4・16さようなら原発首都圏集会に2300人
  あくまで「原発反対」「戦争反対」

 4月16日、東京江東区の亀戸中央公園で、「4・16さようなら原発首都圏集会」が行なわれ、2300人の労働組合員や市民が参加した。
 この「3・11」の周年集会は、福島原発事故から11年と銘打たれるとともに、今年はウクライナに平和を!ロシアは原発に手を出すな、とも掲げられた。主催は、さようなら原発一千万署名市民の会。
 集会は、ピースボートの畠山澄子さんの司会あいさつ、一千万署名呼びかけ人の鎌田慧さんの開会あいさつで始まった。両氏とも、「原発ダメ」「戦争ダメ」を倦むことなく叫び続けようと訴えた。
 最初の報告は、東電刑事裁判と汚染水海洋放出について、宇野朗子さん(福島原発刑事訴訟支援団)。福島原発事故の避難家族でもある宇野さんは、東電刑事裁判について、「告訴団の運動でようやく強制起訴に持ち込んだ裁判は16年に開始されたが、一審の無罪判決を許さず、事故原因を検証し、事故責任を東電に取らせねばならない。東京高裁の控訴審を6・6で結審させてはならない。控訴審での公正判決を求める署名を展開中」と報告した。
 核燃料サイクルの破綻と下北の現状について、山田清彦さん(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長)。政府・原発推進派は、もんじゅ廃炉で核燃が破綻したにもかかわらず、六ヶ所再処理工場を稼働させようとしている。核燃を断念せず、1万人訴訟は提訴30年もたつのに、まだ引き延ばしをやっていると現況を報告した。
 東海第二原発差止め裁判について、大石光伸さん(東海第二原発差止め訴訟共同代表)。「日本原電に対するこの裁判では、昨年3・18水戸地裁差止め判決を得た。年内にやっと始まるかという東京高裁の控訴審では、すでに380ページの控訴理由書を出し、徹底的に審理させる方針です」と報告。また、東電・国に対する民事3件の最高裁判断、株主代表訴訟7月判決が注目され、関連してくると報告した。
 ロシアの侵攻と原発占拠については伴英幸さん(原子力資料情報室)、ウクライナ支援については田口務さん(日本YMCA)が報告した。集会会場でも行なわれたウクライナ避難民支援募金は、ヨーロッパ各国のYMCAなど民間団体に直接届けられる。
 最後に、一千万署名呼びかけ人の落合恵子さんが、「核共有など暴論にもっともっと怒ろう!」などの閉会あいさつを行なって終了。参加者は、亀戸駅をへて錦糸町までのデモ行進へ移った。
 ウクライナ戦争勃発という状況下の今年の「3・11」は、代々木公園3・21、この亀戸4・16と、「原発反対」「戦争反対」を掲げて行なわれた。いぜん拡がりを欠くが、原水禁や平和フォーラムに参加する労働組合員などが奮闘したといえる。また3月には、青年労組員を中心とするフクシマ連帯キャラバンも、今年は実行されている。
 なお、「さようなら原発一千万署名」は22年1月現在で、882万6517筆。
(東京W通信員)


最高裁「長期評価」最終判断へ
   東電刑事公判を6・6で
  終わらせてはならない


 福島原発事故での東京電力旧経営陣の業務上過失致死傷罪を問う東電刑事裁判、その第3回控訴審が、6月6日と決められた。この第3回公判では、検事役の指定弁護士と東電弁護士とがそれぞれ書証の補充弁論を行ない、また被害者が心情意見陳述を行なって、結審する見込みと言われている。
 これに先立って4月5日、福島原発刑事訴訟支援団は、「東京高裁は被害者の声を聞け!長期評価の信頼性を認め有罪判決を!東京高裁への意見書提出行動&東京集会」を高裁前で開催した。この行動は、4月10日の福島県民集会に連なる。
 東京高裁・細田啓介裁判長は、第2回控訴審で、指定弁護士が公正な裁判のために求めた現場検証と証人申請を「必要なし」として平然と却下した。一方、損害賠償請求の千葉避難者訴訟・東京高裁判決文など、9点の証拠を採用した。
 この千葉訴訟高裁判決(第22民事部・白井幸夫裁判長)は、「土木学会の津波評価技術と推本の長期評価のいずれもが、専門家を含む構成員が議論を重ね」、「一方は学術的権威のある学会が、他方は国の機関が公表したもので」とし、「長期評価に示された見解については相応の科学的信頼性のある知見である」、「津波評価技術と比較しても科学的信頼性において同等」と述べて、長期評価の信頼性を認めている。
 海渡雄一弁護士は、この判決文から、「推本の長期評価が、津波対策を基礎づける信頼性を有しているという前提に立ち、一審の誤まった無罪判決を破棄し、被告人らに対する有罪判決を下すべきである」と指摘する。
 最高裁判所は3月2日、民事の避難者訴訟である千葉訴訟・群馬訴訟・福島訴訟の3事件について、東電の責任を確定させ、また国の責任については4月中に口頭弁論を開くとした。国の責任に係る「長期評価の信頼性」について、最高裁で今夏にも最終判断が示されることとなったのである。また東電株主代表訴訟では昨秋現場検証が行なわれたが、この東京地裁判決も近い。
 東電刑事裁判を、これら民事の判断が出る前に、終わらせてしまってはならない。
 4・5東京集会は、高裁前に約百名が参加。まず佐藤和良・刑事訴訟支援団団長が挨拶。佐藤さんは、「前回控訴審で裁判長は、現場検証を却下し、また一審の長期評価を認めない誤りを正すための証人申請も不採用とした。そこで、長期評価の信頼性を認めた千葉訴訟判決文の採用を受け、今回は正当な判決文を書いてほしいとの思いで意見書提出となった」と行動の目的を示した。
 次いで河合弘之弁護士は、「何としても逆転したいと海渡弁護士が、370ページもの意見書を書いた。それを今日提出する」と述べた。
 その海渡弁護士は、「意見書は、その7~8割が刑事裁判で明確になった事実に基づいて書いた。株主代表訴訟などで採用された事実も論じている。訴訟で明らかになった事実で、充分有罪判決が書けることを裁判官に証明している。裁判を絶対このままで終わらせない」と決意を示した。
 行動は、意見書提出代表団を高裁に送りだして終了した。
 午後、参院議員会館で報告集会。
 大河陽子弁護士は、「本日の意見書は、告訴人代理として提出。今後、被害者代理人としての意見書も提出する。」「控訴審が6・6に結審した後に、民事3件で最高裁の判断となる可能性は高い。6・6を最終弁論にさせない訴訟展開が必要だ」と指摘。海渡弁護士も同様に、「6月中ぐらいに最高裁判断が出る。しかし6・6で結審してしまってはすでに遅しだ。もう一回公判を開かせるよう働きかける」と述べ、最後まで闘い抜く姿勢を示した。
 東電刑事訴訟は、決定的な局面に達した。支援団と連携して断固勝利しよう!(東京O通信員)