10・15第17回反戦・反貧困・反差別共同行動in京都
 「新しい戦前」にさせない

 変えよう!日本と世界 「新しい戦前」にさせないために―大軍拡と大増税を許すな!」
これをスローガンに10月15日、京都市・円山野外音楽堂にて、「第17回反戦・反貧困・反差別共同行動in京都」が450人の参加で開催された。主催は同共同行動実行委員会。
 第17回を迎え、ベトナム反戦以来の国際反戦デー10・21に前後するこの京都行動は、全世界を覆ったコロナ禍以降、貧困と格差がますます顕在化している状況の中、生活の困窮化に反対し、差別を許さないことを含めた反戦運動の集会・デモとして毎年続けられている。
 集会はまず、関西共同行動の古橋さんより、「沖縄南西諸島を戦場にするな!岸田政権は台湾有事を煽り、南西諸島への軍事拡大と大増税に奔走している。戦争国家への道を阻止し、反戦闘争を作り上げよう!」と主催者挨拶があった。
 さらに在京都沖縄人の大湾宗則さん(大衆運動家)より、「沖縄を戦場にしないために、沖縄、先島から中国を攻撃するな!」とアピールがあった。
 講演が、ジャーナリストの金平茂紀さんから、『取材から見える「新しい戦前」―ウクライナ・広島サミット・大軍拡』をテーマとして行なわれた。
 金平さんは、イスラエルによるパレスチナ・ガザ区への侵攻が数日中にも強行されんとする現況にあるが、「今はみんなが頭を冷やす時」、「冷静になって事実をしっかり見届けなければならない」と述べ、この軍事衝突について様々な意見があるが私はともかく世界と両者に「殺すな!」と訴えたい、として講演を開始した。
 昨2022年は歴史の転換点だと思われる。それは2月のロシアによるウクライナへの侵攻開始に始まり、日本においては7月の安倍元首相の銃撃死。それによりパンドラの箱が開かれた訳だが、結局日本では「統一教会と自民党・政治家との関係」が明らかにならないまま、それは無かったかの如く閉じられようとしている。
 「新しい戦前」とは、少しのことでこの国も戦時下になりかねない危うさがあり、「異論と反論を許さない時代」、たとえば映画『福田村事件』に見られるような状況になってきているということだ。
 つまり、「新しい戦前」に起きることは①自由の制限(出版・表現・言論で)、②監視の強化(移動で)、③根拠なきナショナリズムの高揚(差別・排外主義)、④少数意見への不寛容(マイノリティへの弾圧)、⑤次世代が得るべきものの収奪であり、これらが現実的に進行している。
 「新しい戦前」の進行を許さない。南西諸島の軍事要塞化、ウクライナ戦争の泥沼化、さらに今まさに始まろうとしているガザへの軍事侵攻、これらを止めよう!と講演を締めくくった。
 特別挨拶として、重信房子さん(元日本赤軍)が、「新しく社会に参加して1年、思いを語る―イスラエルのガザ侵略を止めよう!」(挨拶文別掲)と熱く語った。
 集会後、京都市役所までのデモンストレーションが行なわれた。(関西S通信員)

重信さん挨拶文(抄)

