新たな出発点、戦争反対11・23全国同時行動
 
オスプレイが11月29日、またもや衝撃の墜落事故を起こした。横田基地の米空軍オスプレイCV22が、嘉手納基地へ向かう途中、屋久島近海で墜落し死亡事故となった。2016年12月には、普天間基地の米海兵隊オスプレイMV22が、大浦湾近くの海岸に墜落している。
 今や、この欠陥機オスプレイが米軍のも、陸上自衛隊のも、日本・沖縄じゅうを飛び回っている。東アジアで戦争が起きる前に、オスプレイに殺されるかもしれない。沖縄県民のみならず、横田基地を抱える東京都民だって殺されかねない。MV22も、直ちにすべて飛行停止せよ!
 戦争反対・戦場化阻止の11・23全国同時行動が打ち抜かれた。改めて全てのオスプレイ即時撤去の声を高め、琉球弧のミサイル戦争基地化、日本の戦争準備をやめさせ、平和・共生の東アジア実現へ前進しよう!(編集部)


11・23沖縄
 玉城知事が参加、県民大集会1万人超
  沖縄を再び戦場にさせない

 雨模様で、人々が集まらなければどうしよう、と心配だった。人々みんながそうだったに違いない。加害者にも被害者にもなって、大日本帝国がやった戦争のキズが冷めやらない矢先に、また、今度は生き残るかさえ難しいミサイル戦争の戦場になるなんて、沖縄人なら、認めることなんてできない。
 そう日常的に思っているから、「戦場化反対」の今度の集会は最大の気がかりであった。
 11月23日、晴天。筆者は、会場前の壺川駅からは、8つめの上流の駅からモノレールに乗った。会場行きのいでたちの人々が続々と乗車し、壺川駅ではすし詰めであった。1万人を突破する予感があった。
 今回の主催者、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は今年7月の結成であるが、これへ向かう最初の大衆行動は、2月26日那覇・県民広場の緊急集会(1600人参加)であった。このとき山城博治さん(現・県民の会事務局長)が、「小さな市民運動では、こんな大問題に対処できない。今年中に1万人規模の県民集会を創る」と表明していた。
 だから、「1万人」が脳の一画にこびりついていた。しかし、これが集会の成否の基準になってもいけない。と言うのは、「オール沖縄会議」が戦場化反対をやろうとしない、やるべきだがやらないことに気をもんだ山城博治が、先頭に立ってやらねばならないハメになった。自ら、自分勝手に作った市民運動に責任をかぶせることは誰にもできないからだ。
 県民が気をもむ中、午後の奥武山公園陸上競技場において、「全国連帯!沖縄から発信しよう!11・23県民平和大集会」の開催となった。そのフタを開けたら1万人を超えた。おカネも組織力もない小さな市民運動のスタッフらの力わざというより、県民の大集会成功への悲願のなせるわざ、と言った方が当たっているのではないか。
 集会では、「県民の会」共同代表の瑞慶覧長敏さん、具志堅隆松さんが主催者挨拶。長敏さんは、「戦争を絶対に起こさせないという一点のみで結集した。心を一つにしよう!」と訴えた。
 宮古島、石垣島、与那国島からの参加者が、「急激にミサイル要塞化が進行している。」「過疎対応の自衛隊導入だとばかり思っていたら、ミサイルが持ち込まれ、広大な土地が囲われ、だまされたと思っている人が大勢出てきた。」「自衛隊とその家族が島の人口に占める割合が増え、反対するにも難しくなっている」等などが訴えられた。
 来賓の玉城デニー知事は、パレスチナやウクライナの現況に触れながら、「子どもたちの未来が戦争の未来であってはならない。私たちの平和の思いを、全国で、全世界で共有するために行動しよう!」と訴えた。
