米韓合同軍事演習を中止せよ!
  18年米朝首脳合意を守れ

 米韓合同軍事演習が、3月8日から開始され18日まで強行されんとしている。今春の演習は、新型コロナ対策などを考慮し、実動演習ではなく指揮所演習とするとされている。しかし、1980年代の「チームスピリット」以来、この合同演習が、米韓の種々の演習とは別格の、朝鮮民主主義人民共和国に全面的に侵攻し占領する想定の演習であることに変わりはない。
 1月に発足したアメリカのバイデン民主党新政権は、今のところ自身の対朝鮮政策を明らかにしていない。対朝鮮政策が明らかでないのに、第二次朝鮮戦争そのもの訓練がなぜできるのか。
 バイデン政権は、2018年6月のシンガポール米朝共同声明を継承することを明らかにすべきである。その継承を表明して、米韓合同軍事演習は今年も再開しないと発表すべきであった。
  在日韓国民主統一連合は2月22日、アメリカ大使館と韓国大使館に対して、中止要請行動を行なった。
 3月6日には、反戦実行委など日本の運動団体が米韓合同軍事演習中止を要求して、アメリカ大使館に対し約30名の結集で緊急行動を取り組んだ。
 米韓合同軍事演習の強行は、18年6・12米朝合意と、それに先立つ18年4・27南北板門店宣言に反し、また、その後停滞したままとなっている米朝関係・南北関係を、再び戦争の方向へ逆行させかねない。朝鮮半島の非核化の目標も遠ざかる。核攻撃を含む米韓合同演習が続けられているかぎり、朝鮮が自衛的核抑止力を手放すことは決してない。
 18年6・12に米朝首脳は、①新しい米朝関係の構築、②朝鮮半島の平和体制の構築、③「板門店宣言」を再確認し、朝鮮半島の非核化に向け努力する等を合意した。その4・27板門店宣言で南北首脳は、①南北関係の全面的改善、共同繁栄と自主統一、②軍事緊張の緩和、戦争の危険の除去、③南北の恒久的平和体制の構築、朝鮮半島の非核化の実現、これらを合意した。板門店宣言を前提として、シンガポール米朝合意がある。
 1月初旬の朝鮮労働党第8回大会で、金正恩総書記が米韓合同演習の中止を求めた。これに文在寅大統領が1月18日、「必要なら米韓合同演習について南北で協議できる」と応えて注目された。しかしその後、米韓同盟と米韓日連携の調整・強化に前大統領よりは熱心なバイデン大統領の政権に対して、文政権が配慮してしまったようである。
 また日本政府が、米韓合同軍事演習を公然と支持したり、それに参加する在日米軍を支援したり、連動して自衛隊を動かすようなことは、2002年9・17日朝首脳合意(日朝ピョンヤン宣言)に反する。
 画歴史的な板門店宣言、シンガポール米朝首脳合意の3周年を前に、米韓合同軍事演習の逆流を許さず、北東アジアの平和構築に決意を新たにすることが必要だ。(W)


サンケン電気闘争
 韓国民主労総百万の闘いに
    日本本社闘争、全国闘争態勢を強化

 韓国サンケン労組支援の闘いが続くなか、最新状況(2月28日)を報告する。
 まず知るべきは、2月6日の韓国民主労総定期代議員大会において、キム・ウニョンさん(韓国サンケン労組副支会長、解雇撤回復職闘争委員会議長)が、民主労総副委員長に選出されたことである。キム・ウニョンさんは、民主労総の顔となると同時に、韓国サンケン労組の闘いを100万民主労総の総力をあげた闘いに発展させることを宣言している。
 近年、民主労総は財閥解体を主張し、財閥に融和的な文在寅政権との距離を隔てている。文政権はキャンドル革命を通じて誕生しながら、元来新自由主義的傾向を持ち、今も新自由主義を続けているからだ。日本のサンケン電気本社は、韓国のLG財閥との関係が深く、民主労総にとっては韓国サンケン闘争が、文字どおり「総資本対総労働」という図式も成立する天王山の闘いとして思い描かれる現況にある。

