戦争続行・沖縄戦場化のG7広島サミット断固反対
  東アジアで戦争させない

 5月19日から広島市を主会場に、G7サミットが開かれようとしている。広島サミットは、欧州の悲惨な戦争を継続・推進し、東アジアでも分断・緊張を激化させ、戦争の危険を高める。その開催に断固反対し、G7の解散を求める。G7戦争同盟に反対し、戦争反対・平和実現の国際連帯を進めよう。
 今回のサミットは第一に、ロシア・ウクライナ戦争の実質的な参戦国会議である。国際紛争を武力で解決する戦争を放棄し、交戦権を否認する平和憲法を持つ日本は、その議長国を務めることはもちろん、参加じたいを返上すべきものである。日本を含め各国政府に求められているのは、交戦国ウクライナを矢面に立て軍事支援で火に油を注ぐことではなく、早期停戦へ向けた外交努力である。
 昨年2月のプーチン政権による国際法違反の全面侵攻で始まったこの戦争は、今日ますます、ウクライナの支配をめぐる、また欧州安全保障秩序をめぐる、NATO陣営(とくに米英)とロシアとの帝国主義間戦争であることが明らかとなっている。「即時停戦・ロシア軍撤退」の要求で始まった世界の平和世論は、ロシア・米NATOの2つの覇権主義に反対し、世界戦争・核戦争への拡大を阻止して、早期停戦の圧力を強めねばならない。ゼレンスキー政権側の言う「全土・即時・無条件」のロシア軍撤退要求では、早期停戦は実現できず、戦争継続が正当化されるだけとなる。比較的に公正・中立で、現実的な停戦案が検討されるべき時期にある。しかしまた、そうした停戦は、諸国家の妥協の産物であり、血を流す政治から血を流さない戦争への移行であるにすぎない。
 国際労働者階級にとっては、ウクライナ人・ロシア人をはじめとする労働者人民の、これ以上の殺し合いを止めさせることが第一である。そして、戦争に反対し平和を求めるだけでは足らない。大衆運動的には停戦案をあれこれ求めても、「交戦諸国の秘密外交にもてあそばれるだけ」(レーニン)となりかねない。戦争の根源である資本主義に反対し、戦争を継続する自国の資本家政府を打倒する闘いに全力をあげることが肝心である。
 さて、岸田首相は3月21日、広島サミット議長国としての面子を立てるつもりなのか、ウクライナに入国し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行なった。
 日露戦争アイテムの「必勝しゃもじ」をお土産にするという、岸田の好戦的な軽薄さも問題ではあるが、日本の首相が国会に秘密で戦地を訪問し、交戦国政府を激励すること自体が憲法違反である。実質的な問題は、「NATO信託基金」を通じて「殺傷性のない装備品支援に3千万ドル」を約束したことである。岸田はNATO基金拠出でも使途を指定できると国会答弁しているが、兵員輸送車などの武器輸出に踏み込もうとしている。また総額71億ドルに追加4・7億ドルを表明したウクライナ支援においても、すでに防弾チョッキ・通信用ドローン・地雷処理など軍事支援が含まれている(ウクライナは高度のドローン改造技術を持つ)。
 また岸田・ゼレンスキー会談と、モスクワでの習近平・プーチン会談が同日となり、東アジアの分断が世界に印象づけられる結果となった。中国は昨秋の中国共産党20回大会以降、グローバル外交を活発化させている。中国は安保理常任理事国であり、またロシア、ウクライナ両国と友好協力条約(これは冷戦時代における集団的自衛権の相互援助条約とは異なる)を結んでおり、停戦実現にそれ相応の役割を果たせる可能性がある。これに比べ、岸田はただバイデンに追随しているだけである。
 ヨーロッパの戦争をアジアが終らせることができるならば、それは欧米が主導した数百年の植民地主義・帝国主義の時代の終焉を告げることとなるだろう。
 広島サミットは第二に、この台頭する中国に対して包囲戦略をすすめ、東アジアでも戦争の危険を高める会議である。
 米バイデン政権は、その世界覇権を脅かす唯一の戦略的競争相手と中国をみなし、中国包囲のために、日米安保を軸とした太平洋版NATOを進めている。また韓国ユン・ソンニョル大統領をサミット会合に参加させ、対朝鮮の米日韓三角軍事同盟化を進めようとしている。広島サミットを通じて、太平洋版NATO・米日韓安保を強化するその先頭に、日本が大軍拡・敵基地攻撃力をもって立つことになる。
 このかんG7サミットに対しては、格差拡大・環境・人権の諸問題をG7に突き付けるカウンター運動が世界的に主流となってきた。しかし広島サミット批判・反対の運動は、「戦争」をメインテーマとしなければ話にならない。とくに、沖縄で南西諸島ミサイル基地化反対の取り組みが大事な時期に来ており、これと結びつけた運動とする必要がある。
 東京では4月2日、多くの運動団体によって「G7広島サミットに反対する!東京実行委員会」が結成され、5・18新宿行動(午後6時・アルタ前、7時デモ)が闘われる。(A)


