大坂・釜ヶ崎
 1・25生活困窮者に対する健康支援セミナー・ツアー
  新たな困窮層に寄り添う街へ

 1月25日、大阪市西成区の釜ヶ崎地域内において、歯科保健研究会・わたなべ往診歯科・釜ヶ崎講座の3者共催による「生活困窮者に対する健康支援セミナー・ツアー」が開催され、40余名が参加した。
 第1部は、太子福祉館での講演会。最初に、歯科医師の渡邉充春さんが主催者挨拶。「共催の3者は、それぞれが長年野宿労働者・困窮者支援の取り組みを続け、今日の共同企画に行き着いた。主催者側も一緒になって講師陣のお話とフィールドワークで学んでいきたい」と語った。4テーマで、講師は5名。
 ①テーマ「生活困窮者の現状」で、小林大悟さん(NPO釜ヶ崎支援機構事務局長補佐)。
 小林さんは、釜ヶ崎の困窮者支援の現状を特に若年層支援の面から語った。近年の釜ヶ崎では、「生活保護取得や生活相談数、また特掃登録や越年利用者数は減少してきている」が、「しかし若い人で言えば、近年支援を求める数は増加している。労働の選択も日雇いから派遣へ、情報源も求人広告からスマホ・ネットへと変化があり、支援組織側もそれに見合う対応に漸次変わってきている。支援対象に向けてのステップを設定しながら生活の端々の問題解決にまで対応していき、本人に見合う就労や活動にリンクさせていくことが今後も必要ではないか」。
 ②テーマ「生活困窮者での介護・福祉の現状」で、穴沢一良さん(NPOバリアフリーサービスつばさケアマネジャー)。
 穴沢さんは、現在の労働センター南側跡地問題を主要に語った。「釜ヶ崎には、中高年労働者が生きのびる道として国や行政に就労・居場所の諸問題を解決させてきた歴史がある。今日では、新たな困窮層が足を向けられる利便性を持つ施設、ワンストップ相談の実効性を持つ窓口、これらを私たちが作り上げていくことが緊急の課題だ」。
 ③テーマ「LGBTと医療・福祉」で、佐保美奈子さん(大阪公立大学大学院看護学研究科准教授)と渡辺匡人さん(ちむ訪問看護ステーション看護師)。
 佐保さんは、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の内容を平易に説明し、「人の性は身体・心の両面において多様で、性自認・性指向とは、本人にとって『方向づけされたもの、自分の意志では変えられない、好みや考え方の問題ではない』こと知っておいてほしい」と語った。また、「LGBTを自認する人は近年7%近くにあることが知見され、AB型血液や左利きの人とほぼ同数。私たちが知らない、知らされない社会があることを認識してほしい」。「教育・医療・労働すべての日常で、今も当事者がハラスメントや自殺等、様々なリスクに晒されている現状があり、私たちが性の多様性を受け入れて、これらの理解と偏見・誤解の克服のために努力していく必要がある」。
 渡辺さんからも、トランスジェンダー(性別不合)の課題で提起があり、性別移行を医療で望む当事者は一部であるが、診療・手術の過程で起こるさまざまな身体・精神上のリスクや課題があると説明してもらった。「医療サービスの場合では、当事者に向けて何らかの支援が必要だ」。
 ④テーマ「歯科的支援活動の現状」で、渡邉充春さん(わたなべ往診歯科院長)。
 渡邉さんは、20年前の社会医療センターでの野宿労働者検診が釜ヶ崎における困窮者治療活動の動機であったこと、その後、治療が施されないままの労働者への無料低額診療活動を立ち上げたこと、以降さまざまな場面での治療・相談活動を重ねてきたことを語った。

