国が辺野古工事変更承認の代執行を求めて提訴した裁判(福岡高裁那覇支部)で、玉城デニー沖縄県知事が10月30日意見陳述を行なった。知事はこれまでになく、真正面から争点を示し、県民の「公益」を掲げた。
 すなわち、国は外交交渉を行なわず、県外移設の選択肢を「政治的」な理由から排除してきた。「辺野古が唯一」とすることに必要性・合理性はない。「何が県民にとっての公益であるかの判断は、国が押しつけるものでなく、県民が示す明確な民意こそが公益とされなければならない」と。
 国は提訴を取り下げて県と対話し、国民はこの争点こそ臨時国会に掛けなければならない。折しも米国追従の日本外交の転換が、中国外交で、そして中東外交でまさに問われている。11・23の全国民衆運動が、その転換をリードするであろう。(編集部)


琉球の島々を戦場にするな!10・21新宿
 「県民の会」と共に11・23へ

 東京では10月21日の土曜午後、「東アジアに平和を!琉球弧の島々を戦場にするな!新宿アクション」が行なわれ、新宿アルタ前での集会と新宿駅一周デモ行進に約200人が参加した。主催は、同アクション実行委員会。
 午後2時からの集会は、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの大仲尊さんの主催者挨拶で開始。
 沖縄から御二方が発言。まず、「沖縄を再び戦場にするな県民の会」共同代表の瑞慶覧長敏(ずけらんちょうびん)さんが発言。「島々に今必要なのはミサイルではなく、停電しない電気、シェルターではなく電線地中化だ。平和な生活を勝ち取るためには、運動の分母を大きくすること、そして継続することが必要。若い人の発想を取り入れ、行動を重ねてきた。11・23県民平和大集会にご参加、そして全国連帯をお願いします!」と訴えた。
 県民大集会チラシで主催の「県民の会」は、「沖縄は日本の防波堤になることも、他国への攻撃基地になることも拒否する」と主張している
 宮古島市議の下地茜さんも、参加しての発言となった。「防衛省はミサイルは保険と言い、与那国島では島外移転に補助金を出す。今、イスラエルがガザ地区から住民は出ていけと言っているが、戦争が迫れば私たちもそう言われるのか。」「平和のために努力しなかった結果、戦争になる。来る県民大集会が掲げるように、対話による信頼こそ平和の道だ!」と訴えた。
 韓国からは、韓国民主労総副委員長のキム・ウニョンさん(元韓国サンケン闘争当該)が、本日の反米大会司会となったためとして、文書でメッセージを寄せた。韓国では今、B52も飛来した韓米日の激しい軍事演習の最中だが、戦争に反対して、反米自主勢力が韓国で、そして全世界で起ちあがっているとアピールした。
 台湾からは、台湾労働人権協会からメッセージ文が寄せられた。両岸問題は内政問題、困難であっても私たちで平和的に解決できる問題。これに日本が軍事介入したら、私たちへの侵略戦争になる!と課題の要所を訴えた。
 最後に、馬毛島について鹿児島県・西之表市議の長野宏美さんが発言。今年1月から1兆円投じて、米空母艦載機の離着陸訓練場整備を手始めとした全島軍事基地化の工事が開始されている。この米軍・自衛隊陸海空統合の戦争拠点作りに反対しようと訴えた。
 最後に新宿アクションアピールを拍手で確認。アピールの中で、松野官房長官が7月22~23日に石垣、与那国に来島し、「戦争に備えろ!」とばかりに住民の避難体制強化に乗り出したことを糾弾した。そして、東アジアの連帯で「台湾有事」を拒否しよう!と訴えた。
 アルタ前のすごい人出にアピールしつつ、午後3時にはデモ行進に移った。11・23沖縄県民大集会への全国連帯決起が始まったのである。(東京W通信員)


