2・1クーデター
 ミャンマー人民の不服従闘争に連帯しよう!
  日本政府は国軍支援停止を

 ミャンマー(ビルマ)で2月1日、国軍がクーデターを起こし、以来クーデター権力に抗議し退陣を求めるミャンマー人民の街頭闘争、ゼネスト、平和的不服従闘争が連日続いている。
 治安部隊の発砲を含めた弾圧により、3月2日に少なくとも38人が死亡するなど、すでにミャンマー全土で多数の死傷者が出ており、今や内政問題の域を超えて、深刻な国際的人権問題となっている。
 筆者にとっては、この国軍クーデターは驚きであった。なぜなら、ここ10年の議会政治の始まりと経済成長で、国軍と国民民主連盟NLD幹部との間で、経済成長の成果を分け合う仕組みができつつあるのかな、と思っていたからである。
 しかし、ミャンマー国軍は頑迷であった。新議会で、国軍の権益が少しでも削られることを容認しなかったのだろう。
 ミャンマー民衆の抵抗が、大きく長期に続いていることも、うれしい驚きである。在日ミャンマー人・少数民族の人びとも、2・14の渋谷デモの5千人など、大きな行動を続けている。
 ミャンマー国軍と関係が深い中国と日本の両政府が、まともな姿勢を取ることが重要だ。菅政権は、G7での協調をとるために国軍批判の言辞を強めてはいるが、実効性のある措置をとっていない。
 日本は、昨年のミャンマー議会選挙の選挙監視団に参加している。その立場から、不正選挙だとする国軍の主張には同意しないこと、したがって選挙結果を暴力で否定する国軍の権力をミャンマーの正統政権とは認めないこと。また、国軍側が弾圧を停止し、アウンサンスーチー氏らを解放し、それによって破局的事態を避ける措置をとらないかぎり、新規ODA凍結だけでなく、すべての経済援助をただちに停止すること、これらを政府声明すべきである。
 我々日本の人民は、ミャンマー国軍の暴力に屈せず、命がけで民主主義を求めて闘うミャンマー人民に心からの連帯を表明する。
 このかん、中国の香港地域、タイ、ミャンマーと続いている民衆闘争には、若い人々が大きく登場している。若い人々には一時的な錯誤もあるが、未来はかれらが創るのである。ミャンマーの人びとの闘いは、すべてのアジア諸国の民主主議を問い、ひいてはアジアの大変革にも通じる転換点であるだろう。(W)


「3・11」から10年  
 フクシマ原発震災収束せず
  自公政権打倒し原発ゼロへ

 2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9・0の巨大地震が東日本を襲い、1時間後には大津波が東北地方太平洋沿岸部に押し寄せて、大惨事をもたらす東日本大震災が発生した。
 東京電力福島第一原子力発電所を襲った津波は、原発4基の原子炉および使用済み核燃料の冷却機能を奪い、稼働中の1~3号機でメルトダウン、3月12日に1号機、3月14日に3号機の建屋が水素爆発し、停止中であった4号機の建屋も15日に爆発した。とくに2号機から多く放出され風に乗った膨大な放射性物資が、各地に飛散して広大な地域を汚染。住民の人命や健康を脅かし、環境を破壊するなど世界最悪レベルの原発事故が発生した。
 3・11から、まる10年が経過する。政権は事故当時の民主党政権から、12年12月総選挙の以降、復活した自民・公明連立政権が今も続いている。
 昨年9月以来の菅自公政権は、新型コロナ感染が国内外で猛威を振るい続けている中でも、東京オリンピック・パラリンピックの開催を強行せんとしており、「復興五輪」の名の下にフクシマ原発震災の大惨事を全て終わったことにしようと目論んでいる。しかし、原発事故に伴う問題は山積みされ、傷も癒されてはいない。菅政権は、事故の終わりを演出して、原発再稼働の推進と核武装能力の維持、長射程誘導ミサイル開発など敵基地攻撃能力の大軍拡に突き進もうとしている。五輪強行にかけた菅政権の陰謀を許してはならない。

