韓国ワイパー闘争
 解決案求め日本遠征団
  親会社デンソー、トヨタへ株主総会行動

 韓国ワイパー労働者は、韓国民主労総の金属労組韓国ワイパー分会に結集して、韓国のデンソーグループ(デンソーコリア、デンソーワイパーシステム、韓国ワイパーなど)の労働組合つぶし・会社つぶしに対し、会社清算方針が発表された昨年7月からだけでも、一年近くにわたって闘っている(本紙641号参照)。
 2月の韓国裁判所で解雇禁止仮処分を得て以降、韓国では雇用労働部(日本の厚生労働省にあたる)が仲介する形で、金属労組韓国ワイパー分会と、会社側の韓国ワイパー、デンソーコリア、デンソーワイパーシステム等との五者協議がすすめられてきた。労組としては、その間、闘争を控える対応をしてきたが、会社側はのらりくらりと一向に問題の解決策を提案しない態度に終始した。そればかりでなく3月15日には、組合がろう城している工場に韓国警察を導入して、機械類を搬出するという暴挙を行なってきた。
 会社側との交渉は5月に入っても、会社ののらりくらり政策が続いて、一向に解決の糸口が見つからない状況に陥り、組合は決裂を決意し、新たな段階の闘争に入ることを決定した。
 6月14日にはデンソーの大株主であるトヨタ自動車の株主総会があり、20日にはデンソー本社の株主総会がある。労組は五者協議を継続しながらも、この二つの株主総会を標的にして、日本遠征の闘いを組むことを決意し、第三次日本遠征団を送ることにした。
 韓国ワイパー分会はチェ・ユミン分会長をはじめ、5名の代表団を愛知に派遣し、6月9日、コミュニティ・ユニオン東海ネットワークなど名古屋、東海地方の労働組合と第三次遠征団との、最初の会合が行なわれた。6月14日に次の五者協議がある。デンソー本社の株主総会前に、まずは、この五者協議で会社側の解決案を出させるために、12日からデンソー本社行動を行なうことになった。会合後、チェ分会長は五者協議のため、帰国した。

6・12~6・19

 6月12日、朝8時前に刈谷駅に集合し、デンソー本社への申し入れ行動を行なった。韓国遠征団数人と日本の支援十数名で、本社へ向かうと、正門を固く締め、中にガードマン数十人を配置して、申し入れ行動を阻止する態勢をとっていた。韓国デンソーグループの親会社であるデンソー本社が当事者労組の申し入れを一切受け入れない、という許すことのできない暴挙である。
 小雨の降る中、正門の前で、次々に出勤してくるデンソー本社の労働者に対して、韓国のデンソーグループによる労働組合つぶし・会社つぶし、また本社が面会を拒否している不当性を訴えた。本社の労働者は会社の見ている前では、チラシを受け取る者はほとんどいなかった。残念な情景を韓国労働者に見せることとなった。
 本社行動の後、名古屋へ。午後4時から、名古屋駅近くのミットランドスクエア内にあるトヨタ自動車名古屋オフィスへの申し入れ行動。駅前の街頭宣伝では、多くの通行人がチラシを受け取ってくれた。トヨタ自動車は申し入れの受け取りを拒否したが、雨の中、遠征団6名、日本側十数名の行動で、トヨタ自動車に対して一定の圧力を与えられたと思う。
 翌13日、再びデンソー本社前で申し入れ・街宣行動。午後からは愛労連と連合愛知に対し、支援要請。愛労連は議長が対応し、連帯の意思表明をいただいた。連合愛知は副事務局長にチラシを手渡した。
 14日は豊田市で、トヨタ自動車の株主総会。株主の多くが宿泊している名鉄豊田ホテル前で、早朝から株主に向けて宣伝行動。株主の多くはチラシを受け取ってくれた。午前十時にトヨタ本社への申し入れ行動。トヨタ本社は、韓国ワイパー労働者の代表を社内に入れて、申し入れ書を受け取った。一連の申し入れ行動で受け取ったのはここだけ。
 午後2時からは、愛知県庁内で記者会見。新聞社5社が参加し、翌日、中日新聞が地方版に掲載した。夜、韓国での五者協議の結果が報告された。会社側から解決に向けた提案はなく、19日に再度交渉と報告された。
 その19日、朝から刈谷駅前、デンソー本社行動。同時刻に韓国では五者協議。この協議でも会社側は具体的な解決案を示さず、次は6月29日協議となった。
 この19日は夕方、「あいち総がかり行動」主催の「19の日」行動として、名古屋市街で「悪法のデパート岸田政権いらない!集会&デモ」が開催された。総勢300人ほどのこの集会で、韓国ワイパー労働者は壇上に上がって報告を行ない、翌日のデンソー本社株主総会行動への参加を広く訴えた。

