10・29狭山事件の再審を求める市民集会
  全国決起で来春再審請求

 狭山事件の確定有罪判決・寺尾不当判決から47年目の10月31日を前に、10月29日・日比谷野外大音楽堂で、「狭山事件の再審を求める市民集会―不当有罪判決47年!東京高裁は鑑定人尋問・再審開始を!」が開かれた。コロナ対策で会場の半分超を埋める1300人の解放同盟員、労働者・市民が結集した。主催は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委。
 昨年は、感染拡大でやむなく中止されたが、再反論・新証拠を提出し、今年は来春の鑑定人尋問・事実調べの実施を求める重大局面での取り組みであった。検察は、不当に引き延ばしを図り、再審開始を遅らせようと画策している。
 狭山事件弁護団は、これまで240点を超える新証拠を提出し、寺尾判決の最大の根拠とされた万年筆・腕時計など、自白裏付けの「秘密の暴露」という虚構を次々と崩してきた。刑事訴訟法435条6号は、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」には再審を開始するとしている。狭山事件でのこれまでの再審棄却決定は、この理念に反している。
 検察官は6月30日付で、石川さん宅発見万年筆が偽物であることを証明する下山第2鑑定に反論する意見書を提出した。下山第2鑑定に科学的に反証できず、ただただ意見書を提出した。これは、再審開始に敵対し、不当な引き延ばしを図る以外の何物でもない。
 また新証拠は、寺尾判決の他の根拠となった足跡など状況証拠についても科学的に誤りを指摘し、石川さんの無実を証明している。
 寺尾判決は、埼玉県警鑑識課の関根・岸田鑑定を根拠に、犯人が身代金を取りに現れた佐野屋脇で採取された足跡は、石川さん宅から押収された地下足袋によるものだとして、自白裏付けとは別の有罪証拠の一つとした。この足跡鑑定は、押収した地下足袋で作った石こう型と現場の足跡について、地下足袋のゴム底のはがれと石こう型に印象されている「破損痕」が両方に見られるとして、足跡の白黒の平面写真を撮り、その写真上に点を記入して、長さや角度を測って符合するとした。
 しかし、弁護団の足跡新鑑定は、関根・岸田鑑定が平面写真上に記入した点を3次元スキャナで計測した立体形状に対応させ、立体の石こう足跡とズレていることを実証、警察の鑑定が誤りであることを明確にした。
 集会は、組坂繁之部落解放同盟中央本部委員長の開会挨拶で開始。組坂さんは、「来年春にも鑑定人尋問を求める動きをする。47年前東京高裁の寺尾裁判長は、無期懲役の有罪判決を下した。しかし石川さんは無実だ。一人の冤罪を晴らすために多くの人びとが50数年闘っている、石川さんも82歳、何としても鑑定人尋問を」と述べ、今行動の意義を明らかにした。
 次いで石川一雄さん・早智子さんが、登壇してアピール。一雄さんは、「コロナが襲い持病があるため、これまで活動を自粛してきた。死んでしまったら正に無駄死に。生きて無罪を勝ち取る。裁判で真実を明らかにするため鑑定人尋問をやってほしい。元気に闘っていく。いろんな集会に呼んでほしい」と訴えた。
 早智子さんは、「石川は、何としても生き抜くために涙ぐましい努力をしている。事件から58年、無実を訴えてきた。手には見えない手錠がかかっている。弁護団は新証拠で検察を追い詰め、狭山事件は最終段階に来た」とし、皆さんの声を裁判所に届けてほしいと訴えた。
 弁護団の報告では、中山武敏主任弁護士や中北龍太郎事務局長が発言。中北弁護人は、第3次再審請求では191点の証拠を開示させ、246点の新証拠を提出したことを報告。発見万年筆や脅迫状の反証のほか、「七つの状況証拠も覆した。新証拠で有利な状況をつくり、鑑定人尋問を請求したい」と述べた。
 基調提案は、片岡明幸解放同盟狭山闘争本部長。「第3次再審が大詰めを迎え、東京高裁(大野勝則裁判長)に鑑定人尋問を行なわせる段階に来た。請求時期は遅くても来年中、早ければ春か夏。闘争は最終段階。このために全国的大集会をやる。裁判の中心テーマは万年筆。発見万年筆は被害者の物ではなく、無実は明確。これに勝負をかける」と明言した。
 狭山事件の再審を求める市民の会事務局長の、鎌田慧さんがアピール。「石川さんは58年苦しんできた。しかし警察・検察は無実の罪を押しつけて平然としている。日本の検察・警察・裁判官の中に差別意識がある。寺尾裁判長は、無実が明確なのに無期懲役にした。このおかしさと闘っていく必要がある」と主張した。
 集会は、狭山事件の再審と、検察官による抗告を禁止する再審法改正を求める集会アピールを発して終了。東京高裁デモを貫徹して、一日の行動を終えた。
 検察は、新証拠に対する反論を強引に行なうなど、再審開始を阻止せんと画策している。油断は許されない現状にある。世論を喚起して、狭山の大闘争を実現し勝利しよう。(東京O通信員)