 菅政権は昨年来、2050年の脱炭素社会実現に向けたグリーン成長戦略を発表している。(脱炭素社会とは、二酸化炭素ガスの排出量と吸収量が均衡する社会)。電源構成で再生可能エネルギー50~60%を目標に、風力発電やアンモニア利用発電の大幅拡大や、住宅やビルの屋上に太陽光発電パネルを大量に設置する等の計画を立てた。
 しかし、この成長戦略は、2050年でも原子力と火力に30~40%をゆだねるもので、従来のエネルギー基本計画の延長線上にある。現在ある旧型の原子炉を選択的に温存しながら(そのために老朽原発の再稼働に躍起となっている)、新たに小型炉や高温ガス炉などの新型原子炉を開発し、引き続き原発依存を進める戦略である。
 2月16日、温暖化対策推進法改正案の全容が判明した。改正案は、「2050年までの脱炭素社会の実現」を明記し、「再生可能エネルギーを活用した脱炭素化の推進を地域活性化や環境保全につなげる制度の創設」を掲げ、今国会に提出される。
 しかし福島原発事故後も、川内、玄海、高浜、大飯、伊方原発が住民の反対をよそに相次いで再稼働されている。菅政権が、脱炭素化を口実に、原発依存を続けるのは明確である。
 
 今年1月15日に行なわれた福島県の「県民健康調査」検討委員会では、甲状腺がんの疑いありと診断された子どもは252人。うち203人が手術を終え、病理診断で良性と診断された1人を除き202人が甲状腺がんに確定とのデータが公表された。
 しかも事故当時0歳と2歳だった女児2名が、甲状腺がんと診断されている。検討委は、これまで事故当時5歳以下の児童に甲状腺がんがなかったことを理由に、「福島県の小児甲状腺がんは、放射能によるものではない」と強弁してきたのである。
 また検査二巡めでは、避難区域、中通り、浜通り、会津の順に発見率が高く、被曝と甲状腺がんとの因果関係を示す地域差が判明している。がんの発生は原発事故によるもので、子どもたちの命と健康を脅かしている。
 そのうえ、2011年から13年に実施された先行検査では、115人の甲状腺がんが、そして二巡めでは、新たに71名の甲状腺がんが診断されている。
 国と福島県は、がんの増加は「過剰診断によって、治療の必要のないがんを見つけているため」とし、受診率の高い学校での検査を中止させようと目論んでいる。許してはならないことだ。
 「復興五輪」開催を目的に、常磐自動車道沿いに大量に置かれた汚染土などのフレコンバックが、撤去・隠されてから久しい。大熊町、双葉町にまたがる中間貯蔵施設に搬入されたに違いない。
 福島県内1371カ所の仮置き場に置かれた放射性セシウム濃度10万ベクレルを超える汚染土など除染廃棄物は、約1400万?。このうち978カ所、およそ1010万?が中間貯蔵施設に搬入され、昨年12月末時点で全体の7割が完了。今も搬入が急ピッチで進められている。
 環境省は、この汚染土の最終処分量低減と、中間貯蔵施設への搬出費軽減とを画策し、道路・海岸防災林・防潮堤の盛土材、土地造成・水面の埋め立て材など、公共工事や農地造成に再利用する方針を決めている。「覆土して遮蔽し、飛散・流出防止等適切な管理のもと限定的に利用し、被曝線量を抑えれば問題ない」としている。
 しかし放射能汚染物質は、隠しても、拡散しても、決して消滅はしない。長い年月をかけて軽減化するだけである。環境省の方針では、道路陥没や崩壊、水害などが発生すれば、汚染土が露出し、各地で被曝は避けられない。
 