  社会医療センター見学

 第2部はフィールドワークとして、大阪社会医療センター附属病院を見学し、お話を聞く。約2百メートル移動して、2020年8月に新築・移設の真新しい病院へ。
 副院長の工藤新三医師と総務課の奥村晴彦さん、また西成区保健福祉課の橋本安一さんのご3人から、病院の概要ならびに西成区における結核対策のお話しを以下のように伺った。
 ?1970年、大阪社会医療センター附属病院は、済生会病院および大阪市の援護の下で設立。済生会今宮診療所の流れを汲み、地域生活困難者の診療と無料低額診療の堅持、医療・福祉面での相談等をベースに開業した。
 ?今日では釜ヶ崎の地域変容に伴い、外来患者さんの医療保障別割合は80%超が生保取得者であり、70年代以来の日雇い健康保険、労災保険の割合はほぼ皆無となった。
 ?医療センタ―附属病院初代院長の本田良寛氏は、釜ヶ崎の困窮層地域としての特性を重視し、無料低額診療を継承した。病院・患者の信頼をもとに、医療費支払いは「ある時払いの催促無し」の精神で対処した。それは今日も経営指針の一つであり、年7~8%の医療保障割合として推移する。
 ?無料低額診療所は全国で約730ヵ所、大阪でも82ヵ所存在しており、救済の役割を果たしている。
 ?病院の方針は、生活困難者への無料低額診療の堅持。単身高齢者と地域住民を支える。地域で生活する外国人への医療福祉。地域交流を深める。大きな時代変化の中で医学調査・研究を進める、これらをかかげる。
 ?釜ヶ崎で罹患率が高かった結核の鎮静に長年対処し、9割近く減少したが、依然として患者数は多く、これからも注力して地域住民の暮らしの安定に資する。
 等であった。
 この後、奥村さんの案内で、病院施設内を見学させてもらった。
 今回のセミナー・ツアーが、更なる釜ヶ崎の困窮者支援に資することを願って報告としたい。(大阪I通信員)


 57年目の三里塚闘争
  1・8現地、1・29関西で旗開き

 1月8日、三里塚芝山連合空港反対同盟(代表世話人・柳川秀夫)は、横堀農業研修センターで「2023反対同盟旗開き」を行ない、43人が参加した。
 冒頭、昨年亡くなった共有運動の会事務局の大盛力さんに、参加者全体で黙祷を行なった。
 柳川秀夫さんが、「今年で三里塚闘争は約57年目だ。長い間、皆さんとともにやり抜けたことはうれしいことだ。強い者が自由・便利を享受するために、地球と人間の存亡が危ぶまれる状況だ。かなり温度が上がって地球で暮らしていけるかが大変になっている。みんな年を取ったが、がんばっていきたい」と挨拶。さらに、第3滑走路の誘導路の建設計画にあたっている横堀研修センターについて、1年先と言っていた取り上げ裁判の提訴が、未確定情報だが今春になるかもしれないと報告した。
 平野靖識さん(東峰地区、らっきょう工場)は、空港会社による市東孝雄さん(天神峰地区、北原派反対同盟)の土地取り上げ裁判について、「11月22日、千葉地裁は代替執行の決定を行なった。東峰地区は、執行中止の申し入れを行なったが無視された。空港会社は、自主的な明け渡しをせよと言ってきたが、そうでなければいつでも農地取り上げができる状態になっている。北原派は、24時間態勢で待ち構えている」と報告した。(2月15日から16日にかけての夜間、市東さん農地のやぐらや看板を撤去する強制収用が強行された。強く抗議する)。
 加瀬勉さんからは、「横堀決戦に向けて」のアピール文、また731部隊についての文書が配布された。
 渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会、三里塚相談会)は、「1月29日は関西での旗開き。関西でも労働組合関係の司法書士にお願いして、一坪共有地登記移転手続きを取り組んでいる。手続きを加速させていきたい」と報告。さらに根本博さん(泉州沖に空港を作らせない住民連絡会)は、「12月には宮古島でのブルーインパルス飛行抗議行動に参加し、地元の人々とともに闘った。ともに南西諸島の軍事化に反対していこう」と訴えた。
 G7いらない!首都圏ネットワークの京極紀子さん、和多田粂夫さんと中川憲一さん(管制塔被告団)、芝崎眞吾さん(連帯社)が発言し、最後に団結ガンバローを行なった。
 引き続き、東峰地区の旧東峰共同出荷場跡地に向い、「三里塚空港に反対する連絡会」が主催の東峰現地行動を取り組んだ。「三里塚第3滑走路反対!成田空港の軍事使用を許さない!裁判所を使った農地強奪弾劾!沖縄の軍事基地化許すな!岸田軍拡政権打倒!反原発!」のスローガンを掲げ、開拓道路に向かってデモ行進。

