戦争反対!大軍拡阻止
  米国のために日本が中国と戦争する愚

 大軍拡計画の初年度となる2023年度当初予算案、また「反撃能力」と呼ばれる敵基地攻撃能力の保有、これらの是非が最大争点の通常国会が1月23日に始まった。憲法を変えないままの「日本の安全保障政策の大転換」(岸田施政方針演説)であるが、この暴挙を阻止し、日本・東アジアの平和への大転換を実現しようとする世論と運動は、まだまだこれからという現況にある。
 物価高に抗する23春闘と最低賃金大幅引き上げ、統一教会癒着一掃などの諸課題、4月統一地方選、沖縄でのミサイル基地化・戦場化反対の動向、日本がグローバルNATOの先頭に立たせられるであろう5月広島サミットへの抗議、これら当面情勢の闘いをつうじて力関係を好転し、平和実現の道を拓く必要がある。
 予算案は防衛費膨張で過去最大114兆円となり、防衛関係費は6兆7880億円、第二次安倍政権以降の5兆数千億円を大きく上回った。また、これとは別に「防衛力強化資金」3兆3806億円が新設された。社会保障施策の中止、特別会計の剰余金、国有財産売却などによって、この資金をかき集める。要するに軍事費確保を最優先にした予算案である。この防衛力強化資金と防衛関係費を合わせると10兆円を超え、一挙に倍増である。
 昨年12月16日閣議決定強行の「安保3文書」では、23~27年度の5年間で43兆円(前5年間の1・5倍)としている。しかし、防衛力強化資金を今後毎年計上するならば、5年間で約60兆円の超大軍拡となりかねない。
 岸田政権の軍拡計画は、27年度防衛関係費8・9兆円でGDP比2%が達成されることを目標とし、そこから逆算して総額と年度額が出るというデタラメなものである。それでも、とにかく長射程ミサイルの開発・量産、継戦能力強化などに使い放題となってしまう。今予算案では、トマホーク爆買いに2113億円である。
 また、艦船や隊舎に建設国債4343億円を充てる。戦後初めてであり、日本軍国主義の軍事特別会計復活の第一歩である。
 以上、使途が攻撃戦力化・実戦化であるとともに、費用も大軍拡の歴史的転換である。予算案の阻止は厳しい闘いとなるが、防衛力強化資金新設(防衛財源確保法案)を阻止するならば、突破口が開けるだろう。
 岸田政権は、この国会の開会前に、軍拡を米国に誓約してしまった。1月12日ワシントンで防衛・外務の日米安保協議委員会(2プラス2)が、13日には日米首脳会談が行なわれた。
 日米安保協はその共同発表で、「米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間の協力を深化させる」とした。
 また、「宇宙における攻撃が、一定の場合には、日米安保第5条の発動につながる」とも述べている。米中ミサイル戦争は、軍事衛星の利用と破壊の戦争となる。米軍の衛星に手を出したら、日本も参戦するの意である。
 また、25年までに沖縄に第12海兵沿岸連隊を改編・設置するとした。その装備はハイマースではなく、対艦ミサイルシステム(NMESIS)に替わるとみられる。このネメシスは無人・遠隔操縦である。米兵は死なないが、自衛隊員と沖縄住民が死ぬ戦争を想定している。
 そして日米首脳会談で、「バイデン大統領は、日本の新たな3文書に示されているような、防衛力を抜本的に強化する果敢なリーダーシップを称賛した」(共同声明)。
 「軍拡国会」の争点は、24年度から見込まれる軍拡増税(毎年1兆円強)の是非にあるのではない。自民党安倍派は、防衛力強化に世論の支持があるのに、岸田が増税論を出して水をかけたとして、岸田後を画策している。総選挙は統一教会汚染のミソギにもなるというわけである。軍拡増税は悪いに決まっているが、問われているのは、米国一辺倒を続け、中国と戦争する構えの外交路線そのものである。
 沖縄では2月26日、「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に」の集会が、那覇・県民広場で行なわれる。これは、戦争反対の新たな全県組織の立ち上げを準備する集会である。沖縄民衆と連帯し、東アジアの平和・共生へ進もう。(A)


