東京五輪強行で、ついにコロナ感染爆発
  抗議に囲まれ五輪開会

 東京オリンピックが、7月23日開会された(8月8日閉会予定)。
 この東京五輪は、開催都市が感染症緊急事態に陥るなかで、むりやり強行された異常なものである。デルタ変異株など新型コロナ感染の急拡大により、菅政権は7月7日、コロナ特措法に基づく4度目の緊急事態宣言を東京都に出さざるをえなくなっていた(沖縄の宣言延長とともに8月22日まで)。
 緊急事態宣言下の開催となって、菅政権や国際オリンピック委員会IOCら5者は8日、首都圏での五輪「無観客」を呑まざるをえなくなった。「有観客」方針に対する都民の広範な反発を前に、開催自体を救うための軌道修正であった。これでJOCはチケット収入を失ったが、莫大な放映権料を得るIOCは何も失わない。
 7月23日、千駄ヶ谷の国立競技場での開会式(夜8時)に抗議し、都内ではいくつかの五輪反対デモが行われた。
 オリンピック災害おことわり連絡会など6団体の主催による行動では、夕6時半に原宿駅そばの神宮橋付近に約7百人が集まり、日本語のほか英語などで五輪中止をアピールした。デモコースの認可は難航したようであるが、国立競技場近くまでデモ行進することはできた。
 またその前の正午、同主催で東京都庁前では、到着する「聖火」の点火セレモニーに反対し、トーチリレー抗議行動が約3百人で行なわれた。警察は、高架の都庁玄関がわ一帯を封鎖する異常警備を行なった。
 これら開会日の五輪反対行動には、来日している海外メディアの取材が多く見受けられた。
 開会式強行に至る過程でも、7月18日の迎賓館でのIOC会長バッハ歓迎会や、16日のバッハ広島訪問に対する抗議行動、勝どきのJOC前での定例行動、有明の選手村での宣伝、各市区での点火セレモニーへの抗議など、各地で市民による五輪中止行動が展開された。7月16日の都内武蔵野市のセレモニーでは、抗議の市民1名が不当逮捕された。
 8月8日の最終日にマラソン競技が行われる札幌では、このかん五輪・マラソン返上を求める市民運動が続けられていたが、7月17日には、マラソンコース一部の20キロでのデモ行進が取り組まれた。
 これら抗議の直接行動以外でも、各種のオンライン署名運動などが行なわれた。弁護士の宇都宮徳馬さんやコロナ災害救援の市民らによる署名、日本政府・東京都・IOCなどに対して「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求める」署名は、7月15日、45万余筆が提出された。また上野千鶴子さんら知識人・市民による中止要求署名は、7月19日、14万余筆が提出された。
 また裁判闘争では7月9日に、東京都と長野県の市民4名が、東京オリ・パラを強行すれば感染が拡大し生存権が侵害されるとして、「五輪開催差し止めの仮処分」を東京地裁に提訴し、受理されていた。しかし、地裁は7月15日付で、この申立て却下を決定した。
 担当の目代真理裁判長は、却下の理由として、「開催により、個人の生命や健康が侵害される具体的な危険が生じる恐れは認められない」などとしている。しかし、4連休を伴う五輪開催が、感染拡大の主要要因の一つであることは、誰もが認めている科学的事実である。この司法判断では、「日本人への感染リスクはゼロだ」と言い放ったバッハと変わらない。
 次の裁判闘争としては、8月前後に都内や競技開催地でコロナ感染した者を原告としての、国家賠償請求などがありうるだろう。
 パラリンピックが8月24日から続こうとしているが、東京五輪が、コロナ対策から人員と予算を引きはがしつつ、感染急拡大を促進していることは誰の目にも明らかとなっている。菅自公政権は、この史上稀に見る愚行のツケを払うことになるだろう。(W)


7月「19の日」
  五輪強行の菅に終止符を
    9月臨時国会で自公政権も終わり

 新型コロナウイルスの感染第5波の様相を無視し、菅政権は政権維持などのために東京五輪開催を強行した。
 この菅政権の暴挙に抗し、オリンピック開催を五日後に控えた7月19日、東京では68回めの「19の日」行動が国会前で闘われた。「いのちとくらしと人権を守れ!オリンピックではなくコロナ対策を!自民党改憲4項目反対!7・19国会議員会館前行動」と題し、450名の労働者・市民が結集。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍9条改憲NO!全国市民アクション。
 最初に、戦争をさせない千人委の勝島一博さんが主催者挨拶、「五輪開催まであと五日。政府は開催を強行し、原発事故の責任もとらずに忘れさせようとしている。復興にこそ全力をあげるべきだ。コロナ禍で、女性ら非正規労働者の生活が脅かされている。開催の意義は失われた。今すぐ中止する勇気が必要だ」と述べつつ、菅政権に終止符を打つ闘いの高揚を訴えた。
 政党挨拶では、社民党・福島瑞穂、日本共産党・田村智子、立憲民主党・小西洋之、これら参院議員が発言。
 小西さんは、「先月閉会した通常国会で、改正国民投票法が成立した。しかし、CM規制など更なる法改正がなければ強行はできない。国民投票などやらせてはならない。自公による法の支配の破壊のもとで、改憲などできるはずがない。総選挙で改憲派国会3分の2を何が何でも崩そう。最低18議席減らせば、これを崩せる」と主張。また、「憲法違反を調査するのが憲法審査会。憲審で闘い、憲法を奪還する」との決意を披露した。
 連帯アピールは、オール沖縄会議の福元勇一さんが発言。「国の辺野古工事設計変更について県は4回めの質問をし、回答を詳しくチエックしている。知事が不承認を出す日が刻々と近づいている。7月6日、サンゴの移植をめぐる裁判で最高裁第3小法廷は、県の上告を棄却した。しかし、二人の裁判官が軟弱地盤を理由に判決に反対した。これは埋め立て承認撤回に影響する」と報告し、新基地建設阻止で玉城知事を先頭に全国が連帯してがんばるよう訴えた。
 続いて、東京都議(小平市選出)の漢人あきこ議員が、「7・4都議選では立憲、社民など6政党の支持を得、一人区で自公推薦候補に大差で勝利した。自然破壊の道路建設反対、東京五輪開催反対が勝因だ。命を大切にする政治こそ大切」とアピールした。
 また、「女性による女性のための相談会」を代表して全国一般労働組合南部の中島由美子委員長が登壇、「コロナ禍で女性が苦しんでいる姿がはっきり見えた。7月は弁護士会と共催で開催し、123件の相談があった。労働相談も多く解雇、雇止めの不安が多い。つれあいによるDV、言葉の暴力も深刻だ。コロナを理由に経営者はやりたい放題で、シングルマザーが特に深刻だ。カンパやスタッフとしてご支援を!」と呼びかけた。
 最後に、憲法9条壊すな!実行委の山口菊子さんが、「菅政権を糾弾し、政権交代を実現しよう」と締めくくりつつ、以下を行動提起した。
 8月4日、有楽町ウィメンズアクション。
 8月8日、新宿駅西口街頭宣伝、午後6時。
 8月19日、第69回「19の日」行動。午後6時半・国会議員会館前。
 9月19日・戦争法強行成立6周年、第70回「19の日」行動。午後2時・国会正門前。
 臨時国会開会日の初日行動。正午・国会議員会館前。
 命と生活を破壊する菅自公政権を、大衆闘争の爆発で打倒しよう。その崩壊の日は迫っている。(東京O通信員)