東海村8・18
 岸田GXで、来年9月再稼働ねらう東海第二原発
 避難困難・首都圏原発は廃炉

 先の国会で、原発の新増設や60年超運転を可能にする束ね法案の「GX脱炭素電源法」が成立し、営業運転開始から45年を超えた東海第二原発(茨城県東海村、日本原電)の来年9月再稼働の危機が高まっている。
 この情勢下の8月18日、六ヶ所ピースサイクルin東海村行動として、「東海第二原発はいらない!老朽で危険、“避難困難”な原発は再稼働断念すべき!廃炉を求める一日行動」が行なわれ、約20名の労働者市民が猛暑のなか闘い抜いた。主催は、ピースサイクル2023全国ネットワーク常磐線ルート。
 福島原発事故以降、再稼働した原発は関西・四国・九州電力の6原発11基。関電の運転40年越えの美浜3号機は一昨年、高浜1号機は先日7月28日に再稼働が強行された。
 日本原電東海第二や東京電力柏崎刈羽6・7号機は、原子力規制委員会の適合性審査を終えている。高浜1・2、美浜3号機に次いで日本で4番目に古い東海第二は、再稼働を表明しないまま、特定重要施設を含めて24年9月工事完了に向けて突き進んでいる。停止期間を除外した60年超原発運転政策によって、73年も運転できる東海第二の再稼働の危険性が高まっている。

▼避難計画を聞く会

 「一日行動」は、JR東海村駅前集会で開始。青森・六ヶ所に向うピースサイクル隊を送り出した後、まず「近隣6自治体の避難計画を聞く会」が産業情報プラザでもたれた。
 「計画を聞く会」では、再稼働反対を闘う地元のメンバーが報告。6市村の避難計画で東海村は、広域避難計画策定にあたって、避難所が確保できれば避難計画を公表する姿勢であることが判明した。
 茨城県は、避難所を確保する際の一人当たり面積の目安を、2㎡から3㎡以上に変更。東海村は、避難先とされる取手市・守谷市・つくばみらい市との協議によって、更なる避難所の確保ができれば避難計画を公表する、すなわち再稼働に応じる手続きを一歩進める意向を示した。
 東海村村議会では推進派が多数派。再稼働の請願が通れば、再稼働に向けた準備がさらに進み、45年超の危険な原発が動き出す日が近づく。
 現在、東海村・水戸市・日立市・ひたちなか市など周辺6市村が再稼働同意権を持ち、一自治体でも同意しなければ再稼働ができない「茨城方式」が勝ち取られている。しかしこれも、一自治体が再稼働を容認すれば他も崩れていく可能性が指摘されている。
 報告者は、避難計画での受け入れ先自治体が「簡単に受け入れないよう釘をさす」運動の推進を訴えた。多様な闘いで再稼働を阻止することが求められている。
 東海村山田村長は今春4月村議会で、「電力の安定供給や脱炭素などエネルギー上の課題解決のため、多様な選択肢の一つとして原発は必要」と答弁し、原発推進派であることを暴露した。
 今回、東海村役場訪問は都合により中止となった。しかし、避難計画に対する質問書に、「科学的分野においては」「絶対的安全性というものは達成することも…できない…とする考え方があることも踏まえ」「広域避難計画策定への取り組みを着実に進めていく」と回答した。一見もっともだが、何ゆえ村として再稼働反対を求めないのか。村長と助役が再稼働容認で動いているのは明らかである。
 東海村の避難行動要支援者数が極端に少なく、日立市の百分の一、水戸市の四十分の一のわずか90名。原発に対する村の姿勢が透けて見える。

