「安保3文書」改定――沖縄・日本の戦場化
 今闘わずしていつ闘う


 岸田政権は年内に「安保3文書」改定を強行せんとして、11月22日には「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」なるものに報告書を出させ、また30日には与党の公明党をして、「反撃能力」=敵基地攻撃能力保有で自民と実質合意させた。
 その防衛力有識者会議の報告書は、「5年以内に防衛力を抜本的に強化」、「反撃能力の保有と増強」、「財源は国民全体で負担」等々とまくし立て、そしてさらに、「南西諸島の港湾や空港などの公共インフラは、安全保障上の重要な機能を担い得る。有事を見越して、平時から政府全体で備えることが重要だ」と言い切った。
 11月10日~19日、日米合同軍事演習「キーン・ソード23」が沖縄を中心に強行された。これはまさに、沖縄・琉球弧を戦場とする対中国戦争の実動演習であった。公共インフラの軍事利用では今回、中城湾港を使っての自衛隊車両・物資の大量搬入、与那国空港を使っての陸自機動戦闘車の空輸・公道走行が際立っている。報告書はこの日米軍事演習をなぞり、沖縄にさらなる戦争基地化を求める提言である。
 こうして戦争の危機が一段と高まるなか、全国各地で「安保3文書」・軍拡反対、改憲阻止、岸田政権退陣を求める行動がしだいに広がりつつある。

  大軍拡反対11・30日比谷野音

 東京では11月30日、「軍事費増やして生活壊すな!改憲反対!カルト癒着の政治をただせ11・30in日比谷野音」の集会・デモが行われ、1500名の労働者・市民が結集。「安保3文書」改定の閣議決定など、岸田政権の戦争準備に断固反対した。呼びかけは、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委。
 主催者挨拶は、戦争をさせない千人委員会の勝島一博さん。「11月10日の衆院憲法審査会では、自民党が緊急事態条項の詰めの論議を求めた。緊急事態条項は、政権に権力を集中するもので、先の戦争ではその遂行のために利用された。専守防衛を否定する敵基地攻撃能力など、今強められている改憲と戦争準備を阻止しよう!」と行動の意義を明らかにした。
 政党挨拶では、立憲民主党の近藤昭一衆院議員がアピール。「政府は台湾有事は日本有事と軽々しく言うが、それを起こしてはならない。台湾有事は沖縄を最前線とした戦争、沖縄の人々の命を危険にさらすことだ。政府は敵基地攻撃能力保有を主張し、相手の疑心暗鬼を強めている。必要なのは軍事ではなく平和外交、9条を守ることだ」と訴えた。
 れいわ新選組の櫛渕万里衆院議員は、「岸田首相はGDP比2%を指示し、抑止力拡大というが、相手から見れば威嚇であり、軍拡競争になる。外交で戦争を防ぐのではなく、安保3文書は脅威外交型の軍事戦略。東アジアの戦争の危険を必ず阻止しよう」と訴えた。
 日本共産党の小池晃参院議員のほか、沖縄選出の国会議員からは社民党の新垣邦男衆院議員、沖縄の風・伊波洋一参院議員が登壇し、沖縄の軍事要塞化を止めよう、沖縄・日本の戦場化を阻止しよう!とアピールした。
 市民からの発言では最初に、馬毛島(鹿児島県西之表市)の米空母艦載機離発着訓練基地化・自衛隊軍事要塞化について、「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の山内光典会長が発言。「九州防衛局は年内にも本体工事を着工する姿勢を示している。訓練が強行されれば騒音被害が起き、落下物などで平穏な生活は崩される。マゲシカも全滅し、漁場も失われる。12月1日の防衛省ヒアリングでは、白紙撤回を要求する。馬毛島問題は日本の進路の問題だ!」と訴え、馬毛島の基地化反対への支援を呼びかけた。
 ジャーナリストの有田芳生さんは、自民党と統一教会の癒着について発言。「この癒着は、最も厳しいスキャンダルであり、統一教会の闇を鮮明にしなければならない。今がその時」と問題の政治的側面を指摘した。
 最後に、憲法共同センターの小田川義和さんが、「今日の行動は、改憲阻止・戦争する国ストップのスタート台だ!」と宣言しつつ、
 12月、来年1月の「19の日」行動(議員会館前・午後6時半)等とともに、岸田内閣が「安保3文書」の閣議決定を強行した場合には当日、緊急の首相官邸前行動を行なう。
 と行動提起。集会後、参加者は国会請願デモを貫徹した。
 情勢は安保法制闘争以来の正念場であるが、今のところ反対運動は低調にとどまる。岸田政権は一ヵ月で3人も閣僚が辞任し、危機的であるにもかかわらず、なぜ「専守防衛」を覆すような暴挙ができるのか。これまでの野党共闘が崩れていることも要因だが、自立した労働者・市民による大衆闘争が弱い。
 中国では11月下旬、行き過ぎの「ゼロコロナ」施策に抗議する大衆闘争が各地で巻き起こった。すると、さすがの習近平政権も軌道修正を始めたようである。日本でも、情勢を動かせるのは大衆闘争の爆発だ。(O)


