韓国サンケン労組支援「大阪市民の会」が4・3結成
 日韓民衆連帯!大阪こ
 2月、「エフィッシモ」ハゲタカファンドによる攻勢と、企業再編―GSユアサへの企業譲渡(本社、東京、大阪支社以外)という危機が迫りくるサンケン電気。
 この危機こそが我々の好機である。日・韓での多くの反対運動にも拘らず1月20日の会社清算―廃業、16名全員解雇を強行したサンケン電気へ、3月攻勢の第1弾として3月10日、大阪支社への第6波抗議行動を20数名の参加で闘い抜いた。
 関西もこの頃はコロナ非常事態宣言が解除されて道行く人も多く、ビラの受け取りも好感触であった。大阪市民の会(準)は、サンケン電気のハゲタカファンドによる公開買付けの推移を厳しく暴露し、3月決算期と6月株主総会を見据えて24日、おおさかユニオンネットワークの春闘行動を共に闘い、さらに31日に第7波抗議行動を行なった。
 続く4月3日、大阪国労会館において、「韓国サンケン労組」を支援する大阪市民の会・結成総会が、その準備会発足以来6カ月の闘いを打ち固めながら、16名の仲間の参加で開催された。
 昨年11月18日からの第1波抗議・申し入れ行動から、3月までのサンケン電気大阪支社への第7波にわたる連続闘争(おおさかユニオンネットワークとの連続行動も3回参加)を闘う中で、結成総会では、長期闘争体制の構築を目指し、今後の展望を探る方向性を確認し合った。
 結成総会では、会の浜本代表が、昨秋から現在までに至るサンケン大阪支社での現況を報告し、さらなる日・韓連帯運動の飛躍を目指す闘いの一環と位置付け、今後も幅広く闘っていくことを確認した後、大阪市民の会の闘いのスライド上映と、ビデオ『韓国サンケン労組の闘い―「1月20日は新たな闘いの始まりだ」』を上映した。
 基調講演では、「韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会」の松平直彦さんが、「東京・埼玉から見たサンケン闘争の経過」と題して、これまでのサンケン労組の闘いの歴史、また日本・韓国における現在の闘いの経過を詳細に報告し、サンケン闘争の今後の展望を提起した。さらに、在日の多い大阪が中心に闘いを構築し、日本政府の韓国・朝鮮敵視政策とも対決していかなければならないと述べ、「労組と市民運動を融合させた運動を作り上げていかなければ、闘いの広がりはないだろう」と結んだ。
 さらに、韓統連大阪本部事務局長の崔誠一(チエ・ソンイル)さんが連帯アピールとともに、現在の混沌とした韓国の政治情勢について詳細に報告してくれた。特に、「文政権の危機は、米国ベッタリの政策の破綻が今日の危機をまねいている原因だ。キャンドル革命時の姿勢に戻らなくては、大統領選(来春)も展望できないだろう」との報告がなされた。
 また連帯メッセージは、東京の「韓国サンケン労組を支援する会」事務局次長の尾沢孝司さんと、おおさかユニオンネットワーク、関西共同行動から寄せられた。
 大阪では、以上の結成総会で決意を新たにし、今後の闘いに臨んでいく。流動的な情勢ではあるが、全国支社・営業所闘争を強化し、悪徳企業サンケン電気にさらなる攻勢を強めていこう。和田社長は直ちに韓国サンケンの会社再開―解雇撤回を行なえ!(大阪市民の会会員)


2021年最低賃金大幅引き上げキャンペーン」が開始
  最賃引き上げは正規・非正規の共通課題

 3月3日、ひとつのアピールが発せられた。最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会による、「コロナ禍だからこそ、最低賃金大幅引き上げを!時給1500円、全国一律最賃制をめざそう!」全国キャンペーンの呼びかけである。
 続いて3月6日、労運研(労働運動研究討論集会実行委員会)の全国討論集会が、各地方をオンラインで結び東京で開催された。議論の中心になったのは、コロナの中で一番悲惨な状況におかれてきた非正規労働者、これを軸とした「非正規春闘」をいかに闘うのかということであった。
 非正規労働者は、エッセンシャルワーカーの多くの部分を担っている。コロナ禍の中でも低賃金・不安定雇用の故に、仕事を離れられず、結果として社会の土台を支え続けてきた。一方、飲食業・小売業・旅行業の非正規労働者の多くは休業手当も支給されず、たとえ支給されたとしても、もともとが低賃金のために休業手当では生活が成り立たない苦境に立たされてきた。
 非正規労働者の低賃金が正規労働者の一定水準の賃金を維持する根拠になっている、という理解が一部にはある。しかし現実は、非正規の低賃金が賃金全体の水準を引き下げ、労働者全体の賃金水準を下方に引っ張る圧力になっている。日本の労働者の実質賃金は、1997年をピークに以後一貫して低下し続けた。この20年間で、年収200万円以下の労働者が400万人増え、今や1200万人に達した(国税庁2019年統計)。ほとんどが非正規労働者だ。最賃は、労働者全体の賃金の底上げに直接影響している。非正規を犠牲にして、「今だけ、カネだけ、自分だけ」で考えていると、結局自分の首を絞めることになる。

