12・4労運研、物価高騰下の「23日春闘構想」を提起
  最賃の再改定を行え

 「物価高騰に対抗して、雇用と生活を守ろう! ワーキングプアを一掃し、ボトムアップの賃上げを!」をスローガンに、第11回労働運動研究討論集会が12月4日、都内の連合会館およびオンラインで開かれた。主催は、労働運動研究討論実行委員会(労運研)。
 はじめに全国一般全国協の平賀委員長が、「23春闘は日本の労働運動の分水嶺になるかもしれない。インフレと闘い労働者の生活を守るには、職場から地域から多くの労働者を結集した春闘を組織しなければならない」とあいさつした。
 伊藤労運研事務局長が、「23春闘構想(案)」を提起した。連合は、インフレ抑制のために賃上げを生産性向上の範囲内に収めるために生まれた組織だから物価高と闘えない。総評はオイルショック時に「年金スト」「最賃スト」を闘い、大幅賃上げと年金スライド制を勝ち取ってきた。連合結成後は、賃上げ要求から「物価上昇分」がなくなり、「ベースアップ」が基本給一律引き上げでなく、平均賃金引上げ要求になってしまった。
 政府の地域最低賃金引き上げ目標も、2025年度までに全国加重平均1000円以上である。これでは、いつまでたっても「全国一律時給1500円」は達成できない。EU最低賃金指令が成立し、賃金中央値60%以下は不適切な最賃と定義された。日本の最低賃金は賃金中央値45%である。60%にするには時給1240円以下をなくさなければならない。最低賃金を下回る事態になっている公務員の高卒初任給を、20万8196円にしなければならない。高卒初任給と地域別最賃の水準を統一し、正規・非正規一体となってボトムアップの賃上げを闘おう。そして「同一労働・同一賃金」を実現するため、地域共闘を強化し、下請や委託先の労働者にも広げていこうと訴えた。
 つづいて、わたらせユニオンの嶋田書記長が、「最低賃金の再改定」について特別報告を行なった。今年の地域別最低賃金の引上げは、過去最高の平均31円(3・3%)だったが、4月から6月の3%程度の物価上昇を参考にして決められたものである。7月以降はもっと物価が上昇している。基準となった持家の帰属家賃を除く総合は4・4%になっているし、生活必需品の上昇は5・5%になっている。中央最低賃金審議会の公益委員見解は、「消費者物価等の経済情勢に関する状況認識に大きな変化が生じたときは必要に応じて対応を検討することが適当である」としている。
 このかん最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会として、10月・11月と最低賃金の再改定を行なうよう厚生労働大臣、地方労働局長に要請した。厚生労働省は「最低賃金の改定は年一回と決まってはいない」と答弁しているが、「改定は生計費、賃金相場、支払能力を考慮して決める」と繰り返すだけである。最低賃金法は、「必要があると認めるときは、その改正または廃止をしなければならい」と規定している。中央最低賃金審議会では、「最低賃金は物価上昇を下回るものであってはならない」という申し合わせもある。実質賃金の低下となる最低賃金は許せない。最低賃金の再改定を勝ち取ろうと訴えた。(12月23日、加藤厚労相に3度目の要請)
 討論では、「冬季一時金要求とは別にインフレ手当を要求し、インフレ手当を獲得した労組がある」ということが、各地から報告された。また、「最低賃金の再改定を実現しないと非正規雇用労働者の場合は生活が苦しくなる」と指摘があった。「地方公務員でも公営企業の場合は最低賃金法が適用されるが、最賃を下回る会計年度任用職員が生まれてしまった」、「会計年度任用職員は人事院勧告の対象であることを認めながら、遡及措置をしないで来年度から給与改定するという当局の回答もある」という発言があった。
 地域最低賃金と高卒初任給の要求を統一することについては、反対の意見はなかったが、「いままでデフレに慣れていてインフレを超える賃上げのイメージがない」、「地域最低賃金と初任給や自分の賃金との関係性を考えたことはなかった」、「最低賃金を引上げると正規社員の賃金が下げられると思っている人が多い」、「反貧困運動を行なっている人には最賃引上げは労働問題であり、関係ないと思う人が多い」、「ヨーロッパのように最低賃金は社会権だと考えてこなかった」などの発言があり、要求づくりにどう結び付けるかの難しさが指摘された。
 労働組合が最低賃金引き上げに取り組み、職場討議の活性化を図り、正規・非正規、民間・公務、労働運動・反貧困運動の接点を探りながら、賃金闘争の再構築を図っていくことが必要だと確認して討論集会は終了した。(東京K通信員)


