安倍首相、コロナ大災害のなか無責任逃亡
 継承政権は一時しのぎ

 安倍首相が8月28日、健康問題を理由に首相辞職を表明した。以来連日、自民党とマスコミは、次の自民党総裁は・次の日本の首相は、どの人なのか~と勝手に盛り上がっている。主権者であるはずの日本国民を、これほど愚弄する茶番劇は無い。国民は観客席にいて、次のご主人様登場のステージに注目せよ、である。
 この安倍の辞職は、新型コロナウイルス感染対策での失策等による政権支持率低下について、真摯に向き合い反省するということは一切無く、自己の持病再発をこれ幸いに、執権から無責任に逃亡するものである。とくに、6月・7月と経済優先で全国往来を促進し、コロナのいわゆる「第2波」を拡大させた過失責任は重大なものがある。
 辞職表明の時期は、計算されたものである。コロナ対策の第二次補正予算を6月に成立させ、7月の感染再拡大が続く時期には雲隠れ。感染ピークを越えたとみられる時点で、辞めるである。少し先だと、東京五輪中止の結論が出てしまう。自民・公明連立政権に最もダメージが小さい時期が選択されている。自公にとって、安倍政権がだらだら続き、来年の総裁任期と衆院任期が近づくというのが最悪であった。
 それで、安倍が卑劣な辞め方をしても、自民党は平気な顔をしている。本来なら、与野党の国会議員がただちに臨時国会を開き、即座に安倍の首を切り、新首相指名をやるべきである。自民の総裁選を待って、などというのは自民党の都合にすぎない。細川首相や村山首相の前例があるように、日本国憲法に第一党の党首を首相とするなどという規定はないのである。そうしないので、安倍政権の死骸だけがあり、誰も責任をとらない政治が半月以上も続いている。コロナ禍が最近では完全失業増として拡大している時に、決して許されることではない。
 安倍の破綻が、自公連立政権そのものの危機に直結していない。この要因は、このかんの安倍政権打倒闘争の弱さにある。たとえば一次補正での定額給付金を、我われが国会包囲などの大衆闘争で勝ち取っていれば、現在の事態は相当違ったものになっていただろう。現実は、この全住民直接給付は、国民の要求に圧されて出てきたのではなく、自公政権内の国民統合策をめぐる確執から出てきたものであった。その結果が、現在の自公政権内での首相たらい回しとなる。
 とはいえ、安倍長期政権の退場によって、国内政治は再編・激動期に入った。菅首相とみられる新内閣は暫定政権に過ぎない。臨時国会冒頭解散の策略もありだ。
 たしかに、「安倍9条改憲」をついに破綻させたことは、共同行動の大きな成果である。しかし安倍が消えても、敵基地攻撃能力の整備という実質改憲、緊急事態条項の明文改憲などとの闘いは続く。これまでの非力な反安倍勢力を、再編期にどう強大化していくのか、総選挙対応にとどまらない真摯な検討が必要だ。
(W・記9月2日) 