  地域で最賃引き上げの具体的取り組みを

 非正規労働者の場合、不安定雇用であるために、労働条件をめぐって直接経営者と交渉するのは、ほとんど不可能に近い。非正規が賃上げをするためには、法令としての地域最賃を引き上げることに、ほぼ頼るしかないのが実際だ。
 地域最賃は安倍政権が年3%の引き上げを宣言して以降、最賃引き上げは結局政治的に決定されるのだということが明白になった。昨年は経営側の「賃金より雇用」という論理に敗北し、地域最賃は0円から3円の引き上げに押え込まれた。最賃引き上げの運動の弱さの結果だった。
 最賃引き上げの闘い方は、いろいろある。まず第一は、現行の最賃があまりにも低すぎるというキャンペーンを強めて、世論を形成することだ。
 地域最賃が一番高い東京都(時給1013円)でも、年間1800時間働いて、年収200万円にも届かない。多くの非正規労働者は生活を維持するために、1日2~3時間の残業やダブルジョブ、トリプルジョブを余儀なくされている。身体がしんどくて、政治的に声を上げることが難しくなっている。労働組合が、これらの労働者の声を代弁し、宣伝活動を強めなければならない。
 第二は、現行の最賃決定の制度を変えることだ。
 中央最賃審議会も都道府県の地方最賃審議会も、公益・経営・労働の委員で構成されるが、労働者側の代表としては大手労働組合の代表が参加している。かれらは、正規労働者が多数で時給で言えば2千円から3千円を得ている層の人たちだ。これでは、最賃ぎりぎりで働いている労働者の声を代弁することはできない。非正規労働者や最賃レベルで働く当事者が審議に参加できるように、審議会委員の構成を変える必要がある。法制度の変更が必要な闘いは、全国一律最賃制の新設だけではない。この最賃審議会の制度改革も、もっと世論化される必要がある。
 第三に、地域での最賃引き上げの具体的取り組みを工夫し、その運動を基礎に地域最賃共闘をめざすことだ。
 地方自治体で働いている非正規の最賃がいくらかを調べて、自治体と最賃引き上げの交渉する。公契約の民間企業の最賃も調べ、行政にも責任をもたせる。また、地方大企業で働く非正規労働者の最賃水準を、地方的な闘いとして引き上げる。このかんマグドナルドが標的になったように、各地で影響力のある企業をターゲットとし、地域の労働組合が系列を超えて共闘して、その最賃水準を追及する。等々、工夫によっていろいろ取り組める。
 
  4・16秋田から6月全国集会へ

 今年も最賃引き上げ運動が始まった。昨年の敗北を繰り返してはならない。全国的たたかいとしては今春、「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」が組織され、先述の3・3アピールが出された(連絡先は、下町ユニオン、生協労連、全国一般全国協議会、郵政産業労働者ユニオンの4労組)。
 この全国キャンペーンは、4月16日の秋田での行動(集会と、県および秋田労働局への申入れ)を皮切りとして始まる。(秋田県は菅首相の出身地であり、また最賃792円の最低ランク6県の一つ)。
 5~6月に地方ブロック毎のキャンペーンを展開し、6月下旬に東京で全国集約集会という予定で取り組みが進む。これをもって、例年7月末に「目安」答申を出す中央最賃審議会を揺さぶっていく。
 全国展開のスケジュールを利用し、各地で地域の闘いを組織して、最賃引き上げの闘いをねばり強く展開していこう!(ユニオン活動家S)


デジタル一括法案反対
 公的給付エサに、自治体個人情報を国が支配

 政府提出のデジタル改革関連法案(計63本もの新法・改正案の一括法案)が、4月中にも強行成立させられようとしている。最大野党の立憲民主は、個人情報利用の限定や、一元管理への地方自治体参加義務の見直し等を修正要求していたが、それを与党に蹴られたのであるから、法案断固阻止の立場に転ずるべきである。
 法案は、①デジタル庁の設置、②各自治体の個人情報ネットワークをデジタル庁の管理下に置き、システムと個人情報保護を国の基準で一元化する、③個々人の預貯金口座に本人同意でマイナンバーを紐づけにして、公的な給付金の支給などに使う、④デジタル庁が司令塔となり、②③をテコとして、マイナンバーカードの普及を進める、これらが主な内容となっている。
 現行制度では、我々の住民情報は、地方公共団体情報システム機構JLISによって集中管理されている。JLISと住民基本台帳ネットワークは、各自治体が共同で運営する分権的システムであり、国が管理する国民総背番号制ではないとして導入されたものである。個人情報保護の扱いで、自治体によって違いがあるのは別に悪いことではなく、分権システムとしては自然なことである。
 が、国家は一元的に管理したがる。まして、「デジタル・脱炭素・グリーン」を資本増殖の新領域として拡大しようというのが、菅政権である。デジタル改革法によって、個人情報の管理が、公共サービスでの利用から、国家によるビッグデータの活用に大転換してしまう。
 民主的な政府においても、国民・住民の個人情報コントロール権と、政府・自治体の公共サービスでの個人情報利用とは不断に緊張関係をもつ。しかし、自公政権のように憲法9条を無視し、中国や朝鮮との戦争に身構えているような政府の下では、国家による個人情報ビッグデータの活用は危険極まりない。国民総動員の戦争のための、デジタル化である。
 本稿ではとくに、③の中の「公的給付の迅速な実施のための預貯金口座登録法」について付言したい。
 コロナ対策で昨年、定額給付金が実施されたが、このとき自民党にはマイナンバーカード取得を条件とせよ、などと言う者がいた。今回の法案は、この暴論の再現である。法案でいう「特定公的給付」とは、これまで消費増税の緩和措置として低所得者に数回実施され、コロナ定額給付金で初めて全住民一律に実施されたような、直接個人給付を意味する。コロナ定額給付金の経験で、住民票や口座の有無、世帯主の受け取りなど問題点が明らかになった。デジタル化以前の問題である。
 直接個人給付は、世帯単位から個人単位への福祉という趨勢のなか、今後重要性がいっそう高まると考えられる。乱暴な一括法案ではなく、直接個人給付を整備する独自法案として、国民的検討に付されるべきものである。(A)