マイナカード強制反対
 保険証廃止を撤回せよ

      岸田政権動揺のなか、
    7月「19の日」国会前行動


 岸田政権は先の通常国会で、問題諸立法を次々と強引に成立させたが、マイナンバーカード法に代表されるように成立後さらに問題が拡大して、政権支持率が低下している。政権に甘い数字を出す共同通信の世論調査(7月14~16日実施)でさえ、支持率33・4%と続落傾向を示している。
 今夏の、国会閉会下での静かな?攻防は、そこで矛盾が蓄積し、今秋一変して政治決戦となりそうである。こうした情勢下、各地で7月の「19の日」行動が闘われた。
 東京では7月19日国会前で、92回めの「19の日」行動が、「軍拡増税反対!マイナカード強制反対!辺野古新基地建設反対!南西諸島のミサイル配備反対!改憲発議反対!暮らしをまもれ!7・19議員会館前行動」として行なわれ、約1千名が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 行動は、戦争をさせない千人委員会・谷雅志さんの主催者挨拶で開始。谷さんは、「政府は、様々な反動立法を今国会で強行した。福島原発事故も収束を見ないうちに、原発を推進し、汚染水を放出しようとしている。」「憲法審査会の役割は、憲法の理念をどう生活に実現するかだ。改憲ではなく、外交で平和と生活を守ることが必要。岸田政権の戦争政策と一つひとつ闘う必要がある」と、基調を明らかにした。
 政党挨拶では、立憲民主党・打越さく良参院議員が、「岸田内閣は①人命を軽視し、②生活に苦しむ人々の声を聞かず大企業にのみ顔を向けて政治をしている。そして③女性や外国人の人権を軽視、入管法改悪を強行した。力を合わせて今秋、政治を変える秋にしよう!」と呼びかけた。
 沖縄の風・伊波洋一参院議員はメッセージで、「南西諸島では6年かけて離島防衛を名目にミサイル部隊を配置し、今後、敵基地攻撃能力を備えた長距離ミサイルが配備されようとしている。政府のだまし討ちで既成事実が積み重ねられ、安保3文書では、日本全国300の基地の持続性と強靭化が進められている。有事になれば米軍はグアムに撤退、日本だけの代理戦争で全国の基地等が攻撃対象になる」と指摘。野党からは他に、社民党・福島瑞穂参院議員、日本共産党・宮本徹衆院議員も発言。
 市民の発言ではまず、市民連合新潟の佐々木寛教授。「沖縄戦場化の危機が進行し、心が痛む。現代の戦争の特徴は、始めたら止まらない。戦争経済がこれを支えているからだ。日本は戦争する国になった。誰がこれを止めるのか。マイナカードも戦争遂行のため。政党を超えて団結し、市民が集まらねばならない!」と訴えた。
 マイナカード強制・健康保険証廃止の法案は6月2日成立したが、混乱状態が露呈しても、岸田政権は来年の秋に保険証を廃止する方針を撤回していない。先述の世論調査では、マイナ一本化に対し撤回や延期が76・6%である。
 これについて、共通番号いらないネットの宮崎俊郎さんが発言、「カードを十人中三人は持っていない。まだまだ闘える。まず保険証を残せという運動を進め、保険証廃止を撤回させる。これに負ければ待ち受けているのは、運転免許証との一体化だ。あと一年ある、闘って撤回させよう!」と訴え、9月1日・午後6時、デジタル庁への抗議行動を呼びかけた。
 最後に、総がかり行動実行委の菱山南帆子さんが行動提起。「マイナカード強制などは、いぜん安倍政治がはびこっている証拠だ。アベ政治からの脱却が必要。市民と野党の共闘が揺らいでいるが、戦線を立て直し断固たたかう。女性差別など差別を許す政党は許さない。維新の政治も許さない」と発言しつつ、以下を提起。
 7月27日、総がかり新宿駅東南口街宣。
 7月31日、有楽町ウィメンズアクション。
 8月19日(土)、93回「19の日」行動、国会議員会館前・午後2時。
 入管法改悪反対やジェンダー差別反対、また袴田事件での最近の検察批判などでは、運動の新しい息吹が感じられる。「19の日」行動など戦争反対が主眼の行動と、これら共生・人権の諸運動がどのように相乗・発展できるのか、考えてみる必要があるだろう。
 また、マイナ保険証問題は岸田政権の急所となっており、7月26日に参院で閉会中審査となった。しかし河野太郎デジタル相は、「丁寧に説明」との答弁に終始し、保険証廃止の期限ありきを居直った。自民党内では廃止時期の延期も策されているが、事態収拾には一本化撤回・保険証存続しかない。(東京O通信員)


