資本主義を超える時代を拓こう!


 新年2022年は、どのような闘い方の一年となるか。昨秋の総選挙で、立憲民主と日共をおもな担い手とする野党共闘が敗北した。これにより、「政権交代」はここ一年の現実的目標とはならない。ここ一年の闘いは、「自公政権を打倒する勢力の拡大」を推進すること、そして「資本主義を超える時代を拓く新しい政治勢力」を準備し、登場させていくことである。(詳しくは前号掲載・労働者共産党2中総決議)。
 12月6日の岸田所信表明演説の特徴は、「新自由主義の弊害」を認めつつ「新しい資本主義」の大風呂敷をひろげたこと、「敵基地攻撃能力」を公然と語ったこと、この二つである。岸田政権は、新自由主義路線の修正に舵を切った。資本主義維持という同じ土俵の立民や日共では、もはや自公政権に対決できない。きちんとやれと圧力をかけるだけである。また外交問題でも、日米同盟基軸の立民、対中国強硬姿勢を強める日共では、中国包囲政策と対決できない。今の野党の現状では、7月参院選で「ねじれ国会」も困難である。
 資本主義を超える、旗幟鮮明な新しい政治勢力が問われる。韓国の現況は、その大きなヒントになるだろう。(編集部)


韓国大統領選挙に新局面
 時代は社会革命へ

 現在、3月9日投票の韓国大統領選挙にむけて、民主労総と進歩政党がその統一候補者を作る作業の前進が見られている。
 直近の情勢としては12月12日に、民主労総と進歩政党5党(進歩党、正義党、労働党、社会変革労働者党、緑色党)、ならびに民主労総元委員長のハン・サンギュ氏による労働者大統領候補選挙対策本部(仮)とが、「不平等打破のための大統領選挙共同対応機構」の会議において、候補者一本化の推進に合意した。候補者選出方法などの具体策は、12月末までに確定するとした。
 候補者の選出方法としては、民主労総110万組合員と全農の農民、女性、青年などの進歩・民主団体参加者によって構成される選挙人団が候補者を選出する「民衆競選(予備選挙)」、これによるものと思われる。このことに係わり、ハン・サンギュ元委員長は、「民衆競選」を前提として出馬を表明した。すでに進歩党からはキム・ジェヨン代表(元国会議員)、シム・サンジョン正義党代表らも出馬を表明しているが、ハン・サンギュ元委員長の出馬表明で様相の一変が図られるものと思われる。ハン・サンギュ元委員長が最も有力と思われる。
 また、この統一候補者の登場によって、今回行われる大統領選挙そのもの様相さえ、変化せざるを得ないだろう。その理由として第一には、5年前(前々回)の大統領選においては、文在寅大統領が圧勝したしたため見落してしまいがちであるが、シム・サンジョン正義党代表が2百万を超える得票を獲得したという事実がある。このとき進歩党の前身である統合進歩党は、朴槿恵反動政権の陰謀によって、党そのものの解散を余儀なくされるという事態に追い込まれ、大統領選への出馬も当然ながらできなかった。シム・サンジョン正義党代表の得票数も、このことを配慮しなければならない。
 理由の第二は、今次の韓国大統領選挙では、有力候補と言われる与党・共に民主党のイ・ジェミョン氏と野党・国民の力のユン・ソンヨル氏の接戦が報じられているが、本当に有力候補なのかが問われる。ユン・ソンヨル氏は、元検事総長で民衆、進歩勢力弾圧で悪名をとどろかせた人物であり、保守というよりも(日本で言えば)安倍的な極右というほうが妥当とみられている。他方、イ・ジェミョン氏は明らかに保守であり、日本で言えば旧民主党系の「第二極」に相当し、結局のところ新自由主義を推進し、文在寅政権同様に公約を守らず民衆を裏切るであろうと広くみられている。
 これらを考えれば、進歩勢力にとっては、極右政権阻止に向けた戦線構築も考慮されるであろう。しかしその場合には、進歩陣営でまとめ上げた共同宣言の内容を、公約として実施することを迫っていくこととなるだろう。
 その共同宣言は、全国労働者大会の行われた11月13日に、「不平等打破-韓国社会大転換のための民主労総―進歩政党大統領選挙共同宣言」として大会で発せられた。
 宣言文は、「文在寅政権の5年、韓国社会の不平等は深まり、労働者・民衆の苦痛はこれ以上耐えられない困難な限界をこえている。」、「特権と規則違反により既得権を守ることに没頭する政治勢力に、これ以上、国と民衆の運命を任せることはできない」、「韓国社会の進歩的発展と民衆の生存権のために、屈することなく闘ってきた民主労総と労働党、緑色党、社会変革労働者党、正義党、進歩党は、第20代大統領選挙を不平等打破-韓国社会大転換のために、次のように韓国社会大転換の課題を発表し、共同闘争を繰り広げることを宣言する」として、次の10項目を提示した。(全文では大変な長文となるため、項目だけを記載する)。
 ①正当な転換を通じて全人類的課題の気候変動に対応する。
 ②働くすべての市民の労働権、安全権、生活権を保証する。
 ③労組活動する権利を拡大し、産別交渉を活性化し、雇用不平等を克服する。
 ④雇用に対する国家責任を強化する。
 ⑤社会サービスの公共性を強化する。
 ⑥週4日労働制の導入により労働時間を短縮する。
 ⑦経済民主化の実現、資産不平等の解消により土地と住居の公共性を拡大する。
 ⑧性差別を解消し、社会的少数者の人権を保障する。
 ⑨ポストコロナ時代の国家運営を革新する。
 ⑩朝鮮半島の平和体制を実現する。
 との10項目であり、韓国社会の実情に適合した社会革命とも言えるものであるが、16~17年のキャンドル革命においても同様の要求が掲げられたものである。このような要求を実現できない文在寅政権は、格差是正を言う一方では新自由主義もやるという「第二極」政権であったことは明白といえる。
 また大統領選挙での韓国民衆の勝利は、社会政治革命にはならず、そのままでは資本制のもとにおかれ続けるのは明白といえるだろうが、しかしながら、韓国資本主義を超える重要な一歩を刻むことにはなるだろう。進歩陣営の勝利を大いに期待しよう。韓国の現況に注目し、日韓連帯、国際連帯の声を一層上げていくべきときだ。
 韓国サンケン闘争と日本での支援も、この大きな情勢の中で動いている。
 韓国サンケン労組は、地域の進歩党とともに、外国企業規制法制定のために奔走している。この実現によって、サンケン本社の不当な偽装解散が白日の明るみに出され、韓国サンケン労組組合員の地位保全と生活権が守られるだろう。
 最近、長期拘留を強いられている尾澤孝司さんの裁判に向けた公判前整理手続きにおいて、弁護側が、警察を呼ぶなどしたサンケン電気の担当者を検事側の証人として出廷するように要請した。ところ、検事側がこの重要証人を拒否し、裁判の開始日程も決まらないという事態に陥っている。
 このような事態では、尾澤さんの釈放も認められず、拘留期間は8ケ月にもなろうとしている。この間の尾澤さん釈放を求める署名は、団体は500を超え、個人は8000名を超えている。尾澤さんの問題は、労働界の署名運動の域を超え、ノレの会を中心に舞台演劇としても取り上げられようとしているなど、ひろい人権問題となりつつある。
 韓国サンケン闘争勝利、尾澤さん奪還を勝ち取ろう。(Ku)