 玉城デニー知事が、この市民集会に参加したことの意義は大きい。このかん辺野古工事「不承認」についての最高裁判決以降、連日マスコミは「県は従う義務が生じた」とタレ流し、県当局は二つに割れていた。しかし県民とオール沖縄の圧力によって、県知事は「従わない」、承認しないの継続を決定した。辺野古問題で「従わない」知事の参加は、日本政府と闘わねばならない「戦場化阻止」の市民運動にとって、県民一人ひとりが日本政府と闘っていく覚悟を作り上げていくうえで重要なことである。
 「オール沖縄」代表の挨拶もあった。不思議な光景だ。本来なら、この運動は「オール沖縄」が担わねばならないと筆者は考える。持ちきれない程大きな問題を、小さな市民運動にさせておいて、挨拶にくるとは、どういう問題意識を持っているのか。「戦場化」をどう認識しているのか。オール沖縄の課題は辺野古とオスプレイで、戦場化反対は別課題というのならばまったく形式論である。
 しかし、5百年を画する世界の大転換の時代だから、こういうこともアリなのかもしれない。
 前泊博盛さん(沖縄国際大学)が基調報告を行なった。声が心地よく、日米政府に対する批判は分かりやすかった。戦場化を阻止するため、「それを許すような議員は落とす」などの提案もあったが、「選挙や政党政治に関係なく」という(県民の会の)申し合わせ事項の修正をもたらすことになるかも知れない。「政権交代」に中立でもいられなくなる。
 平和市民連絡会の岡本由希子さんが、集会宣言を読み上げた。
 集会宣言は、「本日の集会は、今後さらに拡大していく県民大運動、全国運動の序章でありスタートライン」、「次は5万10万人の単位で県民総決起の大集会を開催して政府にそして全国に県民の決意を伝え、全国と全世界と団結して戦争を止める、私たちはその決意を内外に発信します」と表明した。
 主催者「県民の会」はまたしても、自己に大きな義務を課した。主催者スタッフの大任と大きな苦労を心配しながらも、熱烈な拍手を送りたい。
 しかし、大状況についての討論が足らないと思える。沖縄のミサイル要塞化、戦場化の危険は、米中の対立に起源を持つものであり、インドと共に戦後初期には非同盟諸国、グローバルサウスの一員だった中国が急速に成長を続けている状態に、世界を支配する帝王アメリカが恐怖におびえて、策を弄した結果である。それは、「日本」を使って「中国」をへし折る戦争政策であり、「ウクライナ」を使って「ロシア」をへし折ることのアジア版であり、もし、へし折ることができなければアメリカの決定的衰退となり、欧州・日本もそれにならう。
 大英帝国がインドに「東インド会社」を設立してから5百年になる。欧米はアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、中東を略奪し、殺し、好き勝手放題をやってきた。中国を先頭にグローバルサウスが目覚め、それができなくなって米日は、「自由なインド太平洋」、「法の支配」を中国から守ると主張しているのである。日本政府・岸田首相が米国側の立場から、この大激動の時代認識をしているのに、なぜ我々はそれを言わないのか、おかしいではないか。
 11・23集会宣言にあるのは、沖縄・日本・台湾の現況の範囲での認識であり、いささかもの足りない。集会宣言が、「台湾問題は中国の国内問題であり、決して軍事介入して事の決着を図る問題ではありません」としているのは重要点であるが、「外交を柱に対話を通じた相互理解」を訴えるだけでは一般的すぎるように思える。
 激動の時代には、最大の大局的な認識を、簡単で分かりやすい言葉で共有していくことが必要であり、また可能なのではないだろうか。そういう宣言というか要綱というか、沖縄民衆がめざすアジア太平洋像、そういうものを連帯の軸とすることによって、5万10万の行動が実現できるのではないだろうか。(沖縄T通信員)


