福島第一原発
 汚染水を海に流すな!5・16東京行動
  放出待った!国内外から

 5月16日、「汚染水を海に流すな!5・16東京行動」が終日行なわれた。福島第一原発事故で発生したタンク貯蔵放射能汚染水の海洋放出を、政府と東京電力が今夏開始せんとしていることを阻止するためである。
 午前中に東電本店要請行動、午後に政府・国会要請の院内集会(200人以上の盛況)、その後の日比谷野音集会と銀座デモ、等が展開された。行動は、これ以上海を汚すな!市民会議と、さようなら原発一千万人アクション実行委の共催。
 夕刻野音の「汚染水を海に流すな!5・16東京集会」には約500人が参加、鎌田慧さんの主催者挨拶で始まり、織田千代さん(これ以上海を汚すな!市民会議)が基調報告。
 基調報告は以下のように述べた。菅政権時の2021年4月13日に、自公政権は東電が汚染水を海洋放出することを認める閣議決定を強行した。これは、政府と東電が福島県漁連や全漁連に対し、「関係者の理解なしには如何なる処分も行なわない」とした2015年の文書約束を反故にするものであり決して許されない。また福島県内の農林業者・消費者団体の反対声明、各自治体の意見書、国内外の反対・懸念の世論を無視する暴挙である。
 今日の要請行動では、県漁連等との約束を守り、海洋放出を中止すること。全情報を公開し、原子力規制委員会の再審査を行なうこと。地上保管案など適切なALPS処理水対策を立てること等を政府・東電に求めた。政府は処理水問題解決が福島復興に欠かせないとするが、事故被害者との約束も守らず、県外にも汚染を拡げるようなことが復興とは決して言えない。
 次いで福島からの報告として、片岡輝美さん(同市民会議)、柳内孝之さん(小名浜機船底曳網漁業協同組合)が発言。柳内さんは、福島の漁業はこのかん試験操業を通じて少しづつ復興し、現在は市場検査も続く本格操業への移行期にある。この時期での汚染水放出は許されないと訴えた。
 首都圏からは、大束愛子さん(放射能汚染水の放出に反対する北区の会)、練馬区の環境まちづくりNPO元気力発電所が発言。韓国からは、市民放射能監視センターの皆さんが壇上で紹介された。
 国会からは、川田龍平(立民比例)、福島瑞穂の両参院議員が挨拶。川田さんは、福島1号機の原子炉倒壊の危険についても発言した(この危険について、原子力規制委員会も5月24日ようやく東電に対策を指示した)。
 最後に佐藤和良さん(同市民会議)が行動提起。政府・東電の今後の段取りは、放出路検査、IAEAの調査と報告、県への説明となる。これに対し福島県をはじめ各県6月県議会への要請を強めよう。7・17小名浜行動を成功させようと訴えて、集会は終了した。
 なお、韓国原子力安全委員会など韓国政府の視察団が5月23~24日、福島第一を視察した。韓国ユン・ソンニョル政権は3月16日東京の日韓首脳会談で、米国の指揮にもとづく韓日「正常化」に舵を切ったが、5月7日ソウルでの韓日首脳会談では、汚染水海洋放出についても容認へ転換した。その担保的な産物として、政府視察団を福島へ送ることとなったのである。
 とは言え、外国の視察団を日本政府が容認せざるを得なかったということは、汚染水放出問題の重大性・グローバル性を誰も否定できなくなっていることを示す。韓国原子力安全委の皆さんの、独立した適切な判断が望まれる。(東京W通信員)