 ファンドの介入に動揺する本社経営陣

 そうしたところ2月8日には、ファンド会社のエフィッシモ(ECMマスターファンドSPV2、村上ファンド系で本社シンガポール)による、サンケン株に対する20%のTOB(公開買付け)が公表された。2割取得だと計30%の大株主となる。これを受けてサンケン本社側は2月12日、米国子会社の株の2%売却を決定し150億円余りを取得した。これはTOBに対抗するためと思えるが、その後サンケン本社側は、TOBに対する態度の表明を直ちに行なわず、24日にやっと中立なる態度表明を行なうという一連の事態が起きた。
 当初エフィッシモ側は、このTOBは敵対的なものではないと表明し、いわゆるホワイトナイトを装っていたが、村上ファンドの流れを引き継ぐエフィッシモがハゲタカのダークナイトであることは常識的な理解だろう。
 ところが、TOBの公表の翌日にサンケンの株価が急騰し、前日の4445円から5910円の高値を付け、エフィッシモの公開株価5205円を大幅に上回る価格となった。サンケン本社側は、このことに気をよくして、TOBに様子見の姿勢になったのではなかろうか。その後、サンケンの株価はじりじりと下げ、2月20日の終値で5400円となっている。
 この事態に対するサンケン本社側の対応には、株式市場の流動性(個別資本に対する投機資本総体の実態的対応)について、まったくの無知があるのではないかと思える。新自由主義の典型ともいうべきハゲタカファンドは、このような市場の傾向は百も承知であり、最終的には公開買付け価格の5205円前後に落ち着き、ハゲタカファンドに乗っ取られる危険性は高まったと見るのが冷静な判断だろう。しかしサンケン本社側は、一時の株価上昇をとらえてハゲタカ側のTOBがうまくいかないかの期待を込め、躊躇・動揺しながら中立表明を行なったとみられる。
 韓国サンケン争議問題を抱えたままでは、サンケン本社側は、ハゲタカ側に付け入られる余地を限りなく残すこととなる。今こそサンケン本社は、韓国サンケン労組との誠実な対応ができるかどうか、これが現経営陣の命運を決することを知るべきである。
 6月に行なわれるサンケン電気の株主総会が、一つの山場となるだろう。
 韓国サンケン労組と日本の我々は、いかなる事態になろうとも、全組合員16名の職場復帰と生産再開に向け、不屈の闘いを続ける決意を固めている。
 2月28日には、サンケン電気本社社長が居住する西東京市田無の自宅抗議行動を、30名を超える支援する会メンバー等によって貫徹した。
 首都圏では、3月9日に東京・文京区民センターにおいて、韓国とのオンライン中継を中心に、「サンケン電気は韓国サンケン労働者の解雇を撤回しろ3・9集会」が開かれる。キム・ウニョン民主労総副委員長が、「韓国サンケン解雇撤回闘争と韓国労働運動」の演題で講演してくれる予定。
 (韓国サンケン労組を支援する会会員Ku)