6・20デンソー株主総会

 6月20日、韓国ワイパー分会は金属労組の役員を含めて13名に増え、分会長のチェさんも先頭に立って活動。日本側は20名ほど。本社前と刈谷駅前の株主送迎バスの発着地に分かれて街宣活動。デンソー本社は、株主と社員だけを社内に入れ、それ以外は相変わらず排除する態勢である。
 本社前では、会社の不当な対応に抗議し、30名ほどが通路に座り込んだ。金属労組の役員や韓国ワイパー分会の労働者が次々と抗議の声を上げ、その声の合間には韓国の舞踊と、正門前は賑やかだ。集会の中で分会長のチェさんが、髪を切って抗議の意思を表明した。韓国では、断髪は闘争の新たな展開に向けた決意表明を意味する。会社側がいつまでも解決策を示さず、現状を続けるのであれば、闘争の段階を上げて闘うことになる。
 正午前、株主総会が終了した。午後、韓国側と日本の支援側で今後の闘い方について話し合いが行なわれた。株主総会行動を全力で取り組んだ直後でもあり、当面、これまでを振り返りつつ、次の段階としては韓国・日本の双方で検討することとなった。
 韓国ワイパー第三次日本遠征団の闘いは、日韓労働者の連帯した闘いを教訓として、新しい段階に発展する。(東海S通信員)


尾澤裁判6・20結審、判決は9・11
 争議無視・事実歪曲の求刑

 韓国サンケン闘争の延長戦ともいえる尾澤裁判が、6月20日さいたま地裁で結審した。検察側は、1年の懲役を求刑。
 この論告求刑で検察側は、事柄の大前提である韓国サンケンの解散、解雇には全く触れずに、尾澤さんの要請行動を警備員との押し問答に切り取り、事実とは異なる尾澤さんの「暴行」にゆがめ、また当日の警備員の警備体制に検討も加えることなく、「威力業務妨害」を無理やり付け加えるという不当な求刑を行なった。そればかりではなく、尾澤さんは韓国サンケン労組から委任状もなく、労働組合の団体交渉として委任されていないので違法性は阻却されないとした。さらには40年以上前の三里塚での「前科があり犯罪傾向は減少していない」とし、「再犯の恐れが大きい」などを並べ立てて求刑を出した。
 これに対して弁護人側は、「被告人は敷地外に押し出されている」、「受付に行こうとして阻まれた。被告人の行為が『暴行』ならば、警備員の行為も『暴行』になる」とし、また威力業務妨害については警備体制の通常業務とは異なることも指摘した。そして尾澤さんの証言は、客観的証拠であるビデオ記録とも符合し、弁護側証人で事件の目撃証人である埼玉市民の会の松平証人や、韓国サンケン労組のキム・ウニョン証人の証言内容と符合していることから高度の信用性がある。一方検察側証人の警備員の証言はビデオ記録と矛盾する点が多く、尾澤被告人の証言と相反する点については信用性が認められない。これらから「被告人は無罪であり、犯罪は成立しない」と断言。また「これは労働問題であり、違法性が阻却される」とし、尾澤さんは「当該労組とサンケン本社との話し合いを求めたのであり、委任状の提示にこだわる必要はない」と指摘した。
 判決は9月11日。
 公判後、浦和駅に向かって尾澤無罪を訴えるデモが、50名を超える人々で行なわれた。(東京Ku通信員)


