南西諸島の戦場化を許さない!
安保関連3文書の閣議決定撤回!3・27集会

 長射程ミサイルは阻止だ

 3月27日の夕、東京の全水道会館で、「南西諸島の戦場化を許さない!安保関連3文書の閣議決定撤回!3・27集会」が開かれ、大会議室いっぱいの105人が参加した。主催は、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。辺野古国会包囲実として沖縄の自衛隊ミサイル基地化反対!に取り組むのは、これが初めてとなる。
 司会・山口さん(沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)の挨拶の後、毛利孝雄さん(辺野古土砂全国協首都圏)が主催者挨拶。毛利さんは、「今日は78年前、米軍が慶良間諸島に上陸して沖縄戦が始まった日だ。沖縄を本土防衛の捨て石とした沖縄戦の教訓は、軍隊は民衆を守らないということ。今は日米の中国包囲として、再び沖縄の戦場化を前提とした安保政策が取られており、これに反対することは我々戦後世代の責任だ」と述べた。
 講演が「南西諸島の最前線基地化の現状」として、明(あきら)真南斗さん(琉球新報記者、東京支社で防衛省担当)から行なわれた。明さんは、「安保3文書」での沖縄関係について、「駐屯地開設などに続く防衛力南西シフトの新段階は、継戦能力(弾薬備蓄など)、抗たん性(地下施設化など)の強化。本当に戦える自衛隊へ、ということ。今後は①ミサイルの長射程化、②米軍との一体化、③軍事と非軍事の曖昧化、これらが焦点となる」と解説し、「3月17日に実施された沖縄県主催の避難図上訓練では、宮古・石垣・与那国から12万人を九州へ避難とされているが非現実的。問われているのは、米中二者択一を超えた日本の外交だ」と締めくくった。
 続いて、沖縄各地からの訴え・現況報告が、オンラインで行なわれた。
 沖縄島からは、宮地英知さん(ミサイル配備から命を守るうるま市民の会)。うるま市の陸自勝連分屯地に、12式地対艦ミサイルが来年配備されんとしている。配備反対を訴える「ミサイル展」を続けている。
 宮古島からは、清水早子さん(ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会)。すでにミサイル配備は21年11月に強行されており、下地島空港の軍事利用が今の焦点。米軍が1月30日にその利用を申請したが、沖縄県は拒否。県管理を国管理に移す政府の動きを許さず、下地島空港の軍事利用禁止を約束させた「屋良覚書」を守る闘い。
 石垣島からは、上原正光さん(基地いらないチーム石垣)。駐屯地開設からミサイル搬入までの動きが、宮古、与那国などと比べて早く、このかん一挙に強行された。島々の反対運動の連携が不十分だ。また韓国平和運動の来島もあったが、台湾も含めアジア次元で取り組みを進めるべきと語った。
 与那国島からは、狩野史江さん(与那国島の明るい未来を願うイソバの会)。駐屯地開設は16年と先行したが、この時沿岸監視隊だけだったのが、地対空ミサイル部隊・電子戦部隊も配備されようとしている。07年の米掃海艇寄港に始まり、ついに昨年の陸自機動戦闘車の公道走行まで来てしまった。

  ●石垣島ミサイル搬入

 なお石垣島では、3月16日の陸自駐屯地開設を前に、3月5日「島々を戦場にさせない!ミサイルより戦争回避の外交を」全国集会・デモが行なわれ、県内・全国から200人が参加。その早朝には石垣港で、軍用車両搬入阻止の緊急行動となっている。
 この5日に、12式ミサイル発射車両などが搬入され、18日の弾薬搬入で12式を含むミサイル各種が搬入されたとみられるが、詳細は公表されていない。すべてを搬入後の22日になって住民「説明会」では、防衛省の住民愚弄だ。しかし昨年12月の石垣市議会では、「反撃能力を持つ長射程ミサイルの石垣島配備は到底容認できない」とする意見書が11対9で採択されている。
 さて集会は、辺野古国会包囲実の賛同団体の内から、フォーラム平和・人権・環境の藤本共同代表、全労協の渡邉議長、安保破棄中央実行委(メッセージ)の発言をうけて終了した。
 これで、東京で辺野古NO!に取り組んできたもっとも広い枠組みが、自衛隊ミサイル配備反対・戦場化反対にも取り組むということになった。この二つの課題は、東京では担い手が所詮同じという感もある(沖縄ではやや事情が異なる)が、若い世代に運動を広げていく機になればよいと思う。(東京W通信員)


国会前3月「19の日」行動、大軍拡予算案許さず
  5・3憲法大集会(江東区有明)

