5・3憲法集会でも不当逮捕
  憲法25条実現を

 国会正門前での5・3憲法集会でも、参加途上の民間労働組合員1名が、でっち上げの「公務執行妨害」容疑で不当逮捕された。警察は翌日、自宅等を不当捜索し、また5日裁判所は不当な勾留延長を認めた(ようやく・・日に釈放)。
 この弾圧に対し、総がかり行動実行委員会は主催者として、逮捕・勾留延長に抗議声明を出した。また、全労協や全国一般全国協なども5月10日付で、不当逮捕抗議・即時釈放要求の声明を出した。
 この日にかぎらないが、警察は国会近辺の歩道上で、集会参加者に過剰な交通規制を行なっている。これが不当逮捕の背景とみられる。他方で警察は、この日の国会前行動では右翼の街宣車を坂下で規制せず、国会周回道路に上げさせ、街宣車の挑発的徘徊と暴騒音を放置した。集会の権利を尊重しない、きわめて偏向した警備であった。
 5月3日の日本国憲法施行74年の行動は、東京では、この国会正門前での「2021平和といのちと人権を!5・3憲法大行動」として行なわれ、オンラインで中継しつつ2千人近くが参加した。主催は、例年どおり5・3憲法集会実行委員会で、総がかり行動実行委などが共催。
 正門前では、九条の会事務局長の小森陽一さんが主催者挨拶、各国会野党の挨拶のほか、作家の雨宮処凛さん、元日本学術会議会員の羽場久美子さん、前法政大学長の田中優子さん等々が発言した。
 今年の5・3では、今国会に掛かっている自公の改憲国民投票法改正案の阻止、またコロナ禍での憲法25条(国民の生活権、国の社会保障と公衆衛生の増進の義務)の実現、これらが多く訴えられた。(東京A通信員)


4・17釜ヶ崎講座
 ハンセン病家族訴訟は終わっていない!

 4月17日、大阪・釜ヶ崎近くにある太子福祉館において、「第18回釜ヶ崎講座学習会」が30名の参加を得て開催された。今回は前回に引き続き「ハンセン病問題から何を学ぶか」で、今回第二弾のテーマは「家族訴訟」、ハンセン病家族訴訟は終わっていない!である。
 話題提供者は、ハンセン病家族訴訟原告団副団長の黄光男(ファン・グァンナム)さん。前回12月5日は、福田佳昭さん(虹の会おおさか事務局)に、ハンセン病とその患者の真実、苦闘の歴史を語ってもらった。今回は、2016年に開始された「ハンセン病家族訴訟」の立場から、黄さんにその訴訟と家族が受けた差別への思いを語ってもらう学習会であった。
 開始冒頭、ビデオ『邑久光明園』を視聴した。岡山県の邑久(おく)町長島にあるハンセン病患者施設とその生活の歴史を伝えるものだ。
 収容された患者が書きなぐった壁の落書きや、脱走などで反抗した者を収容した監禁室が映し出された。堕胎により命を失われた嬰児の供養塚や、「島流しに遭った」と思わず送られてきた患者がつぶやいたという桟橋のうら寂しい海が、私たち観る者を思わず押し黙らせる。最後、見終わった時、やはりここは隔離収容所なんだという感慨をもたせる。
 黄さんのお話しは、ハンセン病のことを「なぜ語ることができなかったのか、なぜ語るのか」の視点で展開された。
 幼いころ家族(母・姉)がハンセン病と分かり岡山の施設へ、自分は児童施設へ入園と一家は引き裂かれて生活。後年父親の話などから大阪府の職員が当時しきりに母を「入所勧誘」のために訪問してきたこと、そして当時の居住地区住民らによる共同浴場に来るな等の差別言動の環境があったことが事実として判明していく。黄さん曰く、母の施設収容は勧誘に来た府職員だけでなせることじゃない、近隣住民の協力、「無らい県運動」が全国で展開されてきた結果だ。力(権力)を持った者の言うことをうのみにせず、おかしいことはおかしいと言う勇気をもつ必要がある、と当時を振り返った。
 また、黄さん自身は、在日コリアンとして高校生ぐらいから本名を名乗る気持ちが高まり、公務員として採用されて以降(尼崎市をはじめ阪神地域での国籍条項撤廃の闘いが高揚したことの成果)、民族差別には向き合うも、家族のハンセン病問題には沈黙を通してきた。五十歳ぐらいから語りだし、以降運動にかかわっていくことに。これは幼い時に生活をばらばらにされたことが大きいと思うと黄さんは述べて、歴史的な絶対隔離政策の結果を指摘した。
 ハンセン病家族訴訟は2016年に国家賠償請求事件として第一次59名、第二次509名が、熊本地裁に提訴。国の責任を認めた19年の地裁判決が確定判決となり、申請した家族には補償金を払う制度が作られた。
 家族訴訟について黄さんは、家族自らが訴え出た画期性はあるものの、同時に未だ名乗り出れない多くの仲間が存在する。補償金ではなく、差別を通し続けてきた社会と一般市民側の責任を明らかにしていく必要性を強調した。「おまえも病気ではないかと検査を受けさせられて、先生にもう学校に出てくるなと言われた」、これは家族訴訟原告の幼いころの証言である。
 ハンセン病家族の闘いは、当事者家族が子々孫々安心して暮らしていける社会の実現のための、私たち自身にも課せられた目標の、これからも続いていく闘いなのだ。(講座会員I)

 なお朝日新聞5月25日に、黄光男さんへのインタビュー特集記事「私はハンセン病家族」が掲載(編集部)。


4・25関西新空港反対集会
  旅客数91%減

 4月25日、大阪府泉南市の岡田浦浜で、「関西新空港反対!泉州現地集会」が開かれ25名が参加した。主催は、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会。
 小山広明代表の挨拶の後、共闘団体からは釜ヶ崎日雇労組の三浦俊一さんが、コロナ禍での非正規の仲間の闘いについて発言。
 関西三里塚闘争に連帯する会の渡邉充春さんは、成田国際線90%減でも第三滑走路のための調査が続けられていること、所有者不明土地対策として土地登記を義務化する法が成立したことの危険性について述べた。
 また、東大阪三里塚闘争に連帯する会、南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会、関西共同行動と連帯アピールが続いた。
 根本博事務局長が基調報告、「関西新空港では前年度発着回数で31%、旅客数で9%しかなく完全に破綻している。航空機の位置付けは、国内線では代替交通機関がない場合のみの利用になっていくのではないか。環境破壊と資源収奪の現代文明が大きな岐路に立っている」、「南西諸島の自衛隊強化と共に、空港の軍事化についても反対を」と述べた。
 コロナ対応で集会人数は絞られ、短くしたコースでデモ行進が貫徹された。(関西S通信員)