10・31狭山
 再審開始・無罪まで
  石川一雄は死なない


 「袴田事件の再審初公判開始、次は狭山だ」。
 10月31日、「無実を叫び60年!東京高裁はインク鑑定の実施を!事実調べ・再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が、東京・日比谷野外音楽堂で開催され、部落解放同盟、労働組合、同宗連、各地の狭山住民の会など全国から1100名が参加した。主催は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委。
 昨年8月29日、狭山事件弁護団は東京高裁第4刑事部(大野勝則裁判長)に事実取調請求書を提出し、新証拠を作成した11人の鑑定人の証人尋問と、万年筆インク資料について裁判所が鑑定を実施するよう求めた。布川事件・足利事件では新証拠の鑑定人尋問や再鑑定が実施され、再審開始・無罪となった。袴田事件でも東京高裁は、科学者らの証人尋問を行ない再審開始を決定した。東京高裁は狭山事件の鑑定人尋問を実施し、再審を直ちに開始すべきだ。
 集会は、西島藤彦解放同盟中央本部委員長が開会挨拶。「狭山事件は最大の山場を迎えた。再審開始の署名運動も行ない、52万1745筆集めた。この思いを退官前の大野裁判長に届け、鑑定人尋問・再審の扉をこじ開けたい。10・31をその強い思いで共に闘おう!」と訴えた。
 続いて石川一雄さん・石川早智子さんのアピール。石川一雄さんは、「まだ命はある。再審で無罪を勝ち取るまで石川一雄は死なない。(布川事件の)桜井さんが亡くなってしまった。狭山弁護団は全力でやっている。裁判長には最低でも事実調べをやってほしいと苦言を呈したい。裁判所に要請行動を!」と訴えた。
 石川早智子さんは、「事件発生から60年、寺尾不当判決から今日で49年。大野裁判長は12月に退官する。門野裁判長は8項目の証拠開示を勧告し、直後に辞めた。まだ時間がある。無実の証拠はそろっている。次は狭山だ」と声を詰まらせながら発言した。
 弁護団報告では竹下弁護士が、11人の鑑定人による新証拠について詳しく説明した。
 片岡明幸解放同盟本部副委員長が基調提案。「検察は、引き延ばしのため再反論する可能性があり、次の3者協議で何らかの動きをするかも。検察がそう出なければ、大野裁判長が再審をやろうと言う可能性も出てくる。その意味で本集会が重要な意味を持つ」と述べ、さらなる署名活動の拡大と併せて現下の闘いへの協力を求めた。
 連帯アピールでは、袴田巌さんの姉・袴田秀子さんが登壇。「57年間闘い続けてやっと再審になった。巌が30、私が33歳の時の事件だ。10月27日の再審初公判には補佐人として代わりに出廷した。巌だけが無罪になればいいとは思っていない。石川さんの無罪を必ず勝ち取る。何かきっかけがあれば再審開始になる」とアピールし、大きな拍手。
 袴田さんを救援する清水・静岡市民の会の山崎俊樹さんは、「ともかく証拠開示をさせねばと考え、味噌漬け実験を繰り返した。その闘いで原田裁判官は証拠開示を勧告した。狭山事件での門野裁判長の証拠開示勧告が、袴田事件に影響した。再審開始には、何と言っても証拠開示が大きく影響する」と指摘した。
 市民の会の鎌田慧事務局長が発言、「デッチ上げられた人々がいかに苦しむか、国は知らんぷりだ。いかに闘ったら無罪を勝ち取れるか、共に考えよう」と訴えた。
 最後に、集会アピールを小林美奈子部落解放中央共闘事務局長が提案。①東京高裁第4刑事部の裁判官がインク鑑定を実施し、インクの違いを直接確認すること。②冤罪根絶に向けた再審法改正実現を全力で進めること。③事実調べを求める署名の拡大、これらの闘いを確認した。
 その後、霞ヶ関をまわるデモ行進を貫徹した。(東京O通信員)


