12・4~5静岡で第33回コミュニティ・ユニオン全国交流集会
  元気わかち合う全国ネット

 12月4日、5日にわたって、静岡市の県立大学のキャンパスを使って、「第33回コミュニティ・ユニオン全国交流集会・静岡」が開催された。集会にはオンライン参加も含め、300名が集結した。
 4日午後1時から、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの第33回総会が行なわれた。全国ネット共同代表の寺山早苗さんのあいさつの後、来賓として日本労働弁護団の井上幸夫会長、社民党党首で参議院議員の福島瑞穂さんなどが発言された。
 つづいて全国ネット事務局長の岡本哲文さんから、経過報告と活動方針が提案された。
 経過報告の中では、「最低賃金いますぐ全国どこでも時給1000円!そして1500円に!」の運動が昨年10月、今年の2月、7月と節目の時に全国一斉に取り組まれ、最低賃金大幅引き上げのたたかいが、コミュニティ・ユニオンの運動としても全国に広がってきていることが報告された。組織的には、2団体が新たに加わり、地方のネットワークの活動が活発にすすめられていることが話された。
 活動方針では、今夏の決定で最賃が全国一律28円増加されたとしても、いまだどこでもワーキングプアの水準でしかなく、8時間働いても生活できない。地域間格差も相変わらずの状況で、大きな矛盾を含んでいる。今年も重要な課題として、最賃大幅引き上げに全国的に取り組むこと。「8時間働けば人間らしく生活できる社会を目指す」運動を全力で取り組むことが提案された。組織的には全国100ユニオン、3万人のネットワークづくりをめざして活動することが提案された。
 来年の全国交流集会は、10月15,16日北海道の札幌市で開催すること、そして全国ネットの全国運営委員会は、来年7月の参議院選挙では社民党の福島瑞穂さんを推薦することを決定した、と報告があった。
 最後に、来期の全国運営委員の提案があった。経過報告と活動方針は全員の拍手で承認された。
 休憩をはさんで、笹沼弘志静岡大学教授から、「コロナ禍において問われる労働組合の意義」と題しての講演があった。笹沼先生は「関西生コン支部への弾圧を許さない・静岡の会」の共同代表としても活動されており、実践的に憲法問題に取り組まれている、と紹介された。
 先生は、関西生コン支部の労働者やホームレスの人びとについて、「すべての人に平等に憲法上の権利が保障されているはずなのに、一部の人びとにはあたかも権利が認められないのが当然であるかのよう」に扱われている現状を鋭く批判された。労働者が団結して、この状況に異議を唱えていかなければ人権がますますないがしろにされることになる、と労働組合のたたかいの重要性を強調された。
 その後、北海道、東北、首都圏、北関東甲信越、東海、関西、兵庫、中四国、九州、静岡の各ユニオンの紹介があり、顔見知りの仲間や新しく加わった仲間が次々に壇上に上がって、元気を皆でわかちあった。
 5日は朝9時から、12の分科会に分かれ、約2時間、課題別に討論が行なわれた。最後に全体集会がもたれ、各分科会の報告が行なわれた。来年の全国交流集会の開催地である札幌の仲間の決意表明が行なわれた。
 今年も元気の出る集会だった。明日からの活動に備えてそれぞれの帰途についた。
(ユニオン活動家S)


12・11~12第10回労働運動研究討論集会
  地域から最賃闘争を

 「地域から、企業を超えた共闘をつくり『22非正規春闘』をつくろう!」「最低賃金を大幅に引き上げ、差別のない雇用と生活保障を闘い取ろう!」をスローガンに、第10回労働運動研究討論集会が12月11日~12日、オンラインで開かれ、40名ほどが参加した。主催は、労働運動研究討論集会実行委員会。
 集会は、座長を選出したあと、伊藤彰信事務局長が集会基調を提起した。基調は、「コロナによる休業や就労減少によって生活困窮者が出るのは、労働問題である」と切り出し、「その原因は、高度成長期に形成されてきた企業社会と日本型福祉社会が、新自由主義がもたらした非正規労働者の出現によって崩壊しているからだ」と指摘し、「経団連が、日本的労使慣行であった終身雇用・年功賃金を壊し、仕事があるときだけ雇用するジョブ型雇用に移行しようと提唱している時に、連合は高度成長期の賃金理論である生産性三原則を掲げており、民間大手の賃上げを社会に波及させるトリクルダウン論だ」と批判した。
 そして「雇用不安が賃上げ抑制に働いているのだから、雇用のセーフティーネットをつくるとともにボトムアップで全体の底上げを図る必要がある。成長や利益の分配論に惑わされず、賃金は生計費という原点から最低賃金大幅引き上げを軸に、社会の分配領域に目を配った社会的労働運動をつくろう」と訴えた。
 特別報告はふたつ。オール沖縄会議事務局長の福元勇司さんが、11月25日に玉城知事が辺野古埋立の設計変更を不承認とした理由と今後の展開予測について説明し、来年の名護市長選挙、参議院選挙、沖縄知事選挙が重要であると訴えた。
 続いて「非正規労働者の賃金保障、社会労働保険等に関するWeb調査」結果の報告を、伊藤事務局長が行なった。
 討論では、コロナ対策については、職場での感染防止対策、クラスターの発生とPCR検査の実施、安全衛生委員会の活用、保健所の人員補充、オリンピック選手輸送に駆り出された地方バスなどの報告があった。
 総選挙闘争については、野党共闘に関する芳野連合会長発言に対する批判、地域から野党共闘の政策づくりが重要などの意見が出された。
 最賃大幅引き上げについては、ナショナルセンターを超えたネットワークをつくり地域での共闘を強化する必要がある。正社員でも計算してみると最賃割れの場合がある。高卒初任給が最賃すれすれになってきた。中央最低賃金審議会全員協議会がランク付けについて来年3月に答申を出す予定であるが、地域間格差をなくし全国一律制実現の声をぶつけていく必要がある。地方議会対策も重要、自治体内最賃条例をつくってはどうか、など活発な意見が続いた。
 最後に伊藤事務局長がまとめを行ない「最賃闘争を軸に地域から共闘をつくり22非正規春闘を闘おう!」と締めくくった。(東京K通信員)