韓・琉・日の民衆大連帯を!1・29反戦集会
  東アジアを戦場にさせない

 1月29日の午後、東京の渋谷勤労福祉会館で、「東アジアを戦場にさせないぞ!韓・琉・日の民衆大連帯を!1・29反戦集会」がひらかれ、約40名が参加した。主催は、資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委員会(反戦実)。
 司会の山口さんが、「安保3文書の強行で、戦争への危惧が国民の間に広がっている。私たちとしては東アジア民衆の国際連帯をもって、この情勢に抗していきたい」と述べて開始。
 早速、韓国からオンラインで待機するキム・ウニョンさん(民主労総副委員長)の講演に入る。ウニョンさんの講演は、「東アジアの危機とわれわれの役割(米国一極体制の没落と多極化情勢)」と題され、要旨以下のようであった。
 ①世界情勢は現在、「米国が一極覇権の維持を目的に、中ロを包囲・牽制する一方的かつ敵味方線引き式の対外政策を推進して、政治軍事的対決戦線が形成されている」。韓国・日本を組み込む「NATOグローバル同盟」である。②この中で、日本が安保戦略を改定し軍国主義を復活。しかし日米韓同盟のためには、強制動員(徴用工)問題など日韓関係の改善が急務としている。③韓国ユン・ソンニョル政権は、11月29日の貨物連帯ストへの業務開始命令発動、1月18日の国家情報院による民主労組本部への強制捜査など、労働運動・市民運動・野党を弾圧し、公安事件をでっち上げて専制を全面化している。④これに抗し、民主労総は23年闘争計画で、反ユン政権汎国民的闘争戦線を構築して、7月ゼネストへ向かう。24年総選挙で保守政治への審判、進歩政治の進出をかちとる。進歩政党連席会議の強化。⑤停戦70年、戦争反対・平和実現、米韓演習・日米韓軍事同盟中断闘争、日韓過去史清算闘争など統一事業を闘う。
 講演後、多くの質問が出され、これにもウニョンさんは丁寧に回答。面談で討論しているようでとても良かった。
 続いて、松平さんから集会基調提起。集会スローガンである▼「安保3文書」弾劾!自衛隊の侵略軍への転換を許すな!▼「台湾有事」を口実とした戦争挑発・中国封じ込めを許すな!▼沖縄を再び戦場化するな!日米による軍事植民地化政策粉砕!▼日本の朝鮮再侵略を許すな!日米韓三角軍事同盟反対!、これらに沿った基調が確認された。
 沖縄から山城博治さん(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会共同代表)のメッセージ、「恐るべき戦時国防政策『安保3文書』閣議決定に基づく島々の軍事要塞化を許さず、無謀な沖縄・南西諸島戦争を止めるために」が紹介され、集会は大きな拍手で受けとめた。
 また、大仲尊さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)が、与那国島の情勢を中心に文書報告。すさまじい軍事化が進む与那国であるが、「ミサイル配備は当時、推進した保守系の中から、そんなはずではないと政府の強硬姿勢に反発する島民も出てきている」。そして、12月石垣市議会では、「反撃能力を持つ長射程ミサイルの石垣島配備は到底容認できない」との意見書が11対9で採択された。
 なお、「与那国島を戦場にするな!2・18緊急集会」が一坪関東の主催でもたれる(渋谷勤福、午後2時)。
 総行動実行委、韓国サンケン労組を支援する会などのアピールの後、大越さんがまとめ発言。国家保安法適用の弾圧で大変な中、講演してくれたウニョンさんに謝意を表しつつ、「資本主義が戦争を生む。資本主義を新しい社会に変えることをめざそう!」と結んだ。反戦実らしい発言でこれも良かった。闘いは、沖縄の戦場化反対を軸に、広島サミット反対へと進む。(東京W通信員)


