米軍基地=感染爆発源の責任取れ

 新型コロナ・オミクロン株の国内感染が、1月末には連日8万人を超える感染爆発となった。感染源は、沖縄や岩国の米軍基地である。昨年のデルタ株の時にもその傾向はあったが、今回は、治外法権の在日米軍から感染が広がったことが明白である。昨年9月から年末まで、米軍は検査なしで入国している。
 1月17日通常国会が開会したが、岸田首相は施政方針演説で、これをまったく反省・謝罪していない。これでは、岸田政権コロナ対策の全体が信用できない。抗議受けて始めた米軍基地のいい加減な外出制限すら、1月末でやめてしまった。米軍基地を閉鎖し、地位協定を改正せよ。
 米軍基地はコロナだけでなく、戦争を呼ぶ。台湾有事日米共同作戦計画は、今国会での一大争点であらねばならない。(編集部)


台湾有事日米共同作戦撤回せよ

 昨年12月に、南西諸島の戦場化を前提とする「台湾有事」日米共同作戦計画、その原案がすでに作られていることが明らかとなり、さらに1月7日にオンラインで行なわれた日米安全保障協(防衛外務2+2協議)が、これを事実上認める共同発表を行なった。
 これにより、台湾有事共同作戦計画の説明を求め、その中止・撤回を求める世論と運動が、戦場化を強いられる沖縄をはじめ各地で広がりつつある。沖縄では1月31日、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が発足(共同代表は山城博治ら5氏)、超党派的な参加を進めていく。
 日中国交回復50年の新年の冒頭に、対中国戦争の作戦策定を日米両政府が合意するというのは異常事態である。アメリカの中国包囲政策の尻馬に乗って、日米共同作戦と自衛隊の攻撃戦力化をすすめる自公政権を打倒しよう。中台介入の帝国主義戦争に反対し、「日中不再戦」を誓う平和的共存の日中関係を再建しよう。米中対立のはざまに、沖縄・朝鮮・日本・東アジア民衆の大連合を実現しよう。

共同作戦原案が明るみに

 台湾有事共同作戦に関する最近の経過をみてみよう。
 11月29日、米国防総省は米軍の「グローバル戦力態勢見直し」(GPR)の完了を発表した。対中国・対朝鮮のためにインド太平洋地域を重視し、米植民地グアムやオーストラリアでの後方拠点化を強化するとしている。詳細は機密扱いであるが、米軍と自衛隊の作戦一体化を進め、自衛隊などの同盟国軍の役割を対中国の前線とする態勢とみられる。
 12月19日、東アジア共同体研究所琉球センターの主催で、「南西シフト・台湾有事、戦争前夜の危機に抗う」シンポジウムが那覇で開かれた。鳩山由紀夫(同研究所理事長)、我部政明(琉球大学)、小西誠(軍事評論家)の各氏が講演し、台湾有事での沖縄戦場化の危険について沖縄世論をおおいに啓発した。このシンポで初めて、パネリストの山城博治さん(沖縄平和運動センター顧問)が、沖縄を再び戦場にさせないための「県民の会」の立ち上げを提唱した。
 12月24日、共同通信が、台湾有事想定の日米共同作戦計画原案が明らかになったとスクープ的に配信した。地元紙の「琉球新報」、「沖縄タイムス」は、「南西諸島米軍臨時拠点に」、「住民巻き添えの可能性」と大きく報道したが、「本土」マスコミはほとんど取り上げていない。
 共同通信などの記事によると、①米インド太平洋軍が、中国対処を念頭に、部隊の小規模・分散展開を骨格とする海兵隊の新たな運用指針「遠征前方基地作戦」(EABO)にもとづき、自衛隊に共同作戦策定を提案した。②双方は原案策定を終え、検証作業に着手、12月に東北と北海道でEABOをふまえた共同訓練を実施した。③EABOを担う「海兵沿岸連隊」を23年までに、沖縄の第3海兵遠征軍に新設する。④作戦内容としては、米海兵隊は自衛隊の支援を受けながら、南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置く。この拠点候補は、自衛隊がミサイル部隊を配備する奄美大島、宮古島、配備予定の石垣島を含む、大半が有人島の約40か所。⑤海兵隊は、対艦高機動ロケット砲システム「ハイマース」を拠点に配備し、自衛隊は輸送や弾薬の提供を担う。⑥米軍が臨時拠点を置くのは、中台間で戦闘が発生し、日本政府が「重要影響事態」と認定した場合、などとされている。
 作戦は、台湾有事の初動段階で、中国側にミサイルなどで対処しなければならない多くの分散した標的をつくり出し、米海兵隊側が臨時拠点を動き回りながら中国艦船を攻撃して、米空母の台湾侵入を可能とするものだ。「重要影響事態」は、「存立危機事態」「武力攻撃事態」にすぐにエスカレートする。明示されていないが、EABOと一体化し、陸上自衛隊のミサイル車両も動き回って12式対艦ミサイルなどを発射、参戦の事態となる。
 ②にある作戦案の検証では、岩手山演習場で沖縄海兵隊が「ハイマース」、陸自が88式対艦誘導弾を使って共同演習をしている。昨秋、九州・南西諸島への輸送訓練が陸自大演習として行なわれたが、これも作戦検証と考えられる。
 ④にある拠点候補には、キャンプシュワブと辺野古新基地はもちろん、鹿児島県の馬毛島も入るだろう。今の予算案で馬毛島要塞化に3183億円が付いた。
 明らかになったのは、まさに南西諸島の戦場化を当然とする共同作戦計画である。
 この報道の午後、山城博治さんらは県庁で記者会見を開き、この共同作戦計画案に抗議し、撤回を求める緊急声明を出した。
 翌日12月25日、玉城デニー知事は、「沖縄へのこれ以上の基地負担と、台湾有事で攻撃目標にされる事態はあってはならない」として、鬼木防衛副相に計画の詳細を明らかにするよう求めた。