「キーンソード」演習糾弾し国会前「19の日」行動
 緊急事態条項も戦争の道

 「安保3文書」の12月閣議決定が目論まれ、戦争の危機が一段と高まる中の11月19日、各地で戦争法廃止等の「19の日」行動が取り組まれた。
 東京では、84回めの「19の日」行動が、「統一教会癒着徹底追及!軍拡やめろ!改憲発議反対!辺野古新基地建設中止!いのちと暮らしを守れ11・19国会議員会館前行動」として行なわれ、1100名の労働者・市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 最初に、戦争をさせない千人委の勝島一博さんが主催者挨拶、「11月10日の衆院憲法審査会では、自民党が緊急事態条項新設で二つの考え方を提示した。改憲4党(自、公、維新、国民)の改憲案には違いがあるものの、緊急事態条項では一致している。発議の危機が高まっている。改憲阻止を揺るぎない決意で!」と警鐘を鳴らした。
 政党挨拶では、服部良一社民党幹事長が発言、「安保法制の強行成立で米国と一体の戦争準備が進行し、沖縄が再び戦場になる危険が進んでいる。台湾有事日米共同作戦のキーンソード演習が現在強行されており、これを許さず沖縄では本気で闘っている。我々も戦場化阻止を全力で闘おう!」と訴えた。
 沖縄の風・伊波洋一参院議員も、「沖縄県、鹿児島県の南西諸島、本土を含めて戦場になろうとしている。日本政府は中国への外交努力を重ね、東アジアの平和のために行動すべきだ。9条を掲げた平和外交こそ必要だ」と訴えた。
 他に、日本共産党の塩川鉄也衆院議員や立憲民主の阿久津幸彦氏も発言した。
 市民発言ではまず、共通番号いらないネットの中森さんが発言。10月13日に河野太郎デジタル相が、マイナンバーカードとの一体化による健康保険証の廃止という、事実上カード取得を義務化する方針を表明した。これを批判し、「マイナカードの取得は任意だ。河野発言のねらいは国による国民情報の一括管理。今後は免許証や職員証との一体化も進む。マイナカードは管理社会のインフラ。来年、取得促進の番号法改正案提出の可能性もある。国民監視・管理社会を阻止しよう!」と訴えた。
 「止めよう辺野古埋め立て」国会包囲実行委の木村辰彦さんは、「今年9月の沖縄県知事選勝利で辺野古NO!の民意が改めて示された。岸田政権が違法な工事を続けているのは許されない。オール沖縄会議は、辺野古断念を求める署名を進めている」と報告し、協力を訴えた。
 最後に、高田健・総がかり行動実共同代表が、「闘いは今、分水嶺にある。支持率30%程度の岸田が国会で論議もせずに暴走している。米国と協力して中国・朝鮮と戦争する国にしていいのか。いま闘わなければ、かってのアジア侵略と同じになる」と警告しつつ、以下等を行動提起。
 11月30日、日比谷野音集会・デモ。
 12月19日、第85回「19の日」行動、衆参議員会館前・午後6時半。
(東京O通信員)


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