殺すな!ガザ大虐殺を止めろ
 パレスチナ解放闘争に連帯して即時停戦を求めよう

 10月7日、パレスチナ・ガザ自治区を担うイスラム組織ハマスおよびパレスチナ各派が共同し、第4次中東戦争以来ともみられる大作戦(アルアクサ洪水作戦)を決行し、テルアビブなどへのロケット弾飽和攻撃、ガザ周辺入植地などへの奇襲攻撃でイスラエル側に大打撃を与えた。
 昨年12月に超極右政権として再編されたイスラエルのネタニヤフ政権は、ウクライナ戦争に世界の耳目が集まるのをいいことに、西岸地区で虐殺と占領に拍車をかけ、ガザ行政費用送金を停止するなど、2つのパレスチナ自治区への攻撃を強めていた。自治区を国として認めないだけでなく、自治区じたいを消滅させる新段階の攻撃である。
 ハマスらの今回の作戦の意図は、これに打撃を与え、パレスチナ問題を再び全世界に訴え、とくに中東諸国に働きかけることにあっただろう。その政治的意味では、今のところ大成功を収めていると言えるだろう。
 これに対しネタニヤフ政権は、「ハマスの壊滅」のために「自衛権」を行使するとして、ガザ地区へのかってない爆撃・砲撃を続け、住民にガザ南部へ撤退せよ、さもなくば命は保証しないとして、10月27日より地上侵攻を開始した。ガザ保健省によると11月2日時点で死者は9061人。2014年ガザ侵攻時の死者2310人をはるかに超え、直接の殺害あるいは水・電気・医療を断たれて死に追いやられる人々が日々増えつつある。
 言うまでもなく、現在進行形の「ガザ大虐殺」を今すぐやめさせること、それが全世界の政府・労働者人民・平和勢力に求められている。
 10月27日の国連総会で、ヨルダン提出の「敵対行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議案が、賛成121ヵ国で採択された。交戦者の評価には触れない決議だが、ガザへの人道支援の許可、南部への撤退要求の撤回などが入っている。反対したのは、イスラエルや米国など14ヵ国にすぎない。G7諸国ではフランスが賛成、日本を含む5ヶ国が棄権した。「対テロ戦争」を制約する決議案は一切認めない、これが米国とイスラエルの態度だが、今回は完全に孤立した。その態度を、「棄権」によって追認した岸田外交は許されない。
 即時停戦を求めるにしても、イスラエルとハマスに対する喧嘩両成敗的な停戦論ではなく、パレスチナ問題で是非をハッキリさせた停戦要求であるべきだ。1948年のイスラエル「建国」と第一次中東戦争以来、イスラエルが占領者であり、パレスチナが被占領者であること。パレスチナ人民に武力抵抗権を含む民族自決権があること。シオニズム(おもにヨーロッパからやって来た人たちが大昔の神話に基づいて、ここは我々ユダヤ人に約束された土地だから先住民は出ていけという主義)は、反ユダヤ主義と同様に、現代世界には通用しないということ。これらを共通の常識とすべきである。
 ネタニヤフ首相は国連総会決議の3日後、決議に対して「停戦しない」と居直った。イスラエルの人々には、日本人の歴史的経験を教訓としてほしい。それは、「通州事件」(1937年盧溝橋事件の直後、北京市通州で中国人保安隊が反乱し、日本人・朝鮮人2百余名を殺害した抗日事件)によって、「暴支膺懲」があおられ、同年12月の「南京大虐殺」につながったことである。当時、社会主義者の山川均さえ、「支那軍の鬼畜性」と書き立てた。中国人作家・巴金は、「抑圧されていた民衆が立ち上がって征服者に抵抗する時には、少数の罪もない者たちが巻き添えをくって災難に遇うことも、また避けがたいことです」と山川に反論した。
 理性が殺戮に勝たなければならない。(A)