福島原発事故・東電刑事裁判、2・9控訴審
  現場検証・証人尋問を却下

 裁判の帰趨を決する現場検証・証人尋問、これを闘い取る控訴審最大の山場、東電刑事裁判・第2回控訴審が2月9日、東京高裁で行なわれた。
 この裁判は、福島第一原発事故での業務上過失致死傷罪を東京電力旧経営陣3名に問う刑事訴訟。その判決は、東電と国に対する各損害賠償訴訟や東電株主代表訴訟はもちろん、原発をめぐる裁判全体に大きく影響する。
 しかし、この2・9公判で細田啓介裁判長は、現場検証の実施を否定。また検察官役の指定弁護士が申請した証拠物件すべての採用を認めたものの、証人3人(濱田信男証人、島崎邦彦証人、渡辺敦雄証人)の供述調書と証人申請を却下、その理由すら明確にしなかった。
 これらは、適正手続の保障を掲げた憲法31条違反であり、絶対に許されるものではない。
 そのうえ裁判長は、次回第3回公判で結審する旨を発言、早期の結審を画策している。その期日は4月21日、5月13日、6月6日が上げられたが、東電側弁護士の発言もあって4月21日の可能性が高い。
 東電と裁判官が結託して、東電株主代表訴訟の判決日の7月13日、この前に決着を目論んでいるとの見方もある。真実を見極め原判決(東京地裁・無罪判決)の誤りを正すには、最低3~6ヵ月は必要と言われる。拙速結審は言語道断である。
 2・9の闘いは午前11時、高裁前アピール行動で開始。証人尋問・現場検証を求めて、百人あまりの労働者市民が参加した。2時開廷で、その後報告集会がオンライン形式で行なわれた。
 報告集会では、武藤類子・福島原発刑事訴訟支援団副団長が開会挨拶。「期待を胸に法廷に入ったが、証人尋問・現場検証も否定され、ため息が聞こえた。しかし、採用された証拠もあり、第3回公判も開催されることが分かった。それまで出来ることを考え、全力で闘い、原判決の間違いを正そう!」と訴えた。
 次いで、甫守一樹弁護士が公判内容を説明。証人尋問等の却下にふれて「これでは原判決の誤りを正当化し、今後に禍根を残す。直ちに正さねば」とし、指定弁護士申請の証拠物件の全てを採用との決定については「これでちゃんと弁護ができる。気落ちする時間は無い。闘いを盛り上げここで逆転する」と決意を示した。
 また大河陽子弁護士は、「現場を見れば、福島原発がいかに津波に脆弱かが分かる。採用された証拠をよく読み、裁判官は本件の向き合い方に気付いてほしい。被害者・遺族の心情陳述もあるので、あきらめることなく頑張る」と発言。
 最後に、支援団からアピール。「2011年からがっかりすることが積み重なっている。それでも、もう少しふんばって闘おう、最後の最後まで!」と訴えた。
 闘いは厳しい局面に突入した。逆転には、反原発・脱原発の高揚が不可欠になる。昨年11・2の第1回控訴審には高裁前に300名超が結集していた。結審から判決へ向けては、反原発の全ての諸勢力に結集してもらい、これを大きく上回る大衆闘争を実現すべきである。闘いで世論を動かし、無責任東電に必ず責任を取らせよう。(東京O通信員)


二月「19の日」行動、自民党改憲プログラムに対決
 草の根の総力戦で改憲阻止

 ウクライナ危機があおられ、それに便乗して日本の右派勢力も戦争と改憲の策動を強めている。こうした中の2月19日、各地で戦争法廃止・改憲反対の「19の日」行動が取り組まれた。
 東京では、75回めの「19の日」行動として、「憲法審査会の強行やめろ!辺野古新基地建設中止!敵基地攻撃能力保有反対!防衛予算拡大するな!いのちと暮らしと営業守れ!2・19国会議員会館前行動」が行なわれ、500名の労働者・市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、9条改憲NO!全国市民アクション。
 最初に、総がかり実の菱山南帆子さんが主催者挨拶、「戦争と改憲の危機が高まっている。今すべき事は、戦争を阻止し、自公・維新による改憲を阻止することだ。自民党は、全国各地で憲法集会を行ない改憲を本気でやろうとしている。7月参院選で3分の2を許したら改憲されてしまう。青年とも世代を越えて連帯し、改憲阻止を!」と呼びかけた。
 今国会で衆院憲法審査会が、予算委員会開催中にもかかわらず2月10日、17日、24日と毎木曜に強行されている。自民党は、この憲法審査会の毎週定例化および、憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)の旗ふりで、5月連休前までに全都道府県で「憲法対話集会」を実施することを目指している。これらの上に参院選(予定7月10日投票)に勝利し、国政選挙が想定されない執権党「黄金の3年間」で改憲を実現するという見通しを立てているのである。
 さて政党挨拶では、日本共産党・山下芳生、社民党・福島瑞穂(代読)、沖縄の風・伊波洋一の各参院議員、立憲民主党・柚木道義衆院議員が発言。
 柚木さんは、「今早急にやるべきはコロナ対策。このままでは現在の感染6波が収まる前に7波が来る。改憲などと言っている時ではない」、「参院選では国会の中と外、全国各地で市民・野党の共闘を強める」と発言。
 伊波さんは、「安倍とその周辺は、台湾有事に日本は介入すべきと言っている。米国の戦略に沿って軍事介入すれば、沖縄は戦場になる。その避難計画や避難場所など何も考えず、ひたすら憲法破壊をねらっている」と糾弾した。
 連帯アピールでは、総がかり行動青年プロジェクトチーム(PT)の東京清掃労組・高木さんが発言、「総がかり行動には様々な人々が連帯している。この運動をなくしてはならない。PTは、青年一人ひとりが主体的に取り組む必要があると考え結成した。全国署名行動では、改憲に不安を覚える青年、激励してくれる若者の姿があった。青年としてできる運動を作っていく」と述べた。
 最後に、憲法共同センターの木下さんが、「闘いは民主勢力と改憲派との、草の根対草の根の総力戦だ。参院選で改憲派に審判を下す!」と述べつつ、以下を行動提起。
 2月22日・3月22日、ウィメンズアクション、イトシア前・午後6時(男性も参加を)。
 2月27日、3・1朝鮮独立運動103周年集会(ならびに3月1日、新宿西口駅前行動)。
 3月16日、辺野古設計変更「不承認」を考える学習会、衆院第2議員会館・午後2時。
 3月19日、「19の日」行動、議員会館前・午後2時。
 5月3日、5・3憲法集会、有明防災公園。
 新たに始まった南西諸島戦場化反対の運動などに注目しつつ、参院選を前に戦争と改憲を許さない闘いを拡げよう。(東京O通信員)


