岸田政権が、大軍拡・敵基地攻撃力で「新たな戦前」へ突進するなか、戦争反対・生活防衛の声が高まっている。また、あらゆる差別に反対し、新しい公共性を求める社会運動も大きな底流となっている。
 しかし4月統一地方選は、既存の野党、泉執行部の立憲民主や代々木の共産党が、この民衆動向に何ら応えられないことをバクロした。他方、維新が「改革」の甘言で自公批判票をかすめとったが、もはや時代遅れの新自由主義に前途がないことも明らかである。
 労働者民衆じしんによる、新しい政治勢力が求められている。自治・連帯・共生の新しい社会へ、国際連帯の新しい平和な東アジアへ、その行動が必要だ。反戦実行委の「6・15反戦集会」に参加しよう!(編集部)


5・3憲法大集会に2万5千人
  新たな戦前にさせない

 5月3日・日本国憲法施行76年の記念日、東京江東区の有明防災公園では、「あらたな戦前にさせない!守ろう平和といのちとくらし2023憲法大集会」が開催され、主催者発表で2万5千人の労働者・市民が参集した。
 主催は、平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会。共催は、総がかり行動実行委など6団体。この形での憲法施行記念日集会は、安保法制闘争さ中の15年横浜集会(3万人超)以来、9回めとなる。
 午後1時からのメイン集会では、最初に主催実行委の高田健さんが開会挨拶、「亡くなった大江健三郎さんは、横浜集会で憲法を熱く語った。今年はタモリさんが、TV番組で『新たな戦前』と語った。新たな戦前が、現実味を帯びて来た。遠くで米軍を助けるというだけではなく、日本じしんが攻撃する戦争の危険だ。改憲することなく安保法制、昨年の安保3文書と強行された。立憲主義の転倒だ。戦争の準備をすれば、戦争をしたくなる。今必要なのは戦争の準備ではなく、平和の準備だ。憲法審査会では、戦争に備えた緊急事態改憲が狙われている。来年秋までに改憲国民投票、この岸田首相・自民党の策動を阻止しよう!」と訴えた。
 次いで清末愛砂さん(室蘭工大・憲法学)、泉川友樹さん(沖縄大学地域研究所特別研究員)、東村アキコさん(漫画家)がスピーチ。

●3・30沖縄県会決議

 泉川さんは、日本国籍を持つ琉球人として発言するとしつつ、おもに日中関係について以下のように語った。「1996年に普天間返還が合意されたが何も進んでいない。むしろ悪くなっている。問題を解決できない政府、それを許しているのは主権者国民の責任だ。」「日本政府は中国脅威論で沖縄ミサイル基地化などを正当化しているが、その戦争準備は憲法に違反するだけではなく、78年の日中平和友好条約に違反する。また、72年の日中共同宣言で日本は、台湾は中国に属することの理解・尊重を約束している。」「今年3月30日の沖縄県議会は、日本政府に対し、これまでの日中合意の諸原則を順守し、平和的に問題を解決することを求める意見書を採択した。日中間の4つの基本文書、および14年の尖閣合意等を明示している。この県会意見書が、平和を構築する沖縄の回答である。」
 また、泉川さんの発言に続き、オール沖縄会議の辺野古新基地断念請願署名(5月19日締め切り)への更なる結集が呼びかけられた。
 国会議員からは、立憲民主・西村智奈美、共産・志位和夫、れいわ・櫛渕万里の各衆院議員、社民・福島瑞穂の参院議員が連帯挨拶を行なった。また、安保法制反対・立憲主義回復を求める市民連合からは、佐々木寛さん(新潟市民連合)が挨拶した。
 集会アピールの拍手採択、会場全体での「改憲・大軍拡NO!」等のプラカードアピールが行なわれた。
 各課題では、後半国会で成立が狙われている入管法改悪案について、山岸素子さん(移住者と連帯する全国ネットワーク)。今年1月に本体工事着工が強行された馬毛島自衛隊基地問題について、前園美子さん(馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会)。性差別問題について、宮子あずささん(看護師)が発言した。
 最後に、小田川義和さんの行動提起で終了し、五月晴れの下、2コースでパレードに出発した。

●憲法世論調査では

 さて、朝日新聞社の憲法記念日・世論調査(3~4月実施)では、「9条を変えない方がよい」55%、「変える方がよい」37%と出ている。安保法制闘争後の16年調査では、この2択は大差が付いたが、少しずつ9条改憲容認が再び増えてきている。とくに問題なのは、敵基地攻撃能力保有について「反対」40%、「賛成」52%であること。ところが専守防衛については「維持すべきだ」59%、「見直すべきだ」36%となる。これは、自民党の軍拡論理の支離滅裂さの反映でもあろう。
 我々の活動をいっそう工夫・拡大し、改憲勢力のペテンを粉砕して、世論を塗り変えていく必要がおおいにある。(東京W通信員)


