安倍も黒川も懲戒免職!
 1・31閣議決定と検察庁法改正案を撤回せよ

 安倍政権と自公は5月18日、急速に高まった批判世論に追い詰められて、検察庁法改正案の今国会での成立を断念した。しかしこの時点では、国家公務員法改正案との「束ね法案」としたまま継続審議とし、今秋の臨時国会で成立させる方針であった。
 検察庁法改正案の問題点は、検事総長や高検検事長ら検察幹部の定年延長に特例を設けることによって、内閣による検察幹部人事への介入が可能となることにある。安倍政権に忖度する者の定年を特例延長させて、検事総長の座につけたり、気に入らない者は定年退職させたりすることができるようになる。行政権による司法権(検察権)独立の侵害であり、このかんの新型コロナ対策での安倍政権の緊急事態宣言にもみられる行政権独裁の指向、この傾向の一環をなすものである。
 が、黒川賭博発覚で状況は一変、継続審議も困難となっている。国家公務員の定年を延長する国家公務員法改正案と分離させたうえで、必ず廃案とさせねばならない!
 5月20日、この問題の事の発端である黒川弘務東京高検検事長が、違法な賭けマージャンを産経・朝日の新聞記者と繰り返していたことが発覚した。国民が対コロナで行動制限をまじめにやっている時に、黒川はまさに3密状態で賭博に興じていたのであるから、何をか言わんやである。まして彼は法務官僚幹部、法治国家の崩壊である。
 黒川は5月22日「訓告処分」となり、辞職したが、なぜ「懲戒免職処分」ではなく、したがって自主退職で5900万円も退職金をもらえるのか、国民は誰も納得しない。3年前からの賭博常習者で、「今日は十万円やられちゃった」と聞くハイヤー運転手の証言もあるように賭け額も軽微ではない。訓告処分は「最終的には内閣で決められた」(5月22日・森法相)もので、安倍が黒川をかばい、検事総長が迎合した不当に軽い処分である。
 何よりも、1月31日の違法な閣議決定によって、翌月の黒川の定年を延長させ、在職中の犯罪を続けさせる結果となった安倍内閣の任免権責任が問われる。黒川はかって、森友問題で告発された佐川元財務局長を検察が不起訴とするために、法務省側で指揮をとった。安倍は、この黒川の「功績」をもって「余人をもって代え難い」として定年を延長させ、今夏には検事総長に取りたてるつもりだった。
 1・31閣議決定は、それまでの政府見解(81年答弁)「国家公務員法の規定は検察官に適用されない」を覆し、検察官にも定年延長が適用されると法解釈をかってに変えて強行したものである。そして、この閣議決定の後追いで、検察庁法改正案が提出された。このパターンは、2014年7・1閣議決定が、それまでの集団的自衛権行使否定の憲法解釈(1981年鈴木内閣答弁書など)をかってに変え、その後追いで戦争法案が提出されたのと同じである。
 また安倍内閣が、熟練人材の活用という法案の趣旨は同じだとして、国家公務員法改正案との「束ね」にこだわっているのは、国家公務員も検察官も同じとする1・31閣議決定の法解釈変更を守るためである。
 しかし黒川「自爆」によって、森友以来たまりにたまったアベ政治の膿みも爆発した。1・31閣議決定を撤回させ、法私物化・政治私物化の安倍政権をただちに退陣させよう!
 さて、このかんの検察庁法改正反対運動の最大の特徴は、対コロナで大衆行動が難しい中での、1千万ツィッター抗議の拡がりであった。安倍政権のコロナ対策に対する広い不評と、国民のステイホームの毎日が、個々人を政治に向き直させたとも考えられる。また、松尾元検事総長ら検察庁OBが5月15日に反対声明を出すなど、安倍の官僚支配も動揺してきた。
 戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委などは、衆院山場の5月15日、また19日と、検察庁法改正案阻止・撤回を求める国会前行動を約50人で独自に行なった。
 総がかり行動実は、残念なことに5月「19の日」行動を中止してしまっていたが、高田健氏ら憲法9条壊すな!実行委など市民団体の主導によって19日、約600人を集めて検察庁法案撤回の国会前行動を打つことができた。(A)