東京11・23
 国会正門前アクション2千人
  今のガザは明日の沖縄か

 11月23日(休)の沖縄との全国同時行動は東京では、「沖縄も日本も戦場にさせるな!11・23国会正門前アクション」として午後2時から行なわれ、国会正門前一帯に約2000人の労働者・市民が参加した。
 主催は、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委が協賛。また83団体等が賛同した。
 行動は、国会包囲実の青木初子さんが、「今日のガザが明日の沖縄になる、この危機感が今、県民に高まっている」と指摘して開始。
 行動はメインスローガンとして、「辺野古埋め立て」代執行を許さない!南西諸島の軍事要塞化を許さない!を掲げ、またコールでは「辺野古新基地絶対反対」、「設計変更承認ないぞ」、「玉城知事を支えるぞ」、「沖縄民意に政府は従え」等を掲げているが、イスラエル軍がガザ地区で大虐殺を強行している現況をふまえ、「ガザでの虐殺今すぐやめろ!」を追加コールとすることが現場で確認された。
 豊岡マッシーさんの三線ライブの後、国会包囲実の毛利孝雄さんが主催者挨拶。「現況は、沖縄の戦後史をこえる段階に来ているのではないか。一つは代執行という強権支配、二つはミサイル基地化による沖縄再戦場化の危機、三つはこれらに抗しての、オール沖縄会議に次ぐ新しい諸組織・運動の登場だ。沖縄を再び戦場にさせない県民の会による大集会が今、那覇で同時進行です。沖縄・日本の戦場化反対と辺野古新基地阻止を一体のものと捉えていただき、全国で闘いをひろげよう!」と挨拶した。
 協賛の総がかり行動実・高田健さんも発言、「日本の戦後史は、昨年末の安保3文書で新しい戦前に入った。戦争は一旦始まるとなかなか終わらない。政治を変えなければ間に合わなくなる。難しい局面にあるが、野党市民共闘で政治を変えよう!」と挨拶。
 「南西諸島」島々からの報告が簡潔に行なわれた。種子島からは、メッセージ参加で和田香穂里さん(前西之表市議、戦争をさせない種子島の会)。「馬毛島丸ごと基地化の突貫工事で、種子島は混乱、暮らしそのものが破壊されている」。
 奄美大島からは、城村典文さん(戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット代表)。「上陸演習、兵站拠点が進み、今月には空自戦闘機が徳之島空港でタッチアンドゴーをやった」。
 宮古島からは、清水早子さん(ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会共同代表)。「ガザの今は明日の沖縄、過去の沖縄は今のガザ。琉球石灰岩破砕実験、血液製剤、遺体収容袋、戦争準備がリアルに進んでいる」。
 石垣島からは、上原正光さん(基地いらないチーム石垣代表)。「イスラエルの侵略、ヤマトの支配、抗するには韓国や台湾に連なったアジアの反戦が必要だ」。
 与那国島からは、メッセージ参加で高橋千恵さん(与那国島の明るい未来を願うイソバの会)。「2016年来、自衛隊員は増えて住民はかえって減少。寝耳に水の、湿原つぶして軍港。想像力を働かして、この国の暴走を止めよう!」。
 連帯発言は、藤本泰成さん(戦争をさせない千人委、平和フォーラム共同代表)、石川敏明さん(憲法を守りいかす共同センター、全労連副議長)、星野潔さん(リムピース編集部)の3人。星野さんは、米軍の横浜ノースドック揚陸艇部隊配備について、この揚陸艇は沖縄海兵沿岸連隊(11月発足)と連動した部隊であること、反対署名5万7千筆など市民の反対運動を報告した。
 最後に国会包囲実の中村利也さんが閉会挨拶、参加者が正門前横断歩道に広がり気勢を上げて終了した。なお行動後、各島々の詳しい報告集会が、文京区民センターで行なわれた。(東京W通信員)


大阪11・23
 沖縄差別打破!

 大阪では11月23日午後、市内・西梅田公園にて「沖縄を再び戦場(いくさば)にさせない!沖縄県民大会同時行動inおおさか」の集会、およびデモ行進が約600名の結集で開催された。主催は同行動実行委。
 集会演壇後方には「玉城デニー知事を支持する!」の横断幕がはられて、先の辺野古埋め立て不承認の決然たる民意を主張した知事と沖縄民衆の行動に、熱い連帯が示された。
 今集会呼びかけ文は、こう述べる。「沖縄戦から78年。沖縄の施政権返還から51年。この長い時間を、私たちはいかに過ごしてきたのか。『基地のない平和な島を返してほしい』沖縄の方々の切なる願いを、裏切り続けてきた。その罪深さを私たちは真摯に反省しなければならない。(中略)
 日本は過去に沖縄を武力で『併合』『植民地化』し、文化や言葉を奪った。今、日本は沖縄戦前と全く同じように、沖縄を対中戦争の『盾』に使おうと、沖縄のさらなる軍事植民地化に走っている。(中略)沖縄を戦場にする大軍拡に走る今の政治を変えることを誓う」と。
 また今集会スローガンでは、「沖縄差別を改める」という言葉が語られていた。辺野古新基地建設に集約された沖縄・本土の分断、構造的差別の認識と止揚が、関西でも運動の広がりとともに問われていく。(大阪I通信員)


  冬季特別カンパを訴える!

 読者・友人の皆さん!
 11・23沖縄平和大集会が全国・全世界に平和を発信するなか、米軍オスプレイが南西諸島に墜落しました。もう辺野古新基地建設も普天間基地も終わらせよう。福岡高裁那覇支部は12月20日判決で「代執行」を却下せよ。
 一つは、この情勢を受け、岸田政権の大軍拡と戦争準備に巻き返し、自公政権を打倒する労働者民衆の闘いを新年に再出発させることです。
 また一つは、米中対立のはざまに、日本・沖縄・韓国・東アジア民衆の大合流を進めることです。戦火を世界にばらまく米政権に抗議し、パレスチナ民衆をはじめ世界の民衆と連帯しよう。
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