4・26尾澤裁判、キム・ウニョンさんが証言
 日韓労働者連帯で無罪へ

 韓国サンケン労組支援の闘いで、不当にも逮捕拘留(昨年末に保釈)された尾澤孝司さんの第6回公判が、4月26日にさいたま地裁で行なわれた。
 今回の公判は、弁護側証人として、韓国サンケン労組元副支会長で韓国民主労総副委員長のキム・ウニョンさんが法廷に立つ。早朝から80名余りの傍聴希望者が集まった。このかん再三、大法廷使用の申し入れを行なってきたが、今回も裁判所側は要求を跳ね除け、中法廷での公判を譲らなかった。今回は、韓国からは元韓国サンケン労組支会長のオ・ヘジンさん、韓国ワイパー労組分会長のチェ・ユンミさん、また韓国KBSのプロデューサーも加わり、北海道、大阪の仲間も駆け付けた。
 今回の公判では、陪席判事2名と主席検事が変わるという異例の事態となったため、冒頭に被告人尾澤さんの再陳述が行なわれた。キム・ウニョンさんの証言は、裁判所側の通訳者を交えて午前中には弁護側の、午後には検察側の質問がそれぞれ行なわれて、三時間半に及ぶ大変長時間の公判となった。
 キム・ウニョンさんは証言で、この事件がサンケン闘争という労働運動の中で起こったこと、尾澤さんの行動は支援闘争の一環であったことを明らかにした。検事側の質問は、支援闘争要請の『委任状』有無を問いただすという姑息な手法を用いたが、ウニョンさんからは、2016年の遠征闘争以来の日本の支援者との関係を交えて闘いの継続があったこと、日韓労働者民衆連帯の崇高な闘いの意義が述べられた。それ故に警察の労働運動への不当な介入は許さるべきものではない、と明らかにした。
 公判終了後、浦和駅近くの埼玉会館で、報告集会が行なわれた。
 裁判報告集会は、「韓国サンケン労組を支援する会」共同代表で東京全労協の中原純子さんの司会で始まり、主催者挨拶を支援する会共同代表で全労協議長の渡邉洋さんが行ない、ウニョンさんが海を越えて証人として法廷に立ってくれたことに感謝の意を述べた。公判経過報告は、支援する会の深沢さんが、「検察は単純な暴力事件にしようとしたが、キム・ウニョンさんの証人採用で裁判の流れは変わりつつある」、「今日のウニョンさんの証言で、尾澤さんは労働争議の一環として申し入れを行なったこと、労使問題であることが明らかとなった」と報告した。
 キム・ウニョンさんが登壇し、遠征闘争以来の今日までの日本の支援者に対する思いを語った。「私たちは家族のような関係で一緒に闘いました。連帯闘争というのは、こういうものだと学びました」、「このような関係の中で『委任状』なんて必要でしょうか」、「サンケン闘争は交渉で終わったわけではありません。尾澤さんの裁判が終わらなければ、この闘いは終わったとは言えません。私たちの闘いは続いています」、「日本と韓国の労働者は平和を作るために、そして真実のために、今後も連帯を深めていきましょう。日米韓軍事同盟に反対し、朝鮮戦争70周年を平和の70年にするために、力を合わせましょう。私たち労働者民衆が力を合わせればできると思います。その道に尾澤さんの無罪があると思います」と語り、130万民主労総組合員は共にあると宣言した。
 続いて、トヨタ系の親会社デンソー(本社・刈谷市)と闘争中の、韓国ワイパー労組分会長のチェ・ユンミさんが発言した。
 ユンミさんは、「今日尾澤さんの裁判をみて、不当な国家暴力のことや、私たちの職場で起きた警察を使った尹錫悦政権の弾圧についてなどを考えました。闘う労働者民衆に対する弾圧は、日本も韓国も同じだと感じました」、「デンソー本社に遠征闘争を行なったことがありますが、その時日本のみなさんが見せてくれた闘いは素晴らしいものがありました。このように直接にみなさんにお会いして、心を通わせ話し合い、闘うことが、どういうことか分かりました」と語った。
 韓国ワイパー労組の現在の闘いは、今年1月に解雇禁止の仮処分判決をかちとり、これを受けて雇用労働部が仲介する形で、デンソーコリア、デンソーワイパーシステムズ、韓国ワイパーの会社側3社と労働組合側に雇用労働部を交えた5者の協議が、4月12日にもたれている。現在は交渉が進んでいるので、籠城、座り込みはすべて解除し、平和的交渉期間となっていると語った。
 キム・ウニョンさん、チェ・ユンミさんへの質疑応答の後、尾澤孝司さんが挨拶し、最後に、支援する会共同代表で韓国良心囚を支援する会全国会議代表の渡辺一夫さんの閉会挨拶で締めくくった。
 韓国ワイパー労組の闘いは、平和的交渉の中にあるようだが、サンケン闘争の例を引くまでもなく、最後まで気を緩めず闘う体制を築くことが肝要と言える。また尾澤裁判では、こちら側がかなり押している様にうかがえるが、同様に闘う体制の堅持が必要だろう。
 次回の第7回公判は、5月17日被告人質問。第8回公判は、6月20日論告求刑・最終弁論。判決日は追って指定とのこと。なお傍聴闘争は、さいたま地裁前8時半集合。尾澤裁判に日韓労働者民衆連帯で勝利しよう。(Ku)


 広島G7反対!
 
 4月2日、「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会」(反戦実など)が呼びかけの「G7広島サミットに反対する!東京実行委員会4・2結成集会」が、東京・文京区民センターに約60名の参加で行なわれた。経済学者の小倉利丸さん、ピースデポ代表の湯浅一郎さんが講演。同実行委は、5月18日にアルタ前から新宿デモを行なう。
 広島現地では、5月13日に「G7広島サミットを問う市民のつどい」(中区民文化センター・午後1時)が開催される。14日には午後1時から原爆ドーム前集会、市内デモを行なう。(A)