検察面子の有罪立証暴挙
 袴田事件は、再審裁判で最終勝利へ

 7月10日、静岡地検は、今年3月13日の東京高裁差し戻し審で再審開始が決定した袴田事件について、有罪立証する方針を決め、再審が行なわれる静岡地裁に書面で提出した。
 これは驚きの暴挙と、世論の大半は受け止めている。再審決定に対し東京高検が3月20日に特別抗告を断念したのは、もはや有罪を立証できないと判断したからではなかったのか。
 「検察の面子防衛」の一点で裁判を長期化させ、袴田巌さんの人権を無視する暴挙と言うほかはない。袴田事件弁護団はその同日、静岡地裁に冒頭陳述案(5点の衣類は捏造されたとして証拠から排除した上で、無罪判決を求めるもの)を提出するとともに、支援者20名とともに怒りの記者会見を行なった。
 弁護団事務局長・小川秀世弁護士は、「検察に改めてがっかりした。無罪であると分かってやっているとしか思えない。人の人生を何だと思っているのか」と繰り返し批判した。今後の裁判では、「最初から事件の捜査が歪められてきた、と強調したい」と述べた。
 巌さんの姉・秀子さんは、「検察は、とんでもないことをするだろうと思っていた。裁判で最終的に勝っていくしかない」とし、「57年闘っているから長くなったってどうってことない」と気丈に語った。
 袴田さんを救援する清水・静岡市民の会の山崎俊樹さんは、「検察は、有罪を立証できる見通しもない。東京高裁が捜査機関による証拠の捏造を指摘しており、今回の検察の判断は県警や検察の面子を立てるためではないのか」と語気を強めた。他の支援者からは、「袴田さんが亡くなるまで裁判を長引かせようとしているとしか思えない」と怒りの発言も。
 検察は、これまでの再審請求審ですでに結着した5点衣類の血痕についての議論、これを蒸し返すことを主として、袴田さんが犯人であると改めて主張している。血痕の赤みを消失させる化学反応の速さは、味噌の酸素濃度などに左右され、赤みが残ることは何ら不自然ではない云々である。
 が事の真相は、甲斐行夫検事総長と畝本直美東京高検検事長が、憲法違反や判例違反の要件には該当しないとして特別抗告を断念したが、捜査機関の証拠捏造の可能性にまで言及されながら断念したことに対し、検察官僚の不満が噴出したことにある。検察は、袴田事件の再審決定を機に自浄するのではなく、さらに劣化するほうを選んだ。
 今、有罪立証に踏み込んだ検察に逆風が収まらない。弁護団の戸舘圭之弁護士が7月8日から募ってきた有罪立証撤回を求めるオンライン署名は、13日までのわずか5日間で4万5千筆を超えた。権力の暴挙に対し、人々の怒りが広がっている。(O)


G7東京司法相会合に抗議
  戦争準備の米日韓

 先のG7サミットは、ウクライナ戦争推進・中国包囲・核兵器正当化に終始した5月の広島首脳会合の他、日本各地で各閣僚会合が行なわれた。東京では7月7日、司法相会合が行なわれた。
 この司法相会合に反対する行動が、都内で6日、7日と連日取り組まれた。主催は、「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委」(反戦実など)が呼びかけのG7広島サミットに反対する東京実行委。6日には新橋駅前SL広場で集会とデモ、当日の7日には、会場である赤坂ニューオータニホテルそばの赤坂見附交差点で、警察や右翼の妨害を跳ね除け、果敢な情宣行動を展開した。
 「総行動」は今後も、戦争に反対し、沖縄・韓国民衆連帯の闘いを進める。今秋臨時国会での改憲策動との闘いも提起されている。また、警察・右翼の妨害挑発を撥ね退けることも重要な課題となっている。
 岸田首相は、7月11日リトアニアでのNATO戦争会議に参加し、8月18日には米日韓首脳のキャンプデービット密談が策されている。戦争準備に反対しよう。(東京Ku通信員)