「3文書」決定に抗議し、国会前12月「19の日」行動
  岸田「閣議独裁」政権打倒せよ

 「安保3文書」閣議決定強行の3日後の12月19日、国会前では85回めの「19の日」行動が、「安保関連3文書反対!軍拡やめろ!改憲発議反対!辺野古新基地建設中止!統一教会癒着徹底追及!いのちと暮らしを守れ12・19国会議員会館前行動」として闘われた。夜の凍てつく寒さをものともせず、1100名が結集。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 主催者挨拶は、憲法共同センターの小畑雅子さん。「国会に諮ることなく、安保3文書を決定した。閣議決定の撤回を求める。軍拡ではなく東アジアで平和の枠づくりを。絶対に戦争を起こしてはならない」と基調提起。
 政党挨拶は、立憲民主党の近藤昭一衆院議員と、社民・福島瑞穂、共産・山添拓、沖縄の風・伊波洋一(メッセージ)の各参院議員。国会と市民の闘いで、この閣議決定を廃止させようと訴えた。
 市民からの発言は、オンラインで山城博治沖縄平和運動センター元議長。「中国に先制攻撃も辞さない軍事力を持とうとしている。ミサイル長射程化で中国・朝鮮の国土を攻撃しようとしている。政府は米国と共に島々に基地を造り、沖縄・南西諸島の戦場化を進めている。先制攻撃をすれば、本土や東京も戦場になる可能性がある」と指摘し、岸田政権打倒を呼びかけた。
 在日ビルマ市民労働組合のミンスイ会長は、「ミャンマーの軍事政権の弾圧で、2700人が犠牲になった。何故日本政府は国軍を止めないのか。また、国民に充分な説明もせず軍拡を進めるのは、民主主義ではなく独裁だ。平和をめざして共に闘おう!」と呼びかけた。
 最後に、総がかり実の菱山南帆子さんが、「止まらない物価高の中で、3文書を改定し軍拡増税を決めた。岸田政権支持率は3割を切った。統一地方選で自公を後退させ、岸田を倒そう!」と訴えつつ、以下を行動提起。
 1月8日、総がかり青年PT行動、新宿駅東南口・午後2時。
 1月12日、新宿東南口街頭宣伝、午後6時。
 1月19日、86回「19の日」行動、衆参議員会館前・午後6時半。
 1月28日、ウィメンズアクション、新宿東南口・午後2時。
 新年、閣議決定撤回の闘いを始めよう!
(東京O通信員)


