軍拡反対は沖縄と共に
  沖縄の戦場化を許すな!6・15反戦集会

 沖縄では5月21日、中部・北谷町で「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!5・21平和集会」が開かれ、約2100名が参加した。主催は同集会実行委員会で、2・26に那覇市で開かれた集会(約1600名)を次ぐ2回め。
 集会では、与那国、石垣、宮古、沖縄、奄美、馬毛島などから人々が集い、戦争基地化に反対する島々の共同闘争を確認するとともに、「隣国に向けるものはミサイルではなく、平和です。日本全国で日中の平和外交・民間交流へ推進の声を」(集会宣言)として、市民・自治体からの平和発信が強調された。3・30沖縄県議会決議をふまえ、また玉城デニー知事の7月訪中を意識した宣言であろう。
 これに先立つ5月12~15日には、沖縄平和運動センターおよび「本土」からの労組員などによって、今年も「5・15平和行進」が行なわれた。平和行進は沖縄島3コース等で展開され、「沖縄を、日本を戦場にさせない」大会宣言が発せられた。
 沖縄民衆は、これら大衆行動を重ねつつ、ミサイル基地化と戦争に反対する新たな全県組織の立ち上げへ進んでいくだろう。
 他方、日本政府はこれら沖縄民衆の戦争反対の意思を何ら考慮することなく、先島への自衛隊地対艦ミサイル部隊配備を3月に完了させるとともに、4月下旬からは、朝鮮の偵察衛星打ち上げ予定を格好の口実として、PAC3迎撃ミサイル部隊を宮古・石垣・与那国にも配備した。
 与那国ではミサイル基地化容認の町長が、このPAC3の常駐を求めたり、また島からの避難者を助成する条例が検討される事態となっている。島民は、「硫黄島」化(先の大戦で住民強制疎開が行なわれ激戦場となった)の現実的危険を指摘している。
 今、南西諸島で起きている事態を知り、島々の人々の平和への思いと努力に連帯することが、日本「本土」の我々に欠かせない。それなくして、東京などでの軍拡反対・生活防衛の闘いも成り立たないと言うべきだ。
 「沖縄の戦場化を許すな!6・15反戦集会」(渋谷勤労福祉会館・午後6時半) が、照屋寛之さん(ミサイル配備から命を守るうるま市民の会)の講演をもって開かれる。主催は資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委。以下、そのチラシ宣伝文を紹介する。(編集部)
    
 琉球弧を要塞化した
 米日帝国主義


 去る3月16日、石垣島にミサイル基地を開設したことで自衛隊は、琉球弧要塞化の空白地帯最後のピースをはめたと宣言して見せた。これはアメリカが、自己の世界覇権を脅かす唯一の競争相手と恐れる中国を、軍事的に叩いて自己のグローバルな政治経済構造の下に組み敷くために、日本を先兵として押し出したということである。
 東アジア―沖縄を戦場化する作戦計画の下、軍事演習の切れ目ない実施と並行して、陣地づくり、弾薬備蓄、兵站線の整備が急がれ、住民の命と生活への脅威が強まっている。住民に対する監視、地域生活への自衛隊の浸透などの形で、市民社会の戦時体制への転換が進められている。これに対して島々の人々は、「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓を胸に、抵抗を始めているのだ。