5月「19の日」行動、終盤国会は山場へ
 軍拡財源確保法案阻止

 5月の「19の日」行動の日は、G7広島サミットの開催日でもあった。
 東京では国会前で、90回めの「19の日」行動が、「安保3文書撤回!軍拡増税反対!南西諸島のミサイル配備反対!改憲発議反対!暮らしをまもれ!5・19国会議員会館前行動」として行なわれ、1100名の労働者・市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 降りしきる雨をものともせず、総がかり実・高田健共同代表の挨拶で開始。高田さんは、「憲法審査会が異常なスピードで進められ、岸田は総裁任期中(来年秋まで)に改憲すると発言している。改憲と軍拡、許すか否かである。G7で外交の岸田、として解散に打って出ようとしている。あり得ないことではない」と指摘し、岸田政権を打倒できる野党・市民共闘の実現を訴えた。
 政党挨拶では、最初に社民党の福島瑞穂参院議員。「G7サミットが始まったが、広島で開催するならば核兵器禁止条約ぐらい批准すべきだ。しかし米国の言いなりなって軍拡競争にひた走り、安保3文書に基づく防衛費確保特措法案・軍事産業強化法案が出されている。戦争準備でなく、平和の構築こそ必要だ」。
 立憲民主の大河原雅子衆院議員も発言、「外国による日本の攻撃が起こりうるなど、国民をだますイメージ操作を繰り返す岸田首相の傍若無人ぶりに怒りを禁じ得ない。日中間の4つの基本文書は、平和友好のために知恵を出し合い対処すると誓っている。次世代も不戦を受け継ぐ国であることを世界に示すべき」と訴えた。他に、共産の山下芳生参院議員、沖縄の風の伊波洋一参院議員(メッセージ)が発言。
 次いで署名提出セレモニー。「大軍拡大増税に反対する請願署名」、「憲法改悪を許さない全国署名」など67万3495人分の署名が参加議員に手渡された。
 市民からの発言では最初に、平和を求め軍拡を許さない女たちの会・前田佳子さん(日本女医会会長)。「歴史の大きな転換点に立っている。平和主義を捨て軍事大国になっていいのか。井上ひさしは、憲法は国民が時の政府に発する命令だと言った。政府の勝手な理由で改憲を許してはならない」。
 オール沖縄会議の福元勇司事務局長がオンラインで挨拶し、辺野古新基地建設断念を求める署名が30万人を超えたと報告。「沖縄は70年以上、基地の犠牲を強いられてきた。その中で社会の分断を生み、自由と平等が奪われてきた。地域と国民を分断して行なう国策は、市民の連帯で止めねばならない」と述べ、
 6月5日、シンポジウム「辺野古の海から考える」(弁護士会館・午後5時半)。
 6月13日、辺野古署名提出に向けた院内集会(参議院会館101・正午)
への参加を呼び掛けた。

広がる入管法案反対

 移住者と連帯する全国ネットワークの山岸素子事務局長が、衆院通過後の入管難民法改悪案について発言。「参院の法務委員会で審議に入った。野党4会派は、難民等保護法案と入管法改正対案を提出して、政府の改悪案に真っ向から対立している。私たちはこれを支持し、政府案は廃棄一択と考え闘っている。国会内外で大きな声を上げよう!」と訴えた。
 難民申請者を強制送還する等の入管難民法改悪案への反対運動は、5月12日・国会正門前に4千人、5月21日・渋谷デモに7千人と大きな動きとなっている。若い人の参加が多い。また法改定の行方がどうであれ、子どもと保護者への特別在留資格の付与など、行政として出来ることは直ちに行なわせることが問われている。
 さて行動は最後に、戦争をさせない千人委の田中さんから以下の行動提起で終わった。
 5月22日、総がかり署名・街宣、新宿駅東南口。
 5月23日、軍拡(防衛)財源確保特措法廃案の緊急行動。議員会館前。
 5月26日、有楽町ウィメンズアクション。
 6月19日、第91回「19の日」行動、衆参議員会館前・午後6時半。
 岸田政権による改憲と戦争の危機は、ウクライナ戦争推進・中国包囲の広島G7をへて一段と高まっている。軍拡財源確保特措法案は、5月19日衆院財政金融委員会で強行採決、23日参院送りとなった。おもな野党は全部反対しているが、反対姿勢はてんでバラバラである。野党は、防衛力強化資金繰り入れの皮算用や軍拡増税など、岸田政権の泥縄的な防衛財源策にケチをつけているが、多くは軍拡賛成である。立民のように、専守防衛堅持だが長射程ミサイル保有に賛成というのは支離滅裂でしかない。
 運動情勢は、「専守防衛」守れを一致点にすれば共同行動が発展する、というわけでもない。軍拡を引っぱる政治路線(対ロシア・中国を掲げた日本NATO化)に反対しなければ、反戦平和運動にはならない。自主・平和・諸国民友好の政治路線を対置し、参院段階での軍拡反対運動をつくる必要がある。(東京O通信員)