即時停戦、ロ軍撤退を
  東アジアでも問われる平和構築の戦略


 ロシアによるウクライナ全面侵攻は、プーチン政権によると東部ウクライナの自国民保護のための「特別軍事作戦」であり、正当な自衛権の行使であるとされている。しかしその実際は、ウクライナ・ゼレンスキー政権の転覆を公然と語り、ウクライナの「中立化」のみならず、占領者然として「非軍事化」を求めるという、あからさまな国際法違反の侵略である。
 即時停戦、ロシア軍撤退を求めるウクライナ人民・ロシア人民を熱烈に支持し、かれらへの世界人民の連帯を支持する。
 ロシアのこの戦争の政治目的は、ウクライナ現政権のNATO加盟路線を粉砕してNATOの東方拡大を阻止し、併せて東部ウクライナ問題やクリミア併合問題も決着させ、ロシアの安全保障と権益を確保することであろう。しかし、近隣国に侵攻してそれを確保するというのでは一九世紀的遺物であり、糾弾されるほかはない。
 全面侵攻前のロシアとNATO側の交渉では、ロシアはウクライナの非加盟、近接地での攻撃型兵器の未配備、その法的保証などを要求していた。要求じたいは、きわめてまともである。しかしNATO側は、加盟申請は主権的権利だなどと一般論に終始し、欧州平和構築の責任を放棄した。
 ウクライナで人命と生活に大惨害をもたらしている事態の責任が、ロシアのみでなく、米国・NATO諸国にもあることは明白である。この両者の責任を問わない安保理決議案と3月2日採択の国連緊急特別会合決議が、公正さを欠くことは明らかである。
 さて、ロシア・ウクライナ・ドイツ・フランスによる「ミンスク合意」は、EU中心のドイツとロシアとによる欧州の安定につながる合意であった。ウクライナのNATO加盟が差し迫っていたわけでもなかった。が、ロシアは(全面侵攻を決意して)東部の「独立」を承認し、みずからミンスク合意を反故にしてしまった。米英を利するだけである
 世界はパワーバランス的に言うと、米ソ2極時代の終焉いこう、米・EU・ロシア・中国が政治軍事大国として鼎立する時代となっている(日本はいぜん米国の付録)。この時代において、欧州で大規模戦争を防止する安全保障体制(その平和が、労働者人民の利益を促進するかどうかは別問題となるが)を求めるならば、冷戦遺物のNATO条約の解消を目指しつつ、ロシアとの間に中立諸国を設けることが現実的である。
 東アジアでも、米中対立のなかで、朝鮮半島、沖縄、フィリピンなどが平和の緩衝地帯となることが必要であり、冷戦遺物の日米安保条約を解消すれば、日本列島がこの平和ベルトに合流することとなる。
 いま日本の反動勢力が、「力による現状変更を許せば東アジアに影響する」と騒いでいるが、ロシア・ウクライナ関係と中国・台湾関係はまったく異なる。第二次世界大戦の処理、日中と米中の国交回復によって、台湾が中国に属することは確定している。中台関係に日米が軍事介入するならば、そちらが「力による現状変更」になる。
 米中対立のはざまに、韓国・沖縄・日本・東アジア民衆の大連合を!(W)


2・27
 3・1朝鮮独立運動103周年東京集会
  韓国大統領選挙に注目

 2月27日、東京・文京区民センターにおいて、「3・1朝鮮独立運動103周年東京集会」が開催され、主催者発表で150名が参加した。主催は、「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワークで、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が協賛。
 主催者挨拶を、「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワークの加藤正姫さんが行なった。加藤さんは、日韓民衆連帯全国ネットのメンバーとして、韓国サンケン労組支援を第一次遠征団闘争以来闘い続けている人である。3・1朝鮮独立運動が朝鮮人民の日帝侵略支配に抗して闘う重要な起点となったことを考えるなら、日韓労働者民衆の連帯闘争の最も渦中人物でもある彼女の主催挨拶は、適切な人選といえる。
 3・1朝鮮独立運動に関わるビデオ上映に続き、総がかり行動の高田健さんが「岸田改憲の動向と東アジアの緊張」との題目で最初の講演を行なった。ウクライナへのロシア軍の侵攻に抗議する都内における行動の紹介も行なわれた。
 休憩をはさみ、朝鮮半島の南北統一と国家保安法撤廃を進める韓国の民衆団体、進歩連帯から寄せられたビデオメッセージが映示された。ビデオには、民主労総副委員長のキム・ウニョンさん(韓国サンケン労組副支会長)も登場し、サンケン労組支援の仲間からは感嘆の声が上がった。
 このあと、「2022年韓国大統領選の行方と日韓関係の展望~若者の政治意識の分析を中心に~」との演題で、恵泉女学園大学教授の李泳采(イ・ヨンチェ)さんが講演を行なった。
 李泳采さんは以下のように述べた。朝鮮の解放後、韓国民衆は、朝鮮戦争後30年以上続いた軍事独裁政権を、1987年の民衆大抗争で打倒し民衆政権を勝ち取ることができたがその後、李明博、朴槿恵の新保守政権も誕生させてしまった。朴槿恵は、父親の朴正煕同様に永久執権を目指したが、2016年の総選挙での与党の敗北を契機として、キャンドル革命が起こった。ここで登場した文在寅政権は、キャンドル革命の要求を実現することが求められたが、ほぼ何もできなかった。
 また泳采さんは、文在寅政権が登場した時、民衆側はなにも用意することができなかったとし、南北統一・首脳会談を先に取り組むべきではなく、経済民主化・財閥解体を先行すべきだったとの見解を示した。それと共に16年の総選挙では、20代、30代の若年層が投票率を押し上げて文在寅の大勝を呼び込んだが、しかしこの層が、文政権下の新自由主義の進行で最も過酷な状況を強いられることとなり、今回の大統領選では保守野党のユン・ソンヨル側に流れているとしている。与党・共に民主党のイ・ジェミョンは、この最終盤にキャンドル革命の継承を主張し、大幅に追い上げ、支持率も並ぶところまで来ており、イ・ジェミョン勝利が今後の韓国社会の進歩的発展に寄与しることとなろう、と結論づけた。
 しかし筆者としては、このような文脈では、文在寅政権にしろ、イ・ジェミョン候補にしろ、基本的には体制改革ができない第二極勢力であるという認識が弱いと思う。彼が勝利するだけでは、民主労総や進歩陣営のように根本的に社会改革を目指すことは無理なのではないだろうか。ましてや、経済民主化・財閥解体など不可能といえるのではないだろうか。
 なお3月1日には、「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワークの街頭アクションが新宿駅西口で行なわれ120名が参加、リレートークが1時間にわたり行なわれた。
(東京Ku通信員)