撤回せよ!韓国サンケン解散決定
 本社闘争へ9・3「韓国サンケン労組を支援する会」結成

 サンケン電気本社の不当な組合潰しに、韓国サンケン労組が再び立ち上がった。
 サンケン電気本社は7月9日、ホームページに、百%子会社の韓国サンケンを解散するとの取締役会決定を突然掲載してきた。韓国サンケン経営陣も本社から知らされていない寝耳に水の事態であったという。決定は、LED灯具からの撤退、これに伴うLEDを生産主力としている韓国サンケンを解散すると。ところが本社は、秘密裏に韓国内に設立した別子会社で2年前から生産活動を展開し、黒字を上げている。
 韓国サンケン労組は、韓国サンケンには本社から生産資材が充分に供給されず当然赤字になる状況が、2017年の解雇撤回闘争勝利の以降続けられてきたことを指摘し、会社解散の真の意図が労組潰しにあることを糾弾して、韓国労使の労働協約尊重と会社解散の撤回を要求して闘争を開始した。
 しかし、16~17年のような日本遠征闘争の再現は、コロナ禍で日韓相互に渡航制限もしかれており、大変困難な状況にある。それで、かって支援闘争を取り組んだ日本側の対応が迫られた。
 8月20日には、埼玉県朝霞市のサンケン電気本社前で、「韓国サンケン労組を支援する会」準備会、「韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会」を準備する有志の呼びかけで、早朝から本社要請行動が取り組まれた。全労協加盟の労組員や日韓連帯運動関係者なども含め30名以上が参加。
 会社は要請文を受け取る気配もなく抗議行動に。この社前闘争に、韓国サンケン労組員(オ・ヘジン支会長、ヤン・ソンモ前支会長、キム・ウニョンさん等)もオンラインで参加し、声を上げた。キム・ウニョンさんは、「私たちは一歩もひるむことなく、この解散・清算を撤回させるまで闘い続けます。どうかその日まで、日本の支援者の皆さんも私たちと共に歩んでくださること望んでいます。希望とは、同じ方向に向かう仲間が一つひとつ作り上げていく過程だといわれています。共にがんばりましょう!」と訴えた。
 その後、最寄の東武東上線志木駅前で情宣。
 翌21日、本社近くの新座市内で、「韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会」の再結成集会が20余名でもたれた。
 9月3日には、都内で「韓国サンケン労組を支援する会」結成集会が開かれ、約150名が参加。東京と馬山をオンラインでつないで、韓国からは全国金属労組のチョン・ジュキョ副委員長、慶南支部、韓国サンケン労組の皆さんが挨拶。日本からは、全労協議長の渡邉洋さんが主催者挨拶、尾澤孝司さん(支援する会事務局次長)が経過報告、鳥居一平さん(事務局長)が閉会挨拶、その他多彩な発言。
 当面、「支援する会」の活動は、毎木曜の本社前行動等の継続が重要だ。参加問い合わせは、03・5816・3960(中小労組政策ネット気付)支援する会事務局へ。
 (東京Ku通信員)


