イージス撤回なら辺野古も撤回
  工事変更申請「「不承認」へ全国世論を!再開

 安倍政権・沖縄防衛局は、4月下旬以来停止していた辺野古埋立て工事を、6月12日に再開した。この日、シュワブ基地ゲート前では、市民・住民によって搬入阻止行動が急きょ打たれ、また15日からは「オール沖縄」としての反対行動が、シュワブ前・安和・塩川で再開された。
 東京では15日の夕、防衛省前で工事再開抗議行動が、埋めるな!首都圏連など100名余で急きょ行なわれた。
 新型コロナ感染者が埋立て作業員にも出た末の工事停止は、6月7日投票の県議選が終わるまで政治的に続けられていた。工事再開は、県議選で玉城知事与党系が過半数を維持し、新基地反対の民意が再確認された結果を無視するものである。
 しかし新県議会は、知事与党系25、野党系23の僅差であり、安倍政権は元維新などを使って、与党系無所属の切り崩しを狙っている。また、工事設計変更申請に対する沖縄県の審査が長期化する中、防衛局が大浦湾側でも準備作業を不法に強行してくる危険もある。
 それでも展望は、我われ反対運動側にある。今後の沖縄県による申請「不承認」の断行が、安倍末期政権の命運と絡んでくる。安倍退陣と辺野古見直しをセットで勝ちとることは可能だ。
 この現況下で、辺野古新基地建設に並ぶ安倍政権による安全保障施策の主要な一つ、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画が撤回に追い込まれた。6月15日、河野太郎防衛相が突然、配備計画の停止を表明し、続いて24日、安倍政権の国家安全保障会議が計画撤回を決定した。「コロナ失政」、検察庁法改正の失敗、参院広島買収事件と続く中での、安倍政権への打撃である。
 イージス見直しなら辺野古も見直しの声は、政治的立場を超えて一挙に大きくなっている。陸上イージスを米国から言われるままに爆買いすることが見直しなら、埋立てが可能かどうかも分からない米軍辺野古新基地建設に巨費を投ずることも見直し、これは当然だ。
 陸上イージス撤回の理由として、発射後切り離すミサイル推進装置の落下の安全性を担保できない、担保するにはハードの改修が必要で、時間とコストを考えると合理的ではないとしている。しかしブースター落下問題は、秋田・山口の予定地では当初から懸念されていたことの一つで、撤回の口実にすぎない。
 秋田県民がこぞって反対してきたことの成果、とは言える。しかし撤回の真の理由を明らかにしないまま、ミサイル防衛が頓挫したので、今度は「敵基地攻撃能力」整備へ転換だというのではデタラメすぎる。真相隠しで、日米軍事一体化の闇は深まった。年内に国家安全保障戦略を改定するとしているが、その論議の前提を欠いている。
 辺野古工事では、米下院軍事委員会が10月23日、来年度の国防権限法案の中で、軟弱地盤の問題について12月1日までに報告書を出すよう国防総省に求めている。
 設計変更申請についての沖縄県の公告・縦覧が、7月中旬から3週間行なわれる。誰でも沖縄県に対し、利害関係人として意見を提出できる。(W)


