国会前12月「19の日」行動

 「安保3文書」の閣議決定強行(22年12月16日)から一年の12月19日、中東ではイスラエルのガザ大虐殺が続き、国内では自民党各派閥の政治資金規正法違反事件で騒然となるなか、各地で「19の日」行動が闘われた。
 東京では、97回めの行動が「パレスチナに平和を!軍拡増税反対!辺野古新基地建設反対!改憲発議反対!暮らしをまもれ!12・19国会議員会館前行動」として行なわれ、1千名の労働者・市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 まず、総がかり実の高田健共同代表が主催者挨拶。「自民党派閥の政治資金パーティ裏金疑惑で、大犯罪が続けられてきた。岸田内閣は安保3文書で大軍拡・戦争準備をやる裏で、不正を働いてきた。首相は責任をとるべきだ!」「岸田が倒れても現状では、続く政権が改憲・戦争の国作りを企む。全力で流れを変えよう!」と呼びかけた。
 政党挨拶では、沖縄の風・伊波洋一参院議員がメッセージを寄せ、「明日、高裁那覇支部で代執行訴訟の判決が出される。代執行を認める判決は絶対に許されない。沖縄県民は、辺野古新基地断念を求めて闘い抜く決意だ!」と訴えた。
 立憲民主党・水岡俊一参院議員(比例)は、「この瞬間にもイスラエルの攻撃で命を失う人々がいる。パレスチナの人々に人権はないのか。国会で停戦決議を上げるために闘ってきた。決議には全会派の賛成が必要。停戦に反対する党がある。政治・外交を裏金作りの政党に任せて良いのか!」と訴えた。また社民党・福島瑞穂、日本共産党・井上哲士の両参院議員も発言。
 市民からの発言では、フリーパレスチナの横断幕を掲げて、ガザ出身のアイーラさんが訴え。「イスラエルの爆撃で、少女は6歳で孤児になった。何もかも彼女には残されていない。少女が何をしたのか。私たちは人間ではないのか。」「皆さんは、ガザのために何をしてくれたのか。1万9千人以上が虐殺されても、米国や日本は見て見ぬふり。何人殺されればいいのか」と心からの叫びを突き付けた。
 続いて、大江京子弁護士(改憲問題対策法律家6団体連絡会)。12月7日の衆院憲法審査会で、中谷元・与党側筆頭幹事が、自公・維新など5会派はほとんどの論点で認識が一致し、来年には、緊急事態条項の案文作成作業のステージに進む必要があると発言している。
 大江さんは、「万が一、改憲案文の起草機関が設置され立憲民主がそこに入れば、5会派は論議が尽くされたとして発議案文を強行採決する。改憲原案起草機関を設置させてはならない。減税案で失敗した岸田首相は、改憲に的を絞って攻撃してくる。立憲野党を支えよう」と現況を解説した。
 日本山妙法寺の武田隆雄さんは、「岸田首相は、殺傷武器輸出を閣議決定せんとしている。戦争の惨禍を再び繰り返そうとする日本政府に抗議する」(12月22日、防衛装備移転三原則の運用指針改定を強行)と訴え、また、イスラエルの軍事大企業エルビット・システムズと日本企業との契約破棄を求めるハガキ行動を呼びかけた。
 エルビット・システムズは、パレスチナ人を実験台に武器を開発している。その製品を生産・保守管理する日本エヤークラフトサプライ、販売促進を担当する伊藤忠アビエーションは契約を破棄せよ。
 行動は最後に、憲法共同センターの木下さんが以下行動提起。
 12月20日、辺野古代執行不当判決を許さない首相官邸前行動。
 12月21日、新宿駅東南口街宣。
 12月22日、パレスチナに平和を!外務省抗議行動。
 1月19日、第98回「19の日」行動、議員会館前・午後6時半。
 1月26日、ウィメンズアクション、有楽町イトシア前・午後6時。
 岸田政権の支持率はついに、自民党政権復帰以来の最低に落ち込んだ。朝日新聞16日調査で支持23%、不支持66%。時事通信8日調査だと、わずか支持17%である。首のすげ替えではなく、大衆運動の爆発で岸田を打倒する時が来た。(東京O通信員)


