選挙がある。市民と野党が結束して3分の1で改憲阻止、それ以上取って自公政権を倒そう!」と呼びかけつつ、以下行動提起。
 1月22日、総がかり新宿東南口街宣。
 25日、イスラエルは虐殺やめろ!新宿アルタ前アクション。
 26日、有楽町ウィメンズアクション。
 26日、国会開会日行動。
 31日、裏金づくりの自民党政治退場!市民集会、四谷区民ホール。
 2月18日、金権政治終わらせよう!新宿歩行者天国、午後2時、市民連合主催。
 19日、第99回「19の日」行動、議員会館前・午後6時半。
 金権自民党への怒りは、検察のガス抜き捜査や派閥解散で誤魔化すことはできない。裏金問題は政治資金規正法違反だが、キックバックされた裏金を何に使ったかが問題だ。使途不記載で選挙対策に使えばほぼ買収、公職選挙法違反の重罪だ。金権腐敗の自民党を国会から追放せよ。(東京O通信員)