緊急事態宣言下の5・3憲法闘争
  コロナ利用し安倍改憲

 日本国憲法施行73年となる今年の5・3行動は、通常であれば、安倍9条改憲に止めを刺す強大な大衆闘争として、全国各地で実現されるべきものであった。しかし、この闘いは、1~4月の新型コロナウイルス国内感染拡大によって、若干変化することとなった。
 一つは、安倍政権による対コロナ対策を利用した緊急事態条項新設の改憲策動、これを粉砕する闘い等として、5・3を取り組むことが求められる情勢となった。また一つは、その行動を縮小し、感染拡大防止の自衛措置をとった形態とすることを余儀なくされたのであった。
 安倍自民党の意図は、当初から明白であった。コロナ特措法案が提出される以前の1月30日に、自民党有力者の伊吹文明元衆院議長が、コロナ感染拡大は「緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいい」と発言。
 安倍政権は、民主党政権時の新型インフル等特措法を使わず、わざわざコロナ特措法に改定することに執着してこれを成立(3月13日)させ、安倍政権が取り仕切るものとしての緊急事態宣言の発動(4月7日)へと進んだ。行政権独裁、これが安倍緊急事態宣言の核心であった。
 そして安倍は5月3日、改憲派の集会に自民党総裁メッセージを送り、「緊急事態において、国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるか、極めて重く大切な課題だ」と述べた。自民党改憲4項目の中の、緊急事態条項導入である。
 また安倍は、コロナ対策に自衛隊を出動させ、それをもって「自衛隊は違憲というおかしな議論に終止符を打つ」とも述べた。自衛隊明記改憲である。
 こうした安倍政権の意図に対峙し、東京では、「許すな!安倍改憲発議 平和といのちと人権を!5・3集会」が、有明防災公園など例年の大集会ではなく、国会正門前からのネット配信憲法集会として行なわれた。
 国会正門前では、総がかり行動実行委の高田健さんや、浅倉むつ子さん(早稲田大学)などが発言した。
 また、この東京5・3の縮小を意識した形で、新宿アルタ前では、「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委」の呼びかけで、5・3改憲反対デモが行なわれた。約130人が参加し、安倍首相は「緊急事態宣言」を撤回しろ!コロナを改憲の口実にするな!などが訴えられた。
 大阪では、おおさか総がかり実行委による例年の扇町公園集会が中止となり、代わりに有志によって難波高島屋前での小集会が行なわれた。中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネット)や、木村真さん(森友問題を考える会)などが発言し、ネット配信、市内各所での街頭宣伝が行なわれた。
 首都圏の有力集会の一つである松戸5・3憲法集会も中止となるなど、総じて言うと、日共系の人々の自粛というより委縮、これが感じられた5・3であった。
 コロナ禍のどさくさに紛れて5月28日、自民・公明は、与党国民投票法改定案の成立へ向け、衆院憲法審査会の審議を半年ぶりに再開した。安倍改憲は少しも自粛していない。ならば我々は倍返しで自粛せず、安倍政権を今こそ終息させるのみだ。(W)


6・1学校再開
 教育課程編成権は、教職員・保護者・生徒に
  学習内容精選でゆとりを

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校措置で生じた学習の遅れを取り戻すと称して、26府県が、夏休みを短縮するなど対策を講じることが明らかになった。
 関東地方の一地方自治体では、夏休みを8月8日から同17日として大幅に短縮、9~10月の隔週土曜日、冬休みの三日間も授業を実施する旨公表した。他自治体でもこれと同様、夏休みや冬休み等の大幅短縮、土曜登校の実施などを強行するものと推測される。週一回の7時間授業もありえるだろう。
 しかし、これらの措置は、子ども達に耐え難い程の身体的・精神的な苦痛を与え、その結果いじめが横行するなどして学園の荒廃さえもたらす。
 市中感染初期対策の失敗を隠蔽し、また旧年来の「桜を見る会」等による政権不信から逃れようとして、安倍首相が2月27日独断で強行した一斉休校要請は、子ども達に大きな負担を強いる結果になった。
 子ども達の負担を軽減するキーワードは、学習内容の精選である。
 文部科学省は3月24日、「2020年度の教育課程(教科学習と教科外活動を含めた教育全体計画)内で補習授業を行うこと」と指示した。平たく言えば、新しい学習指導要領に従って作成された教科書に沿って、もらさず学習するよう強制したのだ。文科省は2~3年かけて遅れを解消することも特例として認める旨、全国の教育委員会に通知している。膨大な量の学習内容を年度内に学習することさえ困難な現状で、未学習分の授業が入る余地はない。新指導要領の基調である新自由主義の戦士育成、これのために子ども達に負担を強いることは許されない。
 したがって、各学校が子どもや地域の実態を踏まえ、保護者の意見を尊重して学習内容を精選する必要がある。
 学習量増加の原因に、アクティブラーニング(AL)ありきの文科省の姿勢がある。しかしALは、各教科の学習のめあてと指導内容を設定し、習得にふさわしい学習方法の一つとして有効性が見込まれる場合のみ採用するべきだろう。
 また、プログラミング教育が必修化され、算数・理科の学習内容が増加した。どこで実施すべきかの精選が求められる。
 道徳も、日常生活に中で実施してきた経過(時間割には一時間設定されてはいたが)があり、各教科をメリハリをつけて実施すれば短縮が可能になる。
 精選は本来、教育観に基づいて行なわれる。
 我々は新自由主義教育ではなく、一人ひとりの人権を尊重し差別を許さない教育、互いに尊重し話し合いを通じて問題を解決する力の育成、自然と共生し互いに助け合ってよりよい社会生活を築く教育の実現を求める。そのための学力の育成=知識・技能、思考力・判断力・表現力の育成である。
 膨大に増えた学習量を年度内に学ぶのは、至難のわざである。まして地域によっては教員不足が深刻になり、技術を体育や美術の教員が免許外教科担任として受け持つケースなど、問題は山積みである。再びコロナの感染拡大で休校措置を取ることになれば、生徒の負担は一層拡大する。新型コロナ感染の終息には2年以上の時間を要するという。
 コロナ感染最盛期の3月24日、文科省は、来年度から使用される中学校教科書の検定結果を公表、ページ数の大幅増加など問題点が明確になった。これによって中学生の負担は増大し、コロナによって再び休校措置を取ることにでもなれば、生徒に耐え難い程の負担を強いるのは確実である。(この中学教科書の検定結果評については、またの機会に。なお今年度から使用に入った小学教科書については前号3面で拙稿)。
 学習内容の精選が求められる。それには、闘いの高揚が必要である。今、教育現場は闘える体制にない。教職員は地域に出て、保護者や市民運動と連携、闘争体制を整える必要がある。労働者・市民の連帯で、まずは教育内容を精選し生徒の負担を軽減、さらに動揺する安倍政権を打倒して、安倍の改悪教育基本法を本来の教育基本法に戻す必要がある。
 指導要領は、単なる研究の手引きであり法的拘束力はないことを再確認し、教育課程の編成権は現場教職員と地域の保護者・生徒にある、という基本原理を打ち立てる必要がある。公選制教育委員会制度の実現など闘いを再構築して、教育改革の道を突き進もう。(浦島 学)