「東海第二原発の再稼働を許さない11・8首都圏大集会」に700名
 目的は一つ、東海第二の廃止

 運転開始から46年めに入る老朽原発・東海第二原子力発電所(日本原電、茨城県東海村)の再稼働阻止、これを掲げて11月18日、「東海第二原発の再稼働を許さない11・18首都圏大集会」が東京・日本教育会館一ツ橋ホールで開催された。
 集会には700名の労働者・市民が結集。集会後の「原発いらない!神田デモ」まで断固とした闘いを繰り広げた。主催は、とめよう!東海第二原発首都圏連絡会。

圧力容器の劣化

 原発は、部品として交換できない原子炉圧力容器の劣化=照射脆化で運転期間を制限され、東海第二原発は、40年もつよう設計・建設されている。周辺機器も同様、40年を原則に設計・施行されている。従って40年超の稼働は、周辺機器のトラブルや圧力容器が崩壊して大事故に至る可能性を否定できない。その上、中性子照射による圧力容器の脆化は炉内に試験片を設置することで監視するが、40年超の東海第二はすでに試験片を使い果たし、劣化を評価する手段さえ失っている。
 現在30㎞圏内に92万人が居住し、実効性ある避難計画などを作ることさえ困難で、過酷事故が起きれば首都圏が壊滅的打撃を受けるのは確実と言われる。東海第二の再稼働は無謀以外の何物でもない。来秋とされるその再稼働阻止は喫緊の課題である。

大災害はまた起こる

 首都圏大集会は、主催者・首都圏連絡会の柳田真さんのスピーチで開始。「集会の目的は一つ。老朽原発・東海第二の廃止だ。原発は本当に必要か。原発廃止、再稼働無しでも電気は足りる。廃止は可能だ。」「今後も大災害の起こる可能性はある。ガザでは戦争という大災害で多くの人々が死の危険に直面している。原発に反対し、イスラエルの侵略に反対して闘う」と発言した。
 続いて、「嘘で固められた原子力、東海第二原発の再稼働」の演題で、小出裕章さん(原子核工学修士)が講演。「福島事故から得た教訓は、原発は巨大な危険物を抱えた機械であり、事故を起こせば破局的な被害がでること。原発は一刻も早く全廃すべき」だが、原子力ムラは「どんな悲惨な被害を与えても責任を取らずに済み、会社も倒産しない。大儲けも続く」ということ。原電は、「東海第二だけが生き残りの綱」で、「防潮堤工事の欠陥をあいまいにして、税金をもとに再稼働を強行しようとしている」と指摘した。
 そして、村上達也元東海村村長が、「再稼働の荒波にどう向き合うのか」の演題で講演。「山田村長は、完全に原子力界に取り込まれ、商工会の地元保守4名の村議など議会最大会派の保守派と一体化。避難計画を年内に公表すると発言」し再稼働へ動いている。「今、岸田政権下で原発を止めるのは難しいが、目に見える運動こそ必要」と主張した。
 さらに、江尻カナ茨城県議が発言し、防潮堤取水口付近の鋼製防護壁を支える基礎部分の工事不備は、南基礎ばかりでなく北基礎でも56mの安定地盤まで到達していない実態にあることを暴露した。基礎をつくる鉄筋カゴが工事計画の深さまで沈まず、高い位置で止まったままなのに、「それでも大丈夫と固めてしまった」事実を報告した。
 報告事項では、披田信一郎さん(東海第二原発差止訴訟団)が、差止訴訟について報告した。「裁判所が国の誤りを指摘したことは多くはないが、一審・水戸地裁判決は、住民の避難計画策定は困難、そもそも避難すること自体困難さがあると認めた画期的な判決だ。東京高裁控訴審は短期決戦の中で勝利したい。裁判闘争は、市民運動と連携してこその裁判だ」と発言した。
 最後に、集会決議を以下のように発した。「2度と原発の過酷事故を起こさず、故郷を追われ国土を喪失することにもなる原発災害のない社会」実現のため、「東海第二原発の再稼働を決して許さず、廃炉とすることを求めて首都圏の市民とともに闘い続けることを宣言する」と。
 その後参加者は、原発いらない神田デモに出発、「東海第二再稼働反対!」「老朽原発動かすな!」「汚染水流すな!」のシュプレヒコールを上げて、道行く人々に訴えた。今や、再稼働阻止は正念場、全力で闘おう!(東京O通信員)

