岸田前のめりの原発「新増設」
  東海第二原発の再稼働も許さない!

 岸田首相は8月24日、GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、原子力発電所「新増設」の検討を表明した。2011年フクシマ以降の日本の大きな転換として、世界的ニュースになっている。
 日本では「3・11」以降、民主党政権では「30年代に原発稼働ゼロ」方針であったが、自公政権に戻ってからは、原発をベースロード電源としつつ、「依存度を可能な限り低減する」方針としていた。その後、脱炭素を口実に、最近ではウクライナ情勢も利用して、政府・財界に原発回帰が声高となり、今年6月の経済財政方針(いわゆる骨太方針)では、「低減」が消えて「最大限活用」に変えられた。
 しかし原発の「最大限活用」や、まして「新増設」は、日本での多数民意とは依然かけ離れている。朝日新聞の8月27日世論調査によると、原発「新増設」に反対58%・賛成34%とある(福島事故後の11年調査では、反対73%・賛成16%)。新増設方針を年末に具体化するとしているが、岸田政権の新たな難題となる。
 岸田はGX会議で、既存原発の再稼働についても、「国が前面に立つ」などと述べた。7月14日にも岸田は、今冬の電力不足に対応するとして「原発9基稼働」を述べているが、今回は国が電力会社に号令をかける異常な踏み込みである。
 福島第一原発事故の以降、再稼働した原発は(現在停止中も含めて)10基、原子力規制委の主な審査を終えて再稼働しようとしているのが7基。その7基のうちの一つが、日本原電の東海第二原発(茨城県東海村)である。

8・19六ヶ所ピース東海村行動
  日本原電を追及

 8月19日、東海第二原発の再稼働中止、廃炉を求める一日行動「六ヶ所ピースサイクルin東海村行動」が闘われ、およそ20名の労働者市民が結集した。主催は、ピースサイクル2022全国ネットワーク常磐線ルート。
 まず、JR東海駅前にて、青森・六ヶ所に向かうピースサイクル隊を送り出したあと、東海村役場訪問へ向かう。
 日本原子力発電は、安全対策工事を急ピッチで進め、東海第二の2024年再稼働にむけ既成事実化を急いでいる。再稼働阻止には、住民一人たりとも犠牲にさせない避難計画の作成と村民全員の説得を東海村当局に求め、それ無くして再稼働容認は無いとさせ、当面の再稼働時期の引き延ばしを図る必要がある。
 東海村役場訪問は、この闘いを念頭に、安全対策、避難計画、再稼働時期等を中心に攻防がなされた。
 安全性向上対策工事については、防潮堤の鋼管杭建て込み・打設作業が7月現在で地下部約600本のうち455本、地下部及び地上部で約600本のうち274本が施工され、鋼管杭への鉄筋設置・コンクリート打設工事が進められている。さらに常設代替高圧電源装置置き場の躯体工事や、緊急時対策所建屋の鋼管杭打設工事が進行している現状、と村から報告された。
 また、特定重大事故等対処施設は、設計及び工事計画認可の取得に向けた対応が進められ、工事が急ピッチに進められている現状が示された。
 避難計画について村は、避難計画などの不備を理由に日本原電に運転差し止めを命じた水戸地裁判決(21年3・18)について、「関心事」と発言。避難計画作成のために、「これまでの取り組みを着実に前進させ、結果を積み重ねる」と回答した。村は再稼働容認の山田村政の基で、避難計画の完成をめざす構えを表明した。
 しかし、避難時の在宅介護者の福祉車両の確保は県に求め、医師の配備計画は未実施等々の現状であり、「現在の避難計画作成の到達度は何%か?」との質問にも答えられなかった。
 東海村など6市村の原発30㎞圏内94万人の避難計画、まして首都圏3千万人の避難計画など不可能である。それでも立て板に水の村職員の説明には、惑わされる住民も多いのではと一抹の不安を感じる。
 再稼働時期については、24年工事終了の「この段階までに日本原電は核燃料を装填し、原子炉の起動=再稼働を行なうのか」との質問に、「現時点では検査の過程において燃料の装荷、原子炉の稼働が伴うかについては、決められていない」と回答した。
 山田村政の下でのこうした回答では、東海第二再稼働の危機は高まる。
 午後からは、日本原電事務所前で申し入れ行動を展開した。
 事前提出の要望書への回答およびこの日の行動によって、東海第二の新規制基準に係わる安全性向上対策費用がおよそ1746億円、特重対処施設で約610億円を見積もっていることが明らかになった。また対策工事完了が24年9月に延期された理由は、防潮堤など大規模工事が当初計画より時間を要したこと、および新型コロナ対策による延期であると説明された。
 さらに、「24年9月工事終了で再稼働か?」との質問には、「決まっていない」「お答えできない」を乱発。「避難行動をとっていただくような事態とならないよう安全対策を徹底する」と繰り返した。
 また、「安定供給・経済性・環境+安全の観点から、多様なエネルギー源を組み合わせることが必要」、「将来に亘って原発を一定規模確保することが必要」と回答。原発の安全性・安定性・経済性など大嘘であり、今も環境破壊を続けている東電福島第一原発事故を目の当たりにしたうえでの、日本原電の居直り姿勢を絶対に許してはならない。
 一日行動は最後に、①コロナ禍、地震の多発、戦争では原発が標的となること、水戸地裁判決、これらを踏まえて東海第二原発の再稼働を絶対に行なわないこと、②廃炉に向けた行程表を提示すること、の二点を日本原電に要請して闘いを終了した。
 周辺6市村住民と首都圏各地域の運動を結合し、多様な闘いで、東海第二再稼働阻止・廃炉に追い込もう!(O)