東アジアに「戦場」は作らせない!

  韓米合同演習・日米共同作戦撤回!

 ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、東アジアでは朝鮮への全面侵攻を想定した米韓合同軍事演習が、4月12日から強行されんとしている。これに対峙し、朝鮮は今年に入って以降、各種ミサイルの試射、そして4年前に中止を宣言していたICBM級ミサイルの試射実験を3月24日に行なった。
 朝鮮の実験中止の間に行なわれた、米朝首脳2018年6月シンガポール合意は夢だったのか。決してそんなことはない。その間は米韓合同演習も中止された。米バイデン政権が、昨年来の合同演習強行を止め、米朝首脳合意に立ち戻れば、朝鮮半島「戦場化」の阻止・米朝正常化・朝鮮半島非核化の道は拓ける。
 では、沖縄・琉球弧「戦場化」の危険は、どのようにすれば除去できるのか。民衆の知恵と国際連帯が問われている。ウクライナ「戦場化」の最大の教訓は、東アジアに「戦場」は作らせない、これである。(編集部)


ノーモア沖縄戦 命どぅ宝3・19発足集会
 沖縄を再び戦場にさせず


 3月19日、沖縄中部の沖縄市民会館で、3・19「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」発足集会が開かれ、オンラインを含めて607名が参加した。
 集会は三上智恵さん(映画監督)の司会で始まり、会共同代表の宮城晴美さんが開会挨拶。他の共同代表の石原昌家さん(沖縄国際大学教授)、ダグラス・ラミスさん(元海兵隊員)、具志堅隆松さん(沖縄戦戦没者遺骨収集ボランティア・ガマフヤー代表)が各意見を発表し、山城博治さん(沖縄平和運動センター顧問)が行動計画を提起した。
 基調講演を、琉球新報報道本部長の新垣毅さんが、「核ミサイル戦争の危機」と題して行なった。新垣さんはウクライナ侵攻から話し始め、ロシア断罪に終わることなく、侵攻に至るプロセスの検証が重要であり、軍縮協議の停滞を背景として指摘した。19年の米国によるINF条約の破棄が世界的転換点であり、日米同盟の「国体化」と核共有論によって、沖縄への米軍核ミサイルの再配備が懸念される。今後の課題は、「緊張を緩和する緩衝地帯をどう築くか」であり、「植民地主義を終わらせ、沖縄の自己決定権を確立する」必要を語った。
 最後に、発足集会決議を採択。それは①政治信条や政党支持の垣根を越えて、「沖縄を二度と再び戦場にさせない」との思い・目的のもと、県民の幅広い結集を呼びかける。②「台湾有事・尖閣有事」を口実とした対中戦争への反対を、米国政府、日本政府、台湾政府、中国政府、沖縄・日本の世論、そして国際世論に訴える。③日米両政府の戦争計画遂行を許さないため、平和な沖縄、平和な日本、平和の国際社会を実現するため、県内、国内、国外へ連帯と活動を広げる、としている。
 3月22日、「ノーモア沖縄戦」の会は県庁で玉城デニー沖縄県知事と面談し、知事要請を行なった。石原共同代表は、「保守も革新もなく、県として県民の命を守るという立場で、ぜひ県として中心になって行動を起こしていただきたい」と要請し、玉城知事は、「台湾有事などを理由に沖縄が攻撃目標になることがあってはならない。県として出来ることに取り組んでいきたい」と応じた。(沖縄T通信員)