作戦完成へ日米2+2協議

 1月7日、日米2+2協議が行なわれ、「共同発表」が行なわれた。発表文では、台湾有事共同作戦計画と明示していないが、「緊急事態に関する共同計画作業についての確固とした進展を歓迎」という異様なくだりがある。「共同計画作業」とは何かという質問に、林芳正外相も、岸信夫防衛相もいまだに回答していない。
 共同発表はまさに、台湾有事共同作戦の完成にむけて作業を進める合意である。昨年3月の日米2+2では、「安定を損ねる行動に反対」と態度表明しただけだったが、今回は、「かってなく統合された形で対応するため、戦略を完全に整合させ」「地域の安定を損なう行動を抑止し、必要であれば対処するために協力」として、対中国共同対処を明記している。また、日本は「国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する決意」として、日本の敵基地攻撃能力保有を迫っている。守るのは「国家」であって、人間の安全保障ではない。
 関連して1月6日、日豪首脳会談が行なわれた。昨年4月の日米首脳会談同様に「台湾」が明示され、自衛隊とオーストラリア軍の共同訓練などを定める「円滑化協定」が署名された。
 自民党の安倍らは、共同作戦も敵基地攻撃能力も、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力であると常々言っている。相手も同様であるから、戦争抑止は戦争準備となり、結局危機が近づいてくる。まさに外交の不在である。

許すな!沖縄・琉球弧戦場化
  
 さて、1月23日投開票の名護市長選では、辺野古新基地建設反対の岸本洋平候補(オール沖縄、れいわ推薦)が、新基地「黙認」の現職・渡具知候補(自公推薦)に敗れる残念な結果となった。
 岸本 14439票。
 渡具知19524票。
 オール沖縄側にとって、7月参院選、そして9月知事選の戦略練り直しが必要となった。辺野古浅瀬側で埋め立てが進んでも、新基地反対が民意多数派であることは、名護市でも沖縄県でも変わらない。過去最低の投票率68・2%は何を意味するのか、反対は変わらないが、先が見えにくいということか。
 SACO合意の当時から、辺野古問題をとりまく国際環境は大きく変化している。中国台頭と米中対立、日本政治の右傾化、日米軍事一体化が進み、今や辺野古新基地建設は「県内移設」問題であるだけでなく、「沖縄戦場化」問題の一部になっている。埋立容認と引き換えに基地再編交付金をもらっても、ミサイルが降ってきては元も子もない。辺野古NO!の再活性化が問われる。
 東京では、埋立て不承認支持・工事全面中止を求める行動とともに、日米共同作戦計画の撤回を求める行動が始まった。1月31日、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの呼びかけで、防衛省前行動が闘われた(A)。