「韓国ワイパー」勝利的解決
    名古屋で10・22報告集会

 本紙でも紹介してきたところの、親会社デンソーによる現地子会社の企業閉鎖・全員解雇と闘ってきた「韓国ワイパー」闘争は、8月に入って勝利的に解決することとなった。
 デンソー本社のある東海地方の我々には、韓国民主労総金属労組の韓国ワイパー分会から、第4次の日本遠征団を組織して愛知に行くので、受け入れ態勢を準備して欲しいという要請が7月末には入っていた。この時点では、韓国の5者協議(会社側3社、労組、雇用労働部)では会社側がのらりくらりと対応しており、一向に解決の糸口が見当たらないという様子が伝えられていた。
 8月4日、受け入れのための準議会を名古屋で開いていたその時、突然、韓国から、和解が成立したので、第4次日本遠征団は組織しなくてよくなった、という第一報が入った。どんな内容で妥結したのかは分からなかったが、和解が成立したことに、参加者全員ほっとした空気が流れた。とりあえず、和解したことを祝って、全員で拍手して祝福した。
 その後、解決金は会社側と組合とでは大きな差があったが、互いに譲歩して、中間地点ほどで解決したらしいということは分かった。雇用保障など詳細は、今のところ分からない。
 またその後、韓国からは、闘争の報告と協力への感謝を兼ねて、10月下旬に訪日し、報告集会(10月22日予定)を行ないたい旨の連絡が入った。その際、争議解決後の、韓国ワイパー闘争団の今後の活動についても、興味ある報告があると思われる。(東海S通信員)


汚染水海洋放出即時中止!
  アジア太平洋民衆に連帯し、9・18代々木公園へ

 岸田政権は8月22日に関係閣僚会議をひらいて、福島第一原発敷地内に貯まる核汚染水(ALPS処理水など)を海洋放出することを最終的に確認し、政府・東京電力は24日午後1時過ぎ、ついに放出を強行した。
 我々は、海洋投棄の暴挙を一日も早く停止すること、そして21年4月13日の菅政権閣議決定を撤回し、福島原発汚染水対策とその国内合意・国際合意をやり直すことを政府・東電に求める。
 その理由は、①この汚染水は、通常運転の原発が出すトリチウムを含む排水ではなく、原発メルトダウン過酷事故にともなう核廃棄物である。その放射能低減処理の程度を問わず、海洋へ投棄することは国際法(ロンドン条約など)違反の意図的な環境破壊行為であり、原発事故収束対策として許されない。②ALPS(他核種除去設備)処理水は、トリチウムをまったく除去できず、懸念されている他の核種(ストロンチウム90、ヨウ素129、炭素13など)も完全には除去できていない核汚染水である。放出時に希釈し、さらに海に拡散させて、許容基準値内にあるなどどしても、投棄される放射性物質総量に変わりはない。政府によると海洋放出は断続的に30年は続き、その総量はぼう大になる。③海洋放出は、福島県漁連や全漁連などとの、「関係者の理解なしには如何なる処分も行なわない」とした2015年文書約束を反故にするなど、国内合意が得られないまま強行された。また、アジア太平洋諸国・地域の国際合意形成を軽視したまま強行された。
 岸田首相は、「福島復興のためには先送りできない」と言って海洋放出を強行したが、これは30年後に廃炉完了という空想的計画から逆算して、放出開始時期を設定したものである。漁ができなくなっても風評対策でカネはやる、これで復興になるわけがない。タンクの場所がないからというのも世論操作で、長期陸上保管の大型タンクもやろうと思えが早期にできる(トリチウムは近年除去技術も開発されたが、半減期12年であるので経年低減が有効とされている)。
 国内外の合意なしで強行したことによって、風評対策費用が大きくなれば、海洋放出方式が安上がりというのも成り立たなくなる。政府は内外に「科学的」判断を求めているが、風評は迷信信仰ではなく、売買におけるリスク回避行動である。政府・東電はトリチウム以外の検査値を発表しない方針で、これでは風評被害を拡大する。直ちに海洋放出を中断しないのならば最低、希釈前にタンクごとの各核種の数値を明らかにすべきである。何をどれだけ捨てているのかも不明で、どこが科学的なのか。
 このかんの特長は、韓国で日本の海洋放出反対が大きく盛り上がったことである。韓国民主労総が、やや唐突に、7月ゼネストで海洋放出阻止を掲げたことも、世論動向を受けたものであろう。民主労総を含む大型訪日団が7月30日の原水禁・福島大会に参加するなど、韓国民衆による各種の海洋放出反対運動が続いている。日本でも当然ここ数年来の課題であったが、老朽原発の再稼働阻止のほうにより切迫感があり、海洋放出反対はむしろ低迷していた。数年前から、この課題での日韓・アジア太平洋地域の連携ができていれば、菅政権の閣議決定を阻止できたかもしれない。
 海洋放出強行と同時に中国政府が、日本水産物全面禁輸という強い措置をとった。これも世論の後押しがあるからだろう。中国の民衆次元では今のところ、自然発生的な対日抗議の域を出ていないように見えるが、これを機に環境や原子力をめぐる自立的な運動が発展してくるとすれば、東アジアの民衆国際連帯に大きな意義をもつ。
 アジア太平洋地域の最当事者である日本の運動が問われる。当面、9・18代々木公園の大集会を成功させる必要がある。この集会は、さようなら原発一千万人アクション、「未来のための金曜日・東京」、「ワタシのミライ」(再エネ100%と公正社会をめざす学生・市民運動)の共催。海洋放出中断せよ!を前面に掲げた大集会を期待したい。(W)