東海第二原発
 再稼働ありきの避難計画案
  12月東海村本会議、再稼働請願採択だが、1月村議選

 茨城県の東海村村議会は本会議最終日の12月15日、再稼働推進派が提出した東海第二原発の早期再稼働を国に求める請願2件を採択(賛成9・反対4・棄権2)し、また再稼働に反対する請願3件を不採択とした。
 これによって、村議会として再稼働を求める意見書を、2011年3・11以降では初めて国に提出することを決定した。
 反対派村議の声、すなわち「事故の際の避難計画が策定されておらず、その上、安全対策工事の不備の公表が不自然に遅れたことが明らかになって、日本原電の安全対策に対する信用度は著しく低下している」などの声を無視し、数の力で押し切っての採択となった。
 東海第二が立地する東海村での決定は、周辺自治体の再稼働推進勢力に大きく影響する。今秋の再稼働の危機が一段と高まる。
 再稼働反対の請願3件のうち最後まで残されていた「誰一人取り残さない避難計画ができるまで東海第二原発の再稼働は認めない決議」(23年8月提出)は、12月4日の原子力問題調査特別委員会で賛成5(光風会2、無会派3)の少数で不採択、本会議でも不採択とされた。村議会は、日立、原電、旧動燃、旧原研、三菱核燃など企業系議員5名、商工会の地元保守議員4名、公明2名など圧倒的多数が保守・推進派で構成。再稼働ありきで採決に臨んだことは否定できない。

避難計画など不可能

 東海村は12月1日、学識経験者や住民代表でつくる原子力安全対策懇談会を開催し、初めて広域避難計画の素案を提示した。
 素案は、避難方法を「ターミナル方式」とし、広域避難先である取手・守谷・つくばみらい3市内(いずれも茨城県内)に数か所の「避難経由所」を設け、村民は小学区ごとに指定の経由所に避難。経由所を基点に、受け入れ態勢が整った避難所から順に避難所が割り振られるシステム。
 従って村は、避難経由所のみを最終的に示し、避難生活を送る施設名は記載しない仕組みになる。
 避難手段は自家用車を基本とし、自家用車が利用できない場合は、徒歩で村内の一時集合所に集合。そこからバスで移動、あるいは自宅から福祉車両での避難が想定されている。なお、バスや福祉車両の手配は県や国が行なう計画という。
 この素案提示に先立つ11月28日、山田修村長は原発事故に備えた広域避難計画をめぐり、全村民の避難所を確保できる見込みになったと表明した。
 23年1月茨城県は、県地域防災計画の改定で、避難所での一人当たりの面積を従来の2㎡から3㎡以上に変更、これにより全村民およそ3万8千人の避難には約1万3千人分が不足することになった。これについて村は、前述の3市内で民間の研修施設や宿泊施設、多目的ホール、体育館などの提供を追求し、確保が可能になったという。しかし実際には、個別の避難所の確保はまだ調整中というのが実態のようだ。
 再稼働推進派に寝返った山田村長は、今秋再稼働ありきで奔走し、村防災会議に諮って広域避難計画を決め23年内に公表することを予定している。しかし東京新聞報道によると、防災会議が年内に開催できる見通しは立っていないようである。
 再稼働に反対する請願「誰一人取り残さない避難計画できるまで再稼働は認めない」は、不採択となったが、誰一人取り残すことなく安全に避難できる計画を求めている。
 しかし、自家用車を基本とする避難計画のどこが安全なのだろうか。30㎞圏内には91万人が居住する。一たび事故が起これば人々はパニック状態に陥り、様々に避難することは福島の事故からも明らかだ。各地で渋滞が起こり、車での避難は困難である。首都圏が危険にさらされるなか、大都会をかかえての自家用車での避難は困難を極めるだろう。
 そのうえ東海村の避難計画は、村民3万8千人の範囲でのお話し。危険にさらされるのは数多くの自治体と住民であって、想定できない困難が待ち受けているのは確実だ。そもそも避難先の取手市など3市が本当に安全か。完璧な避難計画など不可能だ。
 さらに、東海村の避難行動要支援者数が極端に少なく、23年5月現在で90名とされる(東海村地域福祉課資料)。水戸市3634名、日立市9457名(茨城新聞22年2月報道)等に比較して、人口比で見ても格段に少ない。必要な人だけ申し出てという方式が、取り残す人々を生み、被害者拡大につながるのは確実だろう。
 そのうえ、福祉車両の確保に見通しがない状況も変わっていない。「誰一人取り残さない避難計画」などどこにも無いのが現状だ。
 東海村村議会再稼働推進派は、住民の生命の安全を顧みることなく、ただただ自らの利益のために、再稼働ありきで奔走している。
 再稼働反対派の村議をはじめ、地元住民と連帯して闘おう。再稼働ありきの机上の避難者受け入れ計画を首都圏の各自治体が認めないよう、自らの地域で闘うことも必要だ。
 新年1月21日投開票の東海村村議選は、まさに東海第二再稼働が争点である。反対派議員の拡大が求められている。
 首都圏で運動を拡大し、全国の再稼働反対と連帯し、東海第二原発の今秋再稼働を必ず阻止しよう。(O)