「復帰」50年
 沖縄を再び戦場(イクサバ)にさせない
 日比谷5・15デモに650人

   琉球弧の全軍事基地撤去!

 沖縄が米軍支配から日本「復帰」して50年目となる5月15日、政府と沖縄県の共催による「記念式典」が東京都と宜野湾市の両会場で開かれ、他方では「復帰」50年を問い直し、軍事基地全面撤去などを求める大衆行動が、「本土」・沖縄の各地で展開された。
 東京では5月15日、「沖縄『復帰』50年を問う、ウチナーイクサバやナランド―、軍事基地は出ていけ!」5・15デモが、午後2時から日比谷公園霞門を起点に行なわれ、650名が参加した。これは沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの単独主催であるが、161団体が賛同しており、当日霞門前はたいへんな盛況であった。
 デモ出発前の発言では、一坪関東から青木初子さんが主催者挨拶。玉城知事の「不承認」を違法に取り消して強行される米軍辺野古新基地建設、自衛隊の琉球弧要塞化など半世紀たっても苛烈に続く構造的沖縄差別を糾弾しつつ、「戦争NO、核保有NO!」と訴えた。
 続いて、山城博治さんが発言。山城さんは、前日14日沖縄での「5・15平和行進」(沖縄平和運動センター主催)を終えて上京してきた。「50年前、わたしも帰島して雨の与儀公園にいました。政府は沖縄を50年踏みにじり続けるだけでなく、対中国で、沖縄戦をまたやるつもりなのか。ふざけるんじゃない。『台湾有事』はアメリカの謀略です。沖縄を再び喰い物にはさせない。」「昨日の平和行進には、ありったけの右翼街宣車が妨害にきました。今後の全国情勢が懸念されます。参院選では改憲反対に投票を、野党は団結を。」と訴えた。
 参加者が多く、2梯団となってデモ出発。「米軍基地出ていけー」「自衛隊基地も出ていけー」等とコールしつつ、新橋方面へ行進した。沖縄を戦場にはさせない、この厳しい情勢に立ち向かう一定の勢いを感じさせるものがあった。

 玉城知事「新たな建議書」

 なお、玉城デニー沖縄県知事は、「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を公表し、5月10日岸田首相に手渡した。この建議書は、51年前の琉球政府「復帰措置に関する建議書」を踏まえた「新たな建議書」である。(1971年11月17日、屋良朝苗主席が「復帰措置に関する建議書」を政府・国会に提出する寸前に、自民党は衆院特別委で沖縄返還協定を強行採決した。これによって沖縄の民意を無視した中味での沖縄返還が確定した)。
 「新たな建議書」では、日本政府への建議として要旨以下を求めている(全文は沖縄県HPで公表)。
 ①復帰において「沖縄を平和の島とする」ことが沖縄県と政府の共通の目標であることを改めて確認し、「復帰措置に関する建議書」に掲げられた「地方自治の確立」、「反戦平和の理念をつらぬく」、「基本的人権の確立」、「県民本位の経済開発」等の考え方を尊重して、「基地のない平和の島」の実現に取り組むこと。
 ②2013年「建白書」も踏まえ、地位協定見直し、基地の県外・国外移設、普天間基地運用停止、辺野古新基地建設断念等「構造的、差別的ともいわれている沖縄の基地問題の早期解決をはかること」。
 ③憲法が保障する「民主主義」や「地方自治」について、「正当な手続きにより示された民意や、地方公共団体が自らの判断と責任で行政を運営するという原則を尊重」すること。
 ④アジア太平洋地域において、武力による抑止が国・地域間の緊張を過度に高め、不測の事態が起こることのないよう最大限の努力を払うとともに、平和的な外交・対話により同地域の平和構築に寄与すること、「その際、独自の歴史や多様性を持つ沖縄を最大限活用すること」。
 また建議書は、ロシアによるウクライナ侵攻は、「77年前の沖縄における住民を巻き込んだ悲惨な地上戦の記憶を呼び起こすものであり」、「沖縄を取り巻くアジア太平洋地域の今後の情勢等について重大な危機感を持たざるを得ません」とし、「米軍基地が集中しているがゆえに沖縄が攻撃目標とされるような事態は決してあってはならない」とする。
 そして、未来へ向かって沖縄が、「平和貢献の地域協力外交を通じて平和の拠点としての役割を担っていく」必要があると述べている。(東京W通信員)


5・26
 辺野古新基地建設を許さず
 憲法が生きる沖縄と日本をin東京

  屋良「建議書」を想起

 5月26日の夕、「復帰」50年・辺野古新基地建設を許さず憲法が生きる沖縄と日本を!in東京が日比谷野音で開かれ約1200人が参加、集会後銀座デモを行なった。主催は総がかり行動実と、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委。
 最初に太田武二さんらが、「(琉球)民族の怒りこめ~」と三線で熱唱、一坪関東の青木さんの司会で開始。
 主催者挨拶は、総がかり実の勝島一博さん。50年前を「沖縄の自己決定権と人権が全く欠如した返還であった」と振り返りつつ、沖縄が再び捨て石とされることを許さない今日の課題を提起した。
 立憲野党からは、立憲民主・打越さく良、社民党・福島瑞穂、沖縄の風・高良鉄美の各参院議員、共産・赤嶺政賢の衆院議員が挨拶。
 メインスピーチとして、石川元平さん(屋良朝苗琉球政府主席元秘書、沖教組元委員長)がビデオメッセージ。弊履の如く扱われた屋良「建議書」、主席に同行していたのが石川さんである。建議書の背景には、教公二法阻止闘争から68年初の主席公選・屋良勝利にいたる闘争史がある。石川さんは、今日の「新たな建議書」にも触れ、琉球弧の対中国戦争基地化を批判して話を終えた。
 集会は、「本土」諸団体発言の後、「オール沖縄会議」福元勇司事務局長からの連帯メッセージを確認して終了した。(東京A通信員)