 戦場化を阻止する
 ことは可能だ


 第一にアメリカは、世界覇権維持のための戦争を、単独で実行することが出来なくなった。アメリカは自己の衰退をカバーするために、日本を対中戦争の最前線に動員しようとしている。しかし日本が先兵となれば、韓国・強制連行問題のように日本の侵略・植民地支配の歴史の記憶を東アジア民衆の間で広く呼び覚まし、アメリカ主導の「米日韓軍事同盟」の連携に大きな亀裂が入る。
 第二に、アジア版NATOを作ろうとしているアメリカは、日本に戦争を肩代わりさせようとしているが、日本は中国と経済的に大きな依存関係にある。アメリカは日本に対して対中デカップリングを強要しているが、グローバル経済時代にそれは不可能である。しかも日本の資本は、アメリカによって先端産業進出を制約されて「失われた30年」を強いられ、不満を溜めてきている。
 第三にアメリカの世界秩序は、労働者民衆の生存を保障できなくなった。産業の成熟によって新規投資領域を実体経済に見いだせなくなった資本は、一方で投機マネーを肥大化させ、その対極に失業・半失業層を世界的に膨張させた。この危機的構造を隠蔽してきたゼロ金利の金融緩和政策もインフレを招いて限界に逢着し、超巨大バブル崩壊が切迫する局面に入っている。アメリカの中ロに対する経済制裁がこの事態を加速させた。土台の所では地球環境の崩壊が進行中だ。
 アメリカにとって対中戦争は、自己の覇権終焉の「危険」を伴わずにいない。

 民衆の連帯を

 結局、戦争を望んでいるのは、自分では戦いたくないアメリカと、アメリカ頼みで「台湾有事は日本の有事」を叫ぶ人たちだけだ。われわれは台湾の植民地支配と中国侵略戦争の反省の上に立って、「一つの中国」を確認してきた。それが中国人民との民衆同士の連帯を築くうえでの不可欠の条件だ。台湾先住民も含めた独自の文化及び自己決定権の承認はその前提となる。それとともに米日両国政府による琉球弧戦場化の策謀に抗し、琉球弧の島々の人々に寄り添い、共に闘う関係を強めることである。労働者民衆が連帯すれば必ず勝利する。6・15集会にご参加を!


広島サミット反対!5・18新宿デモ
 NATOの世界拡大反対!

 5月19日から21日に広島市で開催されたG7広島サミットに対して、東京では、その前日の18日に「G7広島サミット反対!5・18新宿デモ」が行なわれた。主催は、戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会(総行動)が呼びかけた「G7広島サミットに反対する東京実行委員会」で、新宿駅東口アルタ前に約100名が参加した。
 人通りのたいへん多いアルタ前に装甲護送車(カマボコ)が3、4台並ぶという異様なサミット警備に関わらず、6時からの集会は熱のこもったものとして貫徹された。
 発言は、都教委包囲ネットの仲間から始まり、G7いらない!首都圏ネットワークの京極さんから、広島市での5月13日「広島サミットを問う市民のつどい」、翌日の原爆ドーム前からのデモなど現地報告が行なわれた。次いで韓統連の発言、フィリピンの仲間のアピール紹介、また、5月19~20日の広島市内デモを企画する「現地デモ実行委員会」の仲間から、サミット予防弾圧的な5月11日の6名令状逮捕(2月の三里塚強制収用抗議を容疑)の報告と糾弾が行なわれた。
 主催者から、7月7日の司法相会合についての闘いの訴え(東京司法相会合に反対する6・22討論集会、6時半・文京シビックセンター4F)があって集会終了、新宿駅を挟んで一周するコースのデモに出発。
 デモ隊には、フィリピンの人も含めて国外の人々が散見された。シュプレヒコールでは、「G7広島サミット反対!」ばかりではなく「NATOの世界拡大反対!」「中国包囲網反対!」「琉球弧を戦場にするな!」「民衆連帯で戦争のないアジアをつくるぞ!」など「台湾有事」「朝鮮半島有事」を見据えたコールで、現状に則した行動であった。
 今回のG7広島サミット反対行動では、昨秋の安倍国葬反対デモに比べるならば、広島現地を含めて低調な行動となってしまった。その考えられる要因は、議会内政党は当然のこととして総じて排外主義への屈服にあるだろう。突如サミットに参加したウクライナのゼレンスキーに対し、大手マスコミを中心としてウクライナ支援の論調が席巻した事態によって、サミット反対に向かう行動意志が削がれてしまったのではないだろうか。
 私見であるが、マルクス主義を「疎外論」として理解する部分は、その根幹をヒューマニズムとして捉え、このウクライナ戦争の政治経済的側面をないがしろにして、ウクライナ支持に向かってしまう傾向となっていると思える。このような傾向は「疎外論」派ばかりではなく、左派部分にも多く見られる。
 このウクライナ戦争が、NATOとロシアの帝国主義国家間の戦争であり、アメリカ帝国の意図が強く貫かれた戦争であること。そしてこの戦争を終息させるためには、自国政府打倒の反戦闘争を必要不可分とすること、これらの認識が問われる。
 今回のG7広島サミットは、ウクライナ支援を前面に立てつつも、韓国尹錫悦大統領を招請するなど、日米韓軍事同盟確認の場とも言えるものであった。ウクライナ戦争は停戦も見えていないが、停戦状態のままなのが朝鮮半島である。再び火を付けるのでなく、戦争を完全に終わらせねばならない。(東京Ku通信員)