総行動1・24討論会

 1月24日、反戦実などが参加する「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委」の主催で、「2023年闘いの課題と展望1・24拡大討論会議」が文京区民センターにて開催された。
 練馬アクションの池田さん、破防法・組対法反対共同行動の石橋さん、都教委包囲ネットの伏見さんから各問題提起がなされ、戦争と改憲の足音が真近に迫るなか、有意義な討論が行なわれた。(東京Ku通信員)


1月「19の日」行動、国会前1千名
  やめろ大軍拡予算案

 大軍拡の予算案が審議される通常国会が1月23日に開会、その前の1月19日、各地で「19の日」行動が闘われた。
 東京では、86回めの行動が、「軍拡やめろ!軍事費増やすな!増税反対!改憲発議反対!辺野古新基地建設中止!統一教会癒着徹底追及!いのちと暮らしを守れ!1・19国会議員会館前行動」として行なわれ、寒風をついて1000名が結集、戦争策動絶対阻止の決意を示した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 行動は最初に、戦争をさせない千人委の藤本泰成さんが主催者挨拶。「岸田政権は、安保3文書を閣議決定して専守防衛を放棄した。他国を攻撃するやり方は決して許されない。戦争の時代、この流れをくい止めねばならない。声を振り絞って戦争反対を叫び続けよう!」と訴えた。
 政党挨拶は最初に、社民党・福島瑞穂参院議員。「通常国会が始まる。岸田は、国会閉会中に3文書を閣議決定し、開会前の13日に訪米してバイデン大統領にそれを報告した。どこの国の首相か。国会での議論無しに決めてよいのか。新しい戦前を作ってはならない」と訴えた。
 沖縄の風・伊波洋一参院議員はメッセージで、「敵基地攻撃は先制攻撃。米国は、日本に代理戦争をさせようとし、日本全国の港湾・空港を使用して戦争しようとしている」と指摘した。
 立憲民主党・石川大我参院議員(比例)は、「党内でも、敵基地攻撃能力保有が許されないことを訴え、憲法違反であると主張していく。党は右の方へ歩み始めている。それを阻止したい」、また沖縄が戦場化されると「石垣島のミサイルが小学校の校庭から発射される可能性がある」と指摘し、厳しい党内事情の中で、岸田政権打倒・戦争反対を闘う決意を示した。他に、日本共産党・田村智子参院議員も発言。
 市民発言では最初に、「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委の野平晋作さん。「沖縄県民は、勝つ方法はあきらめないことを合言葉に、3千日以上のシュワブゲート前非暴力座り込み行動などを闘い続けている。今こそ我々自身が反対の民意を示す必要がある。1・27『建白書』10年・日比谷野音集会に結集を。オール沖縄の辺野古断念請願署名を成功させよう!」と訴えた。
 また、女性による女性のための相談会実行委の中島由美子さん(全国一般南部支部書記長)が発言。「女性は不安定雇用かつ低賃金で、年齢が高くなると失業も深刻だ。心と体を病む人も出ている。連れ合いからのDVにも苦しんでいる。」「6回めの相談会を実施するが、物価高で女性たちの生活破壊は深刻。戦争の道など絶対に許せない」と報告した。
 最後に、憲法共同センターの米山さんが行動提起。
 1月23日、国会開会日の議員会館前行動。
 1月28日、新宿駅でのウィメンズアクション。
 2月13日、新宿駅東南口街宣、午後6時。
 2月19日、87回「19の日」行動、議員会館前・午後2時。
 2月24日、日比谷野音大集会(ウクライナ侵攻一年)、午後6時半。
 自公反動政権を打倒して、戦争への道を断ち切ろう。東アジアの労働者市民と団結し、平和を闘いとろう。(東京O通信員)