▼日本原電との討論

 午後からは発電所研修施設内で、日本原電申し入れ行動。1、水戸地裁判決をふまえて東海第二原発の再稼働を絶対行なわないこと。2、廃炉に向けた行程表を提示すること等、二点を強く求めた。
 再稼働等に関する質疑では、事前に回答を得た事項も含めて活発な討議がなされた。政府の原発政策転換によって東海第二が60年超・73年も運転できるというリスクが生じた、これをどう判断するか、との質問に日本原電は、「新規制基準に基づく安全性向上対策工事を安全第一で進める」と回答。設計自体の古さや三十年を経過してからの故障やトラブルの多発化、また1400kmもの電気ケーブルを全て難燃性に交換することが不可能との指摘には、「国の新規制基準に基づく審査に合格した安全性向上対策工事を進めている」と回答。国が再稼働を求めるから、国の基準に従って再稼働に進めば大丈夫という無責任な回答に終始した。寿命40年で設計された原発の60年超運転が安全であるはずがない。
 さらに、特重施設を含めた安全対策工事が24年9月までに完成できるかとの質問に対しては、「現在は、防潮堤設置、常設代替高圧電源装置の置場設置、既設設備の耐震補強など24年9月の工事完了を目標に進めている」と回答。日本原電は、24年9月に工事を完了させ、再稼働に突き進む姿勢を鮮明にした。
 30㎞圏内に92万人、首都圏に隣接し世界一の人口密集地帯に立地する東海第二原発が、一たび事故を起こせば大惨事は免れない。裁判闘争や多様な大衆運動で、再稼働阻止・廃炉を実現せねばならない。
 裁判闘争では、避難計画不備を理由に運転禁止を命じた水戸地裁判決(21年3・18)が勝ちとられたが、日本原電控訴による東京高裁控訴審が今年7月11日から開始された。
 首都圏の大衆運動では、毎月の日本原電本店抗議行動に加え、茨城県と周辺6市村に再稼働不同意を求め日本原電に廃炉を求める署名運動が各地で展開されている。
 11月18日には、神田で首都圏大集会(日本教育会館・午後1時半)とデモ行進。主催は、とめよう!東海第二原発首都圏連絡会。これらと連携しつつ、地域・職場から行動を組織しよう。(東京O通信員)


