韓国オプティカルハイテック労組が、10・9〜13日本遠征行動
 日東電工の「食い逃げ」許さず

 去る10月13日大阪市で、「韓国オプティカルハイテック労組」第1次遠征団による日東電工本社前抗議行動が、同社の入る梅田グランフロントAビル東側の一角で闘われた。「ニットーは韓国オプティカルハイテック労働者の雇用継承の責任をとれ!」「食い逃げ日東電工は廃業・解雇を撤回せよ!」の横断幕が、当該オプティカルハイテック分会(民主労総金属労組)の組合員と日本の支援者らによって掲げられた。
 当日は全港湾、全日建連帯労組などで組織するおおさかユニオンネットワークを主に、連帯する労働者、市民ら25名が支援にかけつけた。
 韓国オプティカルハイテック労組は、組合員5名により第1次日本遠征団を結成、このかん解雇攻撃の動きに出た親会社・元請けである日東電工(本社・大阪)に、抗議闘争として来阪したのである。今回の遠征日程は、10月9日~13日であった。
 まず10月10日には、当該組合員がグランフロントAビル33階にある日東本社に出向き会社側と面会、抗議文を手渡し、会社は一応受け取る。その後支援組織とともに本社ビル前で11・12日に両日抗議・情宣行動、並びに在阪諸労組との連帯行動を行なった。13日が今回遠征の仕上げの行動であった。
 今回の遠征団行動の直接の契機は、2022年10月に、日東電工が100%株式を保有して韓国・亀尾(クミ)市の「特別地域」で稼働していた韓国オプティカルハイテック工場(日東電工から原材料を納入し、偏光フィルムを主要に生産して、LG、サムスン、アップルに納品していた)が、会社の対策不備による火災で全焼したことに端を発する。
 その火災1か月後の11月4日、会社は突如、一方的に会社清算を決定し、組合と1度も話し合うことなく、労働者を整理解雇するという暴挙に出た。
 今年2月の不当解雇通告に対して、13名の組合員が労働者の生存権を守る闘いに立ちあがり、工場内組合事務所を守っている。
 しかし状況は困難を極めている。今年4月、地労委が救済申請却下。7月に中労委和解勧告が出るも、会社側による工場退去の暴力的行為(組合員の追い出し)が繰り返されている。驚くべきは日東電工側が組合員自宅賃借保証金の仮差押えをやり、後に資本側が請求した債券仮差押えの申し入れを地裁が追認するなど、会社側のやりたい放題と労働者への恫喝が続いていることだ。
 まさに許されないのは、かつての韓国サンケンや韓国ワイパーの日本親会社と同じく、巨額の利益を長年むさぼり、暴力とリストラを繰り返したあげく、「食い逃げ」=清算・逃亡を図る日東電工の行動だ。(今回の韓国オプティカルハイテック工場での火災だが、1300億ウォンという保険金が日東電工側に入り、工場の焼失再建費見積もり額1000億ウォンをチャラにして日東資本は「食い逃げ」を選んだ。)
 今後も韓国オプティカルハイテック労組は、司法・立法・行政でのあらゆる交渉・行動を展開しながら、第2次の遠征行動を射程にして、困難から前進へと闘争を継続していくだろう。
 最終日の支援行動の最後には、韓国の仲間当該と日本の支援者が輪になり、今後の日東資本への闘いの勝利的前進をスローガンの連呼で誓い合った。
 今後第2、第3次の遠征団が来日する状況が想定される中、大阪ですべての仲間が、連帯行動を広げる取り組みを強めることが大事になってくるだろう。(大阪I通信員)


韓国ワイパー闘争10・22勝利報告集会
 「社会的雇用安定基金」を創設

 10月22日、名古屋市で韓国ワイパー闘争の勝利報告集会が開催された。
 午後の集会では最初に、韓国から来日した韓国ワイパー労組のチエ・ユンミ分会長をはじめ、総勢10名のメンバーが一人ひとり紹介された。皆さん、晴れ晴れとした自信に満ちた表情をされていた。
 続いて、経過報告としてビデオ上映が行なわれた。日本遠征団が日本の支援グループと共に、2月の寒風の吹く中で、親会社デンソー本社(刈谷市)に向って抗議活動をする姿や、3月15日の警察機動隊を導入した韓国ワイパー工場での機械搬出に対して身を挺してたたかう様子など、なまなましい映像が映し出された。3回の日本遠征闘争を経て、その後8月、韓国で和解合意が勝ちとられた。
 食事会では寿司やオードブル、果物などがプレートに盛られて、それぞれがテーブル毎に分かれて歓談しながら楽しくいただいた。韓国ワイパー闘争の中から生まれた「韓国ワイパー闘争勝利ソング」が、韓国人全員の踊りとともに披露された。日本のたたかいの中では、なかなか歌舞や音楽が生まれてこないが、韓国の文化だろうか、厳しいたたかいの中でも互いに励まし合うような歌や踊りが生まれるのだろう。闘いを楽しくやるためにも、私たちも見習う必要があると思った。
 韓国ワイパーの仲間は、この闘争で一定の活動資金を勝ち取った。解雇された仲間が引き続いて労働組合に残り、働きながら組織活動を続けていけるように「社会的雇用安定基金」を創設すると報告された。
 「社会的雇用安定基金」とは、職を失った労働者が生活を維持し、組合活動を続けていくために再雇用を援助していく基金で、地域の市民団体とともに立ち上げ、「社会的運営方式」で運営していく、と説明された。これから作り上げていくもので、韓国ワイパーの仲間たちもこの基金を利用し、組合を維持して働く場を確保していく、と言われている。
 これも労働運動としては新しい取り組みだと思う。これからの韓国民主労総金属労組韓国ワイパー分会の活動に注目していきたいと思う。(ユニオン活動家S)


尾澤裁判
 控訴審前に11・29集会
  韓国日系企業争議で特別報告

 韓国サンケン争議の不当弾圧事件である尾澤孝司さんの裁判では、9月11日にさいたま地裁で「罰金刑」という政治判断的な不当判決が出され、闘いは東京高裁に移った。高裁公判は来春以降のもよう。
 これに向け11月29日に、「さいたま地裁『罰金40万円』不当判決弾劾!尾澤さんの無罪を勝ち取ろう!控訴審闘争の勝利をめざす11・29集会」が、韓国サンケン労組を支援する会などの主催で開かれる。都内・文京区民センター3A、午後6時半。
 この集会では、特別報告「グローバル経済時代の韓国日系企業の問題と労働争議~韓国ワイパー闘争を中心に」が、講師・呉学殊(オウ・ハクスウ)さんから行なわれる。呉さんは現在、日本の労働政策研究機構研究員で、労組組織化や非正規労働者問題の日韓比較についての第一人者といわれる。
 学び、連帯をひろげ、控訴審に勝利しよう。(編集部)