韓国労働運動弾圧、日韓米三角軍事同盟
のための3・16日韓首脳会談

  日韓「正常化」で両国民衆に敵対

 この3月、日本・岸田政権、韓国・ユンソンニョル政権による韓国労働者民衆へのかつてないほどの強権弾圧、日帝侵略責任の帳消し、日韓軍事結託が、「日韓正常化」の名の下に繰り広げられた。日本の労働者階級はこれを許してはならない。
 3月6日にユン大統領によって発表された「強制動員解決策政府案」なるものは、加害当事者である日本企業の賠償責任を免除し、韓国政府が基金を作って肩代わりするという、元徴用工被害当事者をないがしろにする許しがたいものである。と同時に、行政府が韓国大法院判決を無視する越権行為ともいうべきものである。
 この案を梃子として3月16日、ユン大統領が来日し日韓首脳会談が行なわれた。そこで①徴用工問題解決案の支持、②大法院判決に対する日本の経済報復措置の解除、③軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の復活、④日韓安保協力のハイレベル化、これらが合意された。
 この合意の背景には、過去最大級の米韓合同軍事演習が日韓首脳会談中にも続けられているが、これらに日本軍=自衛隊を直接参加させること、当面は日韓2プラス2協議の定例化、ミサイル対応の日韓一体化など、日米韓の三角軍事同盟を構築して、「台湾有事」「朝鮮半島有事」に構えたい米バイデン政権の思惑がある。米国主導の日韓関係の「正常化」である。
 徴用工問題、戦時性奴隷問題(日本軍「慰安婦」問題)について65年日韓条約・請求権協定で解決済みとする日本政府は、企業賠償も政府による謝罪も認めずにきた。尹錫悦政権による今回の「解決案」が、韓国民衆からは「屈辱外交」と批判されるのは当然のことといえる。米日韓安保のためという同様のパターンで強行され、結局破綻した15年日韓「慰安婦」合意のように、今回の「解決案」が歴史の審判に堪え得ないことは明らかである。
 

 3・16首相官邸前

 日韓首脳会談が急遽開催されるとの報に対し、時間もないため呼びかけ人連名による日韓首脳会談弾劾の首相官邸前緊急行動が、3月16日闘われた。緊急行動であるにもかかわらず50名を超える労働者民衆が結集し、官邸内の日韓首脳を直撃して怒りの声を上げた。
 発言は、主催者を代表して反戦実の松平さん、韓国良心囚を支援する会全国会議代表の渡辺一夫さん、練馬アクションの池田さん、韓統連の宋世一(ソン・セイル)委員長や練馬の仲間、沖縄文化講座、韓国サンケン労組を支援する会など。
 発言では、日韓首脳会談の意図を糾弾するばかりではなく、琉球弧の戦場化をいとわず一層の軍拡に突き進む岸田政権、韓国民衆に敵対するユン政権に対する怒りの声が相次いだ。また5月広島サミットに、ユンやゼレンスキーを招き入れ、中ロとの対立、戦争醸成を図らんとする日米両帝国主義に正面から対決しようとも訴えられた。
 官邸前行動にうろたえた岸田政権は、ユン大統領の官邸退出時に制服警官隊を出動させ、参加者に阻止線を張った。
 日韓首脳会談に反対する当日唯一の闘いでもあったため、韓国、中国の主要マスコミが20名以上来ており、テレビカメラが乱立した。そこに日本の主要マスコミはいない。
 
 3・15韓国ワイパー弾圧

 一方韓国では、ユン政権が民主労総に対する国家保安法嫌疑を捏造・連発して弾圧を続け、北韓への敵意をあおって、低迷する政権支持を浮揚させようとしている。その一環ともいえる弾圧が、デンソーの労組嫌悪による孫会社清算と闘っている韓国ワイパー労組にかけられた。
 3月15日、民主労総の基幹産別である金属労組の支会である韓国ワイパー労組に対して、警察・作業員ら600人が労組員が籠城する工場に乱入し、組合員の排除や機械の搬出が強行された。この過程で組合員3名が逮捕された。しかしながら、韓国ワイパーの組合員209名は、現在も工場での籠城を続けている。
 韓国ワイパー労働者は、この弾圧は翌日訪日するユン大統領の日本政府への手土産だ!と糾弾している。
 また、2月25日に行なわれた「3・1独立運動104周年東京集会」に参加講演を予定していた韓国進歩連帯自主統一委員長のチェ・ウナさんが、前日24日に日本の税関当局によって入国拒否を受け、長時間の取り調べの後、強制送還を受けた。これは岸田政権がユン政権の意を受けて、日韓労働者民衆連帯運動を弾圧し、戦争体制構築を狙う意図そのものである。
 韓国、日本、琉球・沖縄の民衆連帯で、労働者民衆の生存権・生活権を守り、戦争挑発を許さない反戦闘争に勝利しよう。(東京Ku通信員)


反戦実などが3・8米大使館抗議行動
 米韓合同軍事演習中止!

 3月8日の夕刻、東京・虎ノ門で、「東アジアの緊張を煽る米韓合同軍事演習中止を!3・8米大使館抗議行動」が行なわれ、約40名が参加した。呼びかけは、資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委。
 米韓両政府は、3月13日から23日にかけての過去最長期間で、朝鮮民主主義人民共和国との戦争を想定した大規模な合同軍事演習「フリーダムシールド」を強行した。朝鮮もこれに対抗し、弾道ミサイル・巡航ミサイルを試射するなど自衛権を行使した。欧州の戦争に続き、東アジアでも一触即発の危険が続いている。この緊張激化の原因は、米国が、ロシアのウクライナ侵攻に対抗してNATO諸国・日本を動員し、それを機に韓国ユン・ソンニョル政権と岸田政権を米韓日のアジア版NATOとして、中国包囲・朝鮮攻撃に動員していることにある。
 行動では、韓国民主労総副委員長のキム・ウニョンさんが、オンラインアピール。6日にユン政権が徴用工問題で日本加害企業を免罪する「解決」案を発表しており、ウニョンさんはこれをまず糾弾しつつ、韓日米の三角軍事同盟の企みを批判した。
 在日韓国民主勢力からは、在日韓国青年同盟、韓統連東京(東京マダン実行委)のお二方が発言。呼びかけ側からは、尾澤孝司さんが米大使館行動では久しぶりに発言した。
 行動は、この米韓演習の最中のユン大統領来日、日韓首脳会談への抗議行動に連続していく。(東京W通信員)