2月「19の日」行動で森・女性差別発言糾弾
 新のコロナ対策は菅退陣

 2月19日、東京では63回めの「19の日」行動、「いのちとくらしと雇用・営業をまもれ!女性差別発言を許さない!改憲手続き法強行許すな!2・19国会議員会館前行動」が闘われ、約300名が参加した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍9条改憲NO!全国市民アクション。
 菅政権は1月28日、第三次補正予算を成立させた。しかし総額19兆円余の内、デジタル化推進などコロナ後の経済対策費が60・9%、防災公共事業等16・4%で、再度の新型コロナ緊急事態宣言(1月7日)下であるにもかかわらず、コロナ対策は22・7%に過ぎない。労働者民衆の命と生活を守ることよりも、経済構造転換の大企業支援が優先だ。
 感染対策に手を抜く安倍政権や東京都は、再宣言の一ヵ月後も感染を収束へ向かわせることができず、コロナ特措法に基づく緊急事態は2月7日、10都府県で延長となった。これだけでも政治責任は重大だが、首都圏が収束へ向かわず3月7日で解除できなければ、政権退陣に値する。
 こうした中、菅の長男を始めとする衛星放送会社からの接待を、過去5年間に渡って総務省幹部が違法に受けていた事件が発覚した。24日、総務省11名が国家公務員倫理規程違反の処分、当時総務審議官の山田内閣広報官が給与返納(3月1日辞職)となったが、これで増収賄容疑の追及を避けられるものではない。
 また、元首相の森喜朗・東京五輪大会組織委員長が2月3日のJOC臨時評議会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかる」、「女性っていうのは競争意識が強い。それでみんな発言する」等の女性差別発言を行ない、その場では誰も問題にしないという有様であったが、内外で批判が高まり、12日森辞任となった。菅政権閣僚から野田聖子が新委員長に回ったが、一挙に地に堕ちた東京五輪はもう救いようがない。
 これら現況下の、2月「19の日」行動であった。最初に、高田健・総がかり行動実共同代表は、「1月、菅は緊急事態宣言を出してコロナを終息させると言った。しかし、いまだに猛威をふるっている。どう責任をとるのか、それは退陣以外ない。自公政権を打倒して人々の生活を防衛、戦争法を廃止する。今明かりが見えてきた」と発言、自公政権打倒の時は近いことを示した。
 国会野党からは、社民党から分離し立憲民主党に合流した吉田忠智参院議員が挨拶、「全国22の地裁での安保法制違憲訴訟、国会での闘い、この『19の日』行動、三位一体の闘争で戦争法を廃止する。改憲手続き法(国民投票法)改正案も、採決を認めたわけではない。自公の改正案は通させない」と発言した。
 続いて、社民党の福島瑞穂参院議員も発言、「デジタル庁設置を含むデジタル関連6法案が提出されている。まさに国民管理の法案で、有事や戦争遂行にもマイナンバーカードを使おうとしている」と批判し、法案阻止の姿勢をアピールした。
 日本共産党の井上哲士参院議員も含め各議員発言は、総務省接待問題での菅の責任を問うものでもあった。
 市民からの発言では、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士がアピール、「森会長発言は明らかに女性蔑視の発言。会議では誰も発言を止めずに笑っていた。共犯だ。若者や女性が15万人もの署名を集めて、辞任に追い込んだ。人々が立ち上がれば、差別を許さない社会をつくれる」と。
 次いで、日本キリスト教協議会の金性済(キムソンチェ)さんが発言、「昨年4月の辺野古埋立設計変更申請で、岩ズリ採集地として当初の計画にない本島南部や宮古島等が追加された。南部の糸満市や八重瀬町などには、沖縄戦戦没者の多くの遺骨が残っている。遺骨が混じった土砂を辺野古新基地建設に使うのは、死者への冒涜。土砂使用計画の撤回、遺族への謝罪を求める」と訴えた。
 最後に、戦争をさせない千人委の竹内広人さんから、以下の行動提起。
 2月22日、有楽町のウィメンズアクション。
 2月27日、「朝鮮独立運動102周年行動」集会(ライブ配信)。
 3月1日、「朝鮮独立運動102周年行動」新宿西口情宣。
 3月18日、改憲発議阻止・総がかり行動緊急署名街宣、午後6時。
 3月19日、「19の日」行動(議員会館前、午後6時半)。
 菅首相は退陣もせず、解散・総選挙もせず、腐敗と差別発言にまみれて居座り続けている。今秋を待たずに菅政権打倒!そして、差別を許さず内なる差別とも向き合って、差別のない社会を闘いとろう。(東京O通信員)