欠陥工事問題
 11・8東海村議会で原電不誠実対応
  再稼働派封じよう

 11月8日、東海村村議会では、東海第二原発安全対策工事の防潮堤工事での不備について全員協議会を開催し、事業者の日本原電から説明を受けた。
 報道によれば、全員協議会を開催した上で、先に原子力問題調査特別委員会で採択された早期再稼働を国に求める請願等、採決に付された賛成・反対の計4本の請願を、今後の本会議で採択するかどうかを判断する見込みと伝えられている。(8月提出の「避難計画ができるまでは再稼働反対」という請願は採決に付されていないが、見通しは厳しい)。
 全員協議会では、4市首長らが7月に現地視察した際、工事不備を説明しなかった問題や再調査の要求が取り上げられた。
 再調査問題では、「施工不備部分をコンクリートで埋めてしまうと、実態が分からなくなる。再調査を」、「具体的資料を示してほしい」との意見が出された。原電は、「今回の件は工事段階で見つかったことで、調査結果は公表している」と発言。隠蔽した事実を覆い隠し、「具体的な記録を示せるかは、この場では差し控えたい」と不誠実極まりない態度に終始した。
 その後開かれた特別委でも、再説明を求める意見に対し、「原電の説明は信用できる」との反対意見が多数出され、再稼働反対派からの請願審査やり直しの申し入れも否定された。原電と同様、村議会の推進派も再稼働へ突き進んでいる。
 12月15日に予定されている本会議では、再稼働推進派2件の請願が採択される可能性が高まった。地元東海村で採択されれば、山田村長をはじめ推進派首長にとって動きやすくなる環境が整えられることになる。さらに、他の自治体でも再稼働推進の請願が提出される可能性も充分考えられる。
 東海第二は、東海村・日立市・ひたちなか市・水戸市等6市村のうち一自治体でも同意しなければ、再稼働できない。この「茨城方式」は、個々に再稼働を容認して崩壊する可能性は充分あり得る。
 村議会議長への手紙送付など、あらゆる手段を駆使して東海村の再稼働同意を阻止する必要がある。
 東京に一番近い原発・東海第二原発が、60年超・73年も運転できるリスクが現実になろうとしている。
 首都圏の労働者市民の連帯をひろげ、現地との連携を強め、闘争の拡大で再稼働を阻止しよう。再稼働推進派が活性化している。これに反撃し、推進派の動きを封じよう。(O)


東電刑事・最高裁—逆転勝利をめざす11・20集会
 草野判事は審理を降りよ!

 福島第一原発事故での東京電力の刑事責任を問うて、最高裁に上告している東電刑事裁判の闘いは11月20日、「最高裁は口頭弁論を開け!最高裁前行動&逆転勝訴をめざす集会」を最高裁前と弁護士会館で開催した。
 また同日、「最高裁は口頭弁論を開き、高裁判決を破棄するよう求める署名」7784筆を、最高裁に提出した。
 何としても、今年1月の東京高裁、2019年9月の東京地裁の全員無罪判決を許さず、事故当時の勝俣恒久会長、武藤栄、武黒一郎両副社長の業務上過失致死傷罪を明らかにし、もって電力会社・政府の原発推進政策にくさびを打ち込まねばならない。
 11月13日、被害者参加代理人は逆転判決を勝ち取るべく、最高裁訴訟管理官と面談し、意見書を提出した。意見書は①指定弁護士が提出した上告趣意書(今年9月13日)は正当であり、これにもとづいて原判決を破棄するよう求める。②公正な裁判を受けるため、東電との密接な利害関係を指摘される西村あさひ法律事務所に所属していた草野耕一判事について、本件の審理への関与を回避するよう求める。③本件については、大法廷に回付して審理を行なうよう求める、の3項目である。
 20日の集会では最初に、福島刑事訴訟支援団・佐藤和良団長が発言、「草野判事は、東電とずぶずぶの関係。本日の第一回最高裁行動に続き、草野判事の回避を求めて来春も最高裁前行動を実施する。署名行動も行ないたい」と述べた。
 海渡雄一弁護士が裁判闘争方針を説明、草野を追放すれば逆転判決はありえるとした。
 河合弘之弁護士は、「3・11以降、原発裁判は巨大マーケットになり、裁判に勝てば巨大法律事務所に莫大なカネが入る。草野判事の関与回避は一石を投じるだろう」と解説した。
 集会は、武藤類子副団長などの発言で終了した。最高裁は大法廷で口頭弁論を行なえ!逆転勝利をかちとろう!(東京O通信員)