沖縄の戦場化を許すな!6・15集会
 今週・県民大会に呼応を

 6月15日東京では、「沖縄の戦場化を許すな!6・15反戦集会」が渋谷勤労福祉会館で開催され、およそ50名の労働者・市民が結集、琉球弧の人々と共に闘う関係の構築を求めて断固とした闘いを貫徹した。主催は、資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委員会。
 集会は、「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」、また「うるま市島ぐるみ会議」の共同代表である照屋寛之沖縄国際大学名誉教授の講演、これを第一部として開始された。
 照屋教授は、日米両政府がありもしない有事が目前に迫っているかのように「台湾有事」を煽り立て、沖縄の戦場化をもたらす自衛隊基地配備による南西諸島の攻撃拠点化、日米共同統合演習を積極的に推進する日米政府の策動をばくろした。併せて、このかん安倍・菅・岸田政権が軍備を飛躍的に増強し、空港・港湾の自衛隊優先、軍事使用の常態化を進めている実態を明らかにした。
 そして、沖縄の戦場化に反対して闘う与那国島、宮古島、石垣島や、沖縄島初となる陸自うるま勝連分屯地へのミサイル配備(今年度内に計画)等に対する反対運動を紹介。さらに、奄美大島から石垣、宮古までのミサイル部隊を指揮統制・管理する連隊本部がうるま市勝連に置かれようとしており、真っ先に攻撃目標になる危険性を明らかにした。
 この危険に対し教授は、「抑止力に依存するのではなく、平和外交を展開すべき。日本は外交の主導性を発揮し、中国との関係を安定させる役割を担うべきだ」としつつ、
 最後に「沖縄を二度と戦場にさせないための全国的連帯の輪を広げたい」、「諦めたら負ける。もの言わぬ民は滅びる、命どぅ宝!」と講演を結んだ。
 第二部では、反戦実の松平さんが集会基調を報告。東アジア・沖縄を戦場化する日米共同作戦計画が進められ、切れ目のない軍事演習、要塞づくり、弾薬備蓄、兵站線の整備が急がれ、住民の命と生活への脅威が強まっている。また、地域生活への自衛隊の浸透、住民監視など市民社会の戦時体制への転換が進められている情勢にある。
 方針では、島々の人々の抵抗闘争に連帯して、「秋の沖縄県民大会を目標に、ヤマトでも戦場化阻止の闘いを拡げていこう」とアピールし、台湾有事の煽動を止めろ、沖縄・韓国民衆と連帯して闘おう!など5項目の課題を明らかにした。
 連帯発言はまず、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの大仲尊さん。「与那国島の北側に長さ1㎞の巨大なサンゴ礁が存在し、南側で直径30mのサンゴ礁リーフトンネルが発見された。その近くの島内に琉球最大とも言われる湿地帯があるが、そこに軍港を造り、自然を破壊しようとしている。この事が知られ、沖縄を戦場とする策略に反撃する闘いの展望が出てきた」と報告した。
 続いて、戦争・治安・改憲NO!総行動の石橋新一さん。まず、警察によるデモ監視・介入下で、右翼5名が、板橋区の公園での練馬駐屯地反基地集会を襲撃し負傷者を出した6月4日の暴力事件を報告し、抗議声明賛同など反撃を呼びかけた。そして、「自衛隊と警察による新しい警備体制が作られようとしている。国家の在り方が変わる」と警鐘を鳴らした。
 連帯発言の最後は、韓国サンケン闘争弾圧・尾澤裁判の、被告人尾澤孝司さん。6月20日、9月11日への結集を呼びかけた。
 照屋さん講演に応え、今後の全県的組織の立ち上げ、沖縄県民大会を念頭に戦場化阻止の闘いを全国で発展させよう。(東京O通信員)