沖縄・琉球弧の戦場化反対!
  「ノーモア沖縄戦 命どぅ
 宝の会」3・19発足集会へ


 沖縄・琉球弧の戦場化に反対する「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の発足集会が、3月19日・午後2時から沖縄市民会館(沖縄市)で開かれる。沖縄県民の党派を超えた参加が期待される。
 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は2月14日、沖縄県議会議長への要請行動を行なった。山城博治さん(沖縄平和運動センター顧問)をはじめ石原昌家、具志堅隆松、ダグラス・ラミス、宮城晴美さんら会の共同代表5氏は、赤嶺昇県議会議長に「沖縄を再び戦場にさせないための要請書」を手渡した。
 要請書は、県議会に5項目の行動を要請する。沖縄を戦場・攻撃拠点とする2プラス2合意に反対し、日米合同作戦計画の策定中止を表明すること、また沖縄の島々への自衛隊ミサイル部隊配備、日米の施設の共同使用、米軍の中距離ミサイルの配備などに反対すること、また政府・防衛省に「日米共同作戦計画」などの詳細な説明、情報開示を求めること等であり、
 さらに項目5で、「台湾有事、尖閣有事について武力によらない対話による平和的解決を日米両政府、中国政府に要請し、ならびに国連、国際社会に働きかけること」を求めている。
 赤嶺議長は、「沖縄を二度と戦場にしないという考えに保守も革新もない」と述べ、とくに項目5に「沖縄から働きかけないといけない」と応じている。(A)
(関係記事3面)


2・20大阪
第6回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西
  今こそ「差別裁判打ち砕こう」!


 2月20日、大阪市の阿倍野区民センターで、「第6回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西」がオンラインも併せて開催され、会場には約250名が参加した。主催は同集会実行委員会。
 狭山事件は1974年・寺尾判決の確定後、司法はただの一回も証人尋問・証拠調べを行なうことなく、狭山弁護団による2006年の第三次再審請求以来、16年の長きにわたって審理引き延ばしが続いている。しかし、多くの新重要証拠を提出して、第三次再審闘争は年内に山場となる。
 このかん関西では、狭山再審を求める各運動体・個人が「キャラバン行動」をはじめ各地域での取り組みを積み重ねるなか、5回にわたってこの狭山再審の集いを成功させてきた。
 今年の集会では冒頭、部落解放同盟大阪府連の高橋委員長が決意表明、続いて冤罪事件の被害当事者ですでに再審無罪をかちとった「東住吉事件」の青木惠子さん、「湖東記念病院事件」の西山美香さんが、自らの国家賠償裁判などについて語った(青木さんの国賠は3月15日判決)。また、「袴田事件」の巌さんの姉・秀子さんがオンラインで、「勝利せねば意味がない。何とか元気なので頑張ります」と発言した。
 弁護士・元東京高裁判事の木谷明さんが、記念講演「違法捜査と冤罪」を行なった。「二俣事件」等の冤罪事件を紹介し、共通するのは違法捜査であり、不当な別件逮捕、証言改ざん、物的証拠の捏造であると論じた。
 連帯アピールでは、京都の山本栄子さんが、「文字を知らなかった石川さんと私」とのテーマで語った。1931年生まれの山本さんは、「小学校を出てすぐ働き、十分に学べなかった。三十代で解放運動と出会い、識字学級を家を開放して開いた。私も石川さんも、差別によって文字を奪われた。石川さんは刑務所の中で文字を取り戻し、ウソの自白に気付いた。私たちの力で再審の扉を開こう」と訴えた。
 そして石川一雄さん・早智子さんが、ビデオメッセージで登場。一雄さんは、「昨年の10・31狭山集会に出席以降、全国から多くの激励の連絡をもらい感謝している。今年こそはという気持ちで臨んでいる、引き続きのご支援を」とアピール。
 集いの締めくくりを、実行委代表として釜ヶ崎日雇労組の山中さんが述べ、「今後この集いが何回ももたれることがないよう、皆さんがんばっていこう!」と結んだ。
 集会終了後、「差別裁判打ち砕こう」を合唱しながら隊列を整え、天王寺駅にむけてデモ行進を行なった。(関西I通信員)