サンケン争議
 6・25株主総会、怒りの本社前
  尾沢さんを取り戻そう!

 韓国サンケン労組を支援する闘いは、この6月大きな山場を迎えた。
 6月25日に埼玉県新座市の本社で行なわれたサンケン電気株主総会、これに対する闘いをはじめ、韓国サンケン労組を支援する会事務局次長の尾澤孝司さん(埼玉市民の会呼びかけの5月10日・月曜本社前行動で不当逮捕、起訴・拘留中)を取り戻すための、日韓両国民衆の怒りの闘いの盛り上がりである。
 毎木曜の本社前行動と池袋の東京営業所への抗議行動は、6月をとおして、サンケン電気は話し合いに応じろ、尾澤さんを取り戻すぞと、大変な盛り上がりを示した。月曜本社前行動も含めて、未だないほどの人びとの参加が勝ちとられた。
 さて25日の株主総会当日は、開始時間の午前10時を前に、本社前行動が9時から参加株主への訴えを中心に取り組まれた。80名を超える仲間が、狭い本社前の道路で毅然たる行動を行なった。
 支援する会の内田さんの司会のもと、共同代表で全労協議長の渡辺洋さんが主催者挨拶。この後、韓国サンケン労組副支会長で民主労総副委員長のキム・ウニョンさんから、オンラインで挨拶。ウニョンさんは、会社と組合の間では労働協約や様々な合意がなされていた、これら合意を一方的に踏みにじり韓国サンケンの清算と解雇を通告してきた、この反道徳的で、反民族的で、反人権的なサンケン電気の経営陣は、退陣しなければならない!と訴えた。
 続いて関西生コン支部、韓国の旭ガラス非正規職の闘いを支援する群馬の仲間、東水労、東京清掃から連帯発言が行なわれた。各発言で、韓国サンケン労組組合員の職場復帰と、不当逮捕され拘留が続く尾澤さんを取り戻そうとの熱い決意が述べられた。株主総会が始まったとみられる10時以降は、労働歌などが歌われた。
 一時間ほどたった頃、株主らしき人がちらほらと正門前から出てきた。それらの人に尋ねたところ、サンケンの争議は総会で取り上げられなかったようである。
 尾澤さんは、この株主総会に向け、総会参加を前提に発言権行使に必要な株券を取得していた。それ故に会社側が尾澤さんの総会参加を抑えるため、埼玉県警とグルになって、というのが逮捕劇の確かな筋書きだろう。参加が叶わなくなった尾澤さんは獄中から、争議に係わる8項目の質問書をサンケン側に事前に提出している。これに回答するのは、株式会社として当然の義務であるが、6月末ではまだ、回答は届いていないとのことである。
 本社前集会の後半では、韓国サンケン労組をはじめ、東部労組、全労働者組合、さらに沖縄一坪反戦地主会関東ブロックのメンバーなど多くの発言があり、京浜ユニオンの音頭でシュプレヒコールを行なって株主総会行動を終了した。
 また当日は、東京全労協の東京総行動の日でもあった。その一環で、午後4時から東京営業所への抗議行動が取り組まれ、100名を超える参加であった。東京総行動の締めのトヨタ本社前では、韓国サンケン労組を支援する会の発言も行なわれ、各争議組合との協力を確認しあった。(東京Ku通信員)


今年の最低賃金決定が山場
 最賃大幅引き上げ!全国共同で
  各地の創意示された6・21全国交流集会

 6月に入って中央最低賃金審議会の審議も始まり、今秋以降1年間の最低賃金が決定される7~8月の山場に突入した。
 6月21日、「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」の呼びかけで、「コロナ危機だからこそ、最低賃金全国一律、大幅アップを!6・21全国交流集会」が東京(田町プラザの屋内集会)を拠点にして、全国各地をオンラインで結んで実施された。

