韓国ワイパー争議
  戦争本社(愛知県刈谷市)に2・14〜16日本遠征団闘争
  日韓労働者連帯再び

 デンソー(愛知県刈谷市)の韓国・孫会社「韓国ワイパー」の労働者による日本遠征闘争団が、2月14日から16日の間、刈谷市のデンソー本社に対して申入れや抗議糾弾の闘争を行なった。
 「韓国ワイパー」は、デンソーの韓国における百%子会社デンソーコリアの百%子会社で、自動車のワイパーを専門に作る従業員300人ほどの会社だ。従業員の250人以上が韓国の民主労総の産別組織、金属労組の分会に所属して活動していた。デンソー本社は韓国の自動車部品産業の再編にともなって、民主労総に所属する「韓国ワイパー」分会を会社もろともに清算(会社解散)し、つぶしてしまうことをひそかに画策した。
 「韓国ワイパー」分会は会社清算の不安を感じて、2021年10月、「韓国ワイパー」や、その親会社デンソーコリアに対して交渉した結果、会社の清算・再編に際しては労組と協議し、合意をすること、「韓国ワイパー」従業員のすべての雇用を保障すること、製品を他の会社で代替生産しないことなどを含めた労働協約を締結した。組合員は会社側とのこうした協定を結ぶことで、清算の不安を和らげたが、じつは会社側は裏で「韓国ワイパー」清算を進める背信行為をしていた。
 労働協約締結から1年もたたない22年7月、まったく労働組合側との協議もなく、「韓国ワイパー」は12月末までに会社を清算し、23年2月で全従業員を解雇すると一方的に発表した。
 「韓国ワイパー」分会と金属労組は、会社側の労働協約違反の追及と全従業員の雇用確保を要求して、韓国国会前でのハンガーストライキに入った。また、政府の雇用労働部(日本の厚生労働省に当たる)への申入れや、裁判所への提訴などあらゆる闘争に取り組んだ。裁判では23年1月、「韓国ワイパーは協定に基づき、労組との合意なしに同労組の組合員を解雇してはならない」という仮処分判決を勝ち取った。
 デンソー本社は協定に名を連ねてはいないが、韓国の百%孫会社の動向に対して、責任を持っていることは確かだ。デンソー本社の意向で、ことは進んできたのは明らかだ。
 「韓国ワイパー」分会と金属労組の9人の日本遠征闘争団は、2月14日から16日にわたって愛知県の刈谷市に来て、デンソー本社に対して労働協約を守り、「韓国ワイパー」の全従業員の雇用を守るように申し入れを行なった。デンソー本社は闘争団に対して、入り口にガードマンを配置し、阻止線を張った。闘争団の要請を一切受け入れない対応をとった。
 2月15日には、韓国の遠征闘争団と日本の支援団体(東海ユニオンネットワークなど)の総勢30人ほどが、寒風の吹き抜ける中、デンソー本社の正門玄関前から申し入れ行動を行なった。デンソー本社は、正門内十数mのところにガードマンによる阻止線を張って、闘争団の入場を阻止した。正門前は、「日本デンソーは韓国ワイパーの清算計画を撤回せよ!」「日本デンソーは約束を守れ!」などのシュプレヒコールで騒然とした雰囲気になった。30分ほどやり取りを続けていると日本の警察がやってきて、遠征闘争団を正門の外に押し出す行動に出てきた。デンソー本社は従業員の帰宅時間であったにもかかわらず、正門の扉を固く閉鎖した。闘争団は正門の外に押し出された。
 遠征闘争団は16日も早朝、抗議糾弾闘争を続け、韓国に帰国した。
 その後、韓国ワイパーは仮処分判決を受け入れ、当面解雇は引き延ばされたが、日本での支援態勢を整える必要がある。(東海S通信員)


尾澤裁判
  2・27公判、被告側が松平証言
  4月ウニョンさん出廷へ

 2月27日、尾澤孝司さん裁判第5回公判が、さいたま地方裁判所で行なわれた。
 今回から「被告人」側証人尋問で、「韓国サンケン労組を支援する埼玉市民の会」の松平直彦さんが証人として法廷に立った。当初午後1時半の公判開始予定であったが、裁判所側の不当な公判仕切に対し、韓国サンケン労組を支援する会や尾澤孝司さんを支える会が午前中より申し入れ行動を行ない、70名ほどが参加した。
 松平さんは証言で、韓国サンケン労組を支援する闘いの成り立ちと、2021年5月10日に尾澤さんが不当に逮捕された状況ならびに松平さん本人の対応について、弁護側、検察側の質問に的確に答えた。検察側は、当日の行動に関して組織的計画的な対応があったのではないかとの質問を繰り返し、印象操作で「組織犯罪」にでっち上げようと必死に迫ったが、松平さんはこの攻撃を一蹴し、韓国サンケン労組を支援する要請行動の正当性を毅然と主張した。
 4月26日の次回公判は、この裁判のメーンイベントとも言うべきで、争議当時韓国サンケン労組副支会長であったキム・ウニョンさん(韓国民主労総副委員長)が証言に立つ。
 民主労総は1月来、尹錫悦政権により不当にも国家保安法容疑で大規模な家宅捜査が行なわれ、ウニョンさんも数時間におよぶ取り調べを受けた。このため、ウニョンさんが安全に法廷に立つことができるかが問われている。また日本の入管が2月、韓国進歩連帯の主要幹部の入国を拒否する事態が発生している。さいたま地裁は、キム・ウニョンさんの入国に、全力で取り組む義務がある。(Ku)