 3月19日、安保法制(戦争法)廃止を主なテーマとする「19の日」行動が、今月も各地で取り組まれた。
 東京では昼過ぎ、国会前で「軍拡やめろ!軍事費(防衛費)増やすな!暮らしをまもれ!入管法改悪反対!3・19国会議員会館前行動」として行なわれ、1千名が参加した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と9条改憲NO!全国市民アクション。
 最初に主催者挨拶を、9条壊すな実行委の菱山南帆子さん。「岸田政権が大軍拡に転ずるなか、広島市教委が教材から『はだしのゲン』を外すなど、戦争の記憶を消し去る動きが出ている。しかしタモリさんの『新しい戦前』発言が注目されるなど、情勢を危惧する世論も小さくはない。政府による戦争の惨禍、その過ちを繰り返させないことが大人の責任だ」と訴えた。
 政党挨拶では、社民党の服部良一幹事長が、「安保法制から8年、台湾有事宣伝でまさに戦争法という事態になっている。しかし沖縄では、2・26平和発信集会が成功。昨日の石垣島ミサイル弾薬搬入を許さず、戦場化反対を全国の闘いにしていこう」と訴えた。
 沖縄の風・伊波洋一参院議員(メッセージ)は、「安保3文書は、米軍のミサイルギャップを埋め、日本全土を戦場化するもの。米軍が来援することはなく、ウクライナ型の戦争になる」と警鐘を鳴らした。
 立憲民主の近藤昭一衆院議員(メッセージ)は、「専守防衛に徹した防衛政策」を堅持して、安保3文書撤回を求めると述べた。共産の吉良よし子参院議員も発言
 市民からは、在日ビルマ市民労働組合のミンスイ会長、千住9条の会の中田さんに続き、移住者と連帯する全国ネットの山岸さんが発言、「一昨年廃案になった入管法改定案とほぼ同じものが、3月7日閣議決定された。難民申請者を強制送還する等の改定案に反対を!」と訴えた。また、駐韓日本大使館前で「19の日」行動を行なっている韓国YMCA全国連盟からは、3月16日の韓日首脳会談合意に反対するメッセージが寄せられた。
 最後に、戦争をさせない千人委の田中さんが以下の行動提起(3月内は略)。
 統一地方選挙で私たちの仲間を増やそう。投開票4月9日・知事選等(北海道、大阪府市ダブル選など)、4月23日・市議選等および参院大分補選、衆院4補選(山口2区・4区など)。
 4月13日、新宿駅東南口街宣・午後6時。
 4月19日、第89回「19の日」行動、衆参議員会館前・午後6時半。
 5月3日、憲法大集会、有明防災公園・午後1時。「この時期に大集会を持つことは重要だ」。
 さて軍事費2倍化の23年度予算案は、早々と衆議院を2月末に通過し、3月28日参院で成立となった。今年は衆院で全野党が予算案に反対したが、軍拡反対・敵基地攻撃力反対を明確に反対理由としたのは共産、社民、れいわに留まる。軍拡反対、「安保3文書」撤回の闘いは、戦争法廃止の闘いとともに、中長期的な構えで闘いを拡げていく必要がある。
 その際、南西諸島のミサイル基地化・戦場化反対、とくに今後の長射程ミサイル配備阻止の闘いを、全国民的な運動とする必要があるだろう。また、アジア太平洋版NATO化・日韓米軍事一体化に反対すること、米中対立の中での日本の立ち位置を問い直し、東アジア民衆と連携する外交視点が不可欠だ。(東京W通信員)


3・21フクシマを忘れない!さようなら原発全国集会に4700人
 
岸田政権の「原発回帰」・汚染水放出反対!

 3月21日の午後、東京・代々木公園の野外ステージで、「フクシマを忘れない!再稼働を許さない!3・21さようなら原発全国集会」が開かれた。原水禁参加の労働組合など、主催者発表で4700人の労働者・市民が参加。主催は、「さようなら原発」一千万署名市民の会。
 これは福島第一原発事故以来の周年行動であるが、このかんコロナ禍で中止になったり首都圏集会であったりしたが、その12年目の行動は4年ぶりの全国集会として取り組まれた。そして、「岸田政権の新たな原発推進政策反対!」をメインに掲げた行動となった。
 集会は最初に、一千万署名の呼びかけ人の作家・大江健三郎さんの逝去、また原発事故と震災の犠牲者を悼み、黙祷を捧げた。大江氏がこの運動の先頭に立っていた姿は記憶に新しい。近年療養中であったが3月3日老衰で死去。
 鎌田慧さん(呼びかけ人・ルポライター)は主催者挨拶でまず、さようなら原発の運動に最初からかかわり、安保法制にも反対の声を上げてきた「大江さん、ありがとう」と感謝の思いを語った。そして「岸田政権は先月、GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針を閣議決定したが、原発回帰なんてできっこない。クリーンエネルギーは嘘っぱちだ。もはや、さようならではなく、クタバレ原発です。原発反対は一人ひとりが参加する運動、自信をもって進もう」と訴えた。呼びかけ人からは、澤地久枝さん、落合恵子さんも発言。
 福島からの発言は最初に、佐藤和良さん(これ以上海を汚すな!市民会議共同代表)。「原発回帰は、福島の事故をなかったことにすることだ。決して許されない。」「福島第一の処理汚染水は、トリチウム以外にも9核種が残っている。東電による今夏の海洋投棄開始は許されない。5・16に日比谷野音で反対大集会を行なう」と報告、またこの課題とともに、東電刑事裁判・最高裁闘争への注目も訴えた。
 熊本美禰子さん(避難の協同センター)は、避難者の住宅追い出し裁判を報告。阿部ゆりかさん(3・11甲状腺がん子ども支援ネット)は、原告7名全員が意見陳述した甲状腺がん被害者裁判を報告し、内3名のメッセージを代読した。
 続いて、全港湾などの青年組合員による「フクシマ連帯キャラバン」が登壇し、このかん3月の福島・茨城・本日最終日にいたる取り組みを報告した。
 発言は、青森下北・大間原発建設反対の「あさこはうす」熊谷あつ子さん、脱原発首長会議の三上元さん(元湖西市長)、原子力資料情報室の大久保肇さんと続いた。大久保さんはGXについて、「政府・電力資本は、ウクライナ危機で神風が吹いたと言って、原発回帰を出してきたが、それは原子力発電が、国が支援しないと存続できない衰退産業であるということを示す」と指摘した。
 閉会挨拶を藤本泰成さん(原水禁)が行なって、2コースでデモ行進に出発した。
 久しぶりの全国集会としては物足らない人数であったが、老朽原発再稼働など岸田政権の原発開き直りの方針決定に対し、即座に反撃する意義ある大衆行動であった。(東京A通信員)