  最賃主題で枠超えて

 交流集会ということで、全国各地でたたかわれてきた最賃大幅引き上げ運動の各地からの報告を中心に行われた。全国各地域でそれぞれ独自なたたかいが展開されていることを、筆者は改めて知ることができた。
 特徴的だったのは千葉県で、なのはなユニオンなど16団体が実行委員会を組織して、すでに12回にわたって県内キャラバンを組織し、千葉県内の主要都市の駅頭で共同して宣伝活動を続けていることだった。今では、大体200名ほどの参加者を集めて実施されており、毎年大きな運動になっているとの報告だった。
 四国4県では四国規模で実行委員会をつくり、毎年2日間にわたって四国各地でのキャラバンを実行しているとの報告があった。
 街頭キャンペーンでは、京都ユニオンの仲間から、近畿各県の最低賃金をそれぞれ一枚ずつ立て看板に大書して、その前でキャンペーンをしたら、多くの人たちの注目集めたとの報告もあった。
 具体的な闘いの仕方としては、ほとんどの地域で、街頭キャンペーン、地方最賃審議会への傍聴、労働局や地方経済団体への申し入れ行動、これらが闘われていることが報告された。
 とりわけ、栃木県のわたらせユニオンからは、コンビニ大手のセブン・イレブンに対して、店員の募集賃金を最賃以上に大幅に引き上げるよう申し入れ行動をしていることが報告された。地域の賃金の目安として、コンビニの賃金は大きな影響力を持っている。またコンビニの募集賃金はどこでもほとんど、地域の最低賃金ギリギリで表示されていることが多い。コンビニの募集賃金の大幅引き上げは大きな意味を持つ、と思った。
 三重県のユニオンみえでは、労働局や地方自治体で多くの労働者が非正規で働いていることを踏まえて、それぞれに職場の賃金の最低水準を交渉で聞き出し、同時に最低時給1000円を超すよう要求するたたかいをしてきたことが報告された。
 北九州からは、北九州市議会への働かけを行なって、今年6月に、全国一律最低賃金の導入を要請する市議会の意見書を採択させたことが報告された。
 最賃大幅引き上げのたたかいは、全労働者の4割を占めるまでになっている非正規労働者の生活を規定する重要なものになっている。日本の最賃は、いま全国平均で902円とあまりに低くて、フルタイムの8時間働いても、最賃水準では暮らしていけないことは明らかだ。各地の労働団体で、重要課題として取り組まれてきたし、取り組まれている。
 今まで各ナショナルセンターごとにそれぞれ闘われてきたが、今回、ナショナルセンターの枠超えて、最賃大幅引き上げのみを主題として、全国的な共同行動が行なわれたのは初めてだ。今回は交流集会という形で各地からのたたかいの報告が中心となったが、地方の活動を軸としながらも、全国的な共同行動が行なわれることが期待されている。

  菅政権の対応は?

 中央最賃審の目安答申でゼロ回答となった昨年と異なり、今年は政府も、6月18日閣議決定の経済財政運営骨太方針で、「より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む」と表明している。
 最賃引き上げに前向きと言われる菅政権であるが、背景には中小企業再編淘汰の狙いがある。骨太方針で昨年に続き中心となっているのは、デジタル化産業再編である。デジタル化などでの労働生産性の向上、また地方の人口減と廃業増加への対応、そのための中小企業の新自由主義的な再編統合を課題としている。最賃引き上げも契機に生産性を上げろ、それに対応できない中小零細企業は市場から去れ、ということになる。その証拠に、最賃引き上げに伴うべき中小零細支援策(社会保険料の減免など)は何も出されていない。
 もちろん総選挙対応という皮相な狙いもある。菅政権を当てにしていたら、平均1千円もいつになるやら分からない。我々の運動で今年の最賃引き上げを闘いとらなければ、継続する成果にはならない。
 
  日本の最賃は大幅遅れ

 イギリスやドイツ、フランスなどでは、最賃は1300円程に引き上げられている。アメリカのバイデン新政権は、全米で最賃15ドルを目標としてかかげ、実際に政府契約企業では最賃15ドルを実施する。日本の最賃は大幅に遅れている。菅政権の「1千円を目指す」ではとても追いつかない。最賃の大幅引き上げは大きな課題である。目標は、全国どこでも時給1500円の早期実現である。
 最賃大幅引き上げに向けて、地域の活動を軸にねばり強くたたかいの輪を広げていきたい。
(ユニオン活動家S)