三里塚闘争
 1・9現地、1・30関西で旗開き
  「第3滑走路」反対!

 1月9日、三里塚・芝山連合空港反対同盟(代表世話人・柳川秀夫)の主催で、「2022反対同盟旗開き」が横堀農業研修センターで行なわれ、またその後、「1・9三里塚・東峰現地行動」が行われた。45名の参加。三里塚現地は雪がまだ残り、デモの時は道路が凍結しており、滑りやすい状態だった。
 「旗開き」は、センター内での会食を感染予防から避け、屋外で先に弁当を食べて、12時半より開始となった。山崎宏さん(労闘・労活評)の司会で、現地情勢の報告が行なわれた。
 反対同盟代表世話人の柳川秀夫さんが、「第3滑走路建設は、今求められていることとは真っ向から逆行したものだ。経済優先、巨大開発は見直されなければならない、世の中、発展、膨張の悪夢を捨てよう」とアピール。
 今年88才になる加瀬勉さん(多古町)が、スウェーデンの環境活動家グレタさんの言葉、「空飛ぶ飛行機は恥だ。私は乗らない」「G7あんなものは指導者ではない。ここにいる私たちが指導者だ」を紹介し、政治に関わることに激を発した。そして、8月から始まる第3滑走路の用地買収に対し、「私は絶対移転しない」と明言した。平野靖識さん(東峰地区)も発言した。
 次いで、渡邉充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会)から関西の取り組み報告があり、また繁山達郎さん(大地共有運動の会・事務局長)より、共有運動の報告と登記変更第二次カンパの要請がなされた。
 その後、東峰の共同出荷場跡地に移動し、「三里塚空港に反対する連絡会」主催の「東峰現地行動」に移る。飛行制限時間緩和を許さない!成田空港「第3滑走路」反対!岸田自公政権打倒!などを掲げて、開拓組合道路までのデモ行進を貫徹した。
 1月30日には関西の旗開き、「関西三里塚闘争旗開き&大地共有運動報告会」が尼崎市で行なわれた。コロナ対応で反対同盟の柳川さんの来阪は断念となったが、参加者は24名。飲食は断念されたが、久しぶりの和室大広間での開催だった。
 先に、共有運動の報告会が行なわれた。司会は、東大阪連帯する会の三輪さん。渡邉充春理事が共有運動の趣旨、設立経過、規約、昨年12月総会の検討・議論の経過報告、記念集会の報告などを行なった。尼崎の小原さんより、関西独自に取り組む必要性についての尼崎地区での討論経過の報告があり、また尼崎の司法書士さんの紹介があった。参加の共有者からは、改めて名義の移転について費用を取られると思っていたなど率直な意見が出され、活発な討論となった。関西独自に共有運動の会への登記移転を図っていくことが確認され、早速、9名の方が調査票と同意書に署名をされた。
 第2部の旗開きを開催。司会は尼崎の山本さんで、まず東大阪連帯する会の山田謙さんが、関西でのこの間の取り組みを報告、引き続き現地への取り組みと共有運動への取り組みを進めようとの訴えがあった。
 泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の根本さんが、南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会の取り組みの報告を行ない、同じく住民連絡会の小山広明さんが、関西新空港の現状と泉南市長へ立候補する決意を語った。尼崎の松上さん・広畑さんから、この間の共有運動への議論の報告があり、関西共同行動の星川さんからは、関西の諸共同行動への取り組みが訴えられた。
 短時間だが、集中した報告と議論を重ねて閉会となった。(関西S通信員)