辺野古「代執行」裁判、高裁12・20不当判決
 沖縄の公益は埋立「不承認」

 12月20日、国が辺野古工事変更承認の代執行ができるよう10月5日に提訴していた裁判で、福岡高裁那覇支部は国の主張を認める不当判決を出した。また判決は、12月25日までに玉城デニー沖縄県知事が変更申請を承認することを求め、それ以降は国が知事に代わって代執行をすることができるとしている。
 判決当日、「オール沖縄」会議の抗議に連動し、東京では辺野古国会包囲実行委と総がかり行動実などが、緊急抗議行動(沖縄の民意と地方自治を踏みにじる代執行を許さない!12・20首相官邸前行動)を250名で闘った。
 年明け以降、代執行による辺野古・大浦湾埋め立て工事の本格開始を断じて許さず、また、欠陥機オスプレイの撤去を求めて、沖縄民衆は「県民大会」開催に向っていくであろう。「本土」の我々はこれに呼応し、断末魔・岸田政権の打倒、戦争準備阻止の闘いと結びつけて、辺野古新基地建設反対!を再強化していく必要がある。
 裁判敗訴で詰め、なのではない。普天間「県内移設」日米合意から28年、「辺野古が唯一」との自公政権の呪文がまさに崩壊しつつあるのが、実際の現況だ。
 
 ▼地方自治も破壊
 
 代執行裁判の判決は、辺野古国関与訴訟(沖縄県が、その不承認処分を国が不当関与して取消したことの是正を求めた裁判)の9月4日最高裁不当判決によって想定されていたものではあった。しかし「代執行」是認の判決は、沖縄民意をじゅうりんする辺野古新基地建設強行の不当性を改めて暴露するとともに、憲法原則の一つである地方自治を破壊するものともなっている。
 この裁判で玉城知事は、10月30日の意見陳述で、「国は外交交渉を行なわず、県外移設の選択肢を政治的理由から排除してきた。」「何が県民にとっての公益であるかの判断は、国が押しつけるものではなく、県民が示す明確な民意こそが公益とされなければならない」と真の争点を提起していた。
 しかし判決は、「法律論としては、公益とは法定受託事務の法令違反を放置することによって害される公益を念頭に置いたものだ」とし、つまり知事が最高裁判決を放置するのは法治主義という公益を著しく損なう、と主張して論点をはぐらかした。しかし、日本国憲法の下で「法の支配」を語るならば、戦争放棄・基本的人権・地方自治などの憲法原則に政府の施策が沿っているかどうかを判断することでなければならない。確定判決にただ従えでは、何も言っていないに等しい。
 三浦裁判長はまた、「今後十数年にわたって予定される工事では、さらなる設計変更などの必要が生ずる可能性もある。その都度繰り返し訴訟による解決が図られることは国と地方との関係をみた場合、必ずしも相当とは言いがたい。県民の心情に寄り添った政策実現が求められる。国と県とが対話を重ねることで抜本的解決が図られることが強く望まれる」との付言を、言い訳的に付けている。最近、主文が形式論に終始し、付言が主文のような判例が見うけられる。この付言を文字どおりに受け取れば、争点の「代執行以外の方法で是正することの可否」は、可能と言うほかはない。
 また、この判決は、改正地方自治法の2000年施行以来、初めての代執行強権発動の是認であり、確定判決とさせてはならない。旧地方自治法の時代には、96年に橋本首相が代理署名(沖縄反戦地主の土地調書について大田知事が代理署名を拒否したため、首相が代執行)を強行したことがある。その後、国と自治体を対等とするため、機関委任事務を法定受託事務に変えたのが改正地方自治法である。
 今回の代執行是認判決は、地方自治そのものへの反動である。全国の自治体から抗議の声を上げよう。(A)