水戸市8・26
 「STOP‼東海第二原発再稼働
いばらき大集会」に600人

 寿命40年超運転超危険

 「事故は日本の壊滅」とまで河合弘之弁護士に言わしめた危険な原発、東海第二原発の再稼働の危機が高まるなか、8月26日に「STOP?東海第二原発の再稼働 いばらき大集会」が水戸市・駿優教育会館で開会され、茨城県内外から労働者・市民約600名が結集した。主催は、同大集会実行委員会。
 2018年から今年で4回めになる、この全県レベルの集会は、小川仙月・脱原発ネットワーク茨城共同代表の主催者挨拶で開始された。
 小川共同代表は、「2011年の福島原発事故以降、原発は全廃には進まず、この12年間で原発推進の誤まった決定がなされた」経過を振り返り、その節目は最初の12年大飯原発3号機再稼働という民主党野田政権の誤り、次いで自公政権による15年の初の加圧水型原発九電川内1・2号機の再稼働、そして老朽原発である関電美浜3号機の21年の再稼働であり、「第4は、初の沸騰水型で40年超の東海第二の再稼働だ。これを止められるかどうかが今問われている。脱原発に向けて共に闘おう!」と基調を示した。
 賛同人からの訴えとしてまず、東海第二原発地域科学者・技術者の会の服部成雄代表がアピール。「東海第二原発は寿命40年で、40年持つように設計されている。圧力容器は中性子に打たれてぼろぼろになる。脆化は試験片を入れて調べるが、すでに全部取り出し、なくなっている。その使用済みを使っているが、それは無謀だ。溶接部を含め監視無しの運転になる」と説明、設計者の立場から大事故の危険性を指摘した。
 佐藤嘉幸・筑波大学人文社会系准教授は、「5月にGX束ね法を成立させて、岸田政権は再稼働を隠さない政権に変わった。日本原電は、国が再稼働を求めるから国の方針に従っているとして、虎の威を借りる狐の如く住民に接している。差し止め訴訟控訴審に勝つ必要があるが、住民運動と広く連帯して初めて再稼働を阻止できる」と述べ、来年度実施をめざす茨城県民投票運動への協力を訴えた。
 賛同人からは他に、鶴長義二・茨城県生活協同組合連合会会長理事、猿田博之・常陸農業協同組合常務理事、中島栄・美浦村長、村上達也・脱原発をめざす首長会議世話人らが発言した。
 連帯挨拶では、河合弘之・東海第二原発運転差し止め訴訟弁護団共同代表が登壇。「東電は、福島第一で故意に等しい重過失で事故を起こし、先日8月24日ついに汚染水の海洋放出を開始した。事故から立ち直った漁民を再び叩きのめす、とんでもない所業だ。近々、海洋放出差し止め訴訟を起こす。3人の漁民が原告に立ち上がった。協力してほしい」と呼びかけた。
 続く講演は、「原発推進と老朽原発再稼働は危険」の演題で、NPO法人原子力資料情報室の松久保肇さん。
 松久保さんは講演で、これまでの原発寿命40年・最大60年、原発新設は考えずとしていた政策を、岸田政権はGX方針で、寿命60年プラス長期停止期間、30年代には原発新設との政策に変更し、老朽原発を将来に渡って使い続ける方針としたと指摘。また、規制と推進の分離ではなく、利用政策官庁が運転延長を許認可し、これに規制当局は関与せずとなった。運転の延長期間は安全規制上の必要性から定められたものではなく、あくまで利用政策としてあることを暴露。非化石エネルギー源の利用促進を図って電力安定供給の確保に資すると認めた場合、20年プラスアルファを認めるとしたのである。
 そして、「緊急時に止める判断が本当にできるのか、覚悟はあるのか」とも指摘して大事故の可能性を言及し、「市民の力で再稼働を止める以外にない」と結んだ。
 決議文提案は、東海村村議の大名美恵子さん。「過酷事故と隣り合わせで孫・子に負担を強いる原発はやめ、自然と共生する再生可能エネルギーこそ未来への希望であると確信する。東海第二原発は廃炉以外道はなく、来年の再稼働は絶対許さない」との提案を、満場の拍手で採択した。
 最後に、とめよう!東海第二原発首都圏連絡会の披田信一郎さんが閉会挨拶。「今集会では、東海第二の再稼働を許さないと意思表示ができ、現実にそれを阻止し、原発依存からの脱却の可能性も生まれている。日本原電は来年9月の対策工事完成、再稼働を目指している。11・18首都圏大集会など各地で闘いを成功させ、何としても再稼働を止めよう!」と呼びかけ、再度の大きな拍手で大集会は締めくくられた。
 集会後参加者は、宮下銀座ならびに郵便局前に結集。水戸南町自由広場までの断固としたデモ行進に出発した。
 GX法に続き、集会の二日前には岸田政権が汚染水の海洋法出を強行するなど、原発政策での強引な手法が次々に繰り出されている。しかし福島原発事故は未だ収束せず、事故から12年、およそ3万人が避難生活を余儀なくされ、被災地の人々は放射能の危険に晒されている。
 原発推進の逆流は、東海第二の阻止で変えられる。首都圏隣接の東海第二再稼働を大衆闘争の爆発で断固阻止しよう。(千葉A通信員)


大阪
台風直撃の第52回釜ヶ崎夏まつり
 闘いの秋は近づき

 大阪・釜ヶ崎では今夏、久しぶりの前夜祭も含め4日間の第52回「釜ヶ崎夏まつり」を予定し、準備していた。
 しかし、台風7号の直撃という事態の中で、8月12日前夜祭の後に急きょ、15日に予定していた「慰霊祭」を13日に変更し、とりあえず13日はやりきる。14、15日は台風の様子を見ながら決定することが決められた。
 残念ながら、14日早朝よりの撤収、14、15日の中止という事態となったが、「前夜祭」「慰霊祭」をやりきることができたし、13日の一日だけだったが、沢山の屋台と盆おどりを楽しむことができた。
 とりわけ12日の「前夜祭」には、大阪―関西で共同した闘いを通じて信頼関係を深め、団結を強めてきた仲間たちも駆け付けてくれた。戦争への道を突き進む岸田政権との総対決の場としての、高揚感のある「前夜祭」であった。
 9月以降、「センター建て替え」問題も大きく動く。このかんの「コロナ」問題も含め、遅れてきた議論が具体化してきている。種々の会議も連続して開催される。
 討論を深め、具体的要求へと高め上げ、その実現に向け、大衆行動を準備していかなければならない。(釜ヶ崎S)