 「誰が占領者なのか?はっきりさせて停戦を求めよう」。
 ハマスなどのパレスチナ勢力を非難する前にまず考えてほしいのです。だれが占領者なのか?と。イスラエルが占領者であり、パレスチナ人が占領された土地に住む被占領者、被害者であるということ。この前提を抜きにした発言が横行してきたことが、平和解決をここまで損なってきました。ガザの「人道危機」ではなく、ガザのパレスチナ人に対するイスラエルの「戦争犯罪」なのです。まず占領者が裁かれ、占領を何よりも終わらせるべきなのです。占領者と被占領者の暴力を同列に置いてどっちもどっちと論じるのも欺瞞です。パレスチナ側は被害者なのです。占領に対して、人間の尊厳を掲げて戦うことは国際法、国連決議でも認められてきました。世界人権宣言に基づく権利を勝ち取る抵抗権は世界の人々の奪われてはならない権利です。(中略)
 「今こそイスラエルの占領に制裁を!国連決議の再構築を!」
 今年9月はイスラエルとPLOアラファト議長の間で合意した「オスロ合意」から30年目に当たりました。合意したイスラエルのラビン首相は暗殺され、ネタニヤフ登場によって変わりました。パレスチナに不利なオスロ合意に基づく和平交渉さえも、拒否し続けたのがネタニヤフ政権でした。そして臨界に達したパレスチナ人の怒りは、「アルアクサ洪水作戦」となって爆発しました。イスラエルは、敗北に衝撃を受けてパレスチナ人の生存を更に狭め、民族浄化の徹底的な暴力支配をこれまで以上に続けるでしょう。アラブ諸国も国際社会も口先だけのパレスチナ問題解決の見直しを問われるでしょう。(中略)
 今こそ、この戦争を中東情勢の平和的解決への転換のチャンスとして、パレスチナ問題の解決を求めます。それは、イスラエルの占領地からの撤退、パレスチナ人の民族自決、難民問題の解決を目指す国際社会のイスラエルに対する包囲からはじまる公正なアプローチこそが問われています。世界が忘れている国連決議181号に立ち返ることが、公正な解決の道だと私は思います。あえて私は国連決議181号を訴えたい。
 1947年の決議181号では、ユダヤの国とパレスチナアラブの国、2つの国を作ること、エルサレム地区は国連が管理することを決定しました。それを無視してイスラエルが占領を続けていること、それを米国が無条件に支援してきたことが戦後秩序を歪め破壊してきたといえるからです。(以下略)

 以上の重信さん挨拶文が、国連総会決議181号を提起したことは、日本のパレスチナ連帯運動に論議を呼ぶだろう。なぜなら決議181号は、シオニズムをユダヤ人の民族自決権として容認してしまった最初の重大な誤りとして理解することが、これまでの常識であるからだ。10月7日のパレスチナ人による軍事攻勢は、シオニズムが結局イスラエル人の安寧をもたらさないことを思い知らせた。シオニズムは、米欧の「南」諸国に対する力の優位を前提にして成り立ってきた。その世界は今、転換期にある。181号の今日的再考が、ポストシオニズムを促がすとは考えにくいのだが。(編集部W)