 2・10報告集会

 2月10日、「尾澤裁判の勝利をめざす報告集会」が東京・文京区民センターで開催され、満席の135名が参加した。主催者挨拶を、韓国サンケン労組を支援する会共同代表の渡辺洋さん(全労協議長)が、また経過報告を支援する会の内田正さんが行なった。
 逮捕当日の現場状況の映像上映のあと、元韓国サンケン労組副支会長のキム・ウニョン(韓国民主労総副委員長)からのビデオメッセージ。キム・ウニョンさんは、尹錫悦政権が「先月、600人の国家情報院・警官を動員して民主労総本部事務所に家宅捜索を行なうなどの弾圧を行ないました。労働者を敵に回し、歴史を後戻りさせる政権は、必ず民衆の審判を受けるでしょう。その闘いを民主労総は準備しています。日韓労働者の連帯闘争に立ちはだかったのが日本の資本と政府で、尾澤さんはその弾圧を受けました。だからこそ私たちは共に闘わなければなりません。尾澤さんの無罪を日韓労働者国際連帯の輝かしい成果にしなければなりません」と締め、万雷の拍手を受けた。
 ゆいの会とノレの会による合唱のあと、荒木弁護士と浅野弁護士が、検察側証人による証言の不当性を論証して「暴行」も「威力業務妨害」も成立しないことを示し、裁判勝利の決意を表明した。このあと、連帯挨拶をJAL被解雇者労働組合、尾澤孝司さんを支える会からそれぞれ受けた。
 当該の尾澤孝司さんは、「この闘いは、労働運動に対する弾圧だということを強調したい。裁判の中で、サンケン闘争の正当性、会社の廃業、解雇の不当性を堂々と主張していきたい。裁判所は強権的な訴訟指揮をしているけども、皆さんのご支援に応えて、無罪判決を目指していく」ときっぱり決意表明。最後に、支援する会事務局長の鳥井一平さん(中小労組政策ネットワーク)が団結ガンバローで締めくくった。
 残る公判は、被告側証人と被告人質問、論告求刑と最終弁論であり、真実を明るみにだし、尾澤孝司さん無罪を勝ち取ろう。(東京Ku通信員)



ロシアのウクライナ侵攻1年2・26集会
 ノルドストリーム爆破めぐって

 2月26日、「ロシアによるウクライナ侵攻から1年、反戦運動の今後を考える2・26集会」が、「ロシアの今をめぐって」との副題を付けて、東京・文京区民センターで開催された。主催は、戦争・治安・改憲NO!総行動実行委(資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委、破防法・組対法反対共同行動、救援連絡センターなどが参加)。講演は、和光大学教員で、ソ連経済史・現代ロシア政治経済が専門の日臺健雄(ひだい・たけお)さん。
 集会は、戦争に協力しない!させない!練馬アクションの池田五律さんが司会挨拶。ウクライナ戦争をめぐっては、日本の左派勢力の間でも、NATOが全面支援しているウクライナを支持・支援するのかしないのかで分岐した状況にある。5月・広島G7サミットにおいても、ウクライナ支援は主要課題に挙げられており、これらを機に日本帝国主義・岸田政権が戦争遂行の野望を露わとしている事態と闘う必要性がある、と訴えた。
 日臺さんは講演で、ロシアから欧州諸国への天然ガスパイプライン・ノルドストリームについて言及した。ソ連時代から天然ガスは、ウクライナを経由して欧州に供給されていたが、ソ連崩壊後ウクライナは、代金未払いやガス抜き取りを行なう「強盗資本主義」へと変質し、ロシア以下の国に成り下がる。このためロシアはドイツとの間で、海底パイプラインのノルドストリーム1・2の建設に合意。NATO拡大とロシア封じ込めを狙う米国は、ドイツに圧力を加え米国産の天然ガスを売りつけるため、ノルドストリーム2の建設中止を迫った。この建設中止の二日後、ウクライナ侵攻が勃発。昨年9月、米軍特殊部隊がノルドストリームの爆破攻撃を行なった。また現状のロシア経済は、中国やインドとの交易が拡大しており、破綻状態に陥ってはいない。しかしながらロシア内では、生活水準の低下に対して抗議デモの可能性が高まっていると締めくくった。
 ウクライナ戦争が一年を超え、相互に犠牲者も増加の一途をたどっている。交戦諸国では自国政府打倒の反戦闘争の必要が高まっている。
(東京Ku通信員)


 ウクライナに平和を!2・24野音

 2月24日東京では、「ロシアのウクライナ侵攻から1年、ウクライナに平和を!日比谷野音集会&デモ」が行なわれ、雨のなか約1300人が参加。主催は、さようなら原発一千万人アクション実行委と、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委。
 総がかり実の高田健さんが開会挨拶、「1年たって多くの犠牲者が続いている。ウクライナ市民、反戦を掲げるロシア市民と連帯し、即時停戦を求める。この戦争については色々な意見があるが、まずはロシアの撤退が先決だ」と述べた。ジャーナリストの志葉玲さん、ピースボートの畠山澄子さん、JVCの今井高樹さんが発言。
 また原子力資料情報室から、伴英幸さんがウクライナの原発状況について報告し、松久保肇さんが政府の「GX基本方針」を批判した。
 「便乗した戦争準備反対!」「戦争の標的になる原発はいらない!」などをコールして、銀座デモを行なった。
(東京W通信員)