5・17尾澤裁判、被告人真実を語る
 求刑日6・20は無罪デモ行進

 韓国サンケン闘争で不当起訴された尾澤孝司さんの第7回公判が、5月17日さいたま地裁で開かれた。今回は尾澤さんへの被告人質問。被告側は当初から、大法廷使用や入廷整理券配布時間30分前を再三要請してきたが、今回も地裁側は強権的に受け付けない。
 午前中は弁護人3名から、尾澤さん逮捕当日(21年5月10日)の行動とその背景について質問。韓国サンケン労組支援の正当性と尾澤さんの果たした役割(支援する会事務局次長)が入念に説明された。当日が埼玉市民の会のサイレントデモの日であったこと、そして5月6日に韓国の地労委から話し合いを行なえという勧告が出されており、なおかつ韓国サンケンの会社側が当事者能力を完全に消失していた状況下で、本社側の責任ある部署の人物に勧告内容を手渡そうとしたのが、当日の行動内容であったことが明らかにされた。また警備員とのやり取りでの「暴行」に関しても、映像が提示され(傍聴席からは一切見えないが)、暴行を受けたのはむしろ尾澤さんであることが示された。
 裁判長から尾澤さんに、何か言いたいことがあればと促されて彼は、「私は公的機関である地労委の『和解勧告』を本社の責任ある人に知らせ、労組と話し合うよう伝えようとした。受付に行こうとしたのに妨害され、敷地外に押し出された。検察は起訴するため、無理やり罪を作り上げた」と話し、さらに「韓国の国会議員68名の嘆願書を証拠として提出します。この重さを受け止めて無罪判決を出してほしい」と訴えた。
 午後からは検察側が質問。主席検事は、映像を使いながら暴行の有無を問いただすに過ぎず、前回公判における韓国サンケン労組からの「委任状」問題では、キム・ウニョンさんに一蹴されたためか言及が全くなく、わずか30分ほどで終わった。
 弁護人からは、韓国国会議員の嘆願書を証拠として提出したいと申し出たが、検察側は不同意と答えた。裁判長は嘆願書の国会議員名などに日本語訳を添えるよう要請し、証拠として採用される可能性が強まった。
 次回は論告求刑と最終弁論で6月20日。判決は、9月11日と日程が決まった。前回公判でのキム・ウニョンさんの証言で、裁判の潮目は大幅に変わった様相である。しかし最近の労働刑事裁判では、組合側の敗訴の事例が多々ある。無罪を勝ち取るまで気を緩めず闘い抜こう。6月20日には公判終了後、無罪判決を求めてデモ行進を行なう。

 ●韓国ワイパー
   6・20日本遠征


 一方、デンソー傘下の韓国ワイパーの労使交渉は決裂が伝えられた。尾澤公判日でもある6月20日に、デンソーの株主総会が、本社のある愛知県刈谷市で行なわれる。韓国ワイパー労組は、この株主総会に派遣団遠征を決定している。支援の闘いを全力で取り組もう。(東京Ku通信員)