今こそ五輪中止・菅打倒
   自公政権コロナ・五輪の失政に終わりを


 今、東京五輪の中止を菅政権に受け入れさせ、五輪開催をコロナ対策に優先させてきた菅政権に責任を取らせる・退陣させる決戦が、ぎりぎりのタイミングで来ている。
 菅首相は5月28日、5月末期限の新型コロナウイルス緊急事態宣言(第三次)を再び延長し、6月20日までとすることを表明した。と同時に、国内外で中止の声が高まる今夏の東京五輪については、「多くの方々から不安や懸念の声があるとは承知している。そうした声をしっかり受け止め、安全安心の大会へ向け取り組みを進めている」として、五輪強行を改めて表明した。世論を「しっかり受け止め」ても、ただ既定方針あるのみ。これでは独裁者の居直り、かつ無責任の極致である。
 日本の代表的ブルジョア商業新聞の『朝日新聞』ですら、「今、五輪は政権を維持し、選挙に臨むための道具になりつつある。」「中止の決断を首相に求める」(5月26日社説)と主張する事態になっている。なぜ、その時点での社説なのか。
 というのは緊急事態宣言の再延長は、菅政権が五輪中止を決断できるタイミングであった。4月25日からの三次緊急事態宣言は、「短期決戦」に敗北して5月連休後に延長、今回また再延長となった。結局、感染力が強くなったアルファ型変異ウイルスのまん延を阻止できなかった。さらに現在は、より脅威であるデルタ型変異の市中感染をくい止める必要がある。また米国務省は5月24日、日本への「渡航中止」を勧告した。これらのことは、東京五輪の中止という方針転換に、日本政府として説明がつく充分な理由たりうるのである。
 しかし、菅はそうしなかった。菅は、「これからの3週間は、感染防止とワクチン接種という二正面作戦の成果を出すための極めて大事な期間」と述べ、背水の陣を敷くことの方を選んだ。期限の6月20日までに新規感染者数の低減化と、そしてワクチン接種率を大幅に上げることによって、五輪(7月23日開幕予定)が安全安心といえる状況にもっていきたいとするものである。
 また、五輪の来日人数は「当初の18万人から7万8千人に絞り、さらに合理化する」として、内外で人流が増えてもかまわないとしている。これでは東京五輪が、各種変異ウイルスを世界にばらまく攪拌機になってしまう。国内での自粛要請に説得力がなくなるのも当然だ。さらに、菅は「無観客」を明言せず、(すでに海外一般観客は無しとなっているが)いぜん国内観客入れにこだわっている。すでにぼろぼろの東京五輪でも、なんとか格好を付ければ政治的レガシーになるなどと妄想している。
 このかんの自公政権は、国民の命と暮らしのためのコロナ対策よりも、政権浮揚のための東京五輪開催を常に優先させてきた。
 菅政権が、感染状況はいぜん厳しいという批判をよそに、第二次緊急事態宣言(1・7~3・21)を打ち切ったのは、3月25日の五輪聖火リレー開始のためであった。第三次緊急事態宣言(4・25~)も、感染状況は適当に解釈して(数値は操作して)、五輪一ヵ月前に打ち切るつもりである。6・20で解除しなければ、五輪はやれそうにないからだ。
 安倍前政権が、PCR検査を発熱者の一部にしか行なわず、感染者数を少なく見せかけたのも、ひとつは昨夏の五輪開催のためであった。これは破綻し、開催は一年延期となった。菅政権になっても、無症状者は検査しない・大量検査による防疫はしないという対処の基本線は変わらないまま、経済回復・五輪準備と緊急事態宣言との右往左往をくり返してきた。
 ここに今春から、決め手と喧伝されるコロナワクチン接種が始まった。ワクチンの弊害は忘却させ、ワクチンを過信させる情報操作が行なわれている。高齢者への接種を完了させるのが「7月末」と大号令がかけられているのも、別に医学的根拠がある訳ではなく、ただ五輪は安全安心だと言うためなのである。
 五輪開催の方針転換が遅れ、ここまで混迷状況になった責任は、開催都市の東京・小池都政にも重い。東京では現在、都議会選挙(6月25日告示、7月4日投票)の選挙戦只中である。日本共産党や生活者ネットは、五輪中止を重点公約の一つとし、立憲民主党も五輪中止の姿勢である。自公と、4年前に過大に議席をとった小池与党・都民ファーストとを落選させ、五輪中止を含むコロナ災害対処などに取り組める人を党派を問わず当選させよう。
 東京五輪をやるやらないは結局、東京都民と日本国民・住民が決めるのである。形としては主催者は国際オリンピック委員会IOCであるが、バッハ会長らが何をいっても聞く者はもういない。かれらには、無観客でも放映権料は入る。利権と地位のために五輪を必要としているだけだ。
 国会会期末の6月16日までに、回答を出す必要がある。国会野党は、コロナ・五輪の失政を糾弾し、内閣不信任決議案を提出せよ。菅が解散で返すなら、コロナ禍での解散強行は、いわゆる解散権の乱用というべきだ。与党が不信任決議を否決しても、菅政権は死に体に転ずる。会期末を過ぎても、宣言の6・20期限、都議選と攻防は続く。
 いずれにせよ、五輪中止を求める多数派世論の目に見える化など、菅打倒の大衆行動の大きな実現、これが問われている。(了)