8・8釜ヶ崎講座「性的少数者について」
 地域から知るLGBT

 8月8日、大阪市西成区の太子福祉館において、「性的少数者について」と題して第16回釜ヶ崎講座学習会がもたれ、約40名が参加した。
 話題提供者は、梅田正弘さん(㈱にじいろ家族代表取締役)。会場には講座会員、釜地域諸団体の仲間をはじめ、今回のテーマに関心を抱く若い世代も参加。
 梅田さんは、性的ジェンダー意識に目覚めながら西成・釜ヶ崎にたどり着き、仲間との共感を得ながら、社会的存在としての「L・G・B・T(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)」の認知と活動の保証に動いてきた人。その講演では、L・G・B・Tの意味と領域を分かりやすく解説しながら、社会生活の中でも無理解が横たわるこの問題を全面展開した。お話しの要旨は以下のとおり。
 ①もちろんの事象だが、「L・G・B・T」問題に関しては、この国にも無理解・偏見・差別がながく横たわる。常時「おかま」等の言葉が、無責任な言葉として巷で使われてきた。のみならず世界的には現在でも、76の国が同性愛を犯罪とみなす。私も含め、L・G・B・Tの仲間は自らの生い立ちに苦しみ、家族の無理解に絶望する。自殺率も高く、就職等さまざまな社会生活の局面で挫折する。アメリカでは、解雇できる制度が現在でも一部に残る。
 ②私たちは、自らの「性」を自覚、認知した時から苦しみが発展していくわけだが、他者とは「異質」の性衝動にかられながらも、学校で職場で自らを隠す。世間では何事もないような顔で生活しても、苦しみから救われない仲間も多い。また世界各地の宗教観の強い国の家庭では、子どもが自らのセクシャリティを打ち明けるとその親は家から追放する習慣が存在し、ストリートチルドレン・ホームレスになる事象が存在することも分かっている。だが自分の存在を分かってもらうことは大切なことであり、互いに安心感を構築する日々の対処が、すべての人々に求められている。
 ③自らのセクシャリティに目覚めるなか、社会的問題としての「L・G・B・T」として捉えられるようになること、とくに今日では家族としての社会の認知と法的保証の必要を痛感する。同性婚をはじめ扶養・相続等に係る訴訟の事例が、この国の後進性をあらわしている。この領域での前進が今後は是非とも必要だ。
 ④最後に、HIV問題に触れたい。1980年頃より、エイズ(後天性免疫不全症候群)パニックが世界的に引き起こされる。端的にはエイズはゲイが引き起こした病気、「普通の人」はかからぬ病気とステレオタイプに喧伝され、各国でエイズ発症の人への排斥・暴力が拡大する。自分には関係ないとの着想、無理解から、この感染症が拡大したといえる。WHO等諸団体や心ある人々の努力と働きかけで、エイズはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)による感染症であること、何よりも無知と貧困に促進された病気であることが判明していく。
 今日、国内でも服薬による体内ウイルスのコントロールが可能であり、そうした日常を送る人は多いし、支え合う関係も拡大している。是非とも皆さんに真の理解をお願するとともに、私たちも継続した行動をとっていきたい。
 以上の講演であった。その後の質疑応答では、「少数者」の固定化・差別の一掃のためには、当事者が主体となってかかわる制度の実現と、当事者運動の強化が大事と認識されていった感じである。
 最後に、第49回釜ヶ崎夏祭りへの参加呼びかけ(後日、コロナ禍により基本的に中止、慰霊祭のみ挙行となった)と、定額給付金行動の報告を、釜ヶ崎日雇労組の山中さんが行なった。給付金問題では、すべての釜ヶ崎労働者が受け取ることができる方策を明示してきたこと、同時に行政当局の怠慢にはさらなる追及を強めて受け取り実現を図ることが報告された。(関西I通信員)


安倍政権と闘い続け「19の日」

 8月19日、東京では57回目の「19の日」行動が、国会の衆参議員会館前で行なわれ、酷暑をものともせず900名が参加した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍改憲NO!全国市民アクション。
 今月の行動は、「いのちをまもれ!臨時国会ただちに開け!敵基地攻撃は憲法違反!安倍改憲発議とめよう!安倍内閣退陣を!8・19国会議員会館前行動」と名付けられた。。新型コロナ感染が7月以降再び急速に拡大する中、安倍首相は雲隠れを決め込み、他方では、9条改悪と「敵基地攻撃能力保有」など先制攻撃と海外武力行使ができる国をめざして、暗躍を続けているからである。
 最初に、菱山南帆子さん(憲法9条壊すな!実行委)の主催者挨拶。「広島・長崎の追悼行事で安倍首相は、今年もコピペ挨拶。アジアの人びとへの謝罪さえせず、積極的平和主義と言って、米国と共にどこででも戦争する姿勢を見せている」と安倍政権を糾弾した。
 国会野党からは、立憲民主の武内則男衆院議員が挨拶。「19の日行動が、国会闘争の力になってきた。戦争法などを廃止し、現政権が壊してきた国を立て直す。真っ当な政治を取り戻す」と力強く述べた。日本共産党の宮本徹衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員も挨拶。
 連帯アピールは、安保法制違憲訴訟の会の児玉勇二弁護士、宮子あずき看護師(『東京新聞』でコラム執筆)、日韓民衆連帯全国ネットの渡辺健樹さん、反貧困ネットワークの瀬戸大作さんが発言した。
 最後に、戦争をさせない千人委員会の竹内広人さんが以下を行動提起。
・9月1日、有楽町でウィメンズアクション。
・9月11日、新宿西口情宣、午後6時。
・9月17日、日朝ピョンヤン宣言18周年集会、午後6時半・文京区民センター。
・9月19日、「19の日」行動、午後3時・国会正門前。
 戦争法強行成立から5年目となる。自公政権に借りを返そう!
 (東京O通信員・記8月20日)