11・25辺野古「不承認」から、1月名護市長選勝利へ
 自公政権打倒へ、反攻開始

 玉城デニー沖縄県知事が11月25日、辺野古工事の「設計変更申請」について、「不承認」とすることを政府・沖縄防衛局に通知した。
 これは、10・31総選挙で自民・公明の衆院安定過半数を維持することに成功した岸田自公政権に対して、沖縄・全国の労働者人民が巻き返し自公政権打倒の闘いを拡大するための、最初の号砲である。辺野古工事変更は不許可!で始まったこの攻勢は、来年1月23日投開票の名護市長選挙、そこでの「オール沖縄」の市政奪還、岸本洋平予定候補の勝利によって、沖縄・全国での大攻勢に進んでいく。
 この「不承認」処分への対応、直面する名護市長選挙が、第二次岸田政権の最初の関門となった。今回の総選挙で勝っても、自公政権は決して盤石ではない。中長期的スパンでみると、二十年余(その間に民主党政権を挟む)の自公政権は、未曽有の新型コロナ災害の2年間によって、その動揺期に入った。総選挙は自公の強さというより、野党の弱さを示した。主要野党の立憲民主や共産が、コロナ災害での労働者民衆の怨念と要求を、新たな投票行動として獲得することができなかったということに尽きるのである。
 また自公政権の困難は、米中対決の世界基調の中で、日本の立ち位置の困難性ということによって増幅される。自公政権はこれまで、日米同盟を戦争遂行同盟に変質させて、中国とも戦争できる政策を続けている。しかし、これは決して日本国民の多数が望んでいる道ではない。日本国民は、その一定部分が日米同盟の解消を求め、多数派が対米一辺倒路線の修正を求めているのである。
 この外交路線問題において、沖縄民衆の民意とその発信が、決定的重要性を持って来ている。「沖縄の再びの戦場化を許さない」、「ミサイル戦争反対!」の民意が全沖縄を席巻し、そこに日本国民多数が連携したならば、自公政権は根本的危機に陥るだろう。
 その起点となるべき、今回の「不承認」通知書を見てみよう。
 「不承認」処分によって、辺野古新基地建設工事はもうできない。軟弱地盤があって主な工事変更となった大浦湾側で工事に入れないだけでなく、埋立て中の辺野古浅瀬側も提供施設として一体であり、浅瀬側の護岸かさ上げ工事もすべて中止しなければならない。
 政府の選択肢は、辺野古「移設」を断念するか、あるいは行政事件訴訟法にもとづいて「不承認」処分の取り消しを提訴するか、この二つしかない。岸田政権が、安倍・菅政権がこれまでやってきたように、行政不服審査法の乱用によって対処することは最早許されない。国が一人二役(沖縄防衛局と国交省)のこの違法行為を繰り返すなら、岸田政権はまさにアベ・スガ亜流政権である。

  工事不可能!

 沖縄県は、政府の工事変更申請が公有水面埋立法に適合しない理由として、軟弱地盤については次のように述べる。
 「地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性等が十分に検討されていないことから、災害防止に十分配慮されているとは言い難い。」「埋立ての動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており、普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらない」。
 「B27地点付近は、港湾法施行規則において規定されている、公共の安全その他の公益上の影響が著しいと認められる外周護岸の設置場所となっており、更に、飛行場として運用上重要な、滑走路の延長線上となっている。」「軟弱地盤の最深部が位置するB27地点において力学的試験を行なわず、」他の離れた3地点から「せん断強さを類推しており、地点周辺の性状等を適切に考慮しているとは言い難い。」
 地盤改良工法については、
 「事業者は、SCP工法について、韓国において深度70mまで実施した実績があるとしており、本事業においては、70m以深の粘土性20mが未改良部で残るとしている。」「深度70m以深の地盤改良については、これまで施工実績がないことから、現時点における技術力では施工できないものと考えられる。」
 環境保全への配慮については、
 「本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、よって適切な予測が行なわれていない。」「ジュゴンの生息域に変化が生じていることを踏まえた環境保全措置となっていない。」
 以上、わが国が法治国家であるなら、工事中止しかないことは明らかである。ちなみに、渡具知名護市長は、昨夏の工事変更申請の告示・縦覧において何も意見を出さなかったが、これは地元首長としてきわめて無責任である。
 「不承認」翌日の11月26日の夕、国会の議員会館前で約200人が「不承認」断固支持の緊急集会をもち、東京などでの「辺野古ブルーアクション」が開始された。
 他方、琉球弧のミサイル戦争基地化では11月14日、ついに宮古島に陸上自衛隊の地対艦・地対空ミサイルが強行搬入された。1月の宮古島市長選で「オール沖縄」の支持も受け当選していた保守系の座喜味市長が、港使用を認めてしまった。当日、宮古島の住民は道路にころがって阻止行動を闘い、東京の首相官邸前でも抗議行動が行なわれた。
 辺野古新基地断念、沖縄ミサイル戦争基地化阻止の大攻勢に進もう!(A)