国会閉会=安倍逃亡を許さず6・19
 安倍打倒へ創意工夫を

 通常国会閉会から間もない6月19日、東京では国会の衆参議員会館前で、第55回目の「19の日」行動が3・19以来、3カ月ぶりに開催された。
 集会は、「安倍改憲発議とめよう!モリ、カケ、桜は終わっていない!安倍内閣退陣を!6・19国会議員会館前行動」として闘われ、1200名が降りしきる雨の中結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍改憲NO!全国市民アクション。
 安倍内閣と与党自公は、国会野党が大幅会期延長を求める中、6月17日に国会を閉会した。検察庁法改正案も廃案にして、そそくさと国会を閉じたのは、何故か。新型コロナ対策の失敗、広告大手・電通との癒着(持続化給付金の中抜き問題)、黒川検事長問題、そして昨年7月参院選・広島選挙区での河井克行・案里衆参議員夫妻による公職選挙法違反事件、これらへの野党・国民の追及から逃れるためである。
 とくに河井夫妻による大型買収事件は、地元自民党・溝手派との争闘が背景にあり、安倍の自民党支配を終わらせる事件である。安倍執行部が河井案里陣営に配布した破格の1億5千万円が、買収を行なう原資となった。東京地検は、国会が閉じるのを待っていたかのように6月18日、河井夫妻を逮捕したが、今後の閉会中審査で安倍の説明責任は免れない。安倍がカネのばらまきを想定していたならば、安倍も買収の同罪である。
 それでも安倍は、時間稼ぎをしてこの窮地から逃げ、3割を切る支持率低下から何とか脱却して、来秋の総裁任期中までに改憲を実行するという野望を捨てていない。安倍政権は河野防衛相が6月15日、唐突に迎撃ミサイル基地計画イージス・アショアを中止すると発表したが、その代わりとばかりに、敵基地攻撃能力の保有を含む国家安全保障戦略の改定にすすむとしている。
 つまり、追及から逃げ、悔い改めない安倍政権に引導を渡す闘いとして、6・19は打ち抜かれたのである。
 集会は、最初に小田川義和さん(憲法共同センター)の主催者挨拶、「コロナ禍の中で、安倍内閣退陣を求めて世論と国会を動かす。国会開けは、国民の声!」と訴えた。
 政党挨拶では、日本共産党・山添拓、立憲民主党・岸真紀子、社民党・福島瑞穂ら各参院議員が発言。沖縄の風・高良鉄美参院議員は、「コロナで政府は国民の命を守るべき時に、辺野古の工事を6月12日に再開した。莫大なカネを使って、なぜ今やるのか。コロナに全て注ぐべきだ」と怒りの訴え。
 連帯アピールでは、まず憲法学の清水雅彦日体大教授、「安倍首相が強行した一斉休校は、科学的根拠も法的根拠もない。法を無視した暴走だった。法の支配の否定は許されない」と首相の違憲行為を改めて指摘した。
 「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委の木村辰彦さんは、「6・7沖縄県議選では辺野古新基地建設に反対する県議25名が当選、過半数を超えた。これを無視する工事再開は許されない。」「大浦湾側工事予定地には軟弱地盤がある。工事を強行しても基地は陥没する。それでも防衛省は4月21日、改良工事のための設計変更を県に申請した。この暴挙は許さない」と訴えた。
 さらに連帯発言は、コロナ自粛で危機的状況を強いられている劇場・音楽界から演劇家の坂手洋二さんから、などと続いた。
 最後に、総がかり実の菱山南帆子さんが、「我々は、憲法を実践する闘いを通じて、世界の人種差別を許さない闘争に連帯する。憲法を踏みにじる政府に、国政は任せられない。最大のコロナ対策は、安倍を打倒すること!」と訴えつつ、以下を行動提起。
・6月26日、ウィメンズアクション(午後6時、有楽町イトシア前)
・7月6日、新宿駅西口街頭宣伝(午後6時)
・7月19日、「19の日」行動(午後3時、議員会館前)
 終りが見えた安倍政権を打倒せよ!菱山さん曰く、「創意工夫をもって闘えば必ず勝てる」である!。(東京O通信員)


石井紀子さん追悼 6・28東峰行動
 成田第3滑走路反対!

 6月28日、成田市の旧東峰共同出荷場跡で、「追悼石井紀子さん、6・28東峰現地行動」が「三里塚空港に反対する連絡会」の主催で取り組まれ、50人が参加した。
 去る3月11日に交通事故で急逝された東峰の石井紀子さんを追悼し、「第三滑走路」建設と飛行時間の延長という空港機能拡大などに反対する行動である。
 新型コロナ感染症の影響で航空機の発着が大きく減少し、4月12日から2本ある滑走路の内の1本(B滑走路)が閉鎖された。1978年の開港以来初めてのことである。従来から地上40mの低空を2分間隔で飛行機が着陸するB滑走路の先で開かれている集会では、発言がそのつど中断するのが常であったが、この日は「静けさ」の中での集会となった。しかし、成田国際空港会社は2029年3月の完成をめざした策動をゆるめた訳ではない。
 集会は、どしゃ降りの雨のため、「らっきょう工場」の軒下をお借りしての開催となり、集会一部・空港機能強化への抗議、二部・石井紀子ざん追悼として行なわれた。
 第一部は、山崎さん(横堀地区)の司会で始まり、まず反対同盟代表世話人の柳川秀夫さんからのアピールが、「平行滑走路が完全閉鎖され、コース下は静かだ。しかし横堀、丹波山の空港会社用地では工事は連日行なわれ、移転工作も進められている。ひたすら利潤を追求して空港を拡大することが正しいのか、新型コロナの流行はその事を突きつけている」と読み上げられた。
 加瀬勉さん(元三里塚大地共有委員会代表、多古町農民)からのアピールも読み上げられた後、平野靖識さん(らっきょう工場、東峰地区)が、コロナ下の地区の状況と石井紀子さんの歩みを述べた。また社団三里塚大地共有運動の会の事務局より、このかんの社団への登記の進行状況についての報告と更なる取り組み強化が訴えられた。
 第二部・石井紀子さん追悼は、辻さん(横堀団結小屋維持会)の司会で、高見圭司さん(スペース21)、鈴木さん(田んぼくらぶ)、ノジマミカさん、片岡さん、国宮さん等が、石井紀子さんとの思い出、追悼の言を述べた。
 また関西から参加の渡邉(関西三里塚闘争に連帯する会)、根本さん(泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会)、小山さん・山田さん(東大阪三里塚闘争に連帯する会)などから、関西新空港など全国の反空港の闘い、南西諸島自衛隊配備反対の闘いが報告された。
 集会後、開拓道路に向けてデモ行進。その後、第3滑走路予定地の現地調査が行なわれ、調査の最後に加瀬勉さんの自宅への訪問が行なわれた。(関西・渡邉)