最後の自公首相岸田!
 11月総選挙-自公連立政権完全打倒の秋

 岸田文雄は、最期の自公政権首相である。「アベ・スガ」継承政権である岸田政権は、わずか1か月余で終わりとならねばならない。
 9月の一ヵ月間は、臨時国会も開かず、自民党総裁選によるマスコミ乗っ取りの騒音だけという最悪のひと月であった。東京五輪強行・コロナ感染爆発で国民の信用を無くした菅首相が3日、総裁選不出馬を表明して、自民党による総選挙向けの顔のすげ替えが開始され、岸田・河野太郎・高市早苗・野田聖子の4人による総裁選が演じられた。9月29日決選投票で岸田新総裁を選出。10月4日に臨時国会を開いて、冒頭で自民・公明らが岸田を首相に指名、岸田・新自公政権を発足させた。
 この臨時国会は、7月から野党が要求していたコロナ対策などのための国会ではなく、首相指名と岸田の所信表明演説のための国会に過ぎない。また、もう21日には衆院議員の任期切れとなる。それで14日には閉会だとしている。まさに自民党のための国会である。東京五輪最中の感染爆発で、入院できず自宅でコロナ死を強いられた人が、東京では8月だけでも112人(全国250人)もいる。国会にも、政府にも見捨てられて殺されたのである。
 この感染爆発時の政治空白という一点だけでも、自公政権は退陣すべき責がある。辞めないなら総選挙で引きずり下ろすしかない。10月14日に岸田が衆議院を解散すれば、憲法第54条により「40日以内」に総選挙であるから、総選挙投票日は11月7日あるいは14日である。衆院議員任期満了で総選挙の場合は、公職選挙法の規定により11月7日が投票日となるようだ。
 しかし総選挙を目前に、岸田自民党では、自民党が変わるというイメージがまるで無い。野党は、新総裁が大衆受けする河野(党員票では1位)ではなく、岸田となってホッとしている。党人事も組閣も、安倍・麻生・甘利の極悪3Aの影響下にある。高市が議員票で2位に付け、党政調会長に就いたことも、安倍ら極右反動勢力の継続を示すものである。
 岸田は、「分断の修復」、「再分配」を口にして、コロナ災害であらわとなった階級対立や差別分断を意識し、また資本主義じたいが批判の対象となっていることを意識して、「新しい資本主義」とも口にしている。新自由主義の手直しとしての、ステイクホルダー資本主義である。株投資家よりも利害当事者(経営者・従業員・取引先・地域社会)を大事にしようというステイクホルダー資本主義の考え方は、日本的資本主義では別に目新しくもない発想である。しかし今春のダボス会議や、連合・立憲民主・国民民主の合意文書では、この考え方が何か資本主義の救世主であるかのように描かれている。イメージ倒れで、(岸田が総裁選で「労働者皆保険」を唱えたこと以外は)新自由主義手直しの具体策がないのである。
 それで、資本主義修復の具体策は、立憲民主党の役回りとなる。立民は、民主党政権時の民自公3党合意以来、消費税増税を前提とした税社会保障一体改革論である。しかし今回、コロナ対応を理由に時限的な消費減税を取るとして、消費税全廃論のれいわ新選組と当面「消費税5%」化で合意した。これによって、19年参院選では野党共闘に不参加だったれいわが、初の総選挙で野党共闘に参加し、野党・市民共闘が強化された。他方、国民民主党が連合の意を受けて、日共との政権政策合意的なものを嫌い、市民連合との9・8合意(2面参照)に参加しなかった。
 しかし9・8合意に参加しないからといって、茨城5区で国民民主が日共との一本化を図る必要がないということにはならない。まして兵庫8区で、れいわと日共が調整するのは当然だ。
 日本共産党の志位委員長は9月30日、立憲民主党の枝野代表との間で、来る総選挙で立民主導の政権交代が実現された場合、「閣外協力」とすることを合意した。正確には、「市民連合と合意した政策を実現する範囲で限定的な閣外からの協力をする」としている。
 6年前の安保法制強行成立時に、日共は「戦争法廃止の国民連合政権」を打ち出した。そして、「野党は共闘」から「野党は連合政権」へと発展するとして、昨年1月の第28回党大会でも、続く2中総でも「野党連合政権」を連発していた。しかし9月8日の3中総で「閣内協力も閣外協力もありえる」として、あっさり方針を変更した。
 社民党は昨秋、立民に行く部分と協議離婚したあと、2月の第11回党大会で総選挙方針と来年の参院選方針を決め、2022年参院選方針では「条件が整えば党外のみなさんと共同戦線を構築し、全国比例を統一名簿で戦い、全国比例2人以上の当選をめざす」とした。そして、この衆参選挙方針と関連して、「新社会党や緑の党をはじめ、基本政策が一致する多くの政党・政治団体・市民団体と日本の政治を変えるためにネットワークを強化する」と決定した。
 この方針を支持する人々によって、22年参院選に対応するものとして「共同テーブル」の発起人会が6月から開始され、賛同人の募集がすすめられている。この「共同テーブル」が、政党要件を持つ社民党の生き残りという消極的目的ではなく、新しい政治勢力を形成するという積極的目標をもって進められるならば、支持の広がりが期待されるだろう。
 直面する総選挙で社民は、服部良一の前回戦を継ぐ大阪9区で、大椿裕子を野党統一候補で立てている。自民、維新との三つ巴戦に勝利させよう。
 すべての小選挙区で、野党・市民共闘の一本化候補、オール沖縄の統一候補に投票し、自民・公明・維新を打倒しよう!(W)