 国が定める自主避難慰謝料は大人12万円、子どもと妊婦は52万~72万円で、多くの自主避難者(避難指示区域外避難者)は、生活を維持することさえ困難な状況に置かれている。厳しい現実を前に、国と東電の責任の明確化を求め、謝罪としての賠償を勝ち取るための集団訴訟が、原告約1200人によって、全国30件以上提訴されている。
 一方、東電の賠償額への異議申し立てを受けたり、弁護士の和解案が示される原子力損害賠償紛争解決手続(原発ADR)という、早期救済の仕組みが国によって作られた。しかし手続が煩瑣でハードルが高く、和解額から以前受領の賠償金が差し引かれ、手にしたのはわずかという例もあった。東電が賠償を主導し、ADRでの和解案さえ東電が拒否するようになり、補償・賠償額さえ値切られ続けている。そして自主避難者への住宅の無償提供など支援策も、次々に打ち切られている。
 また福島第一原発では、周知のように増え続ける汚染水の海洋放出が大きな問題になっている。
 汚染水は、溶融燃料デブリの冷却水と建屋に流入する地下水で、1月現在、敷地内に1061基ある汚染水タンクに約124万?が貯蔵されており、2022年夏頃には計画された貯水量の上限に達する。タンクの72%は、ストロンチウムやセシウムなど62核種の多くが取り除けていない。総量860兆ベクレルのタンク貯蔵トリチウムなどが海洋放出されれば、海は大量の放射性物質で汚染される。経産省は、「処理水は科学的に安全」とするが、「トリチウムの影響なし」と断定する研究は皆無だ。
 海洋放出は、再生途上の漁業者に大打撃を与え生活を破壊する。石油備蓄タンクなどを使った地上保管が選択されるべきだ。
 
 原子力規制委員会の調査チームは1月26日、2・3号機の格納器上ぶたが、極めて高濃度の放射能で汚染されているとする報告案をまとめた。2号機上ぶたの放射性セシウムの濃度は、2~4京ベクレル、放射線量は毎時10シーベルトを超え、1時間ほど人が留まれば確実に死亡する。3号機も3京ベクレル。2041年~51年に廃炉を終了とする政府と東電の計画は、これだけでも頓挫した。福島原発は事故収束の見通しが立たないまま、およそ4千名の作業員が被曝しながら、毎日現場を支えている。
 原発事故から10年、事故の収束は見通せず、人類と原発の共存は不可能であることが再度証明された。それでも政府と「原子力ムラ」は、原発推進に突き進んでいる。
 大闘争で東電の責任を明確にし、菅政権を打倒して、脱原発の実現が求められている。地域・職場から、改めて原発NO!の闘いを組織しよう。(O)


中止せよ!3・25五輪聖火リレー開始
  国民8割が開催反対

 3月25日から東京五輪聖火リレーが、10年目の被災地フクシマから強行されようとしている。東京五輪開催の是非をめぐって世論が明確に分裂している今、これは絶対に止めるべきだ。聖火リレーを開始してしまって、もう7月開催は既定のことだと無理やりもっていくようなやり方は、独裁的かつペテンである。
 東京五輪の評判は、大会組織委員長の森喜朗会長が2月1日、「女性が多いと会議に時間がかかる」旨の性差別発言を行ない、その後も会長交代劇のゴタゴタが続いたことで、内外でひどい状態になった。森発言はとくに、東京五輪を支えてきた人々をがっかりさせ、ボランティア辞任・聖火リレー辞退が続出した。
 しかし、日本の市民一般には、森会長発言の以前の昨秋から、東京五輪への反対・慎重が広がっていた。多数派の意見は、新型コロナ感染が内外で収束しないなか、あえてやる必要は無いである。安倍や菅が言う「コロナに人類が打ち克った証しとして」という文言は、しらじらしい印象しか与えていない。
 多くの世論調査では、7~8割が東京五輪に「中止」あるいは「延期」(事実上の中止)である。いわゆるコロナ第三波の急拡大が起きた直後の1月23日調査(朝日新聞)では、「中止」35%、「延期」51%で、「開催」は11%に過ぎない。森発言後の2月13日調査では、感染拡大が低減化してきた時期のためか、「中止」31%、「延期」43%と反対論はいくらか落ちたが、最新調査で74%が反対・慎重意見である。
 大会組織委の新会長・野田聖子は、「中止は選択肢にない。開催することは昨年7月の国際オリンピック委員会で決まっている」と居直っている。昨夏に比べ、日本の感染状況はひどくなっているが、まったく度外視している。「コロナがどうあれ、なにがなんでもやる」と言った森と同じだ。
 世論では、フクシマ幕引きの五輪という批判は強くないが、震災は終わっていない。2月13日に東日本巨大地震の余震がM7・3、震度6強で来た。十年めの警告だ。原発事故も、コロナも、収束していない。偽善の聖火リレーはやめろ!(A)