長期化するウクライナ戦争、まず即時停戦を!
  ロシア・米NATOの覇権主義反対

 ロシア・プーチン政権の2月24日に始まるウクライナへの全面侵攻と、それに対するウクライナ・ゼレンスキー政権の抗戦は、予想外に長期戦となっている。首都キエフ、ハリコフなどは陥落せず、ロシアは傀儡政権の樹立をあきらめて、東部2州の切り取りに作戦の重点を移したともみられている。このなかで、ロシアとウクライナの停戦交渉が、ベラルーシやトルコにおいて断続的に続けられている。
 3月29日にトルコのイスタンブールで対面で行なわれた停戦交渉では、ウクライナ側が、NATO加盟路線を修正する代わりに、中立・非核のウクライナの安全を保障するための国連安保理常任理事国を含む国際的枠組みが作られること、またクリミア問題については、両国で15年間交渉し、その地位を確定すること等を提案した。ロシアは、ウクライナの中立化に向け進展があったと評価し、対案を出すとしている。また、キエフなど北部での攻撃を大幅に減らすと表明した。しかしこの段階の交渉であっても、その結果が出るのは2週間後とされており、戦争は続くのである。
 こうした戦況や停戦交渉の内容については、それ自体、ロシア側と米国・NATO諸国・ゼレンスキー政権側との情報戦でもあり、後者の情報に偏った日本において、正確な判断はむずかしいものがある。
 しかし確かであるのは、この戦争の継続によって、ウクライナ市民の生命、交戦双方の兵士の生命が奪われ続け、ウクライナ国民の生活とインフラが大規模に破壊され続けていることだ。国連難民事務所によると、ポーランドなどへの国外避難民は、3月末で400万人を超えた。
 まずは即時停戦である。一日も早い停戦が実現され、ロシア軍撤退の道筋が付けられるよう全世界人民と各国政府が努力する必要がある。
 戦争が長引いているのは、いろいろな要因があるにせよ、米NATOによるウクライナへの対戦車ミサイルや無人攻撃機などの武器援助、民間軍事会社の傭兵派遣など、強力な軍事介入が大きい要因である。米NATOは自国正規軍こそ送ってはいないが、あらゆる軍事支援を行なってゼレンスキー政権を指揮し、戦争当事者となっている。米国人は血を流さないが、ウクライナ人の血を流して、ロシアに勝利しようという代理戦争である。もともとNATOの東方拡大を野放図に進めて戦争の原因を作り、ロシアを過剰防衛に走らせたのは米英である。
 この戦争の基本的な性格は、ロシアと米NATOによる、不幸なことにウクライナに戦場化が押しつけられたところの、覇権争奪戦であると見るべきだ。ウクライナとロシアの双方の労働者・市民にとって、まったく無益な戦争である。これを「独立戦争」(ゼレンスキー大統領)だと言うのは、攻め込まれた側の戦意高揚にはなっても、即時停戦と戦後の平和構想に役立つとは思えない。ゼレンスキーは今さら「中立化」を言うなら、もっと早く転換して、ロシアの侵攻を防ぐべきだった。
 3月2日、国連緊急総会で、ロシア非難決議「ウクライナに対する侵略」が採択された。ロシアの公然たる侵略にもかかわらず、193加盟国中、反対・棄権・無投票が計52ヵ国で案外多かった。侵攻に至る経過が米NATOとロシアの覇権争いであることが明瞭であったので、どちらにも付きたくない、あるいは決議案は米NATO側の紛争責任を問うていないとする諸国が少なくなかった。
 また、主権侵害・人道危機についての、欧米的「二重基準」も問題視されている。決議は、「ロシアの軍事作戦は、国際社会が何十年もヨーロッパで見たことがない規模のものであり、人々を戦争の惨禍から救うために緊急の行動が必要である」とする。
 ロシアのウクライナ侵略を、第二次大戦後最大の主権国家間の原則の破壊だというのは、いかにも欧州目線である。主権国家間の原則の破壊は、第二次大戦後も、おもに米国によって繰り返されてきた。大規模な人道危機も繰り返されてきた。欧州では久々の大規模戦争であるから、欧州人は驚いている。しかし「第三世界」では大規模な殺りくが繰り返されてきた。安保理が機能しないからといって、国連はそのたびに緊急総会を開いて対応してきたのか。欧州は特別扱いの二重基準である。
 ロシア・米NATOの覇権主義反対! 平和のために、ウクライナ・ロシア・全世界の労働者人民は団結しよう!

 ウクライナでの即時停戦、ロシア軍撤退に即したことで、日本の平和運動ができることは多くはない。日本の運動で最も問われているのは、ウクライナ情勢を利用した自公政権の反動攻勢と、戦争への大政翼賛化を撃退することである。
 「力による一方的現状変更を許せば、東アジアに影響する」として、NATOと日米安保の一枚岩化が進められている。日本は米国の「同盟国」であるだけでなく、NATOの「同志国」である決めつけ。一時的にNATOの統率力を回復した米国の下で、日本を戦争に引き込む攻撃である。
 安倍元首相が2月27日に「核共有」の議論を提唱した。NATO加盟国方式の米軍核配備であり、「共有」といっても米軍が核の発射ボタンを持つ。岸田首相は「政府として議論はしない」とするが、NATO同調の大軍拡へ舵を切り、「国家安全保障戦略などの策定に向け議論する」としている。
 岸田政権は、ウクライナへ自衛隊の防弾チョッキやヘルメットを送った。防衛装備移転3原則の運用指針を改定し、紛争当事国に初めて武器を送った。「台湾有事」での武器支援が意識されている。
 ロシアへの経済制裁参加や、ゼレンスキー議会演説の演出は、NATO、EU、日本などに限られており、日本にとってNATO化という政治的意味しかない。(その実、経済制裁ではNATO加盟国でもトルコは参加せず、日本やドイツも、ロシア天然ガス権益は防衛して抜け道を作っているのであるが)。
 ロシア非難の衆院決議が、れいわ新選組を除いて翼賛的に採択された(れいわには、参院選へ向け外交路線を明確にするよう求めたい)。野党がロシア非難を競い合い、NATO化に無批判であれば、参院選はもう負けているに等しい。日本の国民と政府に求められるのは、ロシアの覇権主義にも、米NATOの覇権主義にも加担しない独自の平和自主外交である。(W)