  一坪共有は40年

 1月29日には関西の尼崎市で、「2023関西三里塚闘争に連帯する会旗開き・大地共有運動報告会」が開催され、21名が参加した。主催は、関西三里塚闘争に連帯する会と三里塚相談会。
 1月8日の旗開きで収録された柳川さん、平野さん、大森武徳さんの関西へのメッセージが放映され、旗開きの様子、集会とデモの様子も短いながら放映されて、現地の状況が伝えられた。今年は一坪共有運動が始まって40年、木の根で空港会社の18%の占有率を、共有運動の会で上回るのを目標にしており、関西での独自な取り組みが協議された。
 昨年亡くなった、三里塚闘争を取り組んでおられた菊永望さん、杉本昭典さん、米澤鐡志さんを偲んで黙祷が行なわれた。なお、翌日の1月30日、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の小山広明さんが亡くなられた。(関西S通信員)


「軍拡国会」下、2月「19の日」行動1300人
  改憲発議にも警戒を

 「軍拡国会」が始まって一月たつが、敵基地攻撃能力など軍備増強の中味について、岸田政権は具体的説明を一切せず、ただ軍拡予算案を通せという姿勢に終始している。この中、各地で「19の日」行動が闘われた。
 東京では、87回目の行動が、「軍拡やめろ!軍事費(防衛費)特措法案廃案!改憲発議反対!辺野古新基地建設中止!いのちと暮らしを守れ!2・19国会議員会館前行動」として行なわれ、1300名の労働者・市民が結集した。(日曜の昼間でいつもより多めの参加であったが、「軍拡国会」に対峙するものとしては全く足らないと言うべきだ)。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 最初に、憲法共同センターの小田川義和さんが主催者挨拶。「岸田政権は、敵基地攻撃能力などにまともな説明もせず、トマホークを何発買い何処に配備するのか一切答えない。自衛隊を戦前のように国会の統制から切り離し、民主主義・立憲主義の枠外に出そうとしている」と批判した(やっと27日に4百発と答弁)。
 政党挨拶の最初は、福島瑞穂・社民党参院議員、「異次元の軍事予算案で、防衛力強化資金と防衛関係費合わせて10兆円、何故防衛予算だけ特別なんだ!」「米国の支持で中国を攻撃すれば先制攻撃、一斉に反撃される」と指摘。
 沖縄の風・伊波洋一参院議員はメッセージで、「空港・港湾の日米共同軍事使用が掲げられた。米軍の横浜ノースドッグに小型揚陸艇部隊の配備も合意された。台湾有事では、全国の空港・港湾が軍事目標になる」と指摘。
 立憲民主党の近藤昭一衆院議員は、党大会出席のためメッセージであったが、党内から総がかり行動と連帯して活動する意志を表明した。他に、日本共産党の山添拓参院議員も発言。
 市民発言では、改憲問題対策法律家6団体連絡会の大江京子弁護士。「戦争政策がすすみ、国会機能が壊されている。自公のヤツラは9条改憲をねらう、それは早いかも」と警鐘を鳴らした。
 安保関連法に反対するママの会@ちばの会の小林さんは、幕張メッセでの武器見本市開催に反対し、「3・15メッセ前行動に参加を! 公共施設で武器見本市を開いているのは千葉県だけ。そして軍産複合体に税金を回す政府は敵だ!」と訴えた。
 最後に、9条壊すな・ふやふやの人から行動提起で終了。
 2月21日、ウィメンズアクション。
 2月22日、大軍拡・大増税に反対する首相官邸前緊急行動。
 2月24日、ウクライナに平和を日比谷野音集会&デモ。
 2月25日、3・1朝鮮独立運動104周年集会。
 3月9日、院内集会(軍拡と改憲、憲法審査会の現状)、衆院第一議員会館・午後2時。
 3月19日、88回「19の日」行動、議員会館前・午後2時。
 東アジアの民衆と連帯し、戦争政策打破の戦線を拡大しよう!(東京O通信員)