臨時国会開会、10月「19の日」行動
 改憲へ踏み込む岸田

 イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への地上侵攻・大虐殺が始まりつつあり、またこれによって中東全域での戦争の危機が高まるなか、日本では10月の「19の日」行動が各地で行なわれた。翌日は臨時国会の開会日でもある。
 東京では、95回めの「19の日」行動が、「軍拡増税反対!辺野古新基地建設反対!南西諸島のミサイル配備反対!『殺傷武器』輸出反対!改憲原案勝手に作るな!マイナカード強制反対!暮らしをまもれ!10・19国会議員会館前行動」として行なわれ、900名の労働者・市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と9条改憲NO!全国市民アクション。
 行動は、戦争をさせない1000人委員会の藤本泰成さんの主催者挨拶で開始。「パレスチナで戦争が起きた。差別と偏見の中でホローコストを経験したイスラエルの人々が、しかし今はパレスチナ民衆を殺害せんとしている。憎悪の感情を乗り越えることなしに平和はない。」「一方、日本にはアジア蔑視の考えがある。侵略を許さない構えが見えていない」と指摘した。
 政党挨拶では、立憲民主党が岸真紀子参院議員(比例)。「やっと臨時国会が開会される。今国会では、財産保全の対応策など旧統一教会問題、マイナ問題での健康保険証廃止の延期、国際平和に対する岸田政権の姿勢追及などを全力で闘う。パレスチナ戦争の停戦実現を。」沖縄を戦場とする戦争に「反対して闘う」と発言。
 辺野古工事変更についての玉城知事の不承認に対し、政府は即座に10月5日、代執行訴訟を提訴したが、これについて沖縄の風・高良鉄美参院議員が発言。「地方自治法は、国と地方の平等を明記している。防衛局は軟弱地盤があるので設計変更を求めたが、知事は詳細に調査し不承認とした。国は同じ国の機関国交省に取り消しを求め、認めさせた。国の求める事項を強行するやり方は、対等ではなく、地方の自己決定権を犯す違法な関与だ」と指摘。「9条の平和を求め、自治権の拡大を求める」と主張した。
 他に、社民党・大椿ゆうこ参院議員、日本共産党・赤嶺政憲衆院議員が挨拶した。なお10月23日、立民の泉代表と共産の志位委員長が来る総選挙での協力を合意し、候補者調整・政策協議に進むとした。議会野党には、小選挙区全てでの反自公の候補一本化を求めたい。
 市民からの発言では、「オール沖縄」会議の糸数慶子共同代表が電話でアピール。「岸田内閣の安保3文書による大軍拡、沖縄の島々へのミサイル配備が進み、最近では、自衛隊のオスプレイが米軍指揮下で軍事訓練を行なった。沖縄が戦場になる危険が迫っている。沖縄の状況はいずれ日本全土に及ぶ。一緒に闘うよう心からお願いする」と訴えた。日米演習レゾリュートドラゴンが現在進行形で、この日、陸自オスプレイが新石垣空港に飛来した。
 「9条の会」の小森陽一事務局長も発言。「沖縄こそが9条の精神を掲げて闘ってきた。岸田軍拡政治を許さず、沖縄の人々と連帯して戦争を阻止しよう」と訴えた。
 10月5日、総決起の秋として、「9条の会」大集会が中野区で開かれ1200人が参加した。岸田は臨時国会23日の所信表明演説で、「発議に向けた手続きを進めるためにも、条案文の具体化など、これまで以上に積極的な議論を」と踏み込んでいる。戦争反対とともに改憲阻止にも注力することが必要だ。
 さて行動は、最後に総がかり行動実の菱山南帆子さんが、「ガザは悲惨な状況だ。戦争で犠牲になるのは罪のない市民。9条を持つ国として今やるべきことは何なのか。今こそ9条を!」と指摘しつつ、以下行動提起。
 10月20日、臨時国会開会日行動。
 10月23日、ウィメンズアクション。
 10月26日、トマホークいらない緊急官邸前行動。(10月4日の日米防衛相会談は、防衛省のトマホーク400発購入を1年前倒しして、25年度から開始するとした)。
 11月3日、憲法大行動。国会正門前・午後1時45分。
 11月19日、96回「19の日」行動。議員会館前・午後2時。
 戦争反対・改憲阻止!大衆闘争で臨時国会を圧倒しよう。(東京O通信員)


東海第二
 地元住民と連帯し、再稼働反対11・18首都圏大行動へ
  欠陥工事発覚!村議会は再考を

 茨城県東海村の村議会原子力問題調査特別委員会は10月12日、東海第二原発の再稼働を巡る請願4本のうち、残る1件の再稼働反対を求める請願を不採択とした(議長のぞく12名中賛成4名)。これは昨年2月に、再稼働に反対する全国の自治体議員232名の名簿を付けて提出されていたもの。
 特別委はすでに9月に、再稼働推進派の請願2件を採択、反対派の請願1件を不採択としている。村議会の推進派は、12月本会議で採択を強行せんとしている。周辺6市村の突破口となる危険がある。
 また、今年8月に提出された「誰一人として取り残さない避難計画ができるまでは、東海第二の再稼働は認めない決議の採択を求める請願書」は、10月26日に特別委が開催され、11月2日に審議継続となった。
 一方10月16日、事業者・日本原子力発電の報告により、防潮堤取水口付近の鋼鉄防護壁を支える基礎部分で、コンクリート充填不足の不備がある事態が明らかとなった。これにより日本原電は6月から一部工事を停止していたのだが、4カ月も隠蔽していたことになる。工事の不備は、来年9月の期限に向けて工事を急いだためと推測される。
 この事態は、10月12日に再稼働反対請願を否決した上でようやく発覚しており、重大事案として村民の関心は高い。村議会は、全員協議会で工事の不備について説明を受ける必要があり、本会議での請願採択は改めて判断が必要だ。
 村議会の動向が注目される中、地元と連帯した首都圏全体の運動が問われている。
 「東海第二原発の再稼働を許さない11・18首都圏大行動」に参加しよう。大集会は午後1時半・日本教育会館、その後神田デモ行進。主催は、とめよう!東海第二原発首都圏連絡会。(O)