欠陥機オスプレイ、11・29墜落事故で全停止
 飛行再開阻止・全面撤去へ

 米空軍横田基地のオスプレイCV22が11月29日、嘉手納基地へ向かう途中の屋久島沖で墜落し、乗員8名全員の死亡事故となった。緊張の一週間後、ようやく米軍は全オスプレイを止めたが、新年筆頭の課題はオスプレイ飛行再開の阻止である。
 米軍は当初、空軍のCV22のみを飛行停止とし、普天間基地の海兵隊オスプレイMV22および海軍のものは構わずとして飛行を続け、屋久島での捜索にも飛ばしていた。
 しかし米軍は12月6日、オスプレイ全機種の運用を世界的に一時停止すると発表せざるを得なくなった。今回の事故が操縦ミスではなく、機体の不具合の可能性があるとし、事故原因調査が続くあいだは飛行停止とした。かねてから指摘されていた欠陥機オスプレイの実態を、半ば認めたに等しい異例の発表である。オスプレイは世界で、米本土、在日米軍、日本の陸上自衛隊のみに配備されており、これら約5百機全部の運用が問われることとなった。
 日本政府は当初、「墜落」を「不時着水」などと言い換え、また木原稔防衛相は事故翌日の国会で、安全が確認されてから飛行するよう米側に要請したと答弁した。しかし米国防総省の報道官は12月1日、「日本政府から公式の飛行停止要請を受けていない」として、6日までオスプレイを飛ばし続けた。岸田政権は結局、飛行停止要請をしないままだった。国民の命を心配するよりも、在日米軍と自衛隊のオスプレイ運用に支障が出ることを恐れたのである。
 事故後、沖縄・日本各地で、オスプレイ飛行停止・撤去を求める抗議が続いた。
 12月4日、普天間のオスプレイが平然と飛び交うなか、「オール沖縄」会議など数百名が嘉手納町の防衛省沖縄防衛局前で、「飛ばすな!欠陥機オスプレイ」の横断幕を掲げ、オスプレイ配備撤回を求めた。7日には沖縄県議会、宜野湾市議会、名護市議会で、全てのオスプレイ飛行停止を日米両政府に求める意見書が全会一致で採択された。
 これに先立つ同1日、墜落機所属の横田基地地元で緊急行動が行なわれた。横田基地公害訴訟原告団など6団体による「オスプレイ横田配備反対連絡会」が横田基地ゲート前で、また防衛省横田事務所に対し、日・米オスプレイの即時停止を求めた。
 同4日、辺野古への基地建設を許さない実行委が、防衛省前行動(毎月第一月曜)で抗議した。伊波洋一参院議員が木原防衛相を厳しく批判した。
 佐賀市では同4日、佐賀空港隣接の陸自オスプレイ基地建設に反対する「オスプレイ反対市民の会」、および「オスプレイ裁判支援市民の会」(基地予定地の地権者が工事差止仮処分を提訴)が、防衛省や佐賀県に要請行動。9日には佐賀市内で、「STOPWAR!NOオスプレイ!12・9県民集会」が220名結集でもたれた。
 その佐賀への配備までの暫定配備とされて14機がすでに配備され、また日米のオスプレイ整備拠点ともされているのが、千葉県の陸自・木更津駐屯地である。また、神奈川県の米海軍厚木基地では、第七艦隊のオスプレイが飛び続けていた。これらの地元でも緊急の飛行停止要請行動が行なわれた。
 米国防総省は事故後、オスプレイの調達終了、26年に生産ライン閉鎖と発表した。最初からオスプレイに批判的であった米陸軍は、別機種のV280というのを開発中である。欠陥機オスプレイは、米国と日本だけ(あと3機を調達して17機とする予定)の保有をもって終わりつつある。
 オスプレイは終わりだ。オスプレイ移駐のための辺野古新基地建設も終わりだ。(W)


ガザ大虐殺2万人超、即時停戦・パレスティナ連帯!
 世界で孤立するイスラエル・米帝

 イスラエルのネタニヤフ極右政権はここ2カ月余、即時停戦などを求める全世界の世論を無視して、ガザ地上侵攻・爆撃を拡大し続け、今や虐殺犠牲者は2万人を超えてしまった。
 イスラエルはパレスチナ抵抗勢力に軍事的には優っているが、しかし、シオニスト植民地主義の野蛮な本性(ガザおよび東エルサレムを含むヨルダン川西岸の自治区の消滅、パレスチナ人の追放)を暴露し、世界から孤立して、すでに政治的には敗北している。
 グテーレス国連事務総長は12月6日、国連憲章99条に基づいて安保理に停戦措置を促がす書簡を送ったが、8日の安保理では米国がまたもや拒否権を行使して、即時停戦等の決議案を葬った。これに対し12日の国連総会では、同趣旨の決議案が153ヵ国の賛成で採択された。反対はイスラエルや米国など10ヵ国に過ぎず、前回比でさらに孤立を深めている。日本政府は前回10・27決議では棄権したが、今回は賛成に回った。
 パレスチナ人民の自決権などを求める闘いを滅ぼすことはできず、逆にその支持は世界に広がり、ネタニヤフ政権は早晩退場を強いられる。標的を絞って殺せなどと、虐殺を指南する米バイデン政権も同様である。
 このかんの虐殺やめろ!の世界各地での行動は、無駄に終わっているのではない。各国政府の言動に圧力をかけ、虐殺者を世界から孤立させ、さらにパレスチナ解放に連帯して帝国主義・植民地主義に反対する闘いの土壌を大きく広げているのである。
 日本でもこのかん、多くの行動が取り組まれた。総がかり行動系のパレスチナに平和を!緊急行動の範囲においても、「日本政府は停戦を実現させろ」を掲げた12月10日の国会正門前行動に1500人、16日には「米国はイスラエルによる虐殺に手をかすな」を掲げた米大使館行動(米大は申入書を地面に置いておけ、という対応)、などが取り組まれた。
 パレスチナ情勢は、若い人々の心も揺さぶっている。12月3日から一週間、渋谷ハチ公前で、「学生若者有志の会」がフリー・パレスチナの横断幕を張って行動した。各大学でも学習集会などの動きが広がっている。
 大阪では、12月16日に扇町公園で関西ガザ緊急アクションが、また19日には中之島公園で大阪総がかり行動が、ジェノサイドやめろ!の声を上げた。(W)