日中国交正常化50周年9・28記念集会
  共同声明の初心に

 「日中国交正常化50周年記念大集会」が9月28日、衆院第一議員会館で開かれた。会場一杯の280名が参加し、多くの報道関係者が取材していた。
 主催者を代表して村山首相談話の会の藤田高景さんは、鑑真和尚や遣唐使を紹介しながら日本の文化・思想に影響を与えた日中交流の歴史を語り、「日本政府は、安倍元首相の国葬をするのではなく、日中国交正常化を祝う集会を行なうべきだ」とあいさつした。
 つづいて、村山富市元首相がビデオメッセージで、「日中の友好こそが平和を築く」とあいさつ。また鳩山由紀夫元首相が、「尖閣問題、台湾問題も50年前に結論は出ている。原点に立ち返って話し合いを進めるべきだ」とあいさつした。
 在日本中国大使館の楊宇首席公使は、「今後50年の新しい日中関係は、お互いをパートナーとして相互認識し、両国間の恒久的な平和友好関係を謳った日中平和友好条約を遵守する責務を負い、意見の相違について小異を残して大同につくように解決し、友好・協力の絆を強める必要がある」とあいさつした。
 政治評論家の森田実さんは、「日本は米国への自発的隷従を求めている」と指摘し、「日米同盟を止めて、日中の協調と友好こそアジアの平和と繁栄の肝である」と述べた。国際政治学者の羽場久美子さんは、「日本と中国は50年前に恒久的な平和友好関係を誓った。中国敵視・封じ込めはアメリカの世界戦略である。アジアでの紛争は欧米支配の継続である。ウクライナ戦争を教訓として、日本は同じ文化圏の兄弟国に対してアメリカを守るためにアメリカの武器をもって戦うことがないようにしなければならない」と述べ、「東アジアの平和の話し合いの場として、沖縄にOSCE(全欧安全保障協力会議)のような会議を市民の手でつくろう」と提唱した。
 中国文化財返還運動を進める会の東海林次男さんの連帯の挨拶のあと、東方文化芸術団の皆さんの民族楽器の演奏、歌、構成詩の朗読が披露され、会場は「北国の春」の大合唱となった。
 浅井基文(元広島平和研究所所長)さんが、「9条及び声明・条約の初心に戻ろう」と題して記念講演を行なった。浅井さんは、「米ニクソン政権の対中戦略の見直しが日中国交正常化を可能にした条件である」と指摘したあと以下のように述べた。
 1972年2月28日の上海共同声明は、米中の考え方を併記した声明であって、アメリカは「『一つの中国』、『台湾は中国の一部』とする台湾海峡両岸のすべての中国人の主張を認識し、その立場に異論を唱えない」、「中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての関心を再確認する」と述べた。「米国政府は、台湾からの全ての米国軍隊と軍事施設を撤退ないし撤去するという最終目標を確認する」と述べながら、非平和的統一に対する軍事的介入の可能性を残している。また中国は対日交渉を、過去の戦争の反省、「一つの中国」「台湾は中国の一部」の承認、両国は覇権を求めず、問題は話し合いで解決の3点に絞り込んだ。日本はサンフランシスコ体制を大前提とする国交正常化という考え方で臨んだが、結局、中国側の要求を受け入れた。いわば、日米安保体制の精神というよりは日本国憲法の前文・9条の精神で日中共同声明をつくりあげた。ここにアジアにおける覇権を維持したいアメリカの対中戦略が変化するたびに、日本の対中政策が親9条的であったり反9条的であったりする要因があると分析した。
 最後に日中労働者交流協会の伊藤彰信会長が、「中国の戦争賠償請求放棄は『日中両国国民の友好のために』である。アジアの平和のために日中友好を促進しよう」と閉会の挨拶を述べた。(東京K通信員)


9・18ピョンヤン宣言20周年集会
 日朝交渉を動かそう

 歴史的な日朝ピョンヤン宣言からちょうど20年目を迎えた9月17日、20周年集会が東京・文京区民センターにおいて、主催者発表200名の参加でおこなわれた。主催は「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動」で、「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワークと総がかり行動実行委員会参加の諸団体が賛同している。
 集会は、「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワークの加藤正姫さんの司会で開始。主催者挨拶は、総がかり行動実行委の菱山南帆子さんで、元首相の安倍晋三に言及し、「日朝ピョンヤン宣言を無視し、朝鮮との外交を取らず」戦争挑発を続けたことを批判。このような安倍を「国葬」などにしてはいけないと発言した。
 講演はまず、「拉致問題はなぜ解決しないか 安倍政権の罪」との演題で、前参院議員でジャーナリストの有田芳生さん。
 有田さんは、「2002年の小泉訪朝は、当時の外務省田中均を中心に水面下での秘密交渉があって実現した」とし、この交渉過程で拉致を認めさせ日朝ピョンヤン宣言の締結にこぎ着けた。ここには安倍の実績は微塵もないことを暴露。第一次安倍政権になると外務省を外し、経産省と警察幹部を重用して外交をやらせたため、そこで失敗した。共和国側は2018年に、日本における差別政策の是正、制裁の解除など日朝交渉再開のための条件を提示している。安倍第二次政権と当時の外相河野太郎は、共和国への圧力や制裁を公言することにより事態の進展をみていない。これを崩さないかぎり、日朝交渉の進展はないとの見解を述べ、安倍の大罪と今後の進展への道筋を示した。
 休憩後次いで、月刊誌『世界』の元編集長・岡本厚さんが、「『日朝平壌宣言』20年とウクライナ戦争後の東アジア」との演題で講演。
 岡本さんは、20年前の小泉訪朝に関して、「総理大臣が国交のない国に自ら乗り込み、それまでの関係を一挙に変えようとした画期的な行動」だったと評価したが、その後20年間にわたって一歩も動かなかったのは、安倍に原因があると言及した。ここからの突破のためには、「日朝平壌宣言」の精神に戻ることだと結んだ。(東京Ku通信員)