12・4大地共有会総会
 共生社会問う三里塚
   市東さん農地強制収用反対も表明

 12月4日、一般社団法人三里塚大地共有運動の会の「第5回総会」が都内の文京シビックセンターで行なわれ、また三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人)と、三里塚空港に反対する連絡会との共催で「記念集会」が行なわれた。
 冒頭、事務局の大盛力さんが10月3日に亡くなり、総会参加者で黙とうを行なった。
 第5回総会は、山口幸夫代表理事の開会宣言で始まり、総会成立を確認。
 渡邉理事が議案の報告・提案。新たな関西での登記変更の取り組みなど、事業活動報告等が報告された。
 第5事業年度事業計画について、大森武徳理事から、「三里塚は古くて新しい問題であり、若い世代に資料・書籍などを積極的に紹介していく。木の根イベントで毎回会のブースを出す、過去の映像での発信を追求する」などの提案が出された。
 総会で提案された各議案は承認された。
 島田清作監事から監査報告。「木更津駐屯地に暫定配備されている陸上自衛隊V22オスプレイが、来年1月以降、訓練飛行のため立川飛行場へ飛来する。昨年の第4回総会記念集会で『砂川闘争から三里塚へ』というテーマで講演した。反基地闘争が重要な局面に入っている。今後も三里塚闘争に連帯して反基地闘争を闘っていく」と決意表明した。
 総会は最後に山口さんを代表理事に選任、監事に選任された中川憲一さん(管制塔被告団)が総会閉会挨拶を行なった。
 続いて、第5回総会記念集会には36人が参加。
 司会の辻和夫さん(事務局)は、「成田国際空港会社は、発着回数を30万回から50万回に増やす空港機能強化を打ち出した。2029年3月までに3500mの第3滑走路を建設し、夜間の飛行時間延長、B滑走路の延伸などを計画している。10月にB滑走路の延伸工事を着工した。さらに天神峰の市東孝雄さんの畑、櫓などの破壊のために千葉地裁に強制執行の手続きを行ない、いつでも取り上げられる事態になっている。私たちが利用している横堀農業研修センターに対しても、この夏に周辺の竹藪を伐採した。これは第3滑走路誘導路建設にあたって横堀農業研修センターを通過するため破壊対象となっている。横堀農業研修センターと共有地は、今後、焦点化していく。来年は再共有化運動40年だ。共に闘っていこう」と訴えた。
 山口代表理事から総会報告と主催者挨拶。「ウクライナ戦争で世界が不安定な状況になっている。日本政府は、敵基地攻撃能力を持つことを提案している。原発政策に対しても強化、再稼働を提案している。日本の政治状況は劣化している。石油、天然ガス、石炭、ウランなどの地下資源に頼る文明は、そろそろ終わりにきている。次なる文明は地上資源によって共生社会をいかに作っていくかということだ。その意味で三里塚闘争は、非常に大きな意味がある」と発言した。
 繁山達郎事務局長から法人活動の報告。「来年は再共有化運動40年だ。今後の目標として会は、木の根共有地の持ち分比率で、空港会社・芝山鉄道の持ち分比率をこえる18%以上に取り組んでいきたい。引き続き登記変更カンパを訴える」と呼びかけた。
 山崎宏さん(事務局)の三里塚現地報告では、「空港会社は第3滑走路建設に向けてカネと力を使って工事を進めている。横堀農業研修センターは、第3滑走路と既存滑走路との結線点として存在している。横堀農業研修センターを守りぬこう。連動して空港会社は天神峰の市東孝雄さんの土地を取り上げようとしている。北原派と熱田派の路線の違いや闘いの経過からダイレクトに共に闘うことはできないが、農民に対する攻撃を許すことはできない」とアピールした。
 三里塚からのメッセージでは、農作業中の柳川秀夫さんの映像が上映された。
 次に大森武徳理事が映像で、木の根プールクラウドファンディングの取り組み等を紹介。
 加瀬勉さんは、ビデオ映像で決意表明。「東京の空調がきいたコンクリートの建物の中で農民運動はできない。三里塚現地とどう向き合うのか」と強調し、今後の取り組みの方向性を問題提起した。
 連帯発言を、岡野純一さん(辺野古にカヌーを贈る会)、福島原発刑事訴訟支援団の斎藤春光さんのメッセージ、大道寺毅さん(羽田空港を監視する会)、山田謙さん(東大阪三里塚闘争に連帯する会、関西三里塚闘争に連帯する会相談会)、根本博さん(南西諸島の自衛隊基地に反対する大阪の会)から受けて終了した。
 (連絡会の共同報道文から要約)


東電刑事裁判、逆転有罪判決を!
  1・18判決公判へ

 12月20日、東京電力刑事裁判での一審不当判決破棄、逆転有罪判決または地裁差し戻しを求めて、「月いちランチタイムスタンディング」行動が東京高裁前で闘われた。9月20日より開始され、今回で4回めとなる行動で、約80名が参加した。主催は、福島原発刑事訴訟支援団。
 東京高裁(細田啓介裁判長)はこのかん、7月13日の東電株主代表訴訟一審判決を証拠として審理すること、弁論を再開することを拒否した。これに対し、被害者参加代理人の河合弘之・海渡雄一弁護士は、「一審判決を破棄し、自判又は差し戻しを求める上申書」を提出して反撃した。
 1月18日の判決公判が最後の決戦になる。福島第一原発事故の真実が判断され、公正な裁きが下されねばならない。
 開廷は午後2時。午前11時からの高裁前アピール行動に大結集しよう!(東京O通信員)