10・17京都
  第15回反戦・反貧困・反差別共同行動
  新自由主義に代わる社会を


 「変えよう!日本と世界」をメインスローガンに、「ポストコロナ/新自由主義に代わる社会をめざそう/自公政権を打倒しよう!」の声も高らかに、10月17日(日)午後2時から、京都国際反戦デー集会として「第15回反戦・反貧困・反差別共同行動in京都」が円山公園野外音楽堂において、360名の参加者で開催された。主催は、同共同行動in京都実行委員会
 やや雨模様のなか、19日公示の総選挙突入を前にした行動であった。集会では主催者挨拶を仲尾宏さん(実行委代表世話人)が行ない、「この選挙の重要性は、安倍・菅政権を継承している岸田傀儡政権を打倒する闘い」と述べた。
 連帯アピールを、中北龍太郎さん(戦争あかん!基地いらん!関西のつどい共同代表)が行ない、公演では今こそ民衆の歌を!として反戦フォークシンガーの中川五郎さんが歌い、そして講演が、「ポストコロナ/新自由主義に代わる社会をめざそう!」をテーマに、鵜飼哲さん(思想家・一橋大学名誉教授)から行なわれた。
 鵜飼さんは、コロナ禍が大爆発しているなか、自称「平和の祭典」東京オリ・パラが世論の大反対を押し切って強行され、民衆の「平和に生きる権利」は蹂躙されたと指摘した。過去3回の五輪(東京・札幌・長野)は、日本の外国人政策をより強権化させた。国家が外国人の人権蹂躙を当然とみなしてきた国で、一過性の民間交流や「多様性のスぺクタル」を演じて何の意味があるのか? 目的は、五輪のための「世界一安全な国」日本の創造であるとされ、その一方では、難民申請中あるいは非正規滞在とされた外国人が入管施設に長期収容され、虐待され、ハンスト等の末死亡する、あるいは自殺未遂を図る事件が頻発しているのだ。その一例が、スリランカ人女性ウイシュマ・サンダマリさんの名古屋入管施設収容中の死だ!と訴えた。
 また鵜飼さんは、この「10・21」国際反戦デーは、民衆の「平和に生きる権利」を高く掲げ、好戦的反動勢力の支配の転覆をめざす日でもあると述べた。そして、今総選挙での自民党公約、「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させる。」「GDP比2%以上を念頭に防衛関係費の増額をめざす」を厳しく批判して、敵基地攻撃能力保有と大軍拡を阻止する闘いを訴えた。
 特別アピールが、「いま、新しい政治勢力を求めて」として、服部良一さん(社民党幹事長)から行なわれた。服部さんは、現在の野党共闘の内実の問題点(一部で「健全な日米同盟」論が掲げられているが、それで戦争に反対できるのか等)に触れるとともに、「いのちの安全保障確立」などを掲げる「共同テーブル」(佐高信さんら呼びかけ)への参加を呼びかけた。
 集会のまとめとして、新開純也さん(実行委世話人)が集会基調を提起した。提起ではまず、「安倍・菅政権のあまりにもお粗末で無能なコロナ対応は、新自由主義に毒された経済優先主義が根底にある。新たに登場した岸田は、新自由主義の見直し、配分重視の経済政策など一見社民主義的な言辞をまき散らし、令和の所得倍増などいかにも時代錯誤のスローガンを掲げている。自民党幹事長に甘利明、政調会長にネオナチ・極右の高市早苗を起用したことを見ても、安倍への忖度は明確だ。一刻も早く打倒しよう!」と岸田新政権を批判した。
 そして、このかんの大局的認識としては、新自由主義によって「各国の市民社会内部に新たな階級社会が形成され、新たな階級闘争が始まっている」とし、したがって資本主義を変革する今日の「変革の主体」としては、かってのような「政党・労働組合・人民戦線的運動」ではなく、「非正規労働者、下層労働者を中心とした多様な都市住民に置く」必要があり、また、新しい政治勢力の形成も、綱領を持った党というよりも、「問題解決型の行動綱領による結集」となるのではないか、という提起であった。賛否はあるだろうが、検討されるべき提起ではあった。
 集会は、行動提起を寺田道男さん(実行委事務局長)から受け、最後にインターナショナル斉唱で締めくくられた。
 集会後は、京都市役所までのデモンストレーションが行なわれた。(関西S通信員)


10・23大阪
 とめよう!戦争への道
 めざそう!アジアの平和
 2021関西のつどい



 10月23日、大阪市のエルおおさかにて、「とめよう!戦争への道 めざそう!アジアの平和2021関西のつどい」が開催され、約350人が参加した。主催は、同つどい実行委員会(大阪高教組、大阪平和人権センター、しないさせない戦争協力関西ネット、戦争をさせない千人委・大阪)。
 今年の集会ではスローガンに、「許すな!日米軍事一体化」「とめよう!敵基地攻撃能力保有」「土地規制法糾弾!」「沖縄・南西諸島の軍事要塞化反対!」「憲法9条の改悪をとめ、対話外交を!」と掲げられた。
 講演が「日米の一体化ではなく、戦争回避の外交を!」として、柳澤協二さん(国際地政学研究所理事長、元内閣官房副長官補・防衛庁防衛研究所長)から行なわれ、また国会からの報告が、沖縄選出参院議員の高良鉄美さんから行なわれた。
 集会は、大阪での広い枠組みのものとしては参加者数が物足らないが、対中国敵視の日米同盟強化による沖縄の戦場化を絶対許さず、大軍拡にNO!の声をあげていこう、という意義ある企画であった。(関西I通信員)