 
今秋改憲国会ゆるさず、8月「19の日」行動
  軍拡と核汚染で岸田窮地へ

 日米韓三か国首脳会談で、自衛隊と米韓両軍による合同演習の定期実施などが合意され、まさに東アジアでの戦争の危機が一段と高まるなかの8月19日、各地で戦争・改憲反対の「19の日」行動が開催された。
 東京では、93回めの行動が、「軍拡増税反対!辺野古新基地建設反対!南西諸島のミサイル配備反対!『殺傷武器』輸出反対!マイナカード強制反対!暮らしをまもれ!8・19国会議員会館前行動」として行なわれ、うだるような暑さをものともせず1000名が参加した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 行動はまず、憲法共同センター・小田川義和さんが主催者挨拶。「8月6日広島では、松井市長が核抑止論は破綻しているとし、9日長崎では、核抑止から脱却すべきと鈴木市長が主張した。他国を威嚇する軍事国家を否定し、9条を生かす国を目指すべきだ。地域から岸田軍拡と対決し、市民と野党の共闘を!」と基調を述べた。
 政党挨拶では、社民党・大椿ゆうこ参院議員が、「防衛費に予算がかけられ、猛暑の中で暮らしを守り環境を守る議論がなされていない。いくらミサイルを買っても食料自給率が38%では食べていけない。また、汚染水の海洋放出を突破口に原発も推進しようとしている。戦争は絶対許されない」と訴えた。
 立憲民主党・吉田晴美衆院議員(東京8区)は、「秋の憲法審査会で、改憲の動きが加速しようとしている。小中学生は、改憲派が発信するユーチューブショートを見ている。デジタルでメッセージが発信され、世論を誘導している。9条の大切さを訴え闘っていく」と表明した。他には、日本共産党・山添拓、沖縄の風・伊波洋一(メッセージ)の両参院議員も発言。
 市民の発言では、ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の清水早子さんが登壇。「沖縄の島々では、戦争準備が進んでいる。陸自の戦車を沖縄の島々で使えるよう作り変え、石垣島では、遺体収容訓練が実施された。宮古島に遺体収容袋が準備されているという。日々戦争準備と向かい合う生活を余儀なくされている。戦争を止める行動を!」と訴えた。
 ピースボートの野平晋作共同代表は、「日韓関係が改善したというが本当か。強制労働や日本軍慰安婦問題で被害者の意思を無視して政治的妥結をはかる、朝鮮を敵国とみなして挑発する、それが真の日韓友好か。政府とは別の次元で民衆レベルの友好関係を築こう」と訴えた。
 さようなら原発1千万人アクションの井上年弘さんは、「明日岸田首相が福島原発を視察する。汚染水放出のためのセレモニーだ。原子力政策はすでに破綻している。先延ばしは次世代に大きなツケを残す。今ここで全原発を廃炉にしなければ。9月18日(代々木公園・午前11時~)の反核・脱原発の集会へ!」と訴えた。
 最後に、戦争をさせない千人委の田中さんが、「戦争は突然起こるものではない。幾つもの過ちを通して戦争は近づく。その一つひとつと闘おう!」としつつ、以下行動提起。
 8月(略)
 9月19日、第94回「19の日」行動、国会議員会館前・午後6時半。
 10月5日、「9条の会」大集会、なかのゼロ・午後6時半。
 11月3日、憲法大集会(予定)。
 岸田政権は、マイナ保険証問題で大きくつまずき、さらに8月24日の汚染水放出強行で危機水域に達した。放出への国際的批判に対し、排外主義